布瑠部の方陣は透き通る世界で循環する   作:Another2

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今回はマコラ視点なので先生が殆ど喋らないです、次回からまた先生視点に戻ります。


再び廃墟へ

 アリスが武器を手に入れ当面の問題が解決したのでモモイ達一行は自分達の部室へと戻っていった、マコラを除いて。

 

 ミレニアムサイエンススクール、セミナー執務室にて3人の人影があった。

 

「……いきなり呼び出しやがって、何の様だお前等」

 

「そう憤らないでちょうだい、歓談を邪魔した事は正式に詫びるわ」

 

 思っても無いことをベラベラと……このタイミングで態々(わたし)だけを読んておいて察しが悪いとでも思ってんのかこの(ヒマリ)(リオ)達は。

 

「結論から先に聞くわ、()()()()?」

 

「何故……とは?」

 

「とぼけないで、あなた、アレと出会ったでしょう、何故処理しなかったのかと聞いたのよ」

 

「あー……そう言う」

 

「あなたはこのキヴォトスで誰よりも強く、更に連邦生徒会長補佐の立場にある、だからあなたにはこのキヴォトス全域の未来を守る義務があるはず、それなのに……!」

 

「何故()()()()()()()()()を始末しなかったのか……だろ?」

 

「……えぇ、そうよ」

 

「まだ起動して一日だぞ、しかもその中身は子供も子供だ、それを殺すなんてあり得ない」

 

「本当にそれだけかしら?もっと別の意味があるのでは無くて?」

 

「知ってる癖に、意地が悪いなお前、()()()()()()

 

 アリスは間違いなくコイツが危惧したものでまず間違いない、ヒマリがどう動くのかだけが懸念点だが……なんだかんだ言って情に厚い人間だ、一先ずは置いておいて問題はないはず。

 問題は、リオの方だな、コイツはまず間違いなくアリスを消そうとするだろう、その行いは正しくもあるが同時に間違いでもある、リオはその事に気づいてるのか?いいや、気づいた上でなお実行しようとしてるんだろうな、こいつはそういう奴だ。

 

「あなたがアレを──「アリスだ、あの子の名前はアリス、アレじゃねえ」……アリスを守る存在として造られた兵器なのは調べがついてるわ、でもあなたはその役目を放棄し人として生きる道を選んで連邦生徒会長に拾われた、なのに今更その役目を全うするつもり?」

 

「……否定するつもりはない、確かに()は人間として生きる道を選び連邦生徒会長(あの女)に拾われた、そこから先はお前達の知っての通りだが、アイツが居なくなる前、幾つかの我儘を寄越されたんでな」

 

「……その我儘とは?」

 

「キヴォトスに住む生徒達をよろしく……だそうだ、そしてその中には当然アリスも含まれる、勿論、お前達もな」

 

「……だったら尚更理解できないわ、あの子は──」

 

「お二人共、そこまでです、これ以上討論しても時間が過ぎるだけ……そうでしょう?」

 

「ヒマリ、あなたもマコラと同じ意見なの?」

 

「いいえ?キヴォトス全体の未来の為にあの子を消そうとする気持ちも、守ろうとする気持ちも分かります、でしたらここは一つ、試してはどうです?結論はそれからでも遅くはないでしょう?」

 

「……あなたは()()を見ても同じことが言えるの?」

 

 リオが写した映像にはちょうど先程アリスがエンジニア部の武器、つまりはグラニテブラストを使い天に穴を開けた光景が映し出されていた。

 

「えぇ、何度も拝見しましたよ、いつ見ても凄まじい威力です」

 

「そこまで分かってるなら……!」

 

「ですがそれは悪用された場合でしょう?この力を良き方向に扱えばこれ以上に心強い物はありません」

 

「それで?どうするつもりだ」

 

「えぇですから、一つ試してみたらいいのです、舞台を用意して、アリスが悪なのか善なのかを……」

 

 ヒマリの提案に賛同し、お開きとなった会談を後にし(わたし)はアリス達の元に戻った。

 

 戻ったはいいが……何故(わたし)達はまた廃墟にいるんだ?

