ガルパ・ミニ -みにみに・が~るず・ぱ~てぃ~ - 作:ツナ缶マン
何なんだこのバンド…
完全にギャグ路線じゃないか…(白目
「ブシドー!!」
「青い空に綺麗な海!!見てたらるんっ!!ってきた~!!」
「何で私がこんなことに…」
「千聖ちゃん?どうしたの?」
「どうした?ですって…?」
アイドルである日菜とイヴは溢れんばかりの笑み浮かべながら水着で海へ向けて駆け出していく。
その一方で満身創痍の千聖がブツブツと呟いていたが、日菜の言葉を聞いて彼女の中で何かが弾けた。
「どうして私が無人島生活なのよ~!!」
千聖の絶叫を聞いた2人だったが、彼女が叫ぶ理由がまるで分からない2人は思わず首を傾げてしまっていた。
「アヤさんとマヤさんは別のお仕事があったからですよ…?」
「イヴちゃん…そう言う事じゃなくて…」
「も~千聖ちゃん!!今日が最後なんだしさ~来たんだから楽しもうよ!!」
首を傾げていた2人が千聖に話しかけたが、そんな日菜の言葉を聞いた瞬間に彼は弾けた。
「日菜ちゃんが無理やり連れて来たからこうなってるのよ!!」
「チサトさん!!これもお仕事ですよ!!」
「私…アイドルだけどバラドルじゃないのよ…それにこういうのは彩ちゃんの方が適任よ…!!」
「千聖ちゃん?怒ってばっかりだと顔にしわが出来ちゃうよ?」
「どれもこれも日菜ちゃんのせいよ!!」
千聖は日菜に絶叫しながら説教をするが、怒られてるはずの日菜はどこ吹く風。
説教の言葉を聞き流した彼女達はそのまま海へと向かっていく。
そんな過酷なロケを終えた彼女達は事務所まで戻ってきていた。
「それじゃ私はこれで…」
「千聖ちゃん!!練習しよ!!」
「日菜ちゃん、私は花音を待たせてるから―――」
「カノンさんなら大丈夫です!!行きましょう!!」
「ちょっと待って―――!!」
千聖は早々に花音が待つ家に帰ろうとしたが、即座に日菜達に捕まってそのままスタジオまで連行されてしまい、彼女達が向かたスタジオでは彩と麻弥の2人が自主練を行っていた。
「あっ!!みんな!!」
「皆さん!!お疲れさまでした!!って」
「無人島生活のロケ!!楽しかったよ~」
「そうですね!!自然豊かで気持ちよかったです!!」
「えぇ…ただいま…」
「あれ?千聖ちゃん?…疲れてそうだけど…?」
「彩ちゃん?”疲れてそう”じゃなくて”疲れてる”のよ」
「なんでぇ~!!」
彩が心配そうに千聖に声をかけるが、その気遣いも今の彼女には逆効果で彩は怒りの籠った笑みを向けられて狼狽えてしまうが、麻弥は千聖に助け船を出そうとしていた。
「千聖さん。その帰って休んだ方が…」
「でも、チサトさんもロケのせいで楽器に全然触ってないので早く感覚を戻さないといけません!!」
「そうだよ麻弥ちゃん!!麻弥ちゃんだって、前に数日触ってないとすぐに感覚が鈍るって言ってたし!!それに5人で揃ってるんだからみんなでやったほうがるんっってするし!!」
「そうですけど…疲れてる時にやってもあまり効率よくないですからね」
「そこはブシドーの心で挽回です!!」
「イヴさん…精神論ではどうにもならないかと…」
「も~麻弥ちゃん!!千聖ちゃんも早く!!」
しかし、麻弥が出した助け船は泥船の如く完全に撃沈されてしまった。
そんな様子を見て千聖は諦めの表情を浮かべていたが神は彼女を見捨ててはいなかった。
「そうだ!!とりあえず最初は千聖ちゃんは休んで私達の練習を見てもらえばいいんじゃないかな?」
「アヤさん?…なるほど!!見取り稽古ですね!!」
「え~っと…そうそう!!千聖ちゃんは演奏しないから少しは休めるし、私達は千聖ちゃんに歌を確認してもらえるからいいんじゃないかな?」
「面白そうだね~!!」
「彩さん…見取り稽古の意味が分かってなさそうですね…」
