「……クリア、異常無しです」
「こっちも問題ねぇ、後ろは?」
「大丈夫、マコラさんの見事な尋問によってルートも完璧だ……本当に、恐ろしい手口だった」
「まるで人を悪質な者みたいに言いやがって、話せば分かるいい奴だったじゃないか」
「いやあれはどう見ても悪の手口だったろ、アイツ最後顔真っ赤だったじゃねぇか」
「結果場所がわかったんだからそれでいいじゃねえか、あいつも良い思いしたんだしwin-winだろ」
それにしてもプレイラウンジか、面倒な場所に行き着く羽目になった物だ、無理を言ってでも先生を連れてくるべきだったか?いやダメだなアイツは変なところで真面目だからここの決まりについてはあんまり良い顔はせんだろう。
「結局聞きそびれてしまったけれど、この【プレイラウンジ】というのは……?」
「案内図に書いてあった通り、この中央にあるやたらとでけー部屋の名前だろ?」
「いや、それはわかってるけど……」
「何をするための部屋なのか、ということでしょう、確かに、そういう意味では私もはっきりとは分かっていませんが……マコラさん?」
「まぁ極端に言えばゲーセンだよ、少しギャンブル色が強めという脚色が付くが、例の馬鹿が発行したっていう債券もここに行ってるんだろう、ここの規則はかなり特殊だからな」
「まぁなんだって良いだろ、やることはいつも通りだ、ここがどんな場所でも関係ねぇ、とにかく突っ込んでって、アイツを捕まえる、いつもとやることはほぼ変わんねぇ、だろ?」
「そうですね、まあ基本的にはそうするしかなさそうですし……付け足すとすると、今回はせめてそれを出来るだけ、静かにやるくらいで、そもそも、色々と手順が狂ってしまいましたし……」
そりゃあもうド派手に爆破したからな、既に事後処理の件が面倒な事になっているんだがこいつら理解してるんだろうか、白兎の所為にしてやろうか。
「ではあらためて、あくまでも今回の目標は【白兎】です、【プレイラウンジ】に入ったら、それぞれバラバラになって彼女を捜索、見つけ次第連絡してください、速やかに制圧して、即座にこの船を抜け出しましょう、煙幕弾と閃光弾、それ以外は使わない様にしましょうか、ことを大きくすると怒られてしまいますから、それから、むやみな戦闘は無しで、警備の方々を片っ端から倒す、なんてもっての外……こんな感じで行きましょうか?」
そうなるとかなり制限を掛けられるな、となると大規模な術式を行使した戦闘はあまり望めない、有事の際には神秘による身体強化によるコンパクトな攻めに回らざるを得ないか。
「はぁ、めんどくせぇな……」
「無理ならやらなくて良いぞ」
「うるせぇなぁ!あたしを誰だと思ってる、それくらい朝飯前だ!」
「じゃあ、始めよう」
はぁ、プレイラウンジか……過去に数回仕事で足を運んだ事があるがここの雰囲気には慣れんな……お、ネルのやつラウンジガイドに絡まれてる、ウケるな、まぁあんなに物珍しそうに見てたらそりゃ絡まれるか、他の奴らは……特に問題無さそうだな、今の所うまくやってる、で、どこだよアスナ。
……まぁコユキの目的は此処の最上級の【Sランク】を獲得して追手から匿ってもらうのが旨なんだろうが、そんな上手く行かねえだろ。*1
「ぐあああああっ!!」
あぁ、また夢悲しくも散って行った兵たちの悲鳴が……
「ダメだー!またC止まりだよ!」
「よ、ようやくBが出た……」
「え、Bでたの⁉︎BはCと違って、カレーに唐揚げ添えてくれるんでしょ⁉︎」
なんだその地味にありがたいけど手放しで喜べない内容の昇格は、コイツらそんな事に金を溶かしてんのか……?て言うかCに行けるだけ素直に凄えと思うんだがな
「これAになるとどれくらいのもんなの?相当サービスが良くなる感じ?」
