布瑠部の方陣は透き通る世界で循環する   作:Another2

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サブタイ考えるのに5分ぐらい使ってる。

今回短めです。


開示

 私たちはヒフミと共にアビドスに戻り、全員で書類の確認を行なっていた、するとまあどうだろうか、書類に目を通せば通すほど目を覆いたくなる取引が沢山、作業を行ってるみんなの表情も厳しいものになっている。

 

「なっ、何これ⁉︎一体どういうことなのっ⁉︎」

 

 セリカが机を叩き糾弾する、この一件で幾度もピリピリしてるところを見るが今回はより一層怒りの表情を浮かべている。

 当然私もその一員だ、まだ全てに目を通したわけじゃないが、キヴォトスの闇の、つまりは大人の悪い部分、その一欠片が此処の書類に集約されている、そして当然その中にはアビドスが対象にされている物もあり、それを見てセリカは激怒したのだ。

 

「現金輸送車の集金記録にはアビドスで788万円集金したと記されてる、私たちの学校に来たあのトラックで間違いない」

 

 シロコが書類の集金記録内容を簡潔に読み上げていく、そしてこれだけではなかったらしく、「でも」と続きを話していく。

 

「その後すぐにカタカタヘルメット団に対して【任務補助金500万円提供】って記録がある……」

 

「ということは……それって……」

 

「私たちのお金を受け取った後に、ヘルメット団のアジトに直行して任務補助金を渡したってことだよね⁉︎」

 

「任務だなんて……?カタカタヘルメット団に……?ヘルメット団の背後にいるのは、まさか……カイザーローン?」

 

“それだけじゃ……ないだろうね”

 

「それだけじゃ……?あっ!カイザーグループ!」

 

“そう、闇金とは言え一金融があそこまでの兵器群を提供できる筈がない、なら自ずと答えは導かれてくる、民間軍事会社……つまりPMCが兵器を提供していると見ていい、そしてそのPMCも……”

 

「カイザーってわけだね、カイザーは軍事企業もやってるから」

 

 この書類で全てが確信に繋がった、何故一不良グループが立て続けに学校を襲撃できたのか、何故潤沢な弾丸と兵器が揃っていたのか、その資金の供給源は何処から?これら全ての謎が全て明かされた、マコラが調べ上げた通り、全てはカイザーが裏で糸を引いていたのだ、しかし解せない点がある。

 

「ど、どういうことでしょう⁉︎理解できません!学校が破産したら、貸し付けたお金も回収できないでしょうに……どうしてそのようなことを……?」

 

「ふーむ……」

 

 そう、そこなのだ、何故カイザーは本来取り立てるべき学校を潰そうとしているのか、利息を法外にして延々と金を搾り取ろうとするのは分かる、許される行為ではないが割とメジャーな手法だ、しかしその返済を促してる学校そのものを潰そうとする意味がわからない、それではお金は返せないし彼方としても金の供給源を自ら断つような事はしたくない筈……では何故?

 

「この件、銀行単独の仕業じゃなさそうだね、カイザーコーポレーション本社の息もかかってるとしか思えない……」

 

「……はい、そう見るのが妥当ですね、ですが何の為に……?」

 

“ただ返済を遅らせようってわけじゃなさそうだ、幾ら何でもまわりくどすぎる、と言っても今は情報がなさすぎるけど……”

 

 収益換算で赤字を突きつけられてるのにも関わらずかなりの長期間の間この取引は行われている、何の為に?

 可能性①【単純に学校と言う学区を治める拠点を欲した】まずこれは可能性が低い、キヴォトス最大を誇った学区を手にしようとするのはわからなくはないがそれでも限度はある、ましてやほとんどが砂漠に埋もれた学区なら尚更、外の世界には大砂漠のど真ん中にでかいカジノ都市を築き上げる技術があるが、その為には莫大な資金を建設と維持に回していると何処かで聞いたことがある、でも可能性としては無くはない。

 可能性②、これはあんまり考えたくないけど【アビドス学区を丸々手に入れて軍事施設にしようとしている】これはさっきの①と被るけどもでかい軍事施設があると言うのはそれだけで他の勢力への威圧になる、カイザーの軍事会社が絡んでるならでかい軍事施設を建設することで己の私兵戦力を向上させより上の立場に、とかそんな感じだろう、かなり非現実的だけどね。

