時系列としては本編でやることが全部終わって暫く経過した後の世界です。
最初出会ったときは互いに……と言うかサオリが敵対視されていたがそれも昔の事、今はよく3組で仲良くしてるらしい、これもアツコ、ニコ、ミヤコが率先して中を取り持って行ったのが大きいと思う、因みにスクワッド含めてこの三小隊、もれなく全員マコラ式ブートキャンプ*1と十種訓練*2を受けているので、全員例外なく強い、そこまでする必要があるのかと聞いてみたところ、曰く。
『
ただ、そんな悪魔の扱きを得て尚、マコラへの信頼は高いようで、皆マコラの事を慕っている、サオリはまだちょっとだけ気後れしてるけども、まぁ
──そして、今私たちはと言うと……シャーレの総決算の書類処理を行なっていた、今回は年末が近いからだろうが。
時折シャーレの収支確認の為に連邦生徒会から人員を寄越されこうして確認作業を行なっている、その寄越された人物というのが……
「……先生、考え事をしてる暇があるのなら手を動かして欲しいのだけど?」
この扇喜アオイという生徒、この子は連邦生徒会の財務室長であり生徒会の予算管理を担当している、そしてシャーレは連邦生徒会の直轄の組織なので事務連絡等で連邦生徒会の皆とは仕事柄よく会う事がある……んだけど。
本人を前にしてあんまりこう言う事言いたくないんだけどね……多くない?来る回数、私の記憶が正しければ今年の6月から今月までの半年間に5回は総決算の名目で来てるよね?普通総決算って年に一回、多くても上半期と下半期の2回に分けてやるべき物だと思うんだけど、何で1ヶ月に一回のペースで総決算の書類処理をする羽目になるのだろうか?
「それはな先生、アオイはこう見えて結構寂しんぼなんだよ」
“そうだったのか……顔見せくらいはしてやれよ、マコラ”
「……」
「……余計な事を言わずに集中して頂戴」
なんで互いに微妙な顔すんだよ、俺なんかしたんか、身に覚えがないな、心当たりは星の数ほどあるけど、なんて呑気な考えしてたら射殺す視線を感じたので集中する、視線という物に物理的ダメージがあるなら俺は今頃蜂の巣だろうな。
「相変わらずこの人はこんな感じなのね……」コソコソ
「……あぁ、自覚してるにしろ、無自覚にしろタチが悪いったらありゃしねえ」コソコソ
“どしたん二人してコソコソと”
「「何でも
何で忙殺されながら貶されにゃならんのか、理解できぬ。
カリカリ、サラサラと、黙々とペンが紙面を走らせる音が室内に響き渡る、ここにいる面子は基本仕事中に無駄口を叩かない主義だからか、凄まじく静かなのだ、そんな互いの心中はと言うと……
──会話の種が欲しい!
こんな感じ、しかし悲しいかな、3人の共通の話題なんてものは無い、もっと言うなら手軽な会話のネタは最初の方の総決算で使い尽くしてしまった、半年に5回も総決算を行えばそりゃ会話の種もなくなろうという物、詰まるところは自業自得である。
しかし誰も声を出さない、出せないのだ、この沈黙の空間、一種の領域と言っても過言では無いこの場所は今、中にいる者に無言を強いらせるという効果が必中として付与されているのでは無いかと錯覚する程の重圧がのしかかっていた。
──誰かが声をかけねばならない。
──一声あれば会話は容易い。
──でも下手な事を言ってこの空気感を壊したく無い。
こう言ったものが脳内でグルグルと螺旋状を描き始めた頃には3人の脳内から声を発するという機能が損なわれつつあった、そして芽生え始める四つ目の思い、それは……
──誰か来てくれ、そうすればこの沈黙領域は崩れる。
まさかの
そんな切実な願いは叶う事は無く、その三小隊は仕事終わりで夕食をとっているし、例の
──いや、待てよ?今の時間はそろそろ夕飯時、休憩するにはちょうどいい時間だ。
そう思ったのは誰か、日頃から時間を気にしているアオイか?仮にも大人として規則正しい生活をしてる先生か?それとも体内時計が完璧なマコラか?
どちらにせよ絶好の休息チャンス……なのだが、ここでも3人の悪癖が出てしまう。
この三人、超が付くほどの生真面目である、アオイはその立場上途中で仕事を中断することがない、終わらせれるところまで終わらせる気質だ、マコラはそもそも与えられた仕事を途中で止めるという思考がない、そもそもが此奴、休息を必要としない体質である。
そんな訳で唯一の大人で柔軟な対応が可能な先生に白羽の矢が立った。
“そろそろ夕方だし、早めに何か食べようか、根を詰めすぎても効率が悪いからね”
「「賛成」」
息ぴったりの連邦生徒会組であった、何気に限界だったようだ。
最近かなり冷え込んできたからな、末端を温める物が食べたい、でもこの後もデスクワークなのであまり重い物は入らないと思う、風邪等の予防も兼ねての野菜多めの鍋でも良いけどね。
“一応作るけど……何かリクエストとかあったりする?”
