IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第四話

 あの後シャルロットは暁美に説得されて、ハンコを押した。神様特典の交渉術で説得するのは如何かと思ったが、そもそも偽善だろうと、自分勝手だろうとこの方がシャルロットの為になるのは確かなのだ。

 シャルロットは本格的に家に住むことになる。流石にお客様ではなくなったのだからと洗い物を押し切られ任せてしまった。何となく楽しそうだ。

 

 「奥様ごっこ、なんだろうね。」

 

 「素で心を読むな。」

 

 口に出していないのにも拘らず、思っていることを読んで暁美が感想を述べる。交渉術の副産物である、ある程度相手の考えている事が分かる能力を使ったのだろう。

 そんな暁美曰く、シャルロットの心は大分疲弊していたと言う事だ。まぁ、小学生から中学に上がろうかと言う時期に唯一の肉親を亡くし、行き成りあらわれた父親と名乗る男性に着いて行くと道具扱い。本妻さんからのイビリに耐えて、最後はゴミの様な扱いを受ける。

 

 「だから、少しでも必要とされたいんじゃない?」

 

 「ふぅ、頭イテェ。」

 

 「ぶーぶー、もう少し真剣に考えてあげなよ。名前だけのとは言え奥さんの問題だよ。」

 

 暁美の説明に思わず頭を抱える。いつもの口癖が出てしまった為に、何も考えていないと判断され暁美に注意される。

 

 「考えているから頭が痛いんだろうが!!」

 

 「わーわー、ごめんごめん。」

 

 暁美のふざけた物言いに思わず本気で切れかけた。だが、相手が健太=暁美であり、場を和ませようとしただけだと気付く。すぐに謝ってきたこともあり、それ程怒りも持続しなかった。

 

 「あいつに如何説明すんだよ。」

 

 「私にお任せってね。」

 

 メンドクサイ奴の事を思い出した。人見知りが激しく、自分が認めた人以外が路傍の石に見えるというメンドクサイ奴。どうやら暁美はすでにそこまで考えていたらしく、自分にまかせるよう言ってきた。

 

 「こんにちわー、あーちゃん居るぅ?」

 

 うん、噂をすれば何とやら。タイミングよく玄関を開けて叫ぶ。それどころか、許可を出す前に上がってきているようだ。廊下からドカドカ音を立ててやってくる。

 

 「如何したの、束!?」

 

 「ふぇーん、箒ちゃんに嫌われたぁ!!」

 

 ただ意外だったのは泣きながらやってきたこと。暁美すら驚いて何があったか聞いている。篠ノ之 束、ISの生みの親であり、知り合い相手には何があっても常に笑顔の、世界から『天災』の二つ名で呼ばれる科学者である。

 箒ちゃんというのは束の妹であり、確かこの前新聞に載っていた。束もその新聞を見て久しぶりに妹に会いに行ったそうだ。そこで、『姉さんの顔なんか見たくない』と言われたそうだ。

 篠ノ之 箒は重要人物保護プログラムと言うのを日本政府によって受けさせられている。束の開発したISは、貴輝の開発したACによって取って代わられたといえど、ISは一度世界を引っくり返しているのだ。

 そんな天災がACを超える何かを新規に開発する可能性も無きにしも非ず、もし人質に取られたりすれば、それが世界に向かって牙をむく可能性もあるのだ。

 束の病的な人見知りは世界中で有名であり、政府もそれを危惧して、篠ノ之一家を離散させ日本各地を転々とさせ、居場所を突き止められないようにしたのだ。

 

 「うー、なんで、なんでなの箒ちゃん。」

 

 「そりゃ、初恋で幼馴染に会えなくなったからだろ。」

 

 「いっくん?」

 

 机に突っ伏すように落ち込む束に、というか箒が幼馴染に恋心を抱いていると知っているのに本気で分かってなかったのだろうか?その事を指摘すると束は顔を上げて、こちらを見てくる。

 

 「会いたければ、会いに行けばいいのにね。」

 

 「あー、そういう事。お前じゃないんだから無理だろ。」

 

 束は心底不思議そうに首を掲げる。暁美も時々だがそうなるのだが、一般人の感覚を忘れるのだ。唯でさえ他人に興味の無い束には仕方ないことなのだが。ようは政府の護衛すら振り切り、いや、コイツの場合、そもそも気づかせない可能性もあるが、まぁいい。会いに行けばいいと言っているのだ。

 

 「だったら、ここで会せたらいいんじゃない?」

 

 「おいおい…」

 

 そんな束を見た暁美がそう提案した。箒に政府の護衛を振り切る事は無理でも、じゃあ束が連れて来たら良いんじゃないかと。この場所なら治外法権で政府もおいそれと手を出してこない。

 何より、軍事にはACを作れる俺、ISを作れる束、何より交渉だけで世界を動かせる暁美が居るのだ。日本政府には暁美が交渉すると言う事になり、箒とその幼馴染の織斑 一夏をこの家で会せる事で決まった。

 

 「行ってくるっ!!」

 

 「行ってらっしゃーい。」

 

 決まった瞬間、篠ノ之 束は文字通り風となった。庭からISを展開して大空に舞いあがったのだった。

 

 「い、一夏?」

 

 「おう。本当久しぶりだよな、元気していたか?」

 

 こうして二人の再開は原作よりも早くなったのだった。

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