──ハァ……もうそんな季節か。
二月中旬……と言うよりかは早いところだと下手したら一月の末辺りから既に店頭に並び始める、新作のスイーツだの割引だの、あーだのこーだのといった各店の経営戦略、この時期はクリスマスに次ぐ商戦時期だ、何せここは学園都市キヴォトス、スイーツの類に目が無い女子は山ほど居る。
そんな中で
そう、言わずと知れたシャーレの先生の存在だ、別に特段この男が存在する事によって各学園の奴等が水面下のバチバチなやり取りをしてるとか、牽制し合ってるとか、そんな事ではない、と言うか寧ろそうであれ、そしたら
だが、今現在の
──
これである、外圧が凄え、
その上で各校の生徒の思いが先程のもの、何なら事ある毎に言われる、先刻も新年早々に行われた大決算の作業を終えたアオイに指摘された、これは憂鬱にもなろうというもの、多少なりとも頭痛を覚えつつある、これが巷で話題の頭痛が痛いという現象か。
なんて馬鹿な事を考えるくらいには頭を悩ませている、何故なら。
──何贈れば良いんだ。
シンプルな解はチョコを贈る事なんだが、なぁ……
『バレンタインやホワイトデーの時に贈るスイーツには注意してね‼︎いろんな種類の意味があるから‼︎』
スイーツ毎の意味の熟知はキヴォトスの生徒としては義務教育な程に仕込まれているので、当然
一応先生は甘い物はいける方と存じているから何を贈っても普通に、それこそ市販品を渡しても喜んで受け取るだろう。
──それでいいのか?
良くはない、こう言うイベントこそ全力で楽しまなくては、妥協は許されない、て言うか市販品を渡そう物なら後にどうなるかなど目に見えている、まぁ複数渡してはいけないと言う制約はない、なので……
「久々に本腰を入れて作るとしよう」
滅多な事では使わない厨房に向かい、材料がないのに気づいたので先ずは材料を買い込む事にした。
今日は生徒の皆の様子が変だ、いやまぁ年頃の子供なのだからバレンタインに浮かれる気持ちはまぁ分かる、生憎と私に縁は無かった、というよりはそんなことやるくらいならあの阿呆と二人で馬鹿やってた方が楽しかったって言うのがあるんだけど、それはそれ。
本日も業務は忙しいので書類と睨めっこしてるのだが、今日はモモトークの通知が凄い、その内容の殆どがシャーレの部室から出るなって言うお達しだったんだけども、なんで自分の部屋に自分自身が拘束されてんだろう、誰も来る様子はないが抜け出す気にもならない、だってまだ仕事残ってるし、何故か今日に限って書類の量が多いし、何かしらの意図を感じるんだよねぇ……
“少し、休憩しようかな”
椅子から立ち上がり全身を伸ばす、そうすれば結構な時間座り込んでいたらしく身体中からパキパキと音がする、年齢の波を感じる、もう30手前なんだよな俺。
ちょっと悲しくなりつつも少しだけストレッチをして身体をほぐして血流を良くする、そうすれば自然と思考が再び回り始めるのでまた書類の塔と格闘を再開する、流石にこの量の仕事を翌日に持ち越すのは非常に良くない、とは言え流石の量と確かな質、全てを消化するのにかなりの時間を有するであろうと言うのは火を見るより明らかだ、正直長時間の作業によって思考の回転が落ちてきている、どうにかしなければ……
そう考えているとノックが鳴りドアが開く、中に入ってきたのはマコラだ。
「おう、お疲れさん、苦戦しているようだな、差し入れを持ってきたぞ」
そう言ってマコラはガサっと紙袋をこちらに差し出してくる、それを受け取り中身を確認すれば小綺麗な箱が二つ、これはつまり、
“ありがとうね、早速開けてもいいかい?”
「構わんとも、今回も納得のいく出来に仕上げて来たからな」
マコラはこう見えてかなりの凝り性だ、その本人が納得のいくレベルで仕上げてきたということは相当な物なのだろう、満を持して開封すると中身には二種類のスイーツがあった、一つはマカロンで、もう一つは……余りにも見覚えがあり過ぎる代物、具体的には目の前の生徒の頭部に浮かんでいた物、包み隠さずに言うならばソレは方陣の形をして何かだった。
“マコラ、この方陣は……”
「チョコだが?」
“あ、チョコレートなのね⁉︎これ”
どうやらこの方陣の形をした物はチョコではあるらしい、外周に八つ、中心に一つの球体、それらの間を細い枠線で繋がれており、そして重要なのがこれがチョコレートであり明らかに手作りであると言うことだ、手間暇掛けすぎではなかろうか。
“それにしても、マカロンとチョコレートの二種とは随分と思い切ったね?”
「……まぁな」
“早速いただくね、丁度糖分が欲しかった所なんだ”
まずはマカロンを口にする、ザクリとした感覚とバニラのフレーバーが広がる、生地にもしっかり味がしているのでかなり美味だ、甘さもくどく無くさっぱりしており丁度いい甘さだ。
“凄いね、幾つでも食べれそうだ”
「ンン……そうか、それは良かった」
さて、それじゃあ注目の方陣チョコの方も行ってみようか、手の込み様が違う。
“これさ、何処から食べるのが正解なの?”
浮かんだ疑問をマコラに問いを投げる、球体一つが十円玉サイズの大きさであり全体的なサイズは12〜4センチ程あるコレは一体どの様に食すのが正解なのか。
「球体の所をガブリと行くのがお勧めだ」
マコラの勧めに従い私はまずは目についた球体にかぶり付く、一見するとミルクチョコだったそれは口に含んだ時に驚かされた。
“別の味がするんだけど?”
口に入れた瞬間に広がったのはイチゴのフレーバー、自身が思ってた味とは別方面から殴られた気持ちになる、まさかとは思うがこのチョコは──
“もしかして一つ一つの球体に別々の味があったりする?”
「気が付いたか、そう、そのチョコは各球体につき別々のの味がする様に工夫してある、つまり9種の味がすると言うことだ、私の人生の中でも傑作と言えるだろう」
それはそうだろう、一体どれだけの労力を要したと言うのか、このチョコは一口一口味わって食すべきだろう、マカロンも同意義だ、私は作ったことはないがマカロンはかなりの手間がかかるお菓子だったはず、それを用意してきたと言うことはかなり気合いを入れて来たのだろう。
それに確かバレンタインの日にはお菓子に様々な意味が生まれたはず、確かチョコとマカロンの意味は──。
“まぁ言うまでもないか”
「ンン……言及しないのか?」
“まぁね、月言葉の意味を知ってる君だ、だからコレの意味を知らない筈無いし、態々掘り返すのもどうかと思ってね”
「そういうものか」
“そういうものだよ、ただまぁ、ありがとうね”
私はマコラから貰ったお菓子を楽しみながら書類仕事を進めていった。
マコラが作ったという手製のチョコ、その形はマコラの頭部に浮かぶ方陣の形をしており各球体毎に味変が施されている事からかなり手の込んだ代物だと見受けられる、製造工程を聞いても理解できなかったと後に先生は語る。
菓子言葉は各自で調べてください
【最終決定】IF世界線のマコラ
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アビドスIF
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ゲヘナIF
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トリニティIF
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ミレニアムIF
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アリウスIF
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ゲマトリアIF