布瑠部の方陣は透き通る世界で循環する   作:Another2

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涼しくなってきました、おかげで過ごしやすいことこの上ない。
そんな作者の最近の悩み

・マコラの敗北するイメージ湧かない。

これに尽きる、ストーリーで何回か苦戦はさせるけど敗北は……まぁ構想で2回ほど敗北は刻んでもらうしその相手も決まってる。
後先生にも呪術の波に呑まれていただこう、やっぱ曇らせは大事だと思うんよ。

こんなライブ感でこの小説は描かれてます、現に乗り物枠の満象の中身変わって虎葬が乗り物枠になったしね、既に初期構想は影も形もないよ。


機械の不幸は油の味

 ブラックマーケットにて最大規模を誇る闇銀行、従業員は人からロボットまで様々、訪れる客も様々、共通しているのは此処に来るのは皆後ろめたい事情がある故である、ある者は赤字経営を立て直す為に、ある者は新事業の為に、そしてまたある者は他の学区では銀行が使えなくなった為に……そんな社会的弱者の為に此処の銀行は必要不可欠なのだ、たとえどれだけ足元を見られていようと、態度が気に入らない物だとしても此処が最後の頼みの綱、つまりは命綱であり双方共にそれを理解しているからこそこの銀行は成り立っている、否成り立ってしまっている。

 そんな銀行に便利屋68+αは約6時間もの待機時間を要されていた。

 

「お待たせいたしました、お客様」

 

「何が「お待たせしました」よ!本当に待ったわよ!6時間も!此処で!!融資の審査に、何で半日もかかるの⁉︎別にうちより先に人もいなさそうだったのに!私の連れはまたくたびれて、そこのソファーで寝ちゃってるし!」

 

「仕方なかろう、ここ最近、私が入ってからか、忙しいようだからな、ほら、起きろお前達、不躾な輩に叩き起こされるぞ」

 

「むにゃ、だってねむいんだもーん!」

 

「ああっ……す、すみませんっ、居眠りしてすみません!」

 

「……ふあ、寧ろアンタよくずっと起きてられるね」

 

「身体の造りが違うからな、丸3日程なら不眠不休で動けるぞ」

 

 マコラの一声で一斉に起き出した三人はすでに待ちくたびれており疲労困憊と言った所、6時間も座りっぱなしは年頃の娘達には酷と言う物だろう。

 

「さて、ではご一緒にご確認を、お名前は……陸八魔アル様、ゲヘナ学園の2年生ですね。現在は便利屋68の社長、ですか……この便利屋は、ペーパーカンパニーではありませんか?書類上では財政が破綻していますが?」

 

「ちゃ、ちゃんと稼いでるわよ!まだ依頼料を回収できてないだけで……」

 

「とか言ってるが本当の所はどうなんだ?」ボソボソ

 

「依頼料を回収できてないのは本当、ちゃんと稼いではいるんだけどね」ボソボソ

 

「アルちゃんってば後先考えずに散財する癖があるからさ、後見栄を張って高い物を使おうとしたりね」ボソボソ

 

「ダメじゃねえか、それはどうなのよ、社長として」ボソボソ

 

「後根っからの善人だからさー、根本的にアウトローに向いてないんだよ、アルちゃん」ボソボソ

 

 交渉を続けるアルを裏腹に小声で実態を聞きに回るマコラだが己の想定以上に不味い経営状況の便利屋に流石に冷や汗をかいた。

 

「えっ、えーっ⁉︎」

 

「その反応だとダメだったみたいだな、社長」

 

 マコラの指摘通り、今まさに融資の話は難しいとしてにべもなく却下されてしまう。

 

「まずは、より堅実な職に就いてみてはいかがでしょうか、日雇いや期間工など、手っ取り早く始められるものもありますが」

 

「は?はああ⁉︎」

 

「素晴らしい話じゃないか、汗水流して得る金と言うものは無類の価値を誇るものだぞ社長?」

 

