布瑠部の方陣は透き通る世界で循環する   作:Another2

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──その年の12月は異常だった。

南風の影響や降雨の影響もあったのだろう、冬とは思えぬ程気温が高かった。

寒い、上着を着る、暑い、上着を脱ぐ、それの繰り返し、去年の自分は知らない“暑い冬”という矛盾、最高気温が20度に近づき春先のような。

今週からまた冷え込むらしい、あの日から、自分に言い聞かせてる、私が経験した事は例外中の例外、知った上で私は上着を着込んで外に出た筈だ。

ぶれるな、冬としての役割を果たせ…適温はねーのかよ


生徒会襲撃─伍─

“モモイ、2歩下がって”

 

「りょーかい!」

 

「な、なんとか戦えてるけど……やっぱり強い、これが、C&Cのエージェント……!」

 

 ミドリの言う通り、何とか戦えてる、だがそれだけだ、勝ち筋が途方もなく遠い……‼︎

 アスナがギアを上げて来たら、向こうの増援が到着したら、モモイ、ミドリのどちらかがやられでもしたら、それだけで形成がひっくり返る。

 正直かなりギリギリの戦いを強いられている。

 

「ふーん……」

──思ってたより、全然悪くない、寧ろ想像以上に動けてる、勿論戦闘能力は私たちと比べるべくもないけど、チームワーク……って言うのかな、阿吽の呼吸?以心伝心?まるで二人で一人みたいな動き、その点においては、間違いなくベテラン級だね。

 そして何より……二人で足りない部分を補いつつも更に底上げに貢献してるのがあの“先生”という存在‼︎先生の指揮で二人の戦闘能力にブーストが掛かってる‼︎指揮の有無でここまで変わるんだ‼︎

 

「良いじゃん良いじゃん‼︎楽しくなって来た‼︎」

 

「むぐぐ、あっちからの致命打はないけどこっちからも攻めきれない……」

 

「お姉ちゃん、一旦退いて態勢を整えよう!このままじゃジリ貧だよ!」

 

「いいや、逆だよミドリ、今が最大の好機なんだ、ネル先輩はマコラさんが、カリン先輩はウタハ先輩達が止めてくれてる、でもアカネ先輩は時間が経てば他の生徒かロボットを引き連れてその内ここにやって来る、アスナ先輩一人しかいない今この状況が最大のチャンスなんだよ!だからこそ攻めの姿勢は崩せない!」

 

「へぇ……」

──何も考えずに襲撃した訳じゃない、妹ちゃんの判断も悪くなかったけどお姉ちゃんの方も結構大局を見れてるね、この二人……ちゃんと経験を積んで成長すればキヴォトスでも有数の生徒になるかも知れない。

 そう、今この状況でピンチなのは寧ろ私の方、想像以上に先生の指揮が強い、カリンもどう言う訳かかなり足止めを喰らってるみたいだし……だったらここは()()を使うしかないかな。

 

「いやー!三人とも本当に強いね!うん、流石に想像以上かな!だから……ちょっとだけ本気出すね!」

 

 アスナがギアを上げて来る!最大の警戒を──いや、その前に制圧する!

 

“二人とも一気に──”

 

「装置起動、【坐殺博徒】」

 

 二人が攻撃を仕掛けるより早くアスナは動いていた、腕につけていた時計の様な物を弾き構えを取り何かを呟いた。

 

──坐殺博徒……?それは確か賭博師の呼び方の一種だった筈、装置の起動……?

 

“──まさか‼︎”

 

「気づいた?私たちC&Cはさ、リーダーを除いてエンジニア部が開発した、メンバーそれぞれに合った物を支給されてるんだよね、私の場合はこの【坐殺博徒】っていう装置、効果の程は……まぁ言うより体験してもらった方が早いかな!」

 

 名前から察するに賭博関係の装置なんだろう、生徒が賭博をするのはどうかと思うけど、今はいい。

 問題はエンジニア部が開発したマコラの様な能力を外付けで備わってると言う事、つまりアスナは擬似的な能力者という事になる、マコラの様な超常的な能力……エンジニア部が開発した、鳳輪も反重力機構も不義遊戯も強力な効果を持つ物だった、だとするならこれも相当な代物の筈‼︎

 

『ハズレー』

 

「あちゃー、スカだったかー、残念残念」

 

「何も……起こらない?」

 

“坐殺博徒という名とアスナの発言から察するに、完全な運試しの様な装置みたいだね、恐らく当たりがでたら何かしらの効果があるんじゃないかな”

 

「……例えば?」

 

“……考えたくないけど、アスナ自身のパワーアップ……とか”

 

「──ッ‼︎ミドリ!」

 