「ふふっ…そうしましょうか。でも、悪いんだけど次のドラマ撮影の台本に目を通さないといけないから聞くだけよ?」
「大丈夫だよ!!少し休んだら5人でやろうよ!!」
「えぇ」
「それじゃ…少しだけ休ませてもらうわね…」
なんとここで彩が5人で練習することにこだわっていたイヴと日菜を納得させるというウルトラCを決めることに成功すると、その様子を見た千聖からは安堵の笑みが零れていたがそんなことはどうでもいい。
自身は身体を休めながら、音楽には触れられて台本の確認も出来るこの案には彼女は飛びつくと、そのまま事務所に届いたばかりの台本を開いたが――――
「あら…?」
「千聖さん?どうかしたんですか?」
「…いえ、なんでもないわ」
千聖は台本を開いたが、その表紙の裏には妙にデフォルメされた麻弥の落書きが描かれていた。
表紙の裏で特にセリフの確認には影響しないので今はこの件に触れることはせずに、彼女はそのまま台本に目を落としていく。
「…もう1回…見てみましょうか…」
しかし、千聖は表紙の裏にいた麻弥の事が気になってしまって再び表紙の裏にページを戻したが若干の違和感を感じていた。
「あら…?さっきとポーズが違うような…?」
「千聖ちゃん?何か言った?」
「いや、彩ちゃん。なんでもないわ」
独り言を彩に聞かれてしまった千聖は即座に誤魔化してから、再び台本へと視線を落とすとそこにはあり得ない光景が飛び込んでいた。
「えっ…?絵が動いてる…?いやいや、そんなことはあり得ないわ…」
「あの~チサトさん?どうかされたんですか?」
「イヴちゃん。えっとロケでの疲れからか絵が動いてるように見えてしまって…」
「千聖ちゃん!!そんなのあり得ないでしょ~」
「…」
イヴにまで心配されてしまい、今見えたことを素直に伝えると日菜が笑われるがその時に感じた怒りをぐっと堪えて再び台本に視線を落とすが、やはり先ほど見た
『ふへへ…』
「えっ…?」
台本に描かれていた麻弥が突如として左右に動き出して、彼女の特徴的な笑い声を上げたことに千聖の思考が完全に停止してしまったが、そんな彼女の事に構うことなく絵の麻弥は動いていた。
「それじゃ、そろそろ始めますよ~…」
「はーい!!」
彩達が演奏を始めようとしていたが、得体の知れない恐怖体験を前にした千聖はそれどころではない。
しかし次の瞬間、彼女の眼は信じられないものを捉えていた。
『ふへへ…』
「いっ!?」
絵だと思っていた麻弥が動いたと思ったが、それは突如として文字通り
「カウント行きますよ~!!1,2…1,2,3―――」
「ぎえぴぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「「「「!?」」」」
麻弥のカウント中に彼女らしからぬ絶叫を響かせてしまうのだった。
「チサトさん落ち着きましたか?」
「えっと…その…どの…」
「千聖ちゃん!!深呼吸だよ!!ひっひっふー!!」
「ひっひっふー…ひっひっふー…」
「彩さん…それは違うと思いますが…」
落ち着いていない3人を他所に麻弥は完全に落ち着いていた。
しかし、そんな彼女達を放置して日菜だけは完全に順応して今は彼女達をそっちのけで千聖の台本から出てきた麻弥を相手にして遊んで始めていた。
「麻弥ちゃんそっくりでかわいい~!!それにしても…ぺらっぺらしてるけど…膨らむかなー」
『ふへへ…』
「あっ!!膨らんだ!!」
『ふへへ…!!』
「しぼんだり膨らんだりしておもしろーい!!」
ペラペラになっていたはずなのに急に膨らんで、人型になったと思ったら急に紙のようにペラペラになったり、何とも通常ではあり得ない行動を繰り広げていたが、今の日菜にとってはその行動は自身の興味の対象にしかなっていなかった。
