マコラがアスナ達三人と戦ってる最中、アリス達とネルの戦いは更なる激しさを見せていた。
否、戦闘といってもアリスがネルに一方的に叩かれているのが現状だ、素早過ぎるネルの動きに誰もついていけていないのだ、しかし先程から集中して叩かれているアリスの身体はダメージを集中して受けているとは思えない程軽傷、流石に疑問に思ったネルは口を開く。
「マジでしぶといな、
──かなり強いのを何発も打ち込んでる、幾らコイツが他の奴らより頑丈つっても限度があんだろ。
「
「あぁ?」
「アリスは、マコラが認めてくれた勇者です!」
「答えになってねえが……まぁ今はそれで良いだろ」
──体質的に頑丈にしても限度がある、なのにここまで頑丈ってことは十中八九何かしらの術式が働いてるって事だ、他の三人は持ってねえとして、あの双子のコンビネーションは目を張る物があるしデコが広い奴が合間合間に撃ち込むグレランも絶妙なタイミングだ、今からでも鍛え上げたら相当な物になるんだろうが……一番厄介なのはあの“大人”……確か先生つったか?コイツの指揮能力の練度が異様だ‼︎
前の
改めて相手戦力の分析を終えたネルの表情は怯むでも緊張が走るわけでもなく、そこにあったのは獰猛な笑み、犬歯を剥き出しに、瞳孔を開き頬を上げ笑みを浮かべるその表情は狂人のそれ、例えるなら極限まで飢えていた所に極上の餌を見つけた大型の肉食獣と言った所だろうか。
「このままダラダラ長引かせんのも性に合わねえ、って事で一気にカタつけんぞ‼︎」
──来る‼︎この雰囲気、術式を使うつもりだ‼︎まずは術式効果を──。
五人の視界から──美甘ネルの姿が消失する、先程までの速さに目が慣れてきた事もあり、反撃の態勢を整えていた五人を意表を突いた動きであった。
「先ずは、1人目」
ネルは先に弾幕を張れるモモイの無力化に取り掛かる、突然な攻撃にモモイは反応する間もなく、一瞬で意識を刈り取られた。
「お姉ちゃん‼︎」
「モモ──「2人目」」
モモイが気絶した事に気を取られたミドリとユズに対し、ネルはグレネードランチャーによる動きを制限して来るユズの処理に掛かった。
──これがネルの術式‼︎マコラより更に速い‼︎指揮を出す暇も無い‼︎これがキヴォトス最速の速度か‼︎だけど……
“速いには速いんだろうけど……”
「はい、何か妙な感じです、まるで
──あのマコラがキヴォトス最速の称号を言う位だ、シンプルに速度を上げる術式……って訳でも無さそうだな、なんて言うか妙な心残りがある、単純な加速術式ならもっとこう……動きが滑らかになる筈、だけど今のネルの動きはまるで瞬間移動と誤認する程の速度、それは即ち初速から最高速度って事を意味する、どんな動きを取るにしても助走が必要だ、だけどその踏み込みすら見えなかった‼︎
クソッ、術式の種がまるで分からない‼︎ここまで圧倒されると相手からの術式の開示も期待出来ない‼︎まさかここまで圧倒的だったなんて‼︎
だがここまで圧倒的なら何故アリスからではなくモモイとユズから無力化させたんだ?二人の共通点はなんだ……モモイは弾幕をユズはグレランによる面による攻撃が可能……ミドリの射撃の回避はネルにとって容易いしアリスの砲撃は溜めが長すぎるからか……?線や点の攻撃では無く面による攻撃を警戒したのか?それが術式に何かしらの不都合に繋がるのか?まさか
だとするとその制限は──‼︎
“ミドリは上‼︎アリスは30で下‼︎”
「「ッ‼︎」」
戦闘巧者の前で指示を歪曲して伝える、これ迄の付き合いにて構築された“先生への信頼”、二人は疑う余地も無く既に天井と床を撃ち抜いていた、天井と床の爆散により二重の煙が通路を埋め尽くす。
「煙幕のつもりか?洒落臭ぇ真似しやがる」
──まぁこっちとしてもあいつらの手札を考える時間が──。
瞬間脳裏に過ぎるのは
『先生の分析能力を甘く見てはいけない』
当時はそこまで気にしていなかったが今その本人と対決してる状況に立ち、
──今アイツらに考える時間をやるのは不味い‼︎
ネルは自身の最高速度で目の前の煙の壁を突っ切った、考える暇も隙も与えない迎撃の構えだ、煙を抜けた先に居たのは
──突っ込んで来る場所を予測しての構えか‼︎だがその程度の狙撃なら見てから躱せ──いや待てもう一人のチビは何処に──‼︎
ネルの思考より先に上部から重い衝撃が襲い掛かる、それだけで何が起こったかを察知するのに十分だった。
──コイツ‼︎てめえ自身の握力と腕力で天井に引っ付いてやがったな⁉︎よくよく考えてみたらあの馬鹿でかい武器を振り回して反動にも耐えられるんだ、それぐらいできて当然か‼︎
“やっぱり、
「「──ッ‼︎」」