「うん!」

 

「アハッ!良いね!置かれた状況を即座に理解して攻めれるのは簡単な事じゃないよ!じゃあもう一回運試しと行こうか!」

 

 アスナはそう言って装置を再び起動させる、先程のアスナが装置を起動させてからハズレという音声が出るまでに掛かった時間は凡そ20秒弱、その間に制圧しなければならない。

 

「おぉ!果敢に攻めるねー!」

 

「分かりきってるパワーアップを態々待つ訳ないでしょ!」

 

「あはは!それもそっか!」

 

 二人は過激に攻め続ける、だけどもアスナとて超一流のエージェントだ、潜り抜けて来た修羅場の数が違うのだろう、冷静に対処して難を逃れている、不味い、このままでは──。

 

『当たりー』

 

 無情に当たりを告げる機械音声、そして同時にアスナの威圧感が上がる、まるでこの空間そのものをアスナが支配しているかの様な錯覚に陥る、数秒前のアスナとは別人な程に変化した雰囲気にモモイとミドリは足が止まってしまった。

 

「キッター!一気に攻めるよー!」

 

──この威圧感、下手したら特級に準ずるんじゃ……‼︎

 


「あ゛ぁ?何で屋内からこんな気配がしてんだよ、特級でも湧いたのか?」

 

「中でウチの馬鹿が暴れてんだろ、あの道具でも使ったんじゃねえのか?相手も相当やる様だがこれで終わりだな、当たり状態のアスナを止めれる奴なんざ、私かアンタ位な物だが、アンタは私と戦ってるからな」

 

「……はぁ、下手を撃ったか、不味ったよな……ま、何とかなるだろ、アイツらとてそう弱くない、どうにか切り抜けれるさ」

 

「……何を根拠にそう言えるんだ、あの状態になったアスナ先輩はネル先輩でも手が焼く、それをゲーム開発部二人と先生一人でどうにか出来るとは思えない」

 

「まぁあの装置は私たちが開発した物の中でもかなりの傑作だと言う自負はあるさ、だけどそれだけでこちら側の敗北という理由付けにはならない」

 

「相当な自信だな、何か根拠があんのか?」

 

「勿論だ、絶対的な理由がな、それはな──

 

「その絶対的な理由とは?」

 

「あぁ、それはね──

 

アイツ等(あの子達)には先生が付いてる、それが理由だよ』

 


 あの状態になった瞬間にアスナに付いていた傷が全て瞬時に治ったな……それを鑑みるに恐らく当たりの効果はアスナのパワーアップと治癒力や再生力の強化、今のアスナに攻撃を当てても即座に治されるだろう、つまり致命傷が致命傷足り得ない。

 

“二人とも、落ち着いて、冷静になるんだ”

 

「で、でも先生、この威圧感は……」

 

“うん、下手したらマコラやネルと同じ特級戦力に匹敵するかも知れない”

 

「そ、それが分かってるなら……‼︎」

 

“だけどそれで向こうが勝つ理由にはならない、そこまでの上昇率、必ず制限がある筈、マコラが言ってたんだ、完全無欠なんてのはそう簡単に存在しないって”

 

「……あのアスナ先輩に何か弱点があるんですか?」

 

“あの状態のアスナに有効打を与えるのは殆ど不可能だと思う、多分全自動で完全修復されるから”

 

「なにそれ!そんなのチートじゃん!勝てる訳ないよ!」

 

“だから落ち着いて、あれはチートに近い行為だけど、あくまでルールに沿った行為だ、ここまでのパワーアップと回復力、必ず何か制約がある、もし無ければとっくに使ってる筈だしね”

 

「ふーん?私のこれの秘密に気づいたの?」

 

“推測だけどね、アスナのその強化はさ、1日に何度も使えないんだろ、しかも時間制限付きと見た、1日に限られた回数と短い時間下でのみ成立する代物の筈だ、そうじゃないとアスナの身体が保たない、だから出会い頭にその切り札を切らなかった”

 

「正ッ解‼︎殆どはね、そこまで解明させた先生にご褒美として、私の能力について詳しく教えよっかな!私が付けてるこの装置はね、出力を安定させるだけで能力自体は元々備わってた物なんだ、C&Cの中じゃ私とリーダーだけじゃない?会長さんやヴェリタスの部長さんが解析を続けててさ、能力って言い方だとあれだから部長さんが“術式”って名付けたみたいなんだけどね」

 

“術式……ねぇ?”