 可能性③、これは……まだ想像や推測の領域を出ないけど……【この赤字を帳消しにするほどの“ナニカ”がアビドスに眠ってる】だ、不良達に襲撃させるのは生徒達の目を不良達に固定させる為、そして本命の自分達は何処かでそのナニカを探している、ってところかな、そしてその場合一番可能性がある場所はアビドスの大砂漠だ、あそこ以上に何かを隠すにうってつけの場所はないだろう。

 

“今のところはこの3つが候補かな、これ以上列挙するとキリがないからね、それに3つとも大外れの可能性もある、あんまり鵜呑みしないようにね”

 

「いや、その三つの可能性まで絞れたなら御の字だよ、少なくとも単純にお金目的じゃないってわかったからねー」

 

「はい、無闇矢鱈に探すよりかは指向性があった方が効率がいいですから」

 

“ただ……”

 

「ただ?」

 

“私としては可能性③を推すかな”

 

「ん、どうして?」

 

“そもそも砂漠が頭をよぎったのはマコラの発言もあるんだ、ヒフミは知らないだろうけど、マコラはこう言ってた”

 

『そうして深く調べていけば金の流れがかなり生じていてな、その目的地が此処、アビドスの大砂漠だ、こんな事は言いたくないがあんな何もないところに巨額の金を投与している』

 

“つまりカイザーはアビドスの砂漠で何かをしてる、或いは何かを探してる、それを悟らせない為に不良を寄越してるんだと思うんだ”

 

「成程……大規模な発掘作業なりをしようにも私たちがそこに行って計画が露見しちゃ意味がない、だからこそ不良グループ達を使って目を逸らさせたんだね」

 

「つまり今まで私たちが相手してた奴らは囮だったって事よね?なんか滅茶苦茶馬鹿にされてる気分なんだけど!」

 

「実際馬鹿にしてるんだろうね、向こうからすれば子供ってのは自分の利益の為の餌でしかないし……うん、本当に舐め腐ってる」

 

“まぁまぁ、落ち着いて、怒りは冷静さを失わせるよ、いずれ近いうちにカイザーとは相対するんだ、その時に存分に怒りをぶつけてやれば良い”

 

「でも!」

 

“何も怒るなとは言ってない、思考は冷静に、されど腹の底はマグマの様に煮え立たせておくんだ、冷静かつクレバーな思考を持つのが大事だよ”

 

 ひとまず落ち着かせて……取り敢えず後でマコラとも合流して意見の交換をしないと……

 

「みなさん、色々とありがとうございました」

 

「変な事に巻き込んでごめんなさい、ヒフミさん」

 

 変な事っていう自覚はあったんだ、まぁ全員自覚してるのか苦笑いを浮かべてるけど、まぁこの子達の横の繋がりが広がったのは良いことだと、自分に言い聞かせよう。

 

「今度遊びに行くから、その時はよろしくー」

 

「はいっ、もちろんです」

 

 うん、こういう約束を気軽にできるくらいには仲が良くなっている、今回の件で分かったけどこの子達はアビドスの外について結構知らないようだったので、それを教える機会を設けても良いかもしれない、その為にもさっさとこの一件を片付けないとね。

 

「まだ詳しいことは明らかになっていませんが……これはカイザーコーポレーションが、犯罪者や反社会勢力と何かしら関連があると言う事実上の証拠になり得ます。戻ったらこの事実をティーパーティに報告します!それと、アビドスさんの現在の状況についても……」

 

「……まー、ティーパーティはもう知ってると思うけどねー」

 

“……だろうね”

 

「は、はいっ⁉︎」

 

「あれほどの規模を持つ学園の首脳部なら、それぐらいはもうとっくに把握してると思うんだよー、みんな遊んでばかりじゃないだろうしさ」

 

「そ、そんな……知っているのに、みなさんのことを……」

 

「うん、ヒフミちゃんは純真で良い子だねー、でも世の中、そんなに甘くないからさ」

 

 まぁ、その領域まで行ったら政治絡みの話になるからね、いつの時代も場所問わず政治的問題は面倒で嫌になる。

 

「ヒフミちゃんの気持ちはありがたいけど、そっちに知らせたところで、これといった打開策が出るわけじゃないしかえって私たちがパニくることになりそうな気がするんだよねー」

 

「そ、そうですか……?」

 

「ほら、今のアビドスって廃校寸前じゃん?トリニティとかゲヘナみたいなマンモス校からのアクションをコントロールできる力がないんだよー、言ってる意味、わかるよね?」

 

「……サポートするという名目で悪さをされても、それを阻止できない……ってことですよね……そうですね、その可能性もなくはありません。あうう……政治って難しいです」

 

