布瑠部の方陣は透き通る世界で循環する   作:Another2

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後半部分を大きく書き直しました、マコラの強さを盛りました。

此方の書き直しに伴い以前の話は削除させていただきます、誠勝手で申し訳ありません。


アビドス学区防衛戦線②

 突如現れた五人目の敵、その人物は先生の事を知っており先生もまた相手の事を知っているようだった、何故互いに知り合っている?二人の関係は?そんな疑問は当の先生が発した人物の名で露散した。

 

「──は?マコラ……って、嘘でしょ?」

 

「そんな……彼女が()()マコラなんですか?」

 

「お?噂が広がっとるようだな、どんな噂だ?少し気になるな」

 

「数々の不良グループ及び暴力組織を潰してはその構成員で人山を創り上げるとか」

 

「敵対した奴には血も涙もない暴力で応答するとか」

 

(“とんでもない噂ばかりあがってるな……”)

 

「私キヴォトスで変な噂流す奴きらーい、そうやって身も蓋もない噂ばっか流すんだからな、謂れのない事ばかり言われると流石に傷つくぞ……傷ついちゃおっかなー‼︎

 

「えぇ……なんなのこいつ……コレが本当にあのマコラなの?……なんか思ってたのとだいぶ違うんだけど⁉︎」

 

「うへ、セリカちゃん、人を見掛けで判断してはいけないよ。火の無い所には煙は立たないっていうしね、そんな噂が立つくらいには強いって事でしょ、それに何より──」

 

 突然豹変したマコラに対して戸惑いを隠せないセリカ、そんなセリカをホシノは咎める、アビドス校で最も実力のあるホシノはマコラの実力をある程度推察していた、そしてホシノは自分が聞いた中で最も衝撃的な噂を口にする。

 

「おじさんも君の噂を聞いてるよ、君さあ……単騎でキヴォトスの転覆が可能なんだって?

 

「「「⁉︎」」」

 

 とんでもない事を言い出したホシノに対してアビドスの生徒達は驚愕する、しかし実際に聞いてみなければわからない事だ、もし本当ならばかなりまずい事になる、出来るなら外れていて欲しいとホシノは思っていたが──。

 

「またその噂か、好きだなどいつもこいつも……その噂はガセだ、私にできるのはそうだな……せいぜいが三大校の制圧が精一杯だ」

 

「──ッ!(実質的にキヴォトスの転覆が可能って事じゃん!)安心したよ!」ガチャ

 

 流石のマコラでも直接的なキヴォトスの転覆なんて出来ない、しかしゲヘナ、トリニティ、ミレニアムの三大校を制圧したならばその際のキヴォトス全域の混乱は必至、インフラ、経済、あらゆる面で混乱に陥るだろう、故にマコラは実質的に単騎でキヴォトスを転覆可能なのだ。

 

「聞きたい事は済んだか?なら……もういいよな?人数では其方が勝ってるが質では此方が勝ってる、良いバトルを期待してるぞ」

 

“マコラ……一つだけ聞きたい事がある”

 

「何だ先生、悪いがアンタの言葉でも私は止まらんぞ」

 

“違うよ、聞きたいのは、さっきは店で便利屋の4人だけで昼ご飯を食べてたんだけど……その間君は一人でなにをやってたの?”

 

「ンン……聞きたい事はそれか?まぁ親友の頼みだし答えてやるが……()()()()()()調()()()()()、コレで満足か?」

 

“──ッ‼︎そっか、ありがとうマコラ、なら遠慮は無しで戦えるって事だ”クイッ

 

「ケヒッ、相変わらず話が早い!そうこなくてはな!それでこそ──」ズドォン!!

 

 言い終わるのを待たずにマコラの体にミサイルが命中する、シロコの支援ドローンから放たれた物だ、先生とマコラが話してる際に先生がシロコにハンドサインで撃つよう指示していたのだ、完全なる奇襲攻撃、無防備にミサイルの弾を喰らったマコラだが……

 

「戦り甲斐があるって物だ、ククッ会話を挟んでの攻撃、悪くなかった、効いたぞ?ほんの少しな」

 

“やっぱり大したダメージにはならないか……!”

 

 少し焦げ目が付いただけで本人は元気そのもの、そしてマコラの頭部に浮かぶ方陣に異変が訪れる。

 

ガゴン

 

 方陣が鈍い音を出して右回りに回転する、それの意味する所、理解したのは先生のみだった。

 

“まずいね……【適応】された……!”