「ちょっと!あなたどっちの味方なのよ!」

 

「あんたの雇用関係上あんたの味方はするがな、社員を食わせていく関係上ちゃんとした仕事はするべきだと思うのだよ、あの3人も育ち盛りなのだし……カヨコ嬢を見ろ、私と同い年とは思えんだろ?」

 

「うっさい、アンタがデカすぎるんだよ」

 

「んん、失敬。まぁなんだ、この際新しいビジネスを始めてみるのも一手だ、まぁその道を貫き通すのも一つの選択だがな」

 

「うっうぅ」

 

「お話は済みましたか?早速此方の方から幾つかご紹介致しますが……」

 

 話は済んだと仕事を斡旋しようと職員が準備しようとするが……

 

「ただし!」

 

 突如マコラは大声をあげる、突然のことに隣にいたアルと銀行員は勿論、ムツキ、カヨコ、ハルカの三人は愚か銀行内にいる全員がマコラを見た。

 

「生憎仕事の斡旋は間に合ってるんでな、そもそもの話、仕事探してんならこんなうさんくさい所で探すかよ、そもそも必要か怪しい資金調達の為に寄っただけだ、許可が降りないなら長居は無用だろ」

 

「でっでも!」

 

「そもそもだ社長……人間の心を欠片も持ち合わせてねぇ産業廃棄物共に文句突きつけたって意味ねえって!だってこいつら、プログラムされた事しかしねえし喋らねえ!そんな奴とお喋りする時間が勿体無いって!クハハハハ‼︎」

 

 突如の暴言に唖然とする店内一同、すぐに冷静を取り戻したのは機械である事務員達だった。

 

「お客様……余り度が過ぎた態度と発言をなさるようでしたら此方も相応の対応をしなくてはなりませんが……」

 

「ククッ……こんな鼻息一つで消し飛びそうな戦力で私をどうにかできると?」

 

「ちょ、ちょっと!」

 

「あぁそれから……おい、新しい客が来るぞ出迎えてやれ」

 

 マコラがそう言い放つと同時に明かりが消える、停電したのだ、突然の事態に銀行員達は混乱する、しかしマコラは冷静に隣にいるアルを抱き寄せ、カヨコ達三人の元に戻り、即座に鵺の羽根を展開して四人を防御する。

 

「え?え?何?何なの?」

 

「まぁ大人しく見てろ、面白いものが見れるぞ」

 

(ダダダダダダダッ!ダダダダダダダッ!!)

 

 暗闇の中響き渡る銃声、キヴォトスでは銃声など聞き慣れ過ぎて最早日常の一部と化してるがそれが右も左も分からない暗闇下なら話は別、当たらないように縮み上がるしかない。

 

(ククッこれがアンタの作戦か、どうなるか見ものだな)

 

 当然のように暗闇の中でも状況を把握しているマコラはこの一件の下手人を理解しているようだ。

 

(パッ!)

 

 再び明かりが灯された時、其処にあったのは伸されたマーケットガード達と、それを成したであろう四人の覆面と紙袋、そして黒ヘルメットだった、何故か黒ヘルメットの手にはレンチが握られている、覆面と紙袋にはそれぞれ1〜5までの番号が振られており、更には統一されてるのかサングラスをかけて目線も隠す徹底っぷり、これでは顔での識別は不可能だろう。

 

「全員その場に伏せなさい!持っている武器は捨てて!」

 

「言うことを聞かないと痛い目にあいますよ⭐︎」

 

「あ、あはは……みなさん、ケガしちゃいけないので……伏せてくださいね……」

 

「ぎ、銀行強盗⁉︎」

 

 羽根を解除し視界がクリアになったアルが驚きの声を上げる、しかし他の四人は薄々正体に気づいているようだ。

 

「非常事態発生!非常事態発生!」

 

「うへ〜無駄無駄ー、外部に通報される警備システムはみんなジャックしたからねー」

 