 

「先生、(わたし)が目を離したこの数時間の間、何があったと言うんだ」

 

“それがあの後……”

 

 聞けば期待人数を満たした事で満足したモモイはゲーム三昧を送っていたらしくゲームのレイドバトルをしようとしていたらしい、その際にユウカがきてアリスと簡単な審査を行い、これに見事通過……したまでは良かったんだがどうやらミレニアムの部活動の方針が変わったらしく人数と同時に成果を証明しないといけないらしい、その通達はこの間の部長会議で説明されたらしいのだが、部長のユズは極度の人見知りの為欠席、その代わりにモモイが参加すると言うのが部活全体での決まりだったそうなのだが、本人曰く──

 

『だってその時は、アイテムドロップ率2倍のキャンペーン中で……』

 

 とのこと、それを聞いた(わたし)は頭痛が痛むと言う奇妙な現象に襲われた、結局はモモイの責任なのでアイアンクローの刑に処したが*1、結果当初の目的のG.Bibleを探す為に再び廃墟へ赴く事になったらしい、今度はユズも一緒だ。

 

「前回散々ぶっ壊したからな、かなりロボットの数は減っているが……」

 

「それでも沢山いますね……」

 

 とは言え今更相手になるはずもない、寧ろ後ろのアリスの火力に警戒しないといけない状況ですらあった、まだまだ出力の調整には時間がかかりそうだな。

 ……それにしても先生の奴、本当にアリスに懐かれたな、今も戦闘が終わる度先生に撫でられに向かっている、と言うかゲーム開発部の全員が撫でられている、この数時間で何があったと言うのか。

 

「ほらほら、マコラも!」

 

「あ?何が」

 

「マコラさんが一番頑張ってるので撫でられる権利はありますよ」

 

「何故そうなった⁉︎」

 

「だってずっとこっち見てたから、羨ましいのかなって」

 

 何だその見解は、いやまぁ微笑ましい光景ではあるなとは思ったが、自身がされたいとは微塵も思ってない。

 

「あのな、(わたし)はもう18だぞ⁉︎なんでこの歳で頭を撫でられなきゃならねえんだ」

 

“マコラ”

 

「……んだよ」

 

“子供が大人に甘えるのに、年齢なんて関係ないよ、甘えれる時に甘えとかなきゃ、損じゃない?”

 

 言いくるめられたなコイツ‼︎振り払おうとした(わたし)に構わず問答無用とばかりに頭を撫でにくる先生、今この時だけはその行動力が憎い。

 

“マコラはさ、ずっと頑張ってるよね、誰にも知られずに1人でずっと、君は大丈夫と言うけれど皆は君のことが心配してるんだよ、1人だけで背負いすぎない様にね”

 

 頭を撫でながらそんな事を言わないで欲しい、そんなことをされてしまったら、また私は勘違いしてしまいそうになる、私のせいで、何人の人間が生まれる事なく死んでいったと、あの人も……アイツも……

 

「マコラ」

 

 そんな思考を消し去る様にアリスが声を掛けてくる。

 

「アリスはまだまだ何も知りません、マコラがアリスの事をどう思ってるのかは分かりませんが、それでもアリスにとってマコラはとても大事な人の一人です、マコラとアリスは、一緒にゲームをして勉強した仲ですから」

 

 その言葉を聞いて思い出すのはあの時の記憶、アリスと共にゲームをして勉強をしてた時の事だ。

 

『マコラ、このテキストの意味が理解しかねます』

 

 アリスはゲームの内容で理解できないところがある場合、基本的に自分に聞いてくる事があった、この時は確か──姉妹間の関係だったか。

 

『何故この2人は姉妹というだけでここまで仲睦まじく暮らせるのですか?』

 

『さぁな、(わたし)にも兄弟姉妹の類は居ないからな、よく分からんが……世界で唯一血を分けた家族だから、とかじゃないのか?モモイとミドリも同じ様な理由だと思うがな』

 

『マコラにも分からない事もあるんですね』

 

『そりゃ全ての事象を知ってる人間なんて居ねえよ、だから学習して知るんだ』

 

『……もしアリスがマコラと姉妹になればこの気持ちを知る事も出来るんでしょうか?』

 

『さてな、そればっかりは分からん』

 

『マコラを初めて見た時から感じてたんです、もしかしたら私たちは──』

 

『アリス、その先は今は言っちゃダメだ、恐らくそういう物だったとしても、まだ確証がない、そうだろ?』

 

『……はい、アリス、ゲームプレイに集中します』

 

『それでもアリスは、もし姉妹の様な物が出来るならマコラみたいな人がいいです』

 

『そりゃまたなんで』

 

『そうしたらこの2人の様に困った時は互いに助け合えるでしょう?」

 

『そうか?……うん、そうだな……』

 

 コイツは壁を作ってたわたしに対して壁を取っ払ってズカズカと入り込んできた、それを見てわたしは……透き通る様な青い髪をしたあの女を思い出した、ここまでされたら自分の敗けだな。

