双方の変身、それを遠くから俯瞰していた黒服は興味津々で戦闘の行方を見守っている。
【まさか双方共にここまで化けるとは……想定外も想定外、あのデカグラマトンが人型になるのもそうですが彼女の方陣の秘密、まさかあれ程までの性能を誇っているとは……‼︎ともすれば彼女はよもやすると──】
「黒服……少し、静かにしてくれ、お喋りなのは良いことだがな」
【……これは失礼、ですがお許し願いたい、これは性分でして、ですがあなたも感じているのではありませんか?彼女ならばあの“
「
【……あなたは我々の誰よりも彼女の事を知っている、強さに関してはその身を持って、そしてその出生の秘密も、彼女が“色彩”に接触してはならない理由とは?】
「神将マコラはな、簡単に言えば
【檻……?器?何の話です?彼女は無名の神に仕える神将として製造されたのでは無いのですか?】
「合ってるが、それだと65点ってとこだな、名もなき神、差し引いては名もなき神々の王女に仕える最強の将、故に
だった、あくまで過去形として話すロストマンに対して不可解と言わんばかりに顔を傾ける黒服、続きをはなせと言わんばかりの視線を寄越してくる。
「まぁ当時の馬鹿どもは“色彩”の力……まぁ恐怖の力を自分たちの支配下に置こうとしてた、兵器運用としてな、そうすりゃあキヴォトスではほぼ無敵の力が手に入るその目的として作られたのが……」
【彼女……と言う訳ですか】
「そう、だがその過程もエグい物でな、お前らが割と可愛く見えるくらいのエゲツナイ実験をしてた」
【……その内容とは?】
「黒服、お前が企んでた生徒の反転実験、あれを施していた、神秘の強弱に関係なく片っ端からな、対象は身寄りのないガキだ、学籍のない奴……つまり今で言う所のチンピラやゴロつき達……あの女が支配下に置いてるアリウスの様な所からガキを掻っ攫って来てな、次々と実験しては失敗、補充し実験しては失敗の繰り返しよ」
「そんでいくらバカでも何度もやれば気づくんだよ、
【型……番、ですか?彼女が?それでは彼女の神将マコラと言うのは……】
「お察しの通りアイツ自身の名前じゃねえ、そもそもアイツに名前はねえからな、アイツが
【……彼女の、出生は理解しました、ですが肝心要の恐怖の力はどうしたのです?まさか無から生み出した訳では無いでしょう?】
「そこで出てくるのが奴の方陣さ、他の奴らは全員存在する位置で騙されてるがあれは奴のヘイローって訳じゃ無い、尤も俺も奴のヘイローを見た事がある訳じゃ無いけどな、だがまぁ何十年もあれを頭に担いでんだ案外ヘイローも方陣と同じ形かもな」
「話がズレたな、なんでここで出てくるのが方陣なのかと言うと、
【馬鹿な……そんな事が──】
「無いとは言い切れないだろ?お前らゲマトリアも、例の先生とやらも外から流れ着いた物だ、生物に流れ着けて物体が無理な道理はない、んで流れ着いた時のあの方陣は恐怖のエネルギーに塗れてたそうでな、ヘイローの無い
「それは本当に偶然だった、だが降って湧いたチャンスを不意にする訳もなく、それは丁重に保管され、サンプル行きだ、そして生徒に恐怖のエネルギー……長いからマイナスエネルギーと言うが、それを注ぎ込んでた、それがさっき言った実験の全容」
【そしてそれ耐えたのが彼女の型番だったと言う訳ですか……】
「そこからは早いもんだ、その型番をひたすら増産して行けばいい、一人一人頭にヘイローとして方陣を装着させる実験が次に行われた」
【そして例によって数多の失敗作の積み重ねの上で彼女の番で適応したと言う事ですか】
「そう、今のマコラは確か……
【もう結構です、聞きたくありません】
「そうか?まぁ少なくとも四桁行ってるのは確かだが、マコラが誕生してからも酷いもんだ、方陣の適応がどれ程の物なのか確かめるために様々な耐久テストが行われた、斬撃、刺突、銃弾に炎に電気、あぁ、毒とか硫酸もあったな、まぁ並大抵な物じゃねえ、それでもその痕が一切残ってねぇのはあの並外れた再生力のお陰だな」
【もう結構と言ったでしょう、彼女の出生の秘密はもう十分、あなた先程言いましたよね?彼女は檻であり器だと、その意味する所はなんです?】
「方陣の恐怖の力は並大抵の物じゃなかった、
「んで奴等は多少性能が落ちようが方陣に合わせた人間を作っちまった、その後に自分たちの言いなりになる様教育しちまえば良いからな、だが、そこで思わぬ出来事が起きた」
「ただの実験体でしか無いソイツに自我が芽生えたんだと、それはそれで好都合だったのかは知らんが教育はかなりスムーズに進んだらしいぜ、それがソイツの成長を速める行為とも知らずにな、そしてソイツが誕生して約7年……いや8年だったか?まあその辺りにソイツからして組織が用済みになったんだろうな、あとはアンタも知っての通りだ」