「ひ、ひいっ」

 

「ほら、そこ!伏せてってば!下手に動くとあの世行きだよ⁉︎」

 

「うへ〜ここまでら計画通り!次のステップに進もうー!リーダーのファウストさん!指示を願う!」

 

「えっ⁉︎えっ⁉︎ファウストって、わ、私ですか?リーダーですか?私が⁉︎」

 

「あの紙袋絶対巻き込まれただけだろ、しかも制服からしてトリニティの奴、流石に同情するわ……」ボソボソ

 

「でも助けないんだね」ボソボソ

 

「こう言うのは見てて楽しいからな」ボソボソ

 

 突然指示を請われて混乱する紙袋、基ファウストだが代わりに動いたのは黒ヘルメットの人物だった。

 

“1st、4th、そのまま銃口を構えろ、2ndは回収鞄の準備、3rdは全体を入り口で全体を見張れ、いつでも打てるようにバレルは回しておくように、ファウスト様は、全体の……特に人物を注視しておいて”

 

(((あれ先生かー!)))

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 一通り指示を出し終えた黒ヘルメット、基先生は2nd、基シロコと共に銀行員に近寄る。

 

“おい、其処のお前、このバッグの中にここ1年の取引書類を全て詰めろ”

 

「と、取引書類ですか⁉︎そんな物何の為に」

 

“質問できる立場じゃねえだろ、早くしろよ、お前の替わりは幾らでもいるからな、それとも……”ブンッ!!

 

ガシャァン!

 

 黒ヘルメットが手持ちのレンチで手元の台を叩き壊す、まるで次はお前がこうなる番だとでも言わんように。

 

“お前のそのご立派な頭か腕、もしくは脚がこうなりたいって言うなら、俺はそれでも構わないが……早くしろよ、まだ機能停止には陥りたくないだろ”

 

「はっはい!今すぐに!」

 

 その一連の行動を見ていた一同の反応は様々だ、震えあがる者、唖然とする者、驚愕する者、マコラは?

 

「ヒュー♪流石に此処でヘイロー無しで先生を務めようとするだけはある、良い、それで良い」

 

 かなりご満悦だった。

 

「え?あれ先生だよね?」

 

「そうだな」

 

「あんなことする人だったの?」

 

「普段は絶対しないだろうが……まぁ大凡地雷でも踏み抜かれたんだろ、逆鱗に触れたって奴だ、わかりやすく言えばすっごくキレてる」

 

「私先生だけは怒らせないようにしよっと」

 

「……私も」

 

「まぁあそこまで怒るのは相当だがな、……何があったんだ」

 

 暫くして銀行員が慌てて戻ってきて書類等を持ってきた。

 

「こっこちらです!これが過去1年の取引記録の書類です!いくらでも持っていってください!」

 

“ヨシ、2nd、詰め終わったらトンズラだ、長居はしたくない”

 

「ん、了解」

 

 カバンの中に書類を詰め込んでいる光景を見たあるの心境は恐怖?複雑?否、まるで憧れのヒーローでも見たかのような心境だ、何せ此処は悪意蔓延るブラックマーケットの銀行、警戒レベルは並大抵のものではなく迂闊に手を出すことを躊躇われる程だ、それを最も容易く攻略してみせた、この後どうするのか?どう逃げるのか?そんなことで頭がいっぱいなのだ。

 

「まぁ、手筈がスムーズなのは認めるが……憧れの矛先が違くねぇか?」

 

「アルちゃんって根っからのアウトロー憧れみたいなのあるからさ」

 

「まぁ、頃合いを見て抜け出すか、事情聴取とかされても面倒だしな」

 

「そうだね、今は隠れていよう」

 

「あの、せん、い、いや、ブルー先輩!ブツは手に入った?」

 

「うん、確保した」

 

「それじゃ逃げるよー!全員撤収!」ポイ

 

