IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス 作:yosshy3304
「そんなのってないぜ!!」
一夏の叫びがリビングに響き渡る。無言だが箒も難しい顔でイラついているようだ。対面にはシャルロット。デュノア社の対応を話してしまったようだ。まぁ、あの会話の流れだと話さなくても空気を悪くしてしまうが。
はぁ、と一つ溜息を吐き、頭を抱える。どうしてこうなったかと言うと、洗い物の後、洗濯に取り掛かったシャルロット。洗濯物を干し終わりリビングに入ってきた時に束、箒、一夏と顔を合わせたのだった。
そこで一番に反応したのは束。知り合い以外が、まぁ路傍の石にしか見えない束にとっては知り合いの家に他人が居るのが許せなかったのだろう。
一夏と箒が力付くで取り押さえなかったらISで蹴り飛ばしていたかもしれない。流石の束も二人に取り押さえられ、暴れて怪我をさせるわけにもいかず、大人しくなる。
そして束の説得を暁美に任せている間、シャルロットは一夏と箒と話をしていた。
「誰あれ?あんなの居るなんて聞いてない。」
「貴ちゃんの嫁。」
「何それ、だったら箒ちゃん貰ってよ。」
「無理っしょ、箒ちゃんは一夏嫁だし。」
隣のソファーで暁美が束の説得をしている。元々暁美に任せるとしていたので、任せることにする。
「見て見て束、こんな写真手に入れたぁ。」
突然話題を変えられ、流石の束も困惑している。だが、俺は知っている。これが暁美の交渉術の始まりだと言う事を。
「うわ、小さいころの箒ちゃんだ。」
「幼稚園のお遊戯会の写真だね。」
何処から手に入れたそんなもん!と突っ込みたいが我慢する。束の気がそれたのをいいことに、行き成り暁美が切り込む。
「シャルの事認められない?」
「当たり前でしょ、私にとっては石ころと同じだもん。」
少しさびしそうに、行き成りこいつは何を言い出すのかと顔に出ている束。暁美はにこにこ笑っている。
「箒ちゃんも?」
「そんな訳ないじゃんっ!!」
暁美の指摘に怒り出す束。だが暁美は慌てず写真を指差す。
「うわ、小さい箒ちゃんカワイソウ。こんなに頑張って演技してるのにね。」
「それとこれとは違うでしょ!!」
写真の中の箒の役は石ころなのだろうか。と言うか石ころの役とはなんなのだろうか。
「一緒だよ。だってそれ束のわがままジャン。」
「そ、そんなわけないっ!!」
いや、まぁ確かにそんな訳がない。だけど暁美が交渉術だけで世界に勝ってしまう。相手の心の内を読むのが神がかっている事を知っている束は一瞬、ほんの一瞬言葉に詰まった。
「いや、そうだよ。違うってなら試してみたらいいでしょ。」
「た、試す?」
「そうそう、幸いシャルは貴ちゃんのお嫁さんで家に居るし、箒ちゃんとも仲が良いようだしね。本当に束がシャルを認識できないか試したらいいじゃん。」
暁美の言葉に一夏達が振り向き、動きを止めた。俺は暁美と束の方に注視していた為にその事に気付くのが遅れた。
「すぐには無理だと思うよ。だけど、何度も何度も顔を会わせている内に認識できるようになるから。」
「ほ、本当に?」
「私が言うから間違いないって。」
意識を別の事に向けさせ、怒らせ、混乱させ、適当な事を本当の事の様に信じさせる。しかも自分の能力を知っている相手の場合、ほとんど落ちたも同然だ。最後に期日を指定していないのも、何かの拍子に認識した時に、この時の事をいっていたのかと思わせる為。
暁美のやつ、詐欺師になったらいいんじゃないだろうか。そう思わさせられるが、まぁ今回は束の雰囲気が柔らかくなっただけ良しとするか。
「な、なぁ?」
「あ、ああ。なんだ?」
振り向けば一夏と箒が目を見開き、驚愕している。一夏が恐る恐る問いかけてきた。
「シャルロットって同い年だよな。なんだよ嫁って?」
「あ、あー」
一夏の質問にあちゃーと頭に手をやる。そうだよなこんだけ近い場所なんだから、ましてや結構声が大きかったから聞こえるよな。如何しようかとシャルロットの方を向き、ほんの僅かに苦笑しているシャルロットを見て、誤魔化すというのもアリかと考えるが、これって俺の問題かとも考えた。
「シャルロット、任せた。」
「えっ、えー…」
なので喋るか喋らないかをシャルロットに押し付ける事にしたのだった。