布瑠部の方陣は透き通る世界で循環する   作:Another2

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今回短めです



アビドス砂漠人機決戦③

 一瞬、刹那の出来事だった、ホシノは目にも止まらぬ速度でオートマタ兵に接近しショットガンを接射、その衝撃でオートマタ兵が破壊されその背後に居たオートマタ兵も放たれたショットガンの弾丸により風穴が開けられた。

──()()()──

 

 その場にいる全員の脳裏に過ったのはその一言だった、攻撃力(パワー)も、俊敏力(アジリティ)もさっき迄とは段違いだったのだ、冷酷ながらもオートマタ兵を処理したホシノは周りの兵を見てただ一言のみ言葉を発した。

 

「次」

 

 目の前で繰り広げられた出来事に頭がパンクしそうになるが先生は素早く生徒に指示を出す事に成功した。

 

“全員‼︎ホシノを取り押さえろ‼︎便利屋の皆はカイザーグループを寄せ付けるな‼︎”

 

 ──()()()()()()()、そう判断するのに時間は掛からなかった。

 

 指示通りにホシノの周りに陣形を展開する対策委員会の者達、カイザーグループのオートマタ兵達を退けていく便利屋達、この状況で先生たる彼が成すべきことは一つ。

──()()()()()()()()()──

 

 その一点のみで彼は指示を出したのだ。

 

 身体が軽い、それに世界が変わって見える、さっき迄の私とは段違いで、生まれ変わった気分だ、()()がマコラが言っていた神秘の覚醒なのかな?

 あぁ、でも……視界が赤いなぁ……鬱陶しいなぁ……目の前のコイツらを壊せば元に戻るかな?

 

“……シノ‼︎

 

《早くコイツらを壊そう、ユメ先輩もそれを願ってるよ》

 

 そうだね、早く壊そう、アビドスを……皆を……何よりユメ先輩を侮辱したコイツは早く壊さないとダメだ、そうじゃないと次は皆が苦しんじゃう、だからコイツは壊さないとダメなんだ‼︎

 

“……シノ‼︎”

 

《そうだよ、皆や先生にも迷惑をかけちゃうよね、だからさ……コイツらを──。》

 

《駄目だよ》

 

 ぁ、え……?

 

《駄目だよホシノちゃん、怒りに身を任せて行動しちゃ、ゆっくり……落ち着いて、ね?》

 

 ユメ、先輩……?

 

《そうだよ〜、私の唯一の可愛い後輩ちゃんがとんでもない物に成り掛けてたからさ、止めに来たの》

 

 でも、アイツは先輩が守った物を侮辱したんですよ⁉︎だから……‼︎

 

《だから皆壊すの?それじゃあ奴等とやってる事変わんないじゃん、私はホシノちゃんが手を汚す所見たくないな〜……なんてね、とっくに死んだ私だから止めたり出来る訳じゃないけどさ、でも衝動に任せて行動するのは違うでしょ?》

 

 それ、は……そうかも知れません、でも‼︎

 

《でももだってもないよ、皆を頼る事にしたんでしょ?なのにホシノちゃんってばまた1人で解決しようとするんだから、ホシノちゃんの悪い所だよね》

 

 うっ……それは、その……はい……

 

《ホシノちゃん、1人で出来る事には限りがあるんだからさ、何もかも1人で解決しようとせずに一旦冷静になって周りの声に耳を傾けてご覧?大切な人達が呼んでるよ》

 

 周りの、声……

 

“……シノ‼︎しっかりしろ、ホシノ‼︎”

 

「ホシノ先輩‼︎落ち着いてください‼︎」

 

 ぁ……みんなの、声……

 

《いや〜大切にされてるねえホシノちゃん、私も先輩として誇らしいよ〜、さっ早く戻ってみんなを安心させておいで、何時迄も待たせちゃ駄目だよ?》

 

 ──ッ‼︎はい!ありがとうございます、ユメ先輩、それと、行って来ます。

 

《うん、行っておいで、あんまり早く戻ってきちゃ駄目だからね?ホシノちゃん。》

 

