IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第三話

 「ネタで!!」

 

 「止めなさい。」

 

 鈴音の持って来た水着を見た一夏はすぐに止める。赤と白のストライプビキニは、数年前に人気を博したアニメのヒロインが着ていたものと同じものだった。アニメのヒロインのキャラが似ていると良くからかわれた鈴音は、仕返しなのか、気に入ったのかよくネタに使う。

 

 「これにしようかしら。」

 

 そう言って次に鈴音が手に取ったのは、ピンクのワンピースタイプ。

 

 「どう、これ?」

 

 「ISスーツと殆ど変らないぞ。」

 

 むーと膨れる。言われてみれば確かにそうだ。鈴音のISスーツはピンク色をしている。しかもISスーツ自体水着と大差がないのだ。もう少し冒険する必要があるが、自分のスタイルの事もある。

 

 少し、ほんの僅かに成長が足りないのだと言い訳をして、だけどそういった子供っぽい物が似合ってしまうのは自分でも分かってはいた。

 

 分かってはいても、相手は好いている異性であり、悩殺とかしてみたいが、一度自分の胸元に目をやり、落ち込んでしまう。

 

 「箒はどういったの選ぶの?」

 

 「う、そうだな…」

 

 「…今何を隠したのよ。」

 

 何か参考に出来ればと、もう一人の同行者に声を掛けると、素早い動きで背中に何かを隠した。売り場から考えれば水着なのだろうが、そのデザインは多種多様で様々。想像もつかないが、自分に遠慮している様な雰囲気を感じ取り、そんなにヤバい奴なのかと考える。

 

 考えた所で、圧倒的にスタイルが負けている事の憂さ晴らしと、悪戯心が出てきた。

 

 「箒?」

 

 「う、ふふふ…」

 

 「ま、待て鈴音!?」

 

 そんな箒の様子に一夏が疑問の声を上げ、鈴音が獲物を見つけた目でジリジリと近づいてくる。一夏の様子よりも鈴音を止める方が先だと判断した箒は静止の声を掛けるも、一年余りで代表候補まで上り詰めた鈴音の方が上手であった。

 

 一瞬の隙を突き、背中に隠した水着を奪い取る。ワーワー騒ぐ箒を無視して、一夏の方を向き広げた。

 

 「なっ!?」

 

 「おわ、うわ…」

 

 箒だけではなく、広げた鈴音や、それを見た一夏の顔も赤くなる。白い紐水着。大事な所も何も隠さないその水着。いや、ポッチを隠す最低限の布はあるが、白くしかも薄いから水に浸かれば浮き上がるのは確実であった。

 

 「な、ななな…」

 

 「なんだって、こんなのが一般向けのコーナーにあるんだよっ!!」

 

 「わ、私が知るかっ!!見つけてしまったんだから仕方無かろうっ!!」

 

 絶句する鈴音。どう見てもアダルトなそれが、何故ファミリー向けのコーナーもあるこんな場所にあるのか思わず叫ぶ一夏に、ただ手に取ったのがそれで、偶々見つけただけの箒が顔を真っ赤にして叫び返す。

 

 「こら。」

 

 「イテッ…」

 

 そんな一夏の頭を誰かが叩いた。それは軽いものだったが、不意打ちであり、思わず声を出してしまった一夏は振り向くと、そこには山田マヤと円夏を連れた千冬が立っていた。

 

 「こんな往来でそんな大声を出すな。」

 

 「すみませんでした。」

 

 御尤もな指摘に素直に頭を下げる。千冬の登場で鈴音も復帰したのか気まずそうに顔を反らしている。

 

 「ふむ、一夏はどっちが良いと思う?」

 

 「へっ?えっと……」

 

 「分かり易い奴だな。」

 

 空気を変えようとしたのか、一夏の眼前に二つの水着を出してくる千冬。どちらも同じデザインのビキニであったが、色が白と黒であった。思わず千冬の水着姿を想像してしまい、千冬に呆れられた。

 

 どうやら黒い水着の方を凝視していたらしい。千冬はそんな一夏の様子に少し笑いながら白い方の水着を返す。

 

 「円夏はこれなど如何だ?」

 

 「姉さんっ!!」

 

 「むっ?駄目か?」

 

 どうやら水着を買いに来て鉢合わせしただけらしく、千冬は円夏におそろいの水着を持ってくる。デザインが似ているが、少し布面積が大きい。黒い色のツーピースのセパレード水着。

 

 円夏は一夏の女性体クローンだが、顔は千冬の方に似ている為、確かに黒が似合うと思う。ちゃんと学生であると言う事も考慮してあり、問題ないのではと一夏は思った。

 

 「で、貴様等も出てこんか。」

 

 「うわっ…」

 

 だが突如千冬が締まっていた試着室のカーテンを開ける。いや、カーテンが締まってんだから中に人が居る事は分かっているんだから、それは無いだろうと一夏が、千冬の凶行に驚いていると、中から気まずそうなシャルロットと、呆れた顔の貴輝が出てきた。

 

 二人は確りと服を着込んでおり、乱れた様子も無ければ水着を着替える為等でもない事はすぐに分かった。

 

 「覗いていたのか?趣味悪いなぁ。」

 

 「すまんな。鉢合わせしそうになったから、気を利かせたんだがな。」

 

 思わず貴輝に声を掛けると、貴輝はすぐに謝ってくる。だが、偶然にしては出来過ぎている気がするが。

 

 なんで水着を売っている場所はここ以外にもあるのに、皆してここに買いに来るんだろうか。付けていた訳ではないのに。

 

 「ふぅ、取り敢えず私達は移動するとしよう。いいか、くれぐれも人様の迷惑になる様な事はするんじゃないぞ。」

 

 別にやましい事をしていたわけでは無いので、すぐに千冬は解放する。どうやら一夏を見かけて声を掛けてきただけらしく、苦笑する山田マヤと円夏を引き連れて、最後に一言だけ言葉を残して去って行った。

 

 手には確りと黒い、自分と円夏の水着が入った袋を持って。千冬も女性であり、この後何件か店を回るようだ。

 

 「二人は如何する?」

 

 「もう少ししたら出てくよ。」

 

 「そうか。」

 

 一夏が貴輝に向かってこの後どうするのか声を掛けてきたが、貴輝としてはデートの邪魔をするつもりもなく、シャルロットが迷っている水着を買ったら出ていくつもりであった。

 

 一夏の方も貴輝達のデートに割り込むつもりも無く、一つ返事を返し、シャルロットも交えて水着談義している箒と鈴音の方へと歩いて行った。

 

 「ふぅ、喉渇いたな。」

 

 色々とあり、シャルロットの方は問題無いと判断して、売り場近くの自動販売機で飲み物を買うと、傍のベンチに座り、プルタブを開ける。

 

 「もう、どっちも買えばいいじゃねぇか。」

 

 一口飲んで、いまだ三人で言い合っている様子に愚痴が漏れる。仕方ないと一気に飲み干して、少し離れた所で見ている一夏の方へと歩き出した。

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