 

「適応?どういう事?先生何か知ってるの?」

 

“……私はシャーレに配属された翌日に彼女と会って特訓を受けたから知ってるんだけど”

 

“マコラは一度受けた攻撃を学習し【適応】する事でその攻撃の()()()()()()()()になる”

 

「──ッ!成程ね、その合図が頭のヘイローの回転って訳ね、他に知ってる事ないの?」

 

“マコラは様々な戦法を持ってる、八種類の兵器と……”

 

「最後の一種はこの剣だ、尤も使う事は無いがな、流石に殺人の類は犯したくないのでな」

 

「ご親切にどーも!」

 

“今のマコラは既にシロコのミサイルに適応してる、つまり二回目は当てるのが難しいって事だ”

 

「ん、でも効かない訳じゃない、隙を見て当てれば良い」

 

“逆だ、ミサイルは陽動に使う、其方の方が効果的だ”

 

 勝ち筋はこうだ、ミサイルで視界を塞いで至近距離でホシノのSGで頭をぶち抜く、コレしかない訳だけど……

 

“当然向こうも読んでるよな……”

 

 様子を見てた便利屋達が陣形をとった、最後方に社長、中衛に室長と課長、一番前にあのオドオドしてた子とマコラか、ふう……コレはちょーっと面倒かな。

 

(さてどう出る?現状私を無力化する方法は既に思いついてるだろう、それ正解だが、そこまでどう導く?ククッ、この数日でどれだけ化けたのかを堪能するとしよう)

 

「では、すべて消してしまいましょう」

 

(基本はハルカ先輩と私で攻め立てつつ──合間合間にムツキ先輩の爆弾で陣形を乱す、そして陣形からあぶれた奴を社長が撃ち抜く、当然そうすれば爆弾をばら撒くムツキ先輩と遠距離狙撃の社長が目障りと思うだろう、その二人をカバーするのがカヨコ先輩だ、そもそも私たち二人が近づけさせはしないが、あの辺の気配りっぷりは流石だな、痒い所に手が届く)

 

「面白いように踊るのね、でも残念、これなら片手でも命中させられるわ」

 

「ッヤバ!」

 

“右に回避!アヤネ、セリカに回復を!残りはカバーに回って!シロコ!投げ物で牽制!”

 

 ムツキの爆弾で乱れた所をアルはすかさず狙い撃っていく、しかし先生は慌てずセリカに回避させた上に即座に回復の指示、その上手榴弾でハルカとマコラを分断した。

 いまいち攻めきれない、その理由はやはり先生の存在だ、便利屋の四人はここまで攻めきれない物かと歯軋りする、しかしマコラは違う、マコラはそれすらも想定内に一つの影絵を形成する。

 

(あの犬娘と小さいのがかなり手慣れてるな…よく動いて捉えきれんようにしてるし何より奥で陣取ってるガトリング持ちが面倒だな、此処は…コレだな)

 

「“蝦蟇”」

 

 マコラは蝦蟇の影絵を形成する、先程と打って変わって形状の変わった武器の出現に警戒が強まる。

 

“あれは……!【蝦蟇】か‼︎捕縛特化の武器だ!警戒して!”

 

「捕縛特化…!だったら」

 

「狙いは私たち!」

 

「ンン……少し、違う」バシュ!

 

 攻撃の要であるシロコとホシノは当然自分達のどちらかに飛んでくると踏んでいた、然し規格外の戦闘力を誇るマコラにとって別段二人を同時に相手取っても特に問題はない、故に弾幕で動きを制限してくるノノミを狙ったのだ、ノノミに網縄が迫る。

 

(見るからに温室育ち!持ってる武器からして接近戦は不慣れな筈‼︎この縄は簡単には解けんぞ、蜘蛛の糸を参考にし頑丈且つ取れにくいように改造してある、コレで1人潰せたな)

 

 そう確信を持ったマコラは武器を持ち替えシロコとホシノに迫る、それはマコラの誤選択だった。

 

ダララララ‼︎

 

 迫り来るのは何度も見た弾幕、それが己に向けられている、否が応でも大きく後転し弾幕を回避する。

 不可解、先ほどの網で完全に捕らえた筈、抜け出せる訳がない、そう思いノノミが立っている所を見る、そこには──。

 