 

『アリス、もしお前が……世界を滅ぼす魔王か世界を救う勇者ならば、どちらを選ぶ?』

 

『……?そんなの、決まってます、アリスは勇者になりたいです、世界を、皆を助けれる立派な勇者に』

 

『……そうか、お前ならきっと……いや、必ずなれるさ、そんな勇者に』

 

──何故ならお前は、既に一人の人間を救っているんだからな。

 

「だから、アリスが勇者になったとき、マコラが側にいて笑っていてくれないと、わたしは嫌です」

 

“マコラ、君の過去についてはこっちから無理矢理聞く気は毛頭ない、だけどね、それが影響して今のマコラが傷つくのなら──”

 

「いや、良い、悪かったな、(わたし)とした事が湿っぽくなってしまった様だな、すまない事をした、もう大丈夫だ」

 

“……本当に?”

 

「……実はほんのちょっぴり疲れてた、最年長だからな、チビ達の手前、格好付けたかったんだよ」

 

「なんだとぉー!私たちだってマコラの年齢になればそこまで大きくなるもんねー!」

 

 あぁ、本当に嫌になる、わたしにとってコイツ等は少々、眩しすぎる、こんなクズに構って良い存在じゃないのにな、コイツ等が自分と関わって微笑みを寄越してくれるだけで自分の罪が報われたかの様に錯覚する、本当に……救いようの無いクズだ、だけど……こんなクズの身でも、ほんの少しだけなら、救われても良いのだろうか?

 

「ほら、さっさと行くぞ、G.Bibleは逃げないとは言えど時間は迫ってきてるんだ、早いに越した事はない」

 

「確かに!レッツゴー!」

 

 そうして再び工場内に進入した(わたし)達は速やかに工場の探索を開始した、するとアリスが何がを気取られたのか、足を止める。

 

「ここは……?あ……」

 

「アリス?どうかしたか?」

 

「分かりません……ですが、どこか見慣れた景色です、こちらの方に行かないといけません」

 

「ん?」

 

「アリスの記憶にはありませんが……まるで【セーブデータ】を持っているみたいです、この身体が、反応しています、例えるなら、そう、チュートリアルや説明が無くても進められるような……或いはまるで、何度もプレイしたことのあるゲームを遊んでいるかのようか……」

 

 肉体は覚えてるって奴か?だがコイツの起動記録は……

 

「どういうこと……?確かに、元々アリスがいたところと似たような場所だけど……」

 

「あっ、あそこにコンピューターが一台……あれ?」

 

「あのコンピューター、電源が点いてる……?」

 

[Divi:Sion Systemへ、ようこそお越しくださいました。お探しの項目を入力してください]

 

 Divi:Sion Systemだと?それは確か、リオとヒマリが調査してた奴の名称だったはず、ここに存在してたのか?

 

「おっ、まさかの親切設計、G.Bibleについて、検索してみよっか?」

 

「いや、ちょっと怪しすぎない?それより『ようこそお越しくださいました』ってことは……【ディビジョンシステム】っていうのが、この工場の名前……?」

 

「キーボードを発見……G.Bible、と入力してみます」

 

「おいおい、下手に触る物じゃ……」

 

「あっ!何か出た!」

 

[……#$@#$$%#^*&(#@]

 

「こ、壊れた⁉︎アリス、いったい何を入力したの⁉︎」

 

「自爆コードか?」

 

“縁起でもないこと言わないでマコラ!”

 

「い、いえ、まだエンターは押していないはずですが……」

 

[あなた達は、AL-1SとType-Sですか?]

 

 ……マジかよ。

 

“Type-Sって、まさか…”

 

「いえ、アリスはアリスで……」

 

「ま、待って!……何かおかしい、アリスちゃん、マコラさんは離れた方が…」

 

[音声を認識、資格が確認できました、おかえりなさいませ、AL-1S、及びType-S、任務お疲れ様でした]

 

「音声認識付き⁉︎」

 

「えっと……AL-1S、っていうのは、アリスちゃんのことなの?」

 

「あ、ごめん、そういえばユズちゃんには言ってなかったかも……だけどType-S……?そっちは一体……」

 

「アリスの、本当の名前……本当の、私……あなたはAL-1Sについて知っているのですか?」

 

「反応が遅い……?」

 

「何か画面もぼんやりしてきたけど、処理に詰まってるのかな?」

 

[そうで……@!#%#@!$%@!!!!]

