IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第二話

 「ちょっ、おい鈴。引っ張るなよ。」

 

 「ほらほら、時間は有限なのよ。」

 

 ラウラの視線の先。偶然にも一夏を引っ張る鈴音と言う場面に出くわした。篠ノ之は如何したとラウラが思っていると、一夏の、箒の誕生日プレゼントを何にするかという言葉で疑問の答えを得る。

 

 誕生日プレゼントを買う為に別行動をしているようだ。事実、一夏達が一つの店に入り、誕生日プレゼントだろう包みを持ちながら電話をすると箒が現れる。鈴音とは反対側の腕を取り、三人仲良く買い物を再開している。

 

 「ふむ。」

 

 ほんの僅かに羨ましいと言う気持ちが持ち上がってきた。篠ノ之と一夏の間に入り、左右の手を繋いで歩きたいと言う、親を知らないラウラの子供心と言うのだろうか。だがすぐに恥じ入る。少なくとも同級生に抱く気持ちではない。どちらも背が高く、自分は背が低い方だから、不自然にはならないとは思うが。

 

 「そうだ。」

 

 ラウラはこの気持ちの名前を知らない。親が居ないのが当たり前で、軍では仲間が家族代わりとはいえ、それでも両親に甘えたいと言う欲求は湧いてこなかったから。

 

 モヤモヤとした気持ちに整理をつける為、誰かに話を聞いて欲しかったラウラは、自分が隊長を務める隊の、自分よりも年上の副官に相談する事にしたのだ。

 

 『はっ、隊長、それは恋しているのだと思われます。』

 

 「何?私が教官の弟に恋をしているだと…」

 

 だがラウラは知らない事であったが、その副官クラリッサ=ハルフォーフは重度のオタクであった。恋愛すら真面にした事が無い、しかも日本のマンガ知識で得た恋愛の知識だけはあり、しかもラウラの隊は教育係のクラリッサを除けば、ラウラの様な人工子宮で生まれた世間知らずばかり。クラリッサの事を経験豊富のお姉さんだと盲目的に信じている者達ばかりであった。

 

 ラウラの話を聞いたクラリッサは間違った解釈をする。ラウラは親と言う存在に憧れの様なものを抱いただけなのだが、オタク脳のクラリッサはそれを恋しているのだと解釈したのだ。

 

 『ハプニングとか起きて裸を見られたとか…』

 

 「それはあったぞ。」

 

 『おお!!』

 

 クラリッサの脳内では、女子寮に住む男性がドジを踏みハプニングを起こしてラウラを押し倒す光景が再生されている。ToでLoveるやLoveでヒナなそれ。実際は戦闘でスーツを切り裂かれ、生死を分ける戦いの最中での事であったのだが。ラウラの言葉足らずなそれを都合の良いように解釈したのだ。

 

 『告白はされませんでしたか?』

 

 「告白、いや、だが、ちょっと待てよ…」

 

 しかもクラリッサの好物は純恋愛物。当然男性側から告白されて、しかもラウラがそれと気づいていない場面まで飛躍している。

 

 ラウラの恋愛どころか、世間に疎い経験では恋愛面での告白がどういった物なのかが分かっていない。だが、一夏に向かって自分から告白した(自分が作られた存在であると言う事と言う意味で)。告白済みであり、自分から告白して、一緒に生きる意味を探そうと返されたと答える。

 

 クラリッサはラウラから告白(付き合って欲しいと言う意味)したと言う言葉と一夏がそれに了承した事に驚愕するも、織斑 一夏の周りをウロチョロする恋のライバル。彼女の脳内ではそんなマンガじみたストーリーが展開されている。

 

 『それは隊長が踏み込むべきだと具申いたします。そのままでは(恋愛で)負けてしまいますよ。』

 

 「何、私が(ISで)負けると言うのか?」

 

 さらにすれ違う会話が続く。クラリッサとしてはヒロインはラウラなのだ。それを邪魔するライバルに負けてなるものかと恋(誤解)の応援をする。ラウラの後押しを始めたのだ。

 

 ラウラが恋と言う物を理解していない現状、しかも相手は国家代表候補と開発者の妹。IS勝負の話だと思い込んでも仕方がない。

 

 『なので、一歩踏み込んでみましょう。』

 

 「むっ、具体的には如何すればいい?」

 

 『これは、世界最高のネゴシエーターである、佐藤 暁美も使った事のある魔法の言葉です。これに行動を付加すれば、まず落ちるでしょう。』

 

 「そうか。」

 

 すれ違った会話。間違った解釈。しかもマンガ知識によるものと、暁美がオフザケで言い放ったその言葉が、ラウラを間違った道へと誘導してしまった。

 

 

 

 

 「これとこれのどっちが良いと思う?」

 

 シャルロットの手に持つ二つの水着を見比べる貴輝。貴輝の好みと言うか、無駄に出している様な水着よりも、パレオが付いているタイプの方が好きだと知っているシャルロットは当然パレオ付の物を選ぶ。パレオを外せばビキニタイプになるので、泳ぐ時に邪魔になる事もない。

 

 黄色い地に黒い線が入った虎柄の物と、青い地に白い雲やヤシの木が描かれた物。

 

 「俺はこっちだな。」

 

 「うーん、貴輝って青系統が好きだよね。」

 

 少し悩んだ貴輝は青地の方を指差す。自分は黒系統の物を好むくせに、シャルロットに青系統の物を着せようとしてくる。シャルロットとしてはもう少し派手に行きたいのだが、うーんと悩む。

 

 青い地の着物の上から持って来た水着を合わせる。右を合わせて迷い、左を合わせて迷いするその様子に貴輝は一つ溜息を吐く。

 

 デパートの様な水着売り場。子供用やファミリー用に飾られた場所もあり、当然男性用も並んでいる。貴輝の手にも貴輝の水着が持たれており、それ程視線がキツイと言う事もないが、それでも女性の買い物の長さに辟易してしまう。

 

 「貴輝、こっち。」

 

 「うおっ、おいシャル。」

 

 「しっ!!」

 

 だが突然シャルロットに腕を掴まれ、試着室の中へと連れ込まれてしまう。何をするという言葉は、シャルロットの静かにしてと言うジェスチャーで黙らさられる。

 

 シャルロットの見ている方を不思議そうに見ると、そこには一夏達が腕を組んでやって来ていた。

 

 「ふふふ、二人が選ぶ水着を参考にさせてもらうよ。」

 

 「なぁ、マジで何やってんだ…」

 

 ようはデバガメしようとしているのだろう。しかも水着を選ぶ参考にすると言う理由までつけて。暁美じゃあるまいしと、何と言っていいか、この前からタガが外れていると言うか。

 

 何気に三角関係みたいな話が好きなのは、お昼のドラマの内容から知っていたが、まさか暁美の提案に乗り気だったのは、一夏達の予定に合わせたんじゃなかろうかと疑ってしまう。

 

 「はぁ、早く終われ。」

 

 溜息を一つ。こんなはずじゃなかったんだがなぁと貴輝は天井を見上げた。

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