 意識が反転する、身体の軽さは変わらない、でもさっきより世界が鮮やかに見える、妙な耳鳴りも聞こえなくなったし思考がさっきよりクリアだ、さっきのユメ先輩は、私の妄想とか夢だったのかな、だとしたら笑えないけど、お陰で冷静になれた、本当に私はあの人に救われてばっかりだ、だから今度は私が……いや、私達全員の力で!その思いに報いる‼︎

 

「皆、ごめん、ちょっと……いいや、かなり頭に血が昇ってた」

 

 ホシノから発せられていた身震いする様な怒気と殺気が薄れていくのを感じる、どうやらなんとか元に戻ったらしい。

 

「ホシノ先輩……大丈夫、なんだよね?」

 

「うん、もう大丈夫〜、ごめんね、また迷惑かけちゃった」

 

「でもホシノ先輩、元に戻ったのは分かるんだけどさ、さっきよりなんか……雰囲気が違うって言うか……なんて言えばいいのかな」

 

“恐らくそれがさっきマコラが言ってた【神秘の覚醒】なんだと思う、私が言ってもなんの根拠もないけどね”

 

「うぇ⁉︎そうなの⁉︎大丈夫ホシノ先輩⁉︎身体に異常はない⁉︎」

 

「大丈夫だってセリカちゃん、寧ろ絶好調な位、うん、いいね、コレが神秘の覚醒って奴かぁ……マコラちゃんの強さの一端がなんとな〜くわかった気がするよ、確かにこの経験の有無は大きいと思う、その分覚醒させるまでの条件とか過程が果てしない気がするけどね」

 

“となると今回は偶々ホシノがその条件を満たしたって事かな”

 

「そうなるかな、多分皆だと覚醒させる条件が違うんじゃないかな〜、十人十色って言うしね、さてと……そろそろ戦線に戻ろうかな、何時迄もあの子達だけに任せられないからね〜」

 

“ホシノ、改めてもう一回聞くけど……本当にもう大丈夫なんだね?”

 

「大丈夫‼︎もう暴走したりしないよ、お節介焼きの先輩から激励を貰ったからね」

 

“そっか……皆‼︎気張って行こう、一気に押し返すよ‼︎”

 

『了解‼︎』

 

 一方マコラはカイザーPMC基地の上空にて、航空部隊の大半を壊滅させたマコラは地上の様子を窺っていた。

 マコラは先程までの状況を全て確認しておりホシノが怒りに呑まれそうだった事、そしてそれを克服し神秘の力だけを己の糧にした事を、上空から確認しておりマコラ自身も己の口角が上がるのを感じ取っていた。

 

「……ククッ、怒りによって神秘が覚醒したか、まだまだ粗はあるが初めてにしては上々……いや、何かしらの干渉があったにせよ自分で制御できる様になったと考えればこれ以上は無いだろうな」

 

 地上で起きた出来事に対しかなりの上機嫌のマコラだがそれに構わず残りの航空部隊は攻め入ってくる、しかし既に航空部隊はマコラの興味から外れており──。

 

「悪いが興が冷めた、お前らより面白い物が展開されそうなのでな、そろそろ……落ちろ」

 

 そう言い残すとマコラは鵺の羽をばら撒き一斉に放電させた、電子系統がショートしたオートマタ兵とヘリは機能を停止し総じて地上へと墜落したのだった。

 

「さあ……魅せてみろ、小鳥遊ホシノ‼︎」

 

 ──一方的、そう言っても差し支えない程戦況はカイザー側は不利に陥っていた、その原因は勿論小鳥遊ホシノの覚醒もある、何せ彼女が一発攻撃するだけで自慢のオートマタ兵が2〜3体持っていかれるのだ、標準を定め様にも余りにも素早すぎる為に攻撃が当たらず、よしんば当たる軌道だったとしても大楯で弾かれてしまう。

 戦車部隊もどう言う訳かかなり数を減らしている──その実態は開戦前にトラップを仕掛けておりそれに引っかかったからだが──訳だし、何から何までカイザーサイドに不利に傾いていた。

 

『ぐぬぬ……‼︎兵力を集結させろ!北と東からも呼び寄せておけ、北方の対デカグラマトン大隊もだ‼︎』

 