“……”

 

 先程銃弾を打ち銃口から煙を上げているノノミとその側に立ち()()()()()で網を防いでいる先生の姿だった。

 ──マコラの誤算、それは先生はシッテムの箱の性能によって守られているという事を知ってはいても銃弾飛び交うこの戦場でひ弱な肉体の持ち主がキヴォトスの生徒を身を挺して守るという、通常ではあり得ない事が起きた事だった。

 

(マジか!いくらシッテムの箱で守られてるとは言え、とは言え生徒の前に立ちはだかるかよ!成程、だから敢えて全体に警戒指示を出したな?)

 

“マコラ程の実力があればどんな生徒でも捌くのは容易い、だからこそ動きを制限する弾幕を張る子から止めに仕掛けると言うのは、読めていたよ”

 

「ケヒッ、この世界で先生をやるだけはある!相当にイカレてるな!」

 

“お褒めをどーも!伊達に君に鍛えられてないんでね!”

 

「油断」タタタタタン‼︎

 

「大敵!」ズドン!

 

 そして一瞬の気の緩みを逃さずシロコとホシノは肉薄にしていく、しかしこの戦場で敵対しているのはマコラだけではない。

 

「其方こそ油断してるんじゃなーい?」

 

「私たちもいるのよ!」

 

 ムツキの爆弾が、アルの狙撃が、カヨコとハルカの射撃がアビドスの生徒達に向けて飛び交っていく。

 

「んなこと言われなくてもぉ!」

 

「ちゃんとわかってますよ⭐︎」

 

 しかし無防備に受けるアビドスサイドではない、飛んでから銃弾は防ぎ爆弾は弾いて済ましている。

 

“(此処かな)アヤネ、行けるかい?”

 

『はい、いつでも行けます!』

 

“なら合図で投下して”

 

 戦況はギリギリで互角、いや“適応”の力がある分あちらがかなり優勢だろう、この均衡を崩すにはやはり一石投じなくてはならない。

 先に切り札を切ったのは、先生の方だった。

 

【出撃直前】

 

“皆、私が合図したら耳を塞いで欲しいんだ”

 

「んー?それはどうして?敵に態々隙を晒すの?」

 

“逆だよ、むしろ敵の隙を晒すために耳を塞ぐんだ”

 

「……どういうこと?」

 

“アヤネ、これを”

 

「これは……?」

 

“アルミニウムと過塩素酸カリウム、あと炸薬と起動装置かな”

 

「先生それってまさか…」

 

“うん、スタングレネードだね、閃光弾とも言うみたいだけど”

 

“これをアヤネのドローンで私が指示した場所で起爆して欲しいんだ、いいかな?”

 

「はっはい!お任せください!誠心誠意努めさせていただきます!」

 

“合図は私が空砲を撃ったら、だよ”

 

“それとコレ、サングラスね、コレで光から目を護るんだ”

“──ッ!(セリカとノノミの攻撃で堪らず一塊になった!)”パァン!

 

──先生の合図!

 

 アビドスの生徒達は距離を取り一斉にサングラスをつけ耳を塞ぐ、突然の隙を晒す行為に疑問を浮かべた便利屋達、その意図に気付いたのはマコラだけだった、マコラは先程回復のために赴いたドローンを目視しその中身に確信した。

 

「──ッ!まさか!」バッ!

 

キィィィィィン‼︎

 

 気付いたところでもう遅い、マコラはギリギリ間に合ったが他の4人はそうではない、スタングレネードの影響をモロに受けた4人はしばらく行動不能に陥るだろう、しかし時間の問題だ。

 

“今だ!畳み掛けろ!撃て!シロコ!

 

「ん!その状態じゃ、避けられない!」

 

 僅か一瞬とは言えマコラは両耳を防ぎ目を閉じている、もしいつもの甲冑を装着していたら問題なかっただろう、しかし今回は隠密性の為に外してきている、それが仇となった、その為にマコラは戦闘中に無防備な姿を晒すことになった。

 マコラの適応も無敵ではない、欠陥があると言う事を先生は見抜いている、いくら適応しようと、最適な行動で防げても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という事だ。

 

ズドドドドォン!

