布瑠部の方陣は透き通る世界で循環する   作:Another2

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この世界のアスナの強さ:乗ってる時はネルより強い。
(連続して当たりを引き続けれたらの話)


再戦─参─

 肉と肉がぶつかり合う音、まるで鋼鉄を金属バットで思い切り叩いたような音、それだけがこの空間を埋め尽くしていた、音の発生源は神将マコラと一ノ瀬アスナの二人、当たりを引いた事によりアスナは1メートル弱ある体格差を感じさせないレベルの肉弾戦を繰り広げることに成功していた。

 時折軽重合わせた銃声を鳴らすのは角楯カリンと室笠アカネの物だ、時折マコラが2人の元に向かおうとするも、2人の方に注意を向けた瞬間にアスナの手痛い一撃が繰り出される、この状態の彼女の一撃はマコラの鎧の中身にまで衝撃を伝える程に重みが増していた。

 

──アカネの持ち合わせている術具は命中させた相手を氷結させる物と見てまず間違いない、氷結状態でアスナかカリンの一撃を喰らえばまずその部位が砕け散る、どれだけ防御を固めても凍らされたら無意味だ。

 問題なのが……カリンの術具の術式が全くわからん、当たる位置によって威力が変動してるのは間違いないが、疑問はその条件だ、偶に入る良い一撃はかなり重みがある、これは対物ライフルであると加味してもそれの威力を超えている、それを補う為に何かしらの術式が発動しているんだろうが……

 

 ここまで思考を走らせたのちにマコラに一つの光明が指す。

 

『……()()()()()()()()()()()()()()()()……って所か?』

 

 この結論はゲーム開発部の皆と徹夜でゲームをして得た知識だ、RPG等のダメージを叩き出すゲームには必ず存在する“概念”、それがクリティカルと言う物、それが発生した場合通常の倍近い威力の攻撃数値を叩き出す事を可能とし、マコラはモモイがクリティカルがでなくて勝てないと喚いていたのを思い出す。

 

──この短時間で私の術具に込められた術式に大方の目処をつけてくるとは、分かっていた事だが、それでもこれ程とは……

 

 マコラの方陣は攻撃されてから緩やかに解析が始まりさらに攻撃を受ければその都度解析が加速して改めて適応される、しかしこの戦闘が始まってからマコラの方陣は未だ回っていない、その原因が……

 

「私を前にして考え事してる暇あるのかな‼︎」

 

 アスナの存在だ、アスナが絶え間なく攻撃を挟み続ける事によりマコラの方陣はアカネとカリンの術式よりアスナの攻撃の解析を優先していたのだ、三者三様の異なる攻撃によってマコラの適応が遅れていたのだった。

 

──この状況が続けば“勝機”はあります、()()()()()()、現にアスナ先輩のラウンド終了まで秒読み段階!

 

 アカネはアスナのラウンド開始時から時間を計測し続けアスナのラウンド終了がもう目前まで来てるのを感じる、しかしその程度で止まる程一ノ瀬アスナと言う人物は理性的ではない。

 

──私のラウンドが終わるまで残り8秒‼︎ラウンドが終われば私は通常まで弱くなる、一旦退くべきかな?いいや攻めるね‼︎

 

──コイツッ……‼︎ラウンド終了まで攻めの姿勢を崩さねえつもりか‼︎

 

 マコラの剛腕がアスナに迫る、このタイミングの攻撃は回復が間に合わないために喰らえば再起不能に陥らせるだろう──それよりも速く残りの2人は動いていた、カリンの射撃が右腕を、アカネの氷結が左腕を撃ち抜き──。

 

「んんん……‼︎そぉれ‼︎」

 

 アスナの渾身の一撃がマコラにクリーンヒットし、マコラの身体は十数メートル後方に吹き飛ばされる──同時に、アスナのラウンドが終了する。

 

ガゴン

 

 マコラの方陣が回転する、その意味を理解できない三人ではない、この回転によりマコラはアスナの()()()()()()()()に適応した事を示す、つまりマコラにとってはアスナはもう脅威ではない証明になるが……

 

『坐殺博徒……術式を展開し10秒弱の抽選時間を取り結果によってブーストを掛ける術式か、その手の類の術式は滅多にない代物だ、だがまだ足りんな、今のでさっきの状態の攻撃値には適応した、直に氷結も推定クリティカル術式の方も適応するだろう、消化試合だな』

 

 解析が完了した方陣からアスナの術式が開示される、残り2人の術式も解析が始まっており、適応も時間の問題となる、故にマコラの消化試合発言もあながち間違いではないが……

 

「うーん、それだけだとちょっと言葉足らずかな」

 

『ほう、まだ先があると?お前の術式は出し尽くしたと思ったが』

 