 

「え、え?何これ、どういう意味⁉︎」

 

[それは……緊急事態発生、電力限界に達しました、電源が落ちると同時に消失します、残り時間51秒]

 

「ええっ⁉︎だ、ダメ!せめてG.Bibleのことを教えてからにして!」

 

[あなたが求めているのは、G.Bibleですか?〈YES /NO〉]

 

 あぁ、完全に向こうのペースだな、こうなった以上どうしようもあるまい、どちらにせよG.Bibleは必要なんだ、コイツと敵対した時の対策等を考えておくのが吉だろう。

 

「YES!」

 

[G.Bible……確認完了、コード:遊戯……人間、理解、リファレンス、ライブラリ登録ナンバー193、廃棄対象データ第1号、残り時間35秒]

 

「廃棄⁉︎どうして⁉︎それはゲーム開発者たちの、いやこの世界の宝物なのに!」

 

[G.Bibleが欲しいのであれば、提案します、データを転送するための保存媒体を接続してください]

 

「えっ……?G.Bibleの在り処を知ってるの?」

 

[あなたたちも知っています、今、目の前に]

 

「ど、どういうこと⁉︎」

 

[正確には、私の中にG.Bibleがあります、しかし現在私は消失寸前、新しい保存媒体への移行を希望します]

 

 ククッ……中々必死じゃないか、余程外に出たいと見える、既に一分などとっくに過ぎてると言うのに、気づいていないらしいな。

 

「そ、そうは言っても急に保存媒体なんて……あ、【ゲームガールズアドバンスSP】のメモリーカードでも大丈夫?」

 

[……………………まあ、可能、ではあります]

 

 滅茶苦茶不服そうで笑う、確かに誰もゲーム機のメモリーカードの中にぶち込まれたくないよな。

 

「な、何だかすごく嫌がってる感じがするんだけど……気のせい?」

 

「データケーブル……連結完了!」

 

[転送開始……保存領域が不足、既存データを削除します、残り時間9秒]

 

 最後の抵抗だな、まぁそれくらいなら構わんが。

 

「え、嘘っ⁉︎もしかして私のセーブデータ消してない⁉︎ねえ⁉︎」

 

[容量が不足しているため、確保します]

 

「だ、ダメ!お願いだからセーブデータは残して!そこまで装備揃えるのすごく大変だっ──」

 

「甘んじて受け入れろモモイ、セーブデータはまたやり直せば戻るがG.Bibleは今じゃないと手に入らん」

 

[その通り、削除]

 

 おい、せめて隠せ、人格出てきてんじゃねえか。

 

「ちょっとおおぉぉぉぉおおお⁉︎」

 

「あれ……電源、落ちちゃった……?」

 

「ああぁぁ!私のゲームガールズアドバンスのデータがあぁぁっ‼︎」

 

“バックアップ取っとこうよモモイ……”

 

「全くだ、カヤですらバックアップはこまめに取るというのに」

 

 仕事が出来る癖に何であんな性格なんだあのピンク、あの性格さえ目を瞑ればリンの席に座ってただろうに……いや、アイツそこまで見越してあの性格で仕事してやがったな?面倒くさがりだが頭の回転は早いからなカヤの奴……

 

「あ、待って!何かが画面に……?」

 

[転送完了]

 

「え?」

 

[新しいデータを転送しました、〈G.Bible.exe〉]

 

「こ、これって⁉︎」

 

「こ、これ今すぐ実行してみよう!本物なのか確認しなきゃ!exe実行!あ、何かポップアップが出て……って、パスワードが必要⁉︎何それ、どうすればいいのさ⁉︎」

 

「寧ろ何でパスが無えと思ったんだお前は」

 

「……大丈夫、普通のパスワードくらいなら、ヴェリタスが解除できるはず……!」

 

「そ、そうだね、そうすれば……!」

 

「これがあれば、本当に面白いゲームが……【テイルズ・サガ・クロニクル2】が……!」

 

「うん、作れるはず!よしっ!待っててねミレニアムプライス……いや、キヴォトスゲーム大賞!私たちの新作は今度こそ、キヴォトスのゲーム界に良い意味での衝撃を与えてやるんだから‼︎」

 

 それにしても、これがアイツが用意した舞台って奴か?本当遠回りなことさせやがる……まぁいいか、ブツは手に入ったんだしさっさと帰るとしよう。

*1
顔が潰れたかと思った。byモモイ




マコラの過去は小出し小出しに、過去編で思いっきり放出するからよ……

【最終決定】IF世界線のマコラ

  • アビドスIF
  • ゲヘナIF
  • トリニティIF
  • ミレニアムIF
  • アリウスIF
  • ゲマトリアIF
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