「モモイ‼︎ミドリ‼︎ユズ‼︎見てください‼︎C&Cの皆さんに作ってもらいました‼︎メイド服です‼︎」
「「「ヒィッ‼︎」」」
アリスがメイド服を着てゲーム開発部の部室に入って来て三人に着姿を見せている、尤も三人はC&Cとの戦闘でトラウマになったのか隅で震え上がっているが……
“完全にトラウマになっちゃったねぇ……これ治癒出来るかなぁ……大丈夫?”
「わ、わたし、しばらくメイド服は見たくない‼︎」
「わ、わたしも……」
「身体の傷は治せても心の方はもう少しかかりそうだな、流石に心理的な傷は
他者の傷を治せるマコラであっても精神面の方までは無理みたいだ、まぁ当然か。
「あ、そう言えば壊しちゃった建物に関してはどうなっちゃったんですか?」
「あぁ、事前にリオからあそこでなら暴れていいって事前に言われてたからな、全て事故、若しくは訓練の際に生じた物として処理するんだそうだ、可能な限り修繕もしたしな」
マコラはあの戦闘の後ミレニアムの生徒会セミナーへの負担を可能な限り減らす為に自分自身で瓦礫の撤去や修繕を行なっていた。*1
「本当⁉︎よかったぁ〜‼︎弁償代として部費は諦めてた所だったんだ!」
「あぁ、後ついでにネルから伝言を貰ってる、『またやろう』……だそうだ」
「「「ヒィッ‼︎」」」
「あ!みんなが怖がってます‼︎今度は勝ち切ってみせます‼︎」
アリスが腕を捲りフンスフンスと息巻いて打倒ネルに燃え上がっている、三人と違いアリスはネルに対して一切の恐れを抱いていない様だ。
「張り合おうとしないで⁉︎あの人達と戦うの本当にもう嫌なんだから‼︎ところで……」
「うん……ミレニアムプライス、始まったね」
ミドリが話題を切り替えてユズの発言で皆の視点がテレビ画面に集中する、もう時期にミレニアムプライスが始まり、ゲーム開発部の命運が決まるのだ。
「もし受賞したらクラッカー鳴らそっか、でも、もしそうじゃなかったら……」
「……すぐに、荷造りしないとね、私たちはさておき、ユズちゃんとアリスちゃんは……」
ミドリのマイナスな発言に部屋の空気感が少し暗くなる、困ったな、こう言う雰囲気は好きじゃないんだよ。
“始まる前から失敗した事を考えるのはやめよう、気持ちはわからなくはないけどね”
「うーん、アリスは最悪シャーレで保護できるとして、ユズはな……コレばかりは努力が身を結ぶのを祈るしかあるまいよ」
マコラの発言が終わると同時に画面が変わる、画面に映ったのはエンジニア部のコトリだ、司会進行の仕事好きそうだもんなこの子。
『これより、ミレニアムプライスを始めます!司会および進行を担当するのは私、コトリです!今回は、これまでのミレニアムプライスの中でも最多の応募数となりました、おそらくは生徒会の方針変更により、部活動維持のために【成果】が必要になった影響かと思われます!』
母数が多いのか、これはちょっと厳しい戦いになりそうだ、その分ぶち抜いた際の成果の大きさは例年と比べるべくもないだろう。
「……コトリちゃんたちの方も、無事だったみたいだね」
「エンジニア部は元々、ミレニアムの中でもかなりの功績が認められてる部活なこともあったし……でも、本当に良かった」
“まぁ、アカネが壁をぶち抜いて直ぐに私たちの方に向かって来たらしいからね、多少の怪我はあれど活動に支障はなかったらしいし”
「うん、ところで、最多の応募って……」
「それはちょっと困るなぁ……」
「そうか?」
モモイとミドリの2人が応募の数の多さに頭を悩ませてる中マコラがその2人の発言をぶった斬る発言をする。
「最多の応募数なんだろ?ならその状態で受賞しちまった暁には、過去類を見ない、それこそ覆すことの出来ない成果になるだろう」
「それは……」
「そうなんだけど……」
「面白いゲームではあるんだ、胸を張れ、制作者のお前たちが自信を持たないとどうすんだ、造った本人達が不安がるんじゃない」
「はい!みんなで造ったゲームは間違いなく神ゲーです!胸張って結果を待ちましょう!」
「……うん!」
マコラとアリスの発言により元気を取り戻した皆は再び食い入る様に画面を見つめる。
『昨年の優勝作品であるノアさんの【思い出の詩集】は、本来の意図とは少し違ったようですが……その形而上的な言葉の羅列が、ミレニアム最高の不眠症に対する治療法として評価されました、今回も、【歯磨き粉と見せかけてモッツァレラチーズが出る持ち歩きチーズ入れ】、【ミサイルが内蔵された護身用の傘】……【ネクタイ型モバイルバッテリー】、【光学迷彩下着セット】、【ちょうど缶一個なら入る筆箱型個人用冷蔵庫】……そして!今キヴォトスのインターネット上でセンセーションを巻き起こしている、スマホでマルチプレイが楽しめるレトロ風ゲーム、【テイルズ・サガ・クロニクル2】などなど!今回出品された三桁の応募作品のうち、栄光の座を手にするのは、たったの7作品!』
ゴクリと唾を飲み込む音を響かせたのは誰だろうか、そんな緊迫感が部室内に迸る。