『なっ……‼︎そんなことをしたらデカグラマトンの動きを抑える事が……‼︎』

 

『口答えするな!あんないつ動くか分からない代物より今目の前で起きてる事態を終結させるのが先決だ!早くしろ!』

 

『は、はい!』

 

 後にこの判断がカイザーPMC理事の運命の明暗を大きく分けるのだが当時の理事はその事を知らない。

 対デカグラマトンの部隊がそこに居ると言うことは監視も兼ねていると言うこと、つまり部外者は変に近寄れないと言うことを意味する、しかしこの時理事はここにいる兵力全てに対し戦場に向かう様指示を出したのだ、其れは──。

 

「ふう、漸くどっか行ってくれたかポンコツ兵ども……頭が馬鹿だとその指示に従う手足は大変だねぇ……まぁお陰で俺達が動き易くなる訳なんだが」

 

まぁ彼が思った以上に間抜けだったお陰で小鳥遊ホシノが神秘の覚醒に至ったので私としては感謝したいのですが……それにしても本当にやるのですか?ロストマン

 

 ──その場を警戒する者が居なくなる事を意味する、デカグラマトンが眠る場所にて、2人の人影、一人は黒服と呼ばれる者、もう一人は髑髏面を

している者、名をロストマンと言うらしい。

 

「当たり前だろ、じゃなきゃ態々こんな所まで来ねえよ、カイザーの総戦力を以てしてもマコラの力を引き出すには及ばねえ、あいつらの最高戦力は精々がゴリアテだろうからな、あれも弱い訳じゃ無いがマコラを相手取るにはまるで足りてない、だからこそコイツを使う」

 

クックック……私が言えた事じゃありませんが、貴方も相当イカれてますね、世界広しと言えどデカグラマトンを自分の実験材料に使う人間はそう居ませんよ

 

「マコラは強い、それは直接相対した俺だからこそ言える、だから半端な奴じゃあいつは実力を出さない、しかしデカグラマトン、しかもコイツとなればマコラも本気を……八握剣を使わざるを得ない、八握剣を使った状態の奴が一番強い形態だからな」

 

他ならぬあなたがそう言うならそうなのでしょうね、その一点があなたと私たちゲマトリアのメンバーの明確な違いです、ですが……デカグラマトンにマコラさんが敗北する事は考えないので?彼女を過小評価する訳ではありませんが……コレも相当の破壊力を秘めていますよ?

 

「それは無い、100%あり得ない」

 

……そこまで言い切りますか?

 

「応よ、そりゃあ覚醒前のマコラならともかく、今のマコラは正直言って他の生徒と比べるのが馬鹿らしくなるほど別次元だ、アレに勝てる存在はアレと同じ別次元な存在か、或いは……」

 

彼女の基になった存在……ですか

 

「そう言うこったぁ!……どうよ、デカルコマニーのモノマネ、似てた?」

 

……ノーコメントでお願いします

 

 斯くして様々な思惑が混ざり合いアビドス砂漠での決戦は加速していく──。




カイザーPMC、三度目の悪手打ち、最低限の兵士を残さないから第三勢力に荒らされるんだよ、マコラに喧嘩を吹っ掛けたのは末端の奴の独断だから無関係?マコラの討伐令を出すって事は喧嘩吹っかけてるのと同じなんだよ。

Q.此処でホシノが能力発現してたらどんな能力になってたの?

A.洒落で星の怒りにするつもりだった、(星の怒り=ホシノ怒り、それだけ)仮想の質量をSGの弾と盾に付与して大暴れするホシノ先輩の世界線があった……かもしれない、いやまぁそれでもいいんだけどね。

Q.ホシノが怒りに呑まれてたらどうなってたの?

A.BADルート直行です、なので事前にホシノに対して怒っておく必要があったんですね。

Q.黒服と髑髏マン仲良くない?

A.長い付き合いだし、髑髏マン自体ゲマトリアのメンバー(ベア除く)に結構な恩があるんで

【最終決定】IF世界線のマコラ

  • アビドスIF
  • ゲヘナIF
  • トリニティIF
  • ミレニアムIF
  • アリウスIF
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