 

 ドローンが放ったミサイルに二度目の直撃を喰らうマコラ、そしてその一発が顔に直撃した。

 考えたくもない事だが、顔で爆発が起きた際もし顔が原型を留めていても無事では済まないだろう、爆発とは凄まじい衝撃を生むからだ、そんな物が脳に近い顔で受けたのなら例え意識を手放さなかったとしてもまともに立ってはいられまい、何故なら爆発による衝撃音直接体内に響き三半規管を乱すだろう、さらには爆破の振動にて脳が揺らされているからだ。

 如何に強靭な肉体を持つ者であっても三半規管をやられ脳を揺らされてはまともに立つ事は出来ない、膝を崩すのも訳ない、()()()()()()()()()

 

(モロに喰らった!更に顔は追撃を出す!これで──)

 

「ふぅん、二度も同じ攻撃を喰らうのは何時以来だったか……」

 

「なっ⁉︎嘘でしょ⁉︎」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 煙が晴れた中で佇むマコラはほぼ無傷、特に後遺症などの様子も見えない辺り本当に効いていないのだろう、マコラは呆然とするホシノの襟元を掴み取り投げ飛ばす。

 

「ぐうッ!」

 

「ホシノ先輩!」

 

“クソッ!読み誤った!”

 

「いやいや、見事な算段だった、スタングレネードで私の視覚と聴覚を塞ぎその隙にミサイルで脳を揺らしにかかる、そして態勢を崩した瞬間にショットガンを見舞うつもりだったのだろう……悪くない作戦だ、しかし良くもなかった、ベストではなくベターな作戦だったな」

 

 ──先生の誤算、それはマコラの強さを知っていたつもりではいた、だがそれはあくまでつもりであり言うなれば上辺の部分、先生はマコラという生徒の強さをまだ見誤っていたのだ。

 

「うぅ…漸く目が見えてきた…あれ?敵の子一人倒れてる!」

 

「嘘……あの数秒の間に一人伸したってこと?やばすぎ……」

 

「とっとにかくこのまま攻め立てるわよ!」

 

「まだ耳がキーンとします……でも敵はみんな消さなきゃ……」

 

 そして運が悪いことに便利屋の四人も復帰してきた、いよいよ窮地に追い込まれた。

 

「それで?もう終わりか、もう策は尽きたか?」

 

“……そう、だね、万策尽きたよ、でもそれって諦める理由になるかい?”

 

「……そうよ、まだまだ元気いっぱいだっての!」

 

「ん、まだ負けてない」

 

「はい⭐︎確かに作戦は通じませんでしたが私たちはまだ戦えますので」

 

『皆さん!暫く抑えていてください!すぐに回復させます!』

 

「ククッ……クハハハハ‼︎そうか!万策尽きて尚諦めずに立ち向かうか!良い!それで良い!もっと魅せてみろ!」

 

 マコラの機嫌は最高潮だ、そのままに激突するかと思われたその時──、()()()()()()()()()()()()()()

 

「え⁉︎何?先生!これも作戦⁉︎」

 

“違うよ、私はここまでの準備をしていない……!”

 

「ちょっとマコラ⁉︎無事なの⁉︎」

 

「ん、どうやらあっちも想定外みたい」

 

“となると第三者の乱入か…!”

 

 先生の懸念通りマコラを襲った砲弾を放ったのは別の勢力だ、飛んで来た方面を見るとそこには戦車が列を成していた。

 

『なっ…これは⁉︎先日撃退したヘルメット団だけではありません!明らかな別の所の戦力も集ってきてます!数は…未知数!』

 

「……成程ね、互いに消耗し合った所を狙い撃ちってわけ、漁夫の利とは良い度胸してるね」

 

“今この状況で争ってる場合じゃ無いよ、ここは手を取り合ってあいつらを倒さないと……あいつらの大元に覚えは?”

 

「んー、多分私たちの依頼主かなー、やっぱり信用されてなかったね、アルちゃん?」

 

「ふ……!ふざけるんじゃないわよ!使うだけ使っておいていざとなれば即座に切り捨てるなんて……許せないわ!皆!標的変更よ!先に私たちを切ったのはあっちなんだから存分にやってしまいなさい!」

 

「アル様の御命令とあれば!あいつらみんな消しちゃいましょう!」

 

“一時休戦ってとこかな、皆はそれで良い?”

