IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス 作:yosshy3304
「あけましておめでとうございます。」
「あけましておめでとうございます。初詣行く?」
「日明けてからでいいだろ。」
大晦日に紅白を見終わって、行く年来る年でカウントダウンも終わった。炬燵に入ったまま、目の前に居るシャルと新年の挨拶を交わした。
シャルが初詣に行くかと聞いてくるが、貴輝はさむさむと炬燵に潜り込んでいく。朝になってから箒が巫女の手伝いをしている神社にお参りすればいいと、珍しい今の状態を堪能する気であった。
コロニーが完成し宇宙開発が本格的に始まって、暁美は各国との打ち合わせに正月といえど引っ張りだこで今はいない。貴輝はあくまで工房主であり、年末正月は工場を止める為、思いっきり冬休みを満喫中。
箒は泊まり込みで巫女の仕事に。千冬と束もドイツでここにはいない。一夏と円夏は千冬に着いて行っていたり。ラウラから頼み込まれ、断りきれずにIS学園が休みのこの時期に教官しにいった。
騒がしい連中が一切居らず、騒がしいのが嫌いな貴輝の性格を知っており、確りと合わせてくれるシャルと二人きりである事から、貴輝はのんびりとしている。
「あん?」
「ばあ!!」
「何やってんだよ…」
炬燵に下半身を埋めたまま仰向けに寝転んだ貴輝の足元にさわさわとした感触があった。最初は反対側のシャルの足だと思ったが、やけに当たる面積が大きく、何だと首だけを動かし、頭を持ち上げて炬燵の方を見ると、そこから猫耳を着けたシャルが顔を出す。
色々とツッコみたいのだが、まぁこれぐらいはいいだろうと、やや呆れながら頭を下す。その貴輝の上へとラフな格好をしたシャルが乗り上げ、貴輝と目線を合わせる様に貴輝の腹の方までやってくると、貴輝の頭を両手で掴みあげる。
「ちゃんと見てよ。」
「あー、はいはい。それってピクピクシリーズだろ?」
「うん。尻尾もあるよ?」
どうやら貴輝の様子が不満だったみたいで、無理やり視線を向けさせる。ラフな格好の為に、ここ数か月でそこそこあった胸部が更に大きくなっており衣服を押し上げ、谷間を覗かせている。そこに視線を向けない様に苦労しながら貴輝はシャルの頭部へと視線を向けた。
ピクピクと動くシャルの髪色と同じ色の猫耳があった。ピクピクシリーズと呼ばれる佐藤工房が開発したテレビドラマや映画に使われる小道具である。近頃は舞台にも使われるものだ。
ISの思考制御部分を使った代物であり、装着者の意思を読み取り動くと言うもの。宇宙開発が始まった為に、一般的にISを普及させるために作った物だ。
シャルが体を捻り、細長い肌触りのよさそうな尻尾も見せてくる。それは貴輝の股間部分をすりすりとすり寄るように刺激している。
「ねぇ、…しようよ。」
「Zzz…」
「貴輝?」
貴輝の胸に頭をつけたシャルが貴輝に問いかける様に、色気を含んだ声色で問いかけるも、貴輝から聞こえて来たのは寝息であった。顔を上げて貴輝を覗き込むと目を閉じて完全に寝入っていた。
「もうっ…」
少し憤るシャルであったが、それだけだ。工場は動かしていないとは言っても、束の本格的にISを量産し始めた手伝いや、大掃除に、年始から稼働させるフランスの新工場で作る物の設計図に試作品の作成とここ数日真面に寝ていない。
カウントダウンもシャルが珍しく我儘を言い、貴輝が了承した為に起きていたに過ぎない。これ以上は無理だったかという思いがシャルにあったのだった。
「無理…しないでね。」
そのまま貴輝の胸に顔を埋め目を瞑り、そう呟く。
寝ぼけているのか無意識なのか、貴輝の手だけが動いてシャルの頭をゆっくりと撫でた。その感触に笑みがこぼれる。
「ちょっと、ちょっとだけ…」
夜遅い事もあって、シャルもそのまま意識を手放したのだった。
「無理はしてねぇよ。」
小さくポツリと溢された貴輝の言葉。シャルが寝ているのを確認した貴輝は撫でる手を止めずに、シャルの寝顔を眺める。
シャルのお誘いに、別に初めてという訳では無く、少なくとも夫婦となって結構立つ為にやった回数もそれなりにはなってくるが、それでも疲れからテンションが高くなっている今はマズイと思ったから、寝た不利をしてやり過ごした。
シャルなら受け入れるだろうとも思えるからこその措置である。
「はぁ、動けねェ…」
疲れていたのだろうか、本格的寝だしたシャルの甘い声色で『貴輝ぃ…』という自分を呼ぶ声にぐったりとしてしまう。
自分も疲れているから早く布団に入ってしまいたいのだが、体勢からか力が入らない。シャルを起こしてしまっていいのなら、無理やり抜け出す事も出来るが、流石にこの寝顔を見ていると罪悪感が湧く。
「しゃーねぇ。部屋は暖かいし、風邪は引かないだろ?」
部屋の中は温められており、少なくとも今の格好なら大丈夫だろう。念のため炬燵布団を引っ張り、シャルの上へと掛ける。
「お休み、シャル。」
ただ一言だけ告げて、貴輝は目を閉じた。新しい年も忙しくなりそうな予感をしつつ、頭イテェとか言いつつ、それでも自分もその中に居るんだろうなと考えて。フリフリと揺れ動く尻尾を邪魔だと思いつつ、貴輝の意識は無くなっていくのだった。