IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第十一話

 「道具風情が。失敗したのに、いまだ破棄されないのか?」

 

 「何を言う、人形が。人間の振りをするのを止めたら如何だ?」

 

 ふふふと顔を狂気に染めて円夏とラウラは笑う。貴輝と一夏は額を押さえて頭を抱えた。ここの所ずっとこうなのだ。顔を突き合わせれば互いに罵倒し合う。それこそ教室でもである。

 

 まぁ、今は勝負開始のブザーを待っている所であり、二人の言い合いを初めて目撃する人々、他クラスの人間や各国政府の人間には、飽く迄舌戦だと思われているだろうが。

 

 「ラウラ、今は戦いに集中しろよ。」

 

 「判っている。貴様こそヘマをやらかすな!」

 

 ブザーが鳴った瞬間、ラウラに声を掛けて、事前の打ち合わせの通りに飛び出す一夏。一夏の機体は近接戦闘しか出来ない。だがその近接戦闘が強力なのだ。だからこそ、中遠距離で足を止めての撃ち合いが得意なラウラに援護を任せて前へと飛び出した。

 

 「冷静に行けよ。」

 

 「貴様も愚兄の相手を頼んだぞ。」

 

 同じく、貴輝の方も円夏に声を掛けて飛び出す。円夏とラウラを思いっきり戦わせる目的がある貴輝は熱くなるなと注意を一つして飛び出した。ただ違うのは、円夏も飛び出していると言う点であろう。

 

 円夏の機体は無線誘導兵装があるので、中遠距離にも対応しているとはいえ、ラウラの様にそれが得意と言う物でもない。気付かれない近接戦闘こそが円夏の本分である以上、前へと出るのは正しい選択であった。

 

 「再び見えない刃に翻弄されろ。」

 

 「悪いが、その対策は既に済んでいる。」

 

 「何っ!?」

 

 一言ラウラに告げて、ワンオフアビリティーを発動する円夏に、それは一度見たとラウラは、六本のワイヤーブレードを起動させた。

 

 そのワイヤーブレードを、届く距離で滅茶苦茶に振り回す。例え見えなくとも、其処にはあるのだからと、そのワイヤーブレードの速度は音速を軽く超えており、円夏の優れた動体視力を持ってしても、隙は無かった。

 

 その上、その状態で、大体の円夏の居る場所。ラウラの軍隊仕込みの観察眼で、味方の配置から何処に居るのか割り出した。円夏に向かって近づいてきたのだ。

 

 「くっ!?」

 

 「ほう、其処に居たのか。」

 

 驚き、後ろへとブースターを吹かす為にマントを脱ぎ捨てたダーク・エッジがその姿を現す。ダーク・エッジはエネルギーの殆どをワンオフアビリティーに持って行かれている為、ISの浮遊、減加速を行うPICにエネルギーを使えなかったのである。

 

 ブースターを吹かす為には、どうしてもエネルギーの流れを作り出してしまう。『ファンタズム・ミラーワールド』は正確には円夏の視界に入るものの認識をずらすと言う物。背後の、目につき難い場所にあるブースターのエネルギー光を隠す為に、ステルスマントを纏っていた。

 

 だが全力でブースターを吹かす為には、ブースターの流れを阻害してしまうマントは邪魔であった。前にラウラを追い詰めた時は、殆どブースターを吹かせていない。地面に足をつけての歩法だけである。

 

 それ故にラウラのワイヤーブレードを音速を超えた速度で振り回す攻撃は、ダーク・エッジには有効であった。

 

 貴輝と一夏の戦いも結構な激しさを見せていた。貴輝を一撃落とす為に、イグニッションブーストで一気に近づいたはずなのに、其処には貴輝は居なかった。それどころか、背後から衝撃、蹴り飛ばされ前へと転げていく白式。

 

 瞬間横へと転げる様にラーハルトの攻撃を避ける。ラーハルトのビームランサーを突きだした様子に、すぐさま反撃に移ろうとして、嫌な予感に前へと転げるように跳んだ。

 

 ラーハルトは通常の速度でも、白式のイグニッションブーストに着いて行けるだけの速度がある。普通ならその速度で動けば、掛かるGにブラックアウトを起こしそうなものだが、そもそも通常の移動方法を取っていないISなのだ。

 

 そこに着目して、貴輝は通常速度で出せる速度を限界まで上げた機体を作り上げたのだ。イグニッションブーストを使う時、白式に掛かる負担は思いのほか大きい。

 

 速度特化の機体である白式でもである。そこで貴輝は持てるチート能力を使って、ISに鎧を纏わせたのだ。ISを纏ってその上から鎧を纏っているが、重さ自体にそれ程白式と変わりなく、攻撃に難が有るが、それもイコライザで解決済みである。

 

 「くそっ、やっぱ強えか。」

 

 「あっちには行かせられないな。」

 

 一夏は判っていた事、いまだ届かない千冬すら地に伏せたことのある貴輝に歯がゆい思いをしていた。千冬が、自分と同じ高みに誰も居ない事を悲しんでいる事を知っていた一夏は、自分がその高みに上って、千冬を喜ばせようとしていたのだ。

 

 そんな一夏の思いに気付かない貴輝。後ろを指差し、円夏が苦戦している様子でも、一夏をここに張り付けるのが仕事と、動かない。

 

 そんな折、ラウラが突如叫び出したのだ。円夏を追い詰めていた筈のラウラがである。一夏も貴輝もその変貌を目にしていた。

 

 ラウラの、シュヴァルツェア・レーゲンが突如黒い泥の様な物で覆われてしまったのだ。ラウラごと。

 

 「何だっ!?」

 

 「VTシステム…」

 

 何が起きているか分からない一夏の呟きに返すように、貴輝と束がこっそり行った精査では出なかったシステムの名前を上げた。

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