「アディオ〜ス⭐︎」ポイ

 

「け、ケガ人はいないようですし……すみませんでした、さよならっ!」ポイ

 

「おっと」バサッ

 

「や、やつらを捕まえろ!!道路を(ピカッ!)ギャア!」

 

 立ち去っていくのを確認した銀行員はすぐに連絡を取るよう行動するが、それをも読んでいたのか先程覆面達が投げ捨てていった物が眩い光と音を放つ、マコラと便利屋はつい昨日同じ手法を喰らった為に、更には全員がサングラスをしていた為事前に察知し間一髪防ぐことができた、尤もアルだけは自分だけの世界に入っていた為にマコラがカバーに入ったが、此処までに要した時間、僅か5分!実に鮮やかな手口な銀行強盗であった。

 

「ククッ、逃げも上手い、ほら、混乱してる間に逃げるぞ、これ以上面倒ごとはごめんだ」

 

 その言葉を皮切りに便利屋達も銀行を後にしたのだった。

 一仕事を終えた強盗達はすぐさまブラックマーケットの範囲外から離れる為に全速力で走っていた。

 

「急いで!時間は稼いだとはいえいつ追ってくるか……!あぁもう先生!何呑気にゆっくり走ってるの!追われてるのよ⁉︎」

 

“大丈夫だよ、既に手は撃ってる、奴等が私達を追いかけることはほぼ不可能、まぁ追いかけれても数は知れてる”

 

「何か仕掛けてきたの?」

 

“まぁね、そろそろ頃合いかな”

 

(スドオォン!ガシャーン!)

 

 すると背後の遠くの方から爆発の音が複数、何か追突でもしたかのような音が響き渡る。

 

「……本当に何したの?」

 

“道路に大量にスリップ剤……まぁ平たく言えば油をね、ぶち撒けてきたんだよ、突入前に色々やってたでしょ?”

 

「あー、あれってそう言う……でも人の数も少ないのは何で?」

 

“これだよ”

 

 そう言って先生が懐から取り出したのは刺々しいフォルムをした代物、古来ではまきびしと言われていた物、それを道中にばら撒いて来た為に追っ手が少ないのだと先生は言う。

 

「えげつな……よくそんなこと思いつくわね先生」

 

“これでも幼少の頃は相当な悪童でね、ありとあらゆる悪戯をした物だよ、追手から逃げる為アイテムなんて幾らでもある、これでも控えめな方だよ?アイツがいればこんな物じゃない”

 

「アイツって?」

 

親友だよ、幼少の頃初めて出来た……ね”

 

 声色は変わらず、惜しむ点があるならばヘルメットをつけている為にその表情が見えないことだが、もしヘルメットをつけていなかったら先生の表情の微細な変化はすぐに読み取られていただろう。

 

“因みに言っとくけどマコラじゃないからね”

 

「言われなくても知ってるよ」

 

“車道に油とまきびし、車は一部ブレーキ部分とタイヤ部分を破損させたし、監視カメラもまぁ、私のタブレットのハッキングでループ映像が流れるようにしてるからあと30分は機能しない、だから私たちは買い物帰りみたいにゆっくり帰っても問題ないわけ”

 

 なんて事のないように言ってるがサラリととんでもないことを言っている、手際が良すぎるのだ、それも全て幼少期の悪戯で鍛え上げられたと言う、脱出地点に向かう最中に覆面を脱いだセリカは己の疑問をぶつけた。

 

「それはそうと……シロコ先輩、覆面脱がないの?邪魔じゃない?」

 

「天職を感じちゃったって言うか、もう魂の一部みたいなものになっちゃって、脱ぎたくないんじゃなーい?」

 

 そう、未だシロコが覆面を脱がないのだ、既に仕事は終わったと言うのにも関わらずだ。

 

「シロコ先輩はアビドスに来て正解だわ……他の学校だったら、ものすごい事をやらかしてたかも……」

 