「でも……ホシノ先輩、悲観的に考えすぎなのではないでしょうか?本当に助けてくれるかもしれませんし……」

 

“……これは外の世界でもあった手法なんだけどね”

 

「はい?」

 

“【助けた】という恩を相手に与えて一方的に搾取する、なんて言うやり方があるんだ、例で挙げるとするなら……借金の返済先をトリニティに変えるとか、トリニティの命令には絶対厳守とか……そんなふうにね”

 

「そんな事って……!」

 

“無いとは言い切れない、私はトリニティのことは深く知らないからこんな事はしないと思いたい。でもね、政治の世界において【助けた恩が存在する】って言う一点があるだけで向こうはかなり大きく出れるのは確かだ、これはゲヘナに頼っても同じかな”

 

 私の発言に皆の表情は暗くなる、自分でも厳しいことを言ってる自覚はある、でも誰かが言わなきゃいけない事だ、そしてその役目は私がしなくてはならない。

 

“確かにマンモス校の力を頼ればこの一件は解決できるかもしれない、ならその先は?助けてあげたというデカい恩を片手に一生支配下に、もしかしたら隷属下に置かれるかも知れない、そしてそれを拒否すれば向こうはこう思う、『あぁ、こいつらはこっちが苦労して助けてやったのにこっちの要求は無視する奴らなんだな』ってね、そうなれば後は早い、あらゆる手段を駆使してアビドスの風評を下げようとするだろう、最悪生徒を送り込んで武力的に支配するかもしれない”

 

 ただでさえ銃や兵器が日常的に溶け込んでる社会だ、そう言った行動をとるのは容易いだろう、この世界は外の世界と比べて銃の引き金が異様なほど軽いのだ、不都合を被れば即座に撃ってくるだろう。

 

「まあ、そう言うことかなー、私は他人の好意を素直に受け取れない、汚れたおじさんになっちゃってねー【万が一】ってことをスルーしたからアビドスはこの有様になっちゃったんだよー」

 

 あぁ……これか、ホシノから度々感じていたやけに達観した雰囲気の正体は、この子はこの学校唯一の三年生だ、つまりそれだけ長い間大人の悪意と戦ってきたって事になる、この子は()()()()()()()()()()()()()()()()()子だ、それ以上に酷い事はない、その歳ごろだったらもっと学校生活を楽しんで良い筈だ、もっと遊んで過ごして良い筈だ、でも自身を取り巻く環境がそれを許さなかった、周りを頼ることが出来ず、ましてや大人なんてもっての外、だから自分がしっかりしなきゃダメだと言い聞かせ、精神だけ大人になってしまった、誰よりも早く。

 でもその在り方は──地獄そのものだ、必ず何処かで決壊する。

 

「……では……えっと……皆さんの事は伏せてカイザーローンの事をかいつまんで報告だけはしておきます、書類の中にはトリニティ関連の物もありましたし……」

 

“まぁそれが落とし所だろうね、もしトリニティが動いてくれるとするならそれはアビドスの為じゃなくカイザーを潰す為の方が幾分か通る筈、その為に一年分の取引書類を押収した訳だし、あぁでも銀行強盗の件はうまく誤魔化しなよ?”

 

「うぅ……そうですね……本当に……一日で色んな出来事がありましたね」

 

「そうだね、すごく楽しかった」

 

「……楽しかったのはシロコ先輩だけじゃないの?」

 

「あ、あははは……私も楽しかったです」

 

「いやぁー、ファウストちゃん、お世話になったね」

 

「そ、その呼び方はやめてください!」

 

「よっ、覆面水着団のリーダーさん!」

 

 こう言うやりとりこそ学生の嗜みだよね、こうやってふざけ合える仲こそ学生時代には必要だ、自分はそれを取りこぼした側だからこそ、この子達には目一杯の青春を謳歌してほしい、その為にももう少し気張らないとね。

 

「みなさん……ヒフミさんが困ってるじゃないですか」

 

「と、とにかく……これからも大変だと思いますが、頑張ってくださいね、応援してます。それでは……皆さん、またお会いしましょう」

 

「みなさんお疲れ様でした、今日はゆっくり休んで、明日改めて集まりましょう」

 

「じゃあ解散〜」




もう少しオリジナリティが欲しいけど下手に弄れない感。

この小説の最高風速は間違いなく東堂マコラを出した時、多分あれ以上はもう出ない

【最終決定】IF世界線のマコラ

  • アビドスIF
  • ゲヘナIF
  • トリニティIF
  • ミレニアムIF
  • アリウスIF
  • ゲマトリアIF
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