「知ってはいたけど、実際に目にするのは初めてね、あなたが料理をする所は、私は何でも良いわ。……冷え込んでるから温まる物だと嬉しいのだけど」
「普段は面倒くさがってコンビニ飯で済ませてるけどな、なんだかんだで色々作れるんだよ先生は、鍋」
“寛ぎすぎだろ、自分家か?”
「親父殿!鍋には肉が多めだと私が嬉しいぞ」
“しばくぞ、誰がお前の親父か、風邪等の予防も兼ねて野菜は多めに入れるけども、アオイは食べられない物とかあったりする?アレルギーとか”
「特にこれと言って無いわ」
「私には何も聞かんのか?」
“お前は何でもよく食べるだろうが”
「私の扱い雑くねぇ?最強ぞ?我キヴォトス最強ぞ?」
「……先生、何か手伝える事はあるかしら、一応、最低限の事は出来るつもりだけれど……」
“じゃあ手分けして具材を切り分けていこうか、冷蔵庫から取り分けていこうね”
「無視すんなや、私もやるぞ」
そうして三人がかりで作業をしたのでかなり手早く準備が整った、シャーレ開催の鍋パだ、野菜が多めだがちゃんと甘味が出るように下準備をしつつかつ、お肉の方も柔らかく煮込めるように仕込んだ、我ながら良い仕事をしたと思う。
“それじゃあ……”
“いただきます”
「「いただきます」」
マコラが態々炬燵を出してきたので炬燵に入って鍋を食べることになった、グツグツコトコトと、良い感じに煮詰まっている、俺は鍋奉行では無いが一応大人という立場なので、具材を小皿に盛り付けてから生徒達に配膳して行く。
「ん〜!美味い、あったまるわぁ〜!」
そうそう、言い忘れてたんだけど、全てが終わったあの日からマコラは割と自分を出すようになって、よく感情が表に出るようになった、その証拠に
以前までは黒い癖っ毛の短髪が特徴な人間*3の姿をしてたんだが。
全部吹っ切れた今は全身が白くてまるで大理石で出来た彫刻を彷彿とさせる身体と、その目は暗く底が見えない影のようで、四つの宝玉と鏡を思わせる装飾品が施された首飾りを掛けて、上着が白、下の履物が黒で構成された和服を見に纏い、そして頭にはマコラの代名詞とも言える方陣を携えている、控えめに言って異形のそれではあるのだがゲマトリアの連中とは違いどこか神々しさを感じざるを得ない姿形ではあった。
因みに案外幼顔だ、そう言ったらアイアンクローを処された、ひしゃげるかと思った。
「あまり荒ぶらないで頂戴、前までのあなたの姿との相違が激しすぎて混乱してしまうわ」
“分かる、暫くキヴォトス中が騒然としてたからね”
「慣れろ」
何年間前の姿で過ごしたと思ってんだこの子……尤も今でもたまに前の姿で過ごしてるのを見かける辺り、余程その身体の素になった人物はマコラにとって大事な人だったのだろう。
「それにしてもアオイ、お前が寂しんぼなのかどうかはともかくとして、この頻度の総決算はどうなんだ、今回とか前から間髪入れずに始まってるじゃ無いか、とうとうお前も常駐職員になるのか?」
「……今回は年末が控えてるから重なっただけよ、決して意図したことでは無いわ」
「どうだかな」
そうして互いに近況の報告をこなしながら鍋をつついていき、〆はうどんか雑炊かでまた一悶着あったが、まぁ微笑ましい出来事だろう、あとは片付けをして洗い物を済ませたら終わりなんだけど、ご飯を食べていたらすっかり遅い時間になってしまった。
“今日はもう遅い時間だしこれ以上は明日の仕事に差し支えるからね、そろそろ就寝しよっか”
「意義はないわ、質の良い睡眠は脳を休める最高の手段だもの」
「やっぱり泊まり込みでやる気なんじゃねえか」
「……あぁ、そう言えば、カヤ防衛室長がクリスマスに向けて何かの準備をしていたわよ、十中八九巻き込まれるでしょうから、一応伝えておくわね」
「よりによってカヤ主体の計画とか碌な物じゃねえじゃん、行きたくねー」
“そう言えばカヤとはあんまり話してなかったな、どう言う子なの?”
自分が知る中だとマコラをかなり慕ってはいる感じではあるんだけど。
「普段は優秀よ、以前までは自己顕示欲が高かったらしいのだけど、えぇっと……確か、超人?という物に憧れていたらしいわ」
「まぁ、曲者揃いの生徒会の中でも突発した曲者だよ、伊達に3年も勤めてねえからか頭の回転は悪くねえ、ただ……」
“ただ?”
「「
“なんだそれ”
「……まぁ、そのうち分かる」
結局真相は聞かずにその日はかなり気落ちしたマコラを最後に就寝した。
因みに今回のマコラは元のマコラが身長175cmなのに対しこの話のマコラは160cm程しかない、普段のと見比べて大分縮んだ。
【最終決定】IF世界線のマコラ
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アビドスIF
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ゲヘナIF
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トリニティIF
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ミレニアムIF
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アリウスIF
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ゲマトリアIF