「そ、そうかな……」

 

 指摘されて初めて気がついたのか漸く覆面を脱いだシロコ、しかし覆面を脱いでなかったのはシロコだけではないのだが、本人の名誉の為に此処では記さないでおこう。

 

 目標としていた脱出地点を突破、なんとか誰にも追われる事なくことを終えれたね、久々にかなり動いた気がする。

 

『封鎖地点を突破、この先は安全です』

 

「本当に誰一人追ってこなかったですね……」

 

「やった!大成功!」

 

“私の悪戯の腕もまだまだ現役と言ったところかな”

 

『本当にブラックマーケットの闇銀行を襲っちゃうなんて……ふう……』

 

「シロコちゃん、ちゃんと集金記録の書類はちゃんと持ってるよね?」

 

「うん、バッグの中に」

 

(カチャ)

 

「おー、書類がいっぱい、これ全部集金記録の書類?」

 

“そうだよ、過去一年分の取引記録、その全てを此処に詰め込んでもらったから、絶対に見つけれる手筈になってる”

 

「一年分ともなったらかなりの量だけど……なんでこんなに?」

 

“一つ、アビドスのお金を犯罪組織に流してる確実な書類を洗い出す為、二つ、他所の学区から流れた金がどこに向かってるかな確認、これぐらいかな”

 

「一つ目は分かるけど……二つ目は何で?」

 

“シャーレとして……ひいては連邦生徒会に従ずる者としてはこう言った書類にも目を光らせておかないとダメなんだよ、こうした所から告発できる要素が見つけれるんだよ”

 

「成程……まるで探偵さんみたいです⭐︎」

 

「私も協力して良いですか?もしその……トリニティ学園のお金が犯罪組織に流れてる書類をティーパーティに提出出来れば犯罪組織を捜査する大義名分が手に入りますし……」

 

“うん、全然構わないよ”

 

 これだけの量を捌くのはまぁ、容易ではないけど、シャーレでこなしてる書類の量に比べれば大したものじゃないし、何より小分けして照らし合わすだけで済むからね。

 

『……‼︎待ってください!何者かがそちらに接近しています!』

 

 あら……区画の外には出た筈だけど粘り強く追ってきたのかな。

 

「……‼︎追っ手のマーケットガード⁉︎」

 

『……い、いえ、敵意はない様子です、調べますね……あれは……べ、便利屋のアルさん⁉︎』

 

 なんで?

 

“なんで?なんかしたっけ”

 

「さあ?どうしよっか、取り敢えず覆面被っとく?」

 

「えぇ……また被るのこれ……」

 

 結論を出すより先にアルが追いついてきた、取り敢えず私もヘルメットをつけておくか、拾い物なんだけどねぇ……て言うかアレを掻い潜って追いついてきたのか⁉︎結構念入りにやったんだけど……ああいやマコラか、心なしか疲労してるように見える、飛んで運んだのかな。

 

「はあ、ふう……ま、待って‼︎」

 

「あ、落ち着いて、私は敵じゃないから……」

 

(何であいつが……?)

 

(撃退する?)

 

(どうかな、戦う気がないって相手を叩くのもねえ)

 

(お知り合いですか……?)

 

(まあねー、そこそこー)

 

(“まあ話だけでも聞いてみようよ、それからでも遅くない”)

 

「あ、あの……た、大した事じゃないんだけど……銀行の襲撃、見せてもらったわ……ブラックマーケットの銀行をものの5分で攻略して見事に撤収……しかも追いかける道には様々な工夫を施して追われにくくする手管……あなたたち、稀に見るアウトローっぷりだったわ」

 

 あの場面に居たのか、ヘルメットのせいで視界が狭まってたから分からんかったよ、それにしてもそれ褒め言葉じゃない気がするんだけど、遠回しに見事な犯罪者でしたよって言われてるようなものだし、でもこの子純粋な気持ちでアウトローに憧れてるみたいだし、何で返すのが正解なんだ。

 

「正直、すごく衝撃的だったというか、このご時世にあんな大胆なことができるなんて……感動的というか、わ、私も頑張るわ!法律や規律に縛られない、本当の意味での自由な魂!そんなアウトローになりたいから!」

 

 子供の将来を思う大人としては止めないとダメな気がする、でも子供の夢を否定するの違うんだよなぁ……

 

(一体……何の話?)