「まあ、確かにBより全然良いかな、それでもSランクに比べると大した事ないよ、噂だけどSランクの【VIPチケット】があると、この船における校則を全部無視できるとか……」
「校則を無視……?そんなんアリ……?」
大マジだよ、過去に
『うーん……コツというか何というか……私ってこの手のゲームで30回以内に大当たりが出なかった事がないんだよね』
心底ふざけんなと思ったよ、どんな薄い確率すり抜けてんだアイツ。
しかしまぁなんだ、いつか教えられたな、こういう賭博に来るやつは大概【ここで人生変えてやろう】っていうある種の“熱”に浮かされてる。
“熱”に浮かされるが故に人は判断を誤り転落人生を歩む事がある、しかしその“熱”がなけりゃ人は恋一つできないと言う。
それが証拠にこのアナウンス……ランクの昇格が起こる度に発生してそれを聞いた奴らが【ならば自分も】とさらに熱狂して金を落としていく、そりゃあこの社会大きく張れる奴は大成する事はあるが、それと同時に引き際を弁えない奴は一生食い物にされる、まぁコイツ等自身が望んでやってる事だ、助言なんてしてやらねえが……
お、見つけた、向こう側にネルも居るな、どうやら向こうも見つけたらしい、それにしてもアイツが黒崎コユキか……凄え熱中してんな。
「やっはーー!今日はまあまあ悪くない感じ!じゃあ今日はこの辺で勝ち逃げ……いや、この勢いならもう少し行けるんじゃ……」
勝ってるならそこで辞めたら良いのにな、身の丈に合わない欲を求めだすと人間は破滅するものだ。
「よし、行くよ‼︎頑張れコユキ、行けるよコユキ‼︎自分の力を信じて!伝説のSはきっともう目の前に……‼︎」
なんて典型的な思考なんだ、こりゃダメかもわからんね。
「……え、Bじゃん、要らないんだけど⁉︎ねーなんでぇーーーー⁉︎信じらんない、今日いくら入れたと思ってんの⁉︎そろそろ確定でSが出ても良くない⁉︎」
良くねぇよ、賭博に天井がある訳ねえだろ常識的に考えて、て言うかいくら入れたとかほざいてるがお前それセミナー名義で発券した金だろうが、どれだけカスな事やってんだコイツは。
「一体いつになったらVIPになれるのさぁ‼︎もう待てないんだけどーーーー‼︎!」
おいおいおい、台パンし始めたわアイツ、ツキに見放され掛けてんじゃねえか、ウケる。
「ちょっ、ちょっとやめてください!機械を叩かないで……!出禁になりますよ!」
「うっ……す、すみません」
即咎められてるし、アホなんかなアイツ……お、ネルから通信、どうやら他のメンバーにも居場所が共有されたようだな、存外すぐに終わる仕事でよかった。
〔なんとなんと!こちらのアスナ様が、わずか10回目でAランクを獲得!おめでとうございます!この勢いで一気にSランク、VIPとなるのでしょうか?〕
何やってんだアイツ⁉︎目立つなってのを忘れてねえか⁉︎電光掲示板にどどんと表示されてんじゃあねえか‼︎て言うか10回で出したのか⁉︎Aランクを⁉︎いや待てそれは良い、今この状況でまずいのは……‼︎
「えっ⁉︎今のアスナ先輩じゃん⁉︎ど、どうしてここに……⁉︎って言うことは……もしかして……?」
マズいな……アイツとは顔が割れてない
「ちょっと警備員さん‼︎ここに侵入者!侵入者がいるよーーーー‼︎‼︎」
「なに、侵入者だと⁉︎」
まぁそうなるよな、だがそりゃ悪手だろう
「あそこあそこ!早く捕まえちゃって!」
「総員集合‼︎侵入者と思しき者共を確保せよ‼︎」
はぁ……結局こうなるのか、まぁネルの性格を考えたら持った方だろう、んじゃまぁ、戦りますか。
客としての権限で警備兵を(ある程度)自由に扱えるコユキに対し。
慣れない衣装で且つ100人以上の刺客を向けられた潜入組。
これって……
ああ、コユキの勝ちだ。