『それでは7位から、受賞作品を発表します!7位はエンジニア部、ウタハさんの【光学迷彩下着セット】です!これは身に付けてもその下の素肌が見えてしまうため、着ているのかそうでないのか分からないというエキセントリックな作品ですが……露出症の患者さんが合法的に趣味生活を営めるようになるという点で、大変高い評価を……その評価をした審査員が一体誰なのか、気になってしまいますね!とにかく7位!』
「ふぅー……まっ、私たちのゲームは7位にはふさわしくないよね」
「何目線だよ、って言うかアイツはアイツでなんて代物を作ってんだ、需要があることにも驚きだが」
“まぁ、完全に無価値のものってそうないから……”
『6位!この製品は……‼︎』
結果発表の内容に緊張しながらもコトリの説明もあってか私はかなり食い入る様にこの発表を見ていた、続いて5位、4位と発表されて遂にベスト3の発表に入った、ここまででまだゲーム開発部の名前は上がっておらずそろそろみんなの心臓がもたなくなって来たようだ。
『さあ、ここからはベスト3です!栄えある第3位に入賞したのは‼︎ゲーム開発部の【テイルズ・サガ・クロニクル2】となりました‼︎』
「え……」
「ほう」
“へぇ”
「「「えええええ⁉︎」」」
テレビの音量に負けないくらいの声量が部室内に響き渡った、聞き間違いではない、コトリは今間違いなくゲーム開発部が造ったテイルズ・サガ・クロニクル2の名を第3位として発表したのだ。
『なんとミレニアムプライス始まって以来初となる、ゲームソフトの入賞です‼︎ゲームの内容は勿論、奥が深い世界観やプレイヤーによって解釈が変わるストーリー考察等々、様々な要因を持って今このキヴォトスに於いて急上昇な話題を持っており、噂によればかの“キヴォトス最強”のあの人もこのゲームをプレイしていると言う情報がSNS上に普及し、元来ゲームをプレイしてこなかった人も新しくゲームを始めるきっかけにもなっているのだとか‼︎とにかく3位!おめでとうございます‼︎』
“だってさ、良かったね”
「や……やったあああ‼︎入賞出来たあああ‼︎」
「本当に入賞できたんだ……‼︎私たちのゲームが……‼︎」
皆は感激のあまり涙を流し抱き合っている、それほどまでに成し遂げたことは大きいのだろう。
“一応聞いておくけど……”
「馬鹿言うな、
因みに本当に栄えある一位を取ったのは新素材開発部が作ったと言う素材だったが、生憎頭の出来がここの生徒並に宜しくないので全く理解できなかった、畜生。
この後ユウカがやって来て心からの祝いのコメントを寄越してくれたりして、ゲーム開発部ひちょっとした宴会ムードになった。
“とにかくこれで……廃部はないって事でいいんだよね?”
「はい、ここまでわかりやすい成果を残しましたから、ゲーム開発部は存続可能な部活になりました、特別賞でもなんでもなく本当に入賞するなんて、発表されるまで不安でしたけど……何かカラクリがあるんです?」
“簡単な事だよユウカ”
“自分達が作る作品を心の底から楽しみにしてくれる人がすぐ近くに居てくれた、それは物を作る人にとっては何よりのモチベーションに繋がるんだよ、勿論皆が制作に本腰を入れる為に背中を押したユウカの存在もあると思うけどね”
「成程……案外そう言う物は馬鹿にできませんからね、とにかく先生、今回はあの子達の味方でいてくれてありがとうございます、私はその、
“まぁ、
「……先生、あの子たちの事、お願いしますね」
“……俺としては全生徒の味方でありたいんだけどね、まぁ可能な限り頑張ってみるよ、そろそろ戻るね”
ユウカのあの発言は、かなり含みがあった、俺たちが必死こいてる内に裏で何か動いてるのだろう、まぁ十中八九アリスの事だろうが……一難去ってまた一難……って所かな、頭が痛くなるねぇ……久しぶりに俺もゲームに耽るかなぁ。
これにてパヴァーヌ前半は終わりです、合間に二つほどイベストを挟んで後半(2章)に入ります。
ゲーム開発部の作品が首位に入賞出来たのは原作よりも開発に掛ける時間が多かったのともありますが大体先生が説明してくれたことが全てです。
創作者にとって自分自身の作品を心待ちにしてくれる人がいるってのは最大のモチベになりますので。
【最終決定】IF世界線のマコラ
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アビドスIF
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ゲヘナIF
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トリニティIF
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ミレニアムIF
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アリウスIF
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ゲマトリアIF