IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス 作:yosshy3304
「んで、何処だったんだ。」
「意外や意外。なんとね…」
「早く言え。」
生徒会室。そこに集められた、貴輝と暁美。それに付き添いのシャルロット。集められた理由は、デュノア社の動向が分かってきたから。社員を暁美によって根こそぎと言うほどではないが奪われたデュノア社は、新たな人員を募集したのだ。
ただ幾ら募集に人員が集まったとしても、デュノア社の商売内容は専門過ぎる事もあり、ある程度の教育期間を設けなければならず、その為に一ヶ月程掛かったのだ。
焦らす楯無に素気無く答える貴輝。無粋ねぇ、とむくれる楯無であるが、貴輝は自分で手術をしてからそれ程時間が経ってはいない。車椅子に乗っているほどだ。今も時折走る痛みに顔を顰めているが、シャルロットの未来に関わる事の為に生徒会室までやって来ていた。
楯無のオフザケに付き合っている余裕が無いのである。
「それがIS開発部門と販売部門なのよ。」
「…つー事はだ。」
「でっかいバックが居るねぇ。」
その結果が、過去には不遇されていた部門に人を集めているという。第三世代を開発出来ずに落ちぶれたデュノア社。その第三世代を開発出来ない部署が不遇されるのは当たり前なのである。更に、販売部門もそうで、第二世代とはいえ、IS学園で教材として使用される程、完成度の高い機体を売り込めなかったのだから、不遇されるのは目に見えていた。
そんな部門に人を集める理由は一つだろう。佐藤工房と同じくデュノア社にライン製造を任せた組織があると言う事。あそこの技術では独自に開発等出来ないと、一度見学に訪れた際に知っている貴輝や暁美はそう当たりをつけた。
「それが何処かと言う事か?」
「一応ISを兵器に、と言う事から絞れそうだけど…」
「国レベルじゃないよね。国が関わるなら自国で開発したらいいんだし。」
ISを兵器にと言う国、組織はまだ多い。ACがISにとって代わったとはいえ、今だ中枢部分コアと呼ばれる場所は貴輝にしか作れず、世界に配備するにはラインの数が足らなさすぎる。当然、市場にかなり食い込んでいるものの、取って代わろうとする組織は多かったのである。
「無人機の線から当たれないか?」
「あれだって、ドイツ製よ。フランスが見逃すと思う?」
ISの兵器化に当たって問題となるのは量産が出来ないと言う点である。だがデュノア社の動きはISの量産、販売を視野に入れている物で、量産型ISと言う点から、クラス対抗戦の時の無人機を思い出した貴輝がそれを指摘するも、暁美が、あの無人機の出所はドイツだと指摘する。
フランスの仮想敵国であるドイツが、兵器になる様な物を開発、量産し、更にはその自国の会社にライン製造を依頼する事を見逃すはずがないのだ。
「…ドイツ製?…なぁ、嫌な事思いついたんだが…」
「うわ、貴ちゃんのそれって無茶苦茶当たるじゃん。」
貴輝がそういえば無人機はドイツ製だったなと思い出した。途端顔を顰め、嫌な事を思いついたと言う。暁美が貴輝のその想像は本当に当たる事を知っており、聞かなかった事にしたいが、そうはいかない事も知っており、渋々続きを促す。
「Mシリーズを利用したコアの量産。ACパーツを利用した高火力の無人機にVTシステム積んだら如何なる?」
「うわぁ…」
貴輝の言葉に生徒会室が沈黙に包まれる。誰かが発した、想像してしまったのだろうその光景に思わず溜息が出た音が響いた。
無人機で疲れ知らず、怖いもの知らず。敵がどんなに多く強くても突っ込んでいき、その動きは世界の頂点と同じ物。しかも火力も高く、下手をすれば少数でも押し負ける。
「ねぇ、それだけの資金を持っている組織なんてあるのかしら?」
だが、楯無が貴輝の想像に待ったを掛けた。それだけ大事を成そうとするのなら、精算度外視の莫大な資金が必要になってくる。一つ一つの開発も、実験にしても相当な資金が無ければ行えない。
「……一つ、あるよな。」
「言わないで。本当にゴキブリ見たいなんだから。」
だが、楯無の疑問も、貴輝と暁美には心当たりがあった。欧州方面での暗躍に、莫大な資金源。Mシリーズの開発に、ISに興味を持っていた事。ACに対する恨みまでである。
かつて貴輝がACを開発した時に支援に名乗り出て断られ、暁美の説得を無視して佐藤工房に喧嘩を売った馬鹿な組織。
元々は欧州にある友達の輪を広げると言う目的の秘密結社で生まれた組織である。同じ趣味の人間ばかりが集まった組織で、その趣味に関しては誰にも負けないと言う自負すらあった。要はオタクが集まった秘密組織なのである。しかも、貴族の家系だったり、株主だったりと無駄に金を持て余している人種ばかりが集まってしまったのだ。
「テンプレート、じゃないよな?」
「うわぁあん、思い出さない様にしてたのに…」
貴輝がその組織の名前を上げた。日本のアニメに触発され、幹部十人は宙に浮く十個のプレートでやり取りをする為、その組織はテンプレートと呼ばれていた。
ただ、オタクという人種は時にプロすら凌駕しかねない。しかもその運営費を贅沢に使える人間ばかりで、しかも情熱が一向に冷めない。暁美が説得に回っても跳ね除けてしまい、最後は武力行使と相成ってしまったのだ。
暁美に、あの暁美に苦手意識を刷り込んだ唯一の組織であり、暁美の鳴き声が生徒会室に響く。
死人は一切出さなかったが、と言うがACを使って死人が出なかったのは奇跡である。ACはその為に完成したと言っても過言ではなく、それまではそこまでの威力が無かったのだから。
静かに動向を見守っていたシャルロット以外のメンバーの溜息が生徒会室に響き渡ったのである。なにはともあれ、貴輝の提案し、国連に認められ始まった宇宙開発は順調に行っているのと同時に、シャルロットの問題も解決の見通しが立ったのであった。
中途半端感がありますが、この章はこれで終わりです。また座談会とハロウィン編を書いて、次の福音編に移りたいと思います。それではお楽しみに。