 

「先生が言うならそれで良いけど…」

 

「と言うよりはそれしか方法がない」

 

「すぐに陣形を貼り直さないと向こうに──」

 

 ノノミが陣形を貼り直すように提言するより先に、この戦いで既に耳に染み付いたあの重い音が響いた。

 

ガゴン

「必要ない」

 

「「「‼︎」」」

 

 後の発生と共に立ち上がったのはマコラだ、砲弾のダメージは少なくない筈だが既に回復が完了している、しかしその表情は穏やかではない、例えるなら大波が来る前の大荒れの大海か、又は噴火直前のギリギリ臨界点の火山といった所か、何にせよマコラはこの襲撃に対して、それはもう分かり易い程にキレていた。

 

“……マコラ、落ち着いて、怒りは尤もだ、でも冷静を欠いちゃいけないよ”

 

「ンン……そうだったな、()()()私が教えたことだった、悪いな先生、少し冷静じゃなかった、しかし()()楽しみを奪ったことは万死に値する、違うか?」

 

“殺しはダメだよ”

 

「つくづくアンタは──」

 

“半殺しまでなら許すから、好きに暴れなさい”

 

「──最高だ

 

“って事だからマコラが存分に暴れるので念の為取りこぼした奴を狙う、いいね?”

 

「……アンタよくソレを従えさせれるよね」

 

 カヨコの言葉に皆頷く、お互い譲れない点を主張し、互いに納得する着地点を考案させたのだ。

 

「それにしても……漁夫の利とはな、それもまた良い、元来戦とは弱ってる奴から潰すのが定石だからな、良い良いそれもまた一つの戦法だ、だが……其方がそう来るなら……ここで、死ね!」ドゥッ!

 

 そう言うや否やマコラは弾丸をも置き去りにするスピードで敵軍へと跳んで行った、一歩の踏み込みで向こう側まで平行に跳躍したのだ、その一歩の踏み込みの際に生じたコンクリートの穴の深さをのちに測ってみた所、一番深い所で優に20cmはあったと言う。

 

「随分と揃えたな、これで負けたら言い訳は効かんぞ?」

 

「貴様の方こそ考えてきたか?初めての敗北の言い訳は」

 

 マコラを取り囲む人影は100や200では到底足りない、歩道橋、ビルの中や上にも人の気配がある、アビドス学区の広場となっている交差点で大軍とマコラは相対したのだ。

 

「……念の為聞いておく、勘違いという線も捨てきれんからな……何の用だ貴様ら、アビドス襲撃なら便利屋68が請け負ってる筈だが?」

 

「んん?何を妙な事を、私たちはお前の討伐を依頼されたんだよマコラ!その際に周りにどれだけ被害が出ようと関係ないってな!その襲撃の場所が()()ここだったってだけでな!」

 

「つまりあれか?私を倒す際に出た被害に関しては知らぬ存ぜぬと?」

 

「そういう事!まぁ後ろのぼろっちい学校とかそこに居る奴らも皆怪我するだろうけど、それは私たちには関係ない、私たちの依頼はお前を殺す事だけだからな!」

 

 あくまでも自分たちはマコラの討伐に来たのであってアビドス襲撃には一切関与がないと言う、その際に周りにどれだけ被害が出ようと知ったことではないと、ならばこの大軍はところ構わず暴れるだろう。

 

「あー、兵力は幾つだ、一々数えるのも面倒だ」

 

「ハッ!聞いて驚け、お前を討伐する為にかき集めた兵隊の数はなんと1,000人だ!いくらお前が強かろうとこれだけの数には敵わないだろ!お前を倒した後に後ろの廃棄ゴミの掃除を済ませれば任務終了よ!」

 

「ほう……?驚いたな、まさかの千人の兵隊とは」

 

「何だ?敗北の言い訳か?」

 

「違えよタコ、その程度の数で俺に勝てると思い込んだ貴様等の脳味噌の出来に驚いたと、そう言ったんだよ間抜け」

 

「──ッ!」

 

 傲岸不遜な発言をするマコラに圧倒される兵隊達、だがそれも一瞬、数ではこちらが圧倒的なのだからビビる必要がない、一斉に攻撃しておしまいだ。

 

「……そうかい、立派な遺言だったと、そう伝えておくよ、撃てぇ‼︎」

 

「はあ……馬鹿が、“鵺”

 