 

「詳しい事は今度話すね!改めて私の術式は坐殺博徒!効果は発動させたら運試しのゲームを行なってその結果を反映する物、大雑把に三段階位に別れててね、今の状態は真ん中の【当たり】の状態な訳、この状態だと身体能力と回復力の向上がメインになるかな!説明終わり!」

 

“随分とご丁寧にどうも”

──おいおい、嘘だろ?更にこの上があるって言うのか、当たりの上となればまず間違いなく大当たり、つまりは【ジャックポット】だ、それが来なかっただけ僥倖と言えるのか……

 

「最後まで聞いてくれてありがとね!お陰で出力が上がったからさ!」

 

「それってどう言う……」

 

「んーとね、マコラちゃん達が言うには、術式の開示?って言うのをすると弱点を晒すという“縛り”によって出力を向上させれるんだって!便利だよね!今説明して術式の開示って奴を行ったから制限時間が戻ったんだよ、あ!因みに強化持続時間は大体4()()()かな!」

 

「4分──⁉︎」

 

“モモイ!ミドリ!守りに徹するんだ!あの状態のアスナ相手に4分半はかなりキツイと思うけど……‼︎”

 

「やらないとダメなんですよね……‼︎」

 

「でもそれさえ凌げば……‼︎」

 

 多分だけど、これを凌いでもアスナは元に戻るだけ、だけどその時にはこっちは限界を迎えてる、天秤はかなり向こうに偏ってかなり不利だ、しかも4分半もあれば向こうの増援が到着するだろう、アスナはその時間をあのパワーアップでやり過ごすつもりだ。

 そして恐らくアスナの目論み通りアカネ達は此処にやって来る、だけど俺たちはそれすらも備えて()()()()()()を伏せてある。

 


「……あっ、電力遮断、このイベントが起きたということは……」

 

(ガチャン)

 

「EMP発動……ハレ先輩のハッキングを使った設定の変更……タワーの電子式の扉を自由にできる、シャッターにしたのと同じ方法……把握しました、アリス、脱出します」




という事で、アスナも術式持ちでした、出力、というか結果が安定しないので特級から外されてるだけです、後制限色々あるから。

Q.アスナが特級じゃなくてネル達が特級の理由は?

A.上記の通り、安定性と継続性がないから、ネル達は一定の強さを継続して出せますがアスナはそうではないので、具体的にいうと特級達が90〜100の力を安定して出せるのに対しアスナは60〜150の力で非常にムラがあり、当たり(85)をずっと出せるならそりゃ強いけどハズレ(60)もあるし大当たり(150)もある、しかも時間制限付きなんで効果が切れる瞬間がどうしてもある以上特級には及ばない、しかし大当たりを引ければかなりヤバい、マコラが言ってた別方向で規格外ってのはこれも含まれてる。

Q.当たりの確率ってどうなってるの?

A.原作程バカスカ当たらない、けど他の奴が持つよりは当たる、金次の方の秤は豪運で当たりを引き寄せてたけどアスナはまた別の意味で当たりを引きやすい、具体的に言えば直感で当たりのタイミングがなんとなく分かる、仮に10回使えば6.7回は当たりを引けるし1.2回は大当たりを引ける、もし他の生徒がこれを使えば10回中2.3回しか当たりを引けない、そんな感じ、因みにマコラは何回でも回せるけど何回やっても当たりを引けない(こういう系の運は悪い設定の為)

Q.マコラ達の術式とエンジニア部が作った術式装置の違いは?

A.マコラ達の=生得術式、つまり本人の出力次第で威力が変わるし術式の解釈を広げる事で成長が見込める、後術式の開示で出力をあげたりすることもできる。
 術式装置=呪具、一定()()の出力を調整して出せるのと基本神秘が備わってれば誰でも使用できるのがミソ、どちらにも優位点はある。

Q.この世界に呪力ってあるの?

A.基本的には無い、とある手順を踏めば呪力が溢れ出すけどそうすると非常に不味い事が起こる。
 この世界の術式はあくまでも神秘由来なので術式行使に呪力は必要ない、代わりに体力を消耗する、これは円鹿や坐殺博徒の再生でも回復は不可能、あくまでこの二つが治せるのは戦闘で負った負傷のみ、回復させるには飯食って適切な睡眠、もしくは時間の経過。
 体力は回復しないけど円鹿も坐殺博徒の回復も腕の欠損位なら秒で生やせるし、円鹿に関してはマコラの技量上仮死状態からの蘇生も出来なくはない、滅茶苦茶消耗するけど、なので完全な死者蘇生はいくら何でも出来ないです、そういう術式でもない限り。

【最終決定】IF世界線のマコラ

  • アビドスIF
  • ゲヘナIF
  • トリニティIF
  • ミレニアムIF
  • アリウスIF
  • ゲマトリアIF
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