 

「そ、そういうことだから……な、名前を教えて‼︎」

 

「名前……⁉︎」

 

 犯罪者は名乗らないんですよ、いちいち名乗るってどれだけ律儀な犯罪者だよ、愉快者すぎるだろ。

 

「その、組織っていうか、チーム名とかあるでしょ?正式な名称じゃなくていいから……私が今日の雄姿を、心に深く刻んでおけるように‼︎」

 

(うへ……なんか盛大に勘違いしてるみたいだねー……先生なんとか出来ない?)

 

(“流石に専門外です”)

 

(だよね〜)

 

「……はいっ!おっしゃることは、よーくわかりましたっ!」

 

(のっ、ノノミ先輩⁉︎)

 

 どうしよう、猛烈に嫌な予感がする、具体的にはとんでも無い設定が生やされそうな気がする、っていうかマコラの奴こっち見てニヤニヤしてやがる、君の所の社長だろう、どうにかしろよこれ。

 

「私たちは、人呼んで……覆面水着団!」

 

 ワァ、知らないグループ名になってる。

 

「……覆面水着団⁉︎や、ヤバい……‼︎超クール‼︎カッコ良すぎるわ‼︎」

 

 間に受けるなよ、結構頓珍漢な単語だぞ、しかもカッコいいて……ズレてるなぁ……

 

「うへ〜本来スクール水着に覆面が正装なんだけどね、ちょっと緊急だったもんで、今日は覆面だけなんだー」

 

 oh……ホシノ、お前もか、スク水に覆面て、前衛的すぎるファッションが過ぎるだろう。

 

(なんか妙な設定を付け足してる⁉︎)

 

「そうなんです!普段はアイドルとして活動してて、夜になると悪人を倒す正義の怪盗に変身するんです!」

 

 そうだったのか、水着覆面団……じゃなくて覆面水着団、私も知らない設定だ。

 

「そして私はクリスティーナだお♧」

 

「“だ、だお♧”……⁉︎きゃ、キャラも立ってる……⁉︎」

 

 もはや何も言うまい、セリカもシロコもヒフミもこのノリにはついていけてない様子、安心した、君たちもそっち側だったらいよいよおじさんも覚悟を決めないといけないところだった。

 

「うへ、目には目を、歯には歯を、無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を行く、これが私らのモットーだよ‼︎」

 

 初めて聞いたわそんなの。

 

「な、なんですってー‼︎」

 

 ……あのー、まだ時間かかりそうですかね?奥の子達も困惑してんじゃん、マコラは腹抱えて笑ってるけど、もはや抱腹絶倒物なんだけど、アイツ、対岸の火事と思いやがって。

 

(もういいでしょ?てきとうに逃げようよ!)

 

「それじゃあこの辺で、アディオス〜⭐︎」

 

「行こう!夕日に向かって!」

 

「夕日、まだですけど……」

 

 なんか襲撃より疲れたな……砂糖を大量にぶち込んだコーヒーを摂取したい……いや寝た方がいいのか?はあ……しんど




覆面水着団の正装に関しては水着のシロコにあの覆面を付けたところを想像してみると分かりやすい。

頭の中の構想を文字に出力するって大変だね、脳内で発信した信号が神経を通じて指から出力される頃には思い描いた物とは別物になってるなんてことが多発してる、不良品か?

【最終決定】IF世界線のマコラ

  • アビドスIF
  • ゲヘナIF
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  • ミレニアムIF
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