「それにしてもこの子なんなの~?」
「日菜さん!!それなんですけど、皆さんがロケに出ている間に山吹さんやリサさん達のところにも似たようなのが出てるんですよ?」
「ちっちゃいおねーちゃんがいるの!?」
「いえ、たえさんに市ヶ谷さん。それと白金さんと薫さんですね。一応、市ヶ谷さんがちっちゃいからミニって通称をつけてましたが…」
麻弥の説明を聞いた日菜は若干つまらなさそうな表情を浮かべていた。
自身の姉に似たのがいないこともそうだが何よりも名前が気に入らなかった。
「ミニって…可愛く無~い!!」
「日菜さん。それは分類学的に付けただけで…それぞれに名前をつけてるみたいですよ」
「じゃあ、この麻弥ちゃんにも名前つけないと!!ほら彩ちゃん!!起きて!!」
「起きてましゅ!!あうぅ…噛んじゃった…」
ミニなんて名前は可愛くない。
そう思っていたが、麻弥の補足説明を聞いた日菜は満面の笑みを浮かべると呆けていた彩を叩き起こしたが、彩が噛んでしまったことなんてまるで気にする様子もなくニコニコ顔を浮かべていた。
「それで~燐子ちゃん達のミニ?は何て名前なの?」
「えっとですね。似てる人の名前をもじってるのが市ヶ谷さんの”あーさ”と白金さんの”りーちゃん”、それでたえさんのはうさ耳が生えてたらしいのでそれも加味して”うさえ”、薫さんのは鳴き声から”はかないさん”ですね」
「麻弥ちゃん…鳴き声って…」
「多分ですが、ジブンに似てるこの子のは「ふへへ…」ってジブンの笑い声からですかね…?」
「”ふへへちゃん”ってのは可愛くないから麻弥ちゃんの名前をもじるの…?」
「ん~彩ちゃん。でもさ3文字だけだよ?厳しくない?」
「そっか~…」
なんせ彼女のフルネームは大和麻弥でひらがなに直すと、使われてるのは”や””ま””と”の3文字のみ。
今回の名前決めは麻弥の名前をもじるにしてはハードルがあまりにも高すぎるのが問題だった。
しかし、彩と日菜は諦めなかった。
「眼鏡かけてるからそこから…って他にも眼鏡使ってる人達いたね…」
「よーし!!こうなったらるんってする名前を考えないと!!」
「やまとまや…やまと…トマト!!」
「彩ちゃん~それはないよ~。それに”と”は1回だけだしそれだったら…まとま?う~ん…なんかるんってしないなぁ…」
「”ヤマヤ”です!!」
「イヴさん…?」
彩と日菜が頭を抱えて唸っていたが、その中で唐突にイヴが声を張り上げると、未だに現実が見えていない千聖以外の視線が彼女に集まっていた。
「あの…イヴちゃん?」
「”ヤマヤ”です!!」
「えぇっと…イヴちゃん?どうしたの?」
「ヒナさん!!この子の名前は”ヤマヤ”です!!」
「えっと…イヴさん…?」
突如としてイヴがミニの名前を決めていた。
流石に戸惑っていた彼女達だったが、それを見たイヴは何を思ったのかお茶の入ったペットボトルを握りしめていた。
「皆さん!!この子の名前は"ヤマヤ"です!!」
そして再びイヴが満面の笑みを浮かべながら、自身が決めた名前を呼ぶ。
イヴが何を思ってその名前にしたのかは分からないが、あの日菜ですらイヴが浮かべていた笑みに恐怖を感じずにはいられなかった。
「やまや!!…良いね!!」
「るんっ!!ってきちゃ!!」
「はいっす!!」
『ふへへ…!!』
そして、千聖以外の全員がそんなイヴの圧に負けて彼女を全肯定すると、彼女の顔から恐怖は完全に消え去っていた。
「それではヤマヤさん!!これからよろしくお願いします!!…それでは早速鍛錬です!!」
こうして麻弥のミニ―――ヤマヤを新たに仲間に加えた彼女達は千聖を完全に放置して練習を開始するのだった。
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