【結局は制御不可能で壊滅……ですか、因果応報と言いますか、それで?まだ答えを貰ってませんが】
「ん?あぁ、そうそう器と檻の話ね、器ってのは文字通り方陣のエネルギに耐えうる器、檻その力が外に漏れねえように抑え込む文字通りの檻だ、だがここで一つ問題がある」
【既に問題だらけですが……まだ何かあったのですか?】
「おう、人工物とはいえ奴の肉体はキヴォトスで出来たもの、つまりは神秘が込められてる、つまりはプラスのエネルギーに満ちている、そして奴の頭にはマイナスのエネルギーの塊たる方陣、プラスとマイナス、光と影、隂と陽、その比率はあれだけの大きさの差がありながら丁度5:5だ、陰陽太極図みてえにな、俺があれを無理やり覚醒させたのは俺の計画の目的ってのが7割近くを占めているが、残りの3割はマイナスの方に天秤が傾きすぎてたからってのもある、つまり今の奴は限りなく安定してるって訳だ」
【ともすれば彼女が“色彩”に接触したとなれば……】
「あぁ、一気にマイナスに沈む、そうなりゃ終わり、ゲームオーバーだ、方陣が本来の力を取り戻し器を呑み込んじまう、いやそれだけで済めば御の字、それ以上の事態が起きうる」
【……例えば?】
「恐怖の力……詰まる所マイナスエネルギーがキヴォトス中に蔓延する、そうなるとどうなるか、全ての住民がマイナスエネルギーを孕み出すんだ……こっからはゴルコンダのおっさんの管轄だから詳しくねえんだが人々の想いってのは大小様々であれ実体化出来るんだろ?ならば起きる筈だ、
【──ッ‼︎馬鹿な……‼︎】
「人間が恐怖を抱く存在は様々だ、生物、都市伝説、現象、或いは大自然、それらに向けられた恐怖のエネルギーが形取って新たな生物が生まれるとしたら……どうなると思う?」
【……想像したくもありませんよそんな物、ただ一つ言えるのは、そんな世界は地獄であると言うだけです】
「だろうな、俺もそう思う、俺の最終目標はキヴォトス中の混乱だが、そんな形の混乱や混沌は望んじゃいない、それに単に色彩に接触するだけでそうなる訳じゃない」
【……何か対策があるのですか?】
「……あの
「奴が用意した
【……まるで英雄譚の主人公だ】
「ゴルコンダならそう言うだろうし、事実マコラと先生がこの世界の行方を担ってる、差し詰め言うなら世界の破滅の危険を孕んだヒロインと……それを防ぐ主人公?又は世界の破滅に立ち向かう2人の英雄か?何にせよ俺たちは……いや俺たちだけじゃないこの世界の人間全てがあの2人にとっての舞台装置、或いは強くする為の経験値か、あの2人はこの世界にとっての救世主か、またはこの世界全ては2人にとって
【……】
「いいや‼︎否‼︎断じて違う‼︎俺たちもキヴォトスの人間も一個の生命だ‼︎断じて部品じゃない‼︎あの2人の物語を円滑に進める為の歯車なんかじゃない‼︎……少なくとも、俺は違う、
【それで……例え自分の身が滅びたとしてもですか?】
「構わん、最終的に俺の作品が完成し、キヴォトス中に存在を知らしめれるなら、それでいい、それが
【構いませんよ、寧ろ最後まで、最大限に協力致しましょう】
「……そりゃ
【えぇ理解しています、それはあなただけの想い、個人的な物、ですがマエストロがあなたの肉体を作り遠方から中身の魂をゴルコンダが秘技で定着させた、私はまぁ……その為の装置を提供したまでですが、だからこそまだその返礼を頂いていない、我々が可能な限りその計画に協力し結果を閲覧する、それを持って返礼としてください】
「悪いな、黒服、最後まで迷惑掛ける」
【それはそうと……あちらはそろそろ終わりそうですね】
「ククッ、会話しながらでも見ていたがここまでとはな」
2人の会話が終わり状況は2人が睨み合っている所まで戻る──。
◆
睨み合う2人の間には僅かな風の音のみが包んでいる、変容したマコラとビナーはジッ……と睨み合う、一分か、二分か、永遠にも続くと思われたその静寂を破り音を発したのはマコラの頭部からだ。
マコラの方陣の回転、つまり適応は時間の経過で完成される、つまり持久戦はマコラの十八番だそしてこの回転で残りは一回となる、形勢不利を悟ったビナーは抜け殻である残骸に手を当てる、すると残骸が人型に形を変え始めた。
『──学習による適応は、何も私自身が経験する必要はない、見るだけで十分、コイツで──お前の適応の上から消し飛ばす、そしてコイツには私が適応したあらゆるデーターがインプットされてある、単純計算で私がもう一機増えた物と思えば良い、思考回路こそ、持ち合わせていないがね』
「……足りねえだろ?」
『然り、なので更にダメ押しだ』
ビナーが力を込めると抜け殻が波打つ、すると辺り一面に小型の機械が散りばめられる、その一つ一つにカメラレンズの様なものが付いており全てがマコラをロックしていた、その数は優に100は超えていよう。