次いで知らされるのは己の術式の解析完了の知らせ、この時点で彼女はこの一連の流れは誘われた物だと悟る。
“最初ネルはゲームの加速チートの様に自由自在に早く動けるんだと思ってた、だけどそれは違った、もしそうならモモイとユズを真っ先に倒す必要が無い、俺ならアリスから倒しにかかる、でもそうしなかった、なんでモモイとユズだったのか、モモイとユズの間にはミドリも居たのにそっちには目もくれずモモイの後にユズに向かった、二人の共通点、それは面に攻撃やその残滓が残る事、それはネルの加速にとって何かしらの障害になり得たんじゃ無いのか?単純な攻撃のミドリと溜めが長すぎるアリスは加速中ならあまり警戒しなくて済むからね”
──マジかよコイツ、この短時間であたしの術式の効果を一部理解したってのか、どう言う頭してやがる⁉︎
「続けろよ、アンタの答えを最後まで聞いてみてえ」
“まだ推測の域を出ないけど……ネルの加速はゲームの加速チートの様な物では無く、ある種の制限がある物、その制限は……決まった動きを後追いするって所かな?それなら納得は行く、加速する為の助走も無く滑らかな動きになる訳でも無く一瞬で視界から消えるんだから、予め決めておいた動きを実際に後追いする事で規格外の加速を実現させている……そんな術式かな?”
「アニメや漫画みたいな術式って事ですか?」
“そうだね、それこそアニメーションやパラパラ漫画を更に細分化した様な術式だと思う、まだ確定では無いけどね”
──問題はその動きに必要な枚数だけど……そこまではまだ断定できないな。
「あん?なんだ知られてるかと思ったが、アンタらあたしの術式知らねぇのか、術式の共有はされてるものかと思ってたが」
“生憎とウチの生徒はかなりのスパルタでね、自己成長を促されてるんだよ”
「ふぅん?ご立派な事で何より」
──それだけだと70点って所だが……あたしの術式の大半が割れた、となるとこれ以上隠してても意味ねえな。
美甘ネルは自身の術式の開示を決意する。
「あたしの術式は自身の視界内をカメラに映る映像っていうの?なんて言えば良いんだか……」
“画角の事かな?”
「そうそれそれ、その画角にあらかじめ動きを作ってそれを後追いするんだ、さっきアンタが言った規格外な速度を出せんのはこれのおかげだよ、だけどなこの術式は
ネルが瞬時に加速しアリスに触れる、その瞬間にアリスが平たいフィルムの様なものに包まれ平面体になる、その中のアリスは動くことができない様だ、ネルはそのアリスをフィルムごと強く蹴り飛ばす。
「アリスちゃん‼︎」
“今のは……動きの強制によるフリーズか‼︎”
──恐らくは決められたフレームの中で制限時間以内に動きを作らないと加速は発動しないんだ‼︎使った動きは途中で修正可能、ってのは猶予時間的に考えにくいな、過度な物理法則や軌道を無視した動きの後追いも無理だろうな、そしてフリーズは自分自身も含まれる、それをネルは自身の天才的な戦闘センスと運動能力で補ってるのか‼︎
「肉体損傷率27%……まだまだ戦えます‼︎」
「おいおいおい、今のはかなり強く蹴り込んだぞ?なんで無事なんだよ」
──って言うかあのチビに対しての攻撃だけ手応えが妙だ、ダメージは確実に通ってる、だが100%の威力が通ってる訳じゃねえな、どう言う理屈だ?
「アリスは勇者なんです、勇者は何があろうと、どんな事があろうと最後まで諦めずに自分の足で立って戦わないといけません、勇者の敗北はパーティの崩壊を意味しますから、だからどんな窮地に陥っても、絶対に勝てないであろう相手であっても
壁から這い出て構えを取るアリス、その姿に美甘ネルは魅せられていた、際限なく噴き出て上昇していくその出力に、“キヴォトス最強”神将マコラの姿を重ねて。
長くなるんで分割します、アリスの術式の詳細は次回。
【最終決定】IF世界線のマコラ
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アビドスIF
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ゲヘナIF
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トリニティIF
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ミレニアムIF
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アリウスIF
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ゲマトリアIF