ズダダダダダダダダダダダァン‼︎

 

 銃弾が、爆薬が、砲弾があらゆる火力攻撃がマコラ一人に目掛けて放たれる、明らかな過剰火力、しかし攻撃の手を緩めることはない、時間にしておよそ1分の間この雨は降り注いだ。

 

「はっはは……どうだ!見たかこの火力!幾らマコラと言えど耐えられまい!勝った…!勝ったぞ!あのマコラを倒したんだ!」

 

「あぁ、これでこのキヴォトスででかい顔をする奴はもういないって事だ!」

 

「のこのこと1人で現れるからこうなるんだ、結局マコラも人間、1人の力には限界があるんだ」

 

 其々が己達の勝利を確信していた、未だ爆煙が晴れないが遺体など見るまでもない、見るも無惨な姿になってるだろうと、特に気にしている様子はない、談笑に浸っているが故に、()()()()()()()()()()()

 

ガゴン

 

 爆煙が晴れた、マコラが立っていた場所は酷い有様になっている、しかしそれよりも衝撃的だったのはその中心に値する場所に存在する黒い楕円の球体、よく見れば煌びやかな光沢をしている、さらに細かく見てみればその材質は羽性の物だ、一体これの正体は?その答えはすぐに出た。

 

バサァッ‼︎

 

「何だ、もう終わりか?存外大した事なかったな」

 

「なっ──」

 

()()()()()()()、だなんていかにも三流の悪党が言うセリフを吐いてくれるなよ、そもそもその程度の攻撃で私を倒せると思うのが間違いなんだ」

 

「ッ!うぐ……」

 

「見ての通り生やした羽で防いだ、説明終わり、じゃあ……次はこっちから行くぞ」ドンッ!

 

 言うや否やマコラは飛び出す、羽を得たことにより立体的な機動力を得たマコラを止めれる者は、もはや存在しない。

 

「ぎゃッ──」

 

「ガッ──」

 

「ウグッ──」

 

ズバババババババババババ‼︎

 

 現キヴォトスに於いて最強を誇るマコラは今回アビドスに襲撃してきた兵士およそ1,000人を──、方陣の回転後、299秒で無力化‼︎

 

「ふう、こんなものか……さて、と……」ガッ

 

「うう……つ、強い……!」

 

「俺の問いに答えろ、応答以外は許さん、破れば……骨を折る、虚偽を述べても無論折る」ミシミシミシ

 

「あだだだだ!言う!言う!カイザー!カイザーだ!アンタの身柄を持っていけば破格の報酬が貰えるって触れ込みが出てたから皆それに釣られたんだ!私たちはこの件から身を引く!そうだ!実家に帰って仕事を継ごう!だからもう許して……!」

 

「はあ、不良に仕事が務まるかよ、もういい、疾く往ね」

 

 マコラは襲撃して来た兵隊を片付けた後にアビドス高校へと帰路をついた。

 遠目で見てたけど、凄まじい程の蹂躙だったな……アレがマコラの実力の一端か……アレがこの学園都市での頂点と言う訳か!

 

「おい、終わったぞ」

 

「うへ、本当に1人で片付けちゃったの?いやー末恐ろしいねえ」

 

「俺たちの敵はわかった、まぁ想定内だったがな」

 

「それって……やっぱり君たちを雇ってたところ?」

 

「あぁ、今回奴らを消しかけて来たのはカイザーという連中だ、詳しくはこちらでも調べておくが……」

 

「カイザーって……!よりによってアイツらが!」

 

“とは言えこれを申し付けた所で知らぬ存ぜぬを貫かれると思うよ、聞けば今回の件はあくまでマコラ討伐が主題だそうだし”

 

『問い詰めるには決定的な証拠が必要という訳ですね…』

 

「一先ずは解散でいいだろう、俺は暴れたから腹が減った、この辺で何か美味い店は知らないか?」

 

“だったら柴関ラーメンかな、安くて美味しいし、そこで今後の方針を決めようか”

 

「さんせーい、いやあーお腹すいたなー」

 

 はあ、つかれた……これがマコラの強さか、まだまだ遠い……これじゃ先が思いやられるな。




未熟な作者じゃこれが限界点です。

今回の話で色々イベントが省略されるので次回はすぐにブラックマーケット編です。

【最終決定】IF世界線のマコラ

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