『コイツらは全て私の目と同様だ、同じ視界能力を保有している、そして私は見ただけで学習し適応する、これが私の全てだ、全てを出し尽くして勝利を掴む‼︎』
言葉が終わると同時にビナーMk-2がマコラを肉薄する、思考能力がない故に単純な動きのみだが確かにマコラと格闘が最低限成立するだけの出力はあるらしい、否,マコラが一挙手一投足動かすたびに周りのカメラが動きを収め全て本体のビナーが解析し適応していく、それを反映されたMk-2の動きが更に良くなっていくのだが、マコラに未だ一撃も与えられてないのが事実だ。
すると今度はビナー本体も攻撃に加わりニ対一の攻防になる、1人と一機の攻防に流石に捌ききれずに何発か喰らってしまうがマコラは冷静に背後に飛び退いた。
「“鵺”」
そしてマコラはその異形から鵺の羽根を顕現させる、しかし大きさは人間態であった頃より更に大きい。*1
『──羽根を生やしたとてなにも──』
「分かってねえなぁ……空を飛べるほどに鍛え上げた羽根を生やしたってことはつまり腕をもう2本生やしたってのと同意義なんだぜ、これで互いに腕四本だ」
あの空崎ヒナも羽根を巧みに扱いマコラのロケット砲の軌道を逸らしていた、ならばマコラが出来ぬ道理は無い、更に腕より長いリーチを誇る羽根、いやこの場合は羽の拳、羽拳と言うべきだろうか、それまた違う、何故ならば、この羽は“鵺”によって顕現させた物、つまりは──。
1人と一機の四本の腕と1人の4本の腕、手数は互角、ビナーには学習による適応があった、周りに目を仕掛けた、今も2人がかりで攻め立てている、然しそれだけの手を尽くしても埋められぬほどの差が、両者にはあったのだ。
ビナーを蹴飛ばしその隙を埋めるべく突撃してきたMk-2の攻撃をマコラの本来の腕で止め、ガッチリと拳を掴み取る、そしてマコラは獰猛な笑みを浮かべた。
「やっぱりな、
そう言いマコラはMk-2を背後に大きく投げ飛ばすと同時に己の羽根をMk-2に付随させる、
「“鵺”拡張戦術、
豪雷、大地を叩き割らんとするほどの轟音を響き渡らせたその大放電は周りのカメラの全てを破壊し、アビドスの大砂漠に決して小さく無いクレーターが生成された。
「ククッ随分派手にやってしまったが……まぁいいか、これでお前の連れも目も無くなったな」
『問題はない、彼等は仕事は果たした、後は私がそれに報いるのみ』
そう言うとビナーの周囲に光球が5つ形成されビナーの口元も光り始める。
『コレは先程のレーザーとは訳が違うぞ、圧倒的な光熱で全てを焼き尽くし、蒸発させ、消し去る、そしてその熱に対しても適応した、すなわち自滅は、無い‼︎』
「ほう、耐熱……ね、興が乗った、“満象”、
マコラが象の影絵を作りそう唱えると手から炎が吹き出す、そしてそれを弓矢を引く様に構えを取る。
「構えろ、
──熱闘、大一番、決着まで間近。
1人と二機の格闘→火力勝負の間に黒服とロストマンは喋ってます。
Q.何で満象で炎出してるの?
A.変更による変更で火炎放射器も兼ねた様々な物を放射する戦法になった、今の所水と炎だけ、薬品も放射できるけど本人の信条的にやらない
Q.Mk-2とカメラ君、仕事した?
A.超した、ここのビナー君は1秒単位で学習し進化する、そしてあんま長々と描写するとダレるから省いたけどあの格闘は軽く3、4分位やってる、ので滅茶苦茶学習して適応してる、だけどマコラがその上から殴ってきた、理不尽
Q.先生達は?
A.鵺マコラの超軌道と車ありとは言え地上の地形に沿って移動する先生を一緒くたにしてはいけない、まずこの戦いには間に合わない、申し訳ないが、まぁマコラも相当消耗してるので戦闘終わり即補給ができると言う点では向かって正解、正直今の先生達じゃこの戦いにはついて来れない、完全に五条vs宿儺の観戦組なので、いつか“あっち側”に行けるといいね
【最終決定】IF世界線のマコラ
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アビドスIF
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ゲヘナIF
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トリニティIF
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ミレニアムIF
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アリウスIF
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ゲマトリアIF