 その発言に待ったを掛けたのは他の誰でもないアスナ本人だ、どうやらアスナは解析された自身の術式内容にまだ不備があるらしい。

 この事については先生がはじめに気づいた事だ、アスナの術式にはまだ()()()()()()()()()()()()()()()、賭博やそう言った概念に関わった者だからこそ分かる()()()()がまだ出ていないのだ。

 

「私の術式はさ、展開して10秒弱の抽選時間があるんだよ、その結果は()()()、スカのハズレと期待値高めの通常の当たり、それで私でも滅多に引かない大当たりがある」

 

『ッ‼︎ケヒッ、良いぞ、全てを出すのはここからだったと言う訳だ、存分に魅せてみろ!』

 

 術式の全容の開示、それは己の手の札を全て晒す行為だ、それは弱点を知らせる事に直結するが、それ故に恩恵もでかい、今回の場合は──

 

「術式展開:坐殺博徒」

 

──ここで止めるのは容易い、だがそれは……余りにも勿体無いだろ。

 

『大当たり‼︎Jack pot‼︎』

 

──()()()()()()()()()()()()()()

 

──始まったな‼︎約4分半のラウンド形態‼︎しかも今回はさっきの通常の当たりと異なる最大値の大当たり‼︎だがこの大当たりは術式開示による確定によるもの‼︎4分半後に再び術式を使用しても出力は元に戻ってる‼︎今回のように確定で大当たりを引けはしない‼︎

 この4分半をいなしてしまえば、(わたし)の勝ちだ

 

──それは雑魚の思考だ。

 

『ボルテージ上げろ‼︎総力戦だ‼︎』

 

──この4分半の間にお前を叩き潰してみせる‼︎

 

 アスナが縦横無尽に駆ける、壁や天井を使いまるで重力なんて存在しないと錯覚させる程の機動力、その速度はキヴォトス最速の美甘ネルに追随する。

 通常アスナの肉体ではここまでの速度は出すのはまず不可能、本来ならばこの速度を出そうとした瞬間に肉体のどこかしらに支障を起こしても不思議ではない、しかしアスナは大当たりのラウンド状態での圧倒的ブースト率と規格外の回復力でその負担をカバーしていた。

 

──さっきまでとは段違いの速度‼︎重さ‼︎しかもコイツが使う銃の威力も跳ね上がってやがる‼︎一発一発が戦車砲並みの威力に引き上げられている‼︎だから鎧越しにでも威力が伝わって来る‼︎だがその銃は装填数が──

 

 マコラの思惑通り、アスナが使う銃は装填数は少ない、だがマコラの思惑とは逆に弾切れが起きない、大当たり状態のアスナは無限の神秘が供給されている、その供給量はアスナの肉体の許容量を容易に超える、結果アスナは身体が壊れないように全自動で身体が修復され、そして弾丸も撃ったそばから供給されている、従ってこの4分30秒間のアスナに弾切れや負傷という概念が無い正に無敵。

 

──この連射力で高威力‼︎更には弾切れの概念が無いから攻撃が途切れる事がない‼︎加えてダメージの回復速度が尋常じゃない‼︎傷付いた瞬間に回復が完了している程の速度‼︎この点に於いては俺のそれを凌駕する‼︎こうなるとあの2人の術式が普通に面倒になるな、氷結への適応はまだ済んでいない上にカリンの攻撃も殆ど効果はないにせよ衝撃で動きの制限を掛けられて面倒だ、とは言え今のアスナの前で他の戦法を顕現させるのもリスクが高いだろうな、掌印を結ぶのも難しいだろう、ならば……‼︎

 

 マコラは右手に装着された剣を振り上げ床に向けて差し込む、突然の行動に困惑する三人だが硬直は一瞬、即座に攻撃態勢に入る。

 アスナの、アカネの、カリンの、それぞれの攻撃がマコラの目前にまで迫り命中するかと思われたその時だった。

 

“八握剣”・【捌】・蜘蛛の糸

 

 マコラが差し込んだ剣を中心に蜘蛛の巣状に切り込みが入り、その衝撃で床が爆散しその勢いで三人はバランスを崩してしまう、直後にマコラは側に居たアスナを遠方に蹴り飛ばし、アカネとカリンの元へ瓦礫を蹴散らしながら強襲する。

 迫り来るマコラから身を守るために2人はそれぞれ回避・防御態勢をとる、それよりも速く攻撃が届く前にマコラを止めるためアスナが愛銃【サプライズパーティー】を用いて攻撃していた、更に速くマコラは動いていた、マコラは自身の身を包んでいる鎧を脱皮の要領で脱ぎ捨て前面から飛び出る事により背後からの弾丸から身を守る、卓越した戦闘経験により可能とした荒業。

 更に自身から切り離した鎧をアスナへ向かわせる事でアスナの足止めを決行、一瞬の隙も与えず2人を壁や天井に叩きつけ、2人の無力化に成功する。

 

「どうやらとことん、私を仲間外れにしたいらしいね‼︎」

 

──やはり俺が入っていない鎧では時間稼ぎにもならなかったか……‼︎艤装展開はかなり消耗が激しい、そう何度も使える物じゃ無い、かと言って今のコイツの前で戦法を切り替えて戦うのはかなりリスクが高い、だから戦法は変えない、現在の八握剣と身体強化でラウンド状態のアスナを、捉える‼︎

 

「“解”」

 

 マコラは剣を振り抜き斬撃を放つ、当たれば致命傷は避けられない斬撃をアスナは──

 

ギイィィィン‼︎

 

 銃を用いてその斬撃を弾き飛ばしてしまった。

 

──斬撃を弾いた‼︎見えているのか‼︎俺の斬撃が‼︎

 

 アスナの素早い回し蹴りが頭部に向けて繰り出される、マコラは両腕でガードを固めアスナの蹴りを受けるが、踏ん張りが効かずお返しとばかりに蹴り飛ばされる、その際にミレニアム旧校舎の壁を4、5枚程ぶち抜いていきその後の壁に打ち付けられ様々な瓦礫がクッションとなる形で漸くマコラの身体が止まる、その飛来速度にアスナが追いつき空中で大きく前転しマコラの頭上から蹴りを浴びせる、格闘技に於いて胴回し回転蹴り・浴びせ蹴りと言う名称で扱われる技を今この場で決めてみせた‼︎

 アスナの蹴りをモロに受けたマコラは一気に最下層まで押し込まれてしまう。

 

──ッ‼︎やってくれたな‼︎」

 

──勝つ‼︎アカネとカリンの援護で解析・適応を先延ばしにさせ、二度のラウンドで肉体(フィジカル)も削った‼︎マコラちゃんの戦法の切り替えはノータイムで行える物じゃない‼︎手で形を作る以上どう足掻いてもワンテンポのズレが生じる‼︎攻める‼︎こんな機会二度と来ない‼︎

 

ドプン……

 

「なっ⁉︎足場が⁉︎沈──」

 

「──勘違いしてる奴が多いがな、俺の術式は元々十種の戦法を扱える物だったわけじゃない、元々備わってたのは影に物を収納し出し入れする程度しかできない代物だった、とある過程で死に掛けて今の形になったわけだが」

 

──まだ手札があったなんて‼︎不味い、戦法を切り替えが──!

 

「“鵺”・【神武解】」

 

 マコラの鵺による豪雷が迸る、その影響によりミレニアム旧校舎全体が一時的に停電に見舞われ、その雷撃を至近距離でモロに受けたアスナは意識が刈り取られ──。

 

「ふう、時間ギリギリ、なんとか間に合ったか」

 

──アスナのラウンドが終了する。

 

 同時にマコラも腰を下ろす、想像以上の消耗に流石のマコラも疲労が溜まり切っていたようだ。

 

「想像以上に削られたな……このままネルの場所に向かっても良いが、一先ずはコイツらの手当てが先だな……さてさて、アリスは俺の想定通りに化けてくれたかな?」

 

 マコラは気絶したアスナを担ぎ上げて階層を登っていき、残りの2人も応急処置を施す事に決めた様だ。

 

神将マコラvsC&C・コールサイン1.2.3

勝者・神将マコラ




作中で明かされなかった設定
①カリンの術式について
カリンに持たせてた術式は十劃呪法で、原作より融通が効くようになってます、対象を10として見立てて線分した時に1:9・2:8・3:7・4:6・5:5の比率の点を弱点として設定する物、その設定は発射させる際カリンが設定可能ですがその際位置がズレたら術式が発動しなくなるので対物ライフルの弾丸の威力だけしかありません。
呪術原作では十劃呪法は7:3の比率に縛ることで術式効果の底上げを図っていたのだと思います、その縛りがない分こちらの十劃呪法は効果は抑えられてますが素の威力が高いのでそちらで補う形となってます。

②マコラの影収納について
本来では拡張術式として影収納が可能なわけですが此方では順序が逆になってます。(この辺はカリンvsウタハでチョロっと言及してる)
影収納が元来のマコラの術式で死の淵で覚醒した結果今の十種の戦法になりました。

因みに方陣の解析・適応が複数人の攻撃によって解析・適応が遅れるのは完全に独自設定です

【最終決定】IF世界線のマコラ

  • アビドスIF
  • ゲヘナIF
  • トリニティIF
  • ミレニアムIF
  • アリウスIF
  • ゲマトリアIF
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