ブルアカアニメ始まってんじゃねーか。
因みにこの一ヶ月間先の展開の話書いてました。
皆がメイド服に着替え終わり、屋敷までやってきた私たちは揃いも揃って言葉を失い立ち尽くしていた。
“……想像以上に大きなお屋敷だね”
「い、今からでも断った方が良いんじゃないかな⁉︎」
「……ここまで来たのに?」
積み重なった現実に耐えきれずとうとうユズが気絶してしまった、でも分かるよ、私もここまで大きいと思ってなかったし。
「えっ、ユズちゃん?……ユズちゃん⁉︎」
ミドリが倒れたユズを起こしてる最中に奥の方から人影……いや犬だから犬影でいいのか?とにかくこちらに向かってくる。
「ようこそ、皆様、お待ちしておりました、約束の刻限通りにお越しいただけるとは……感謝申し上げます」
「あ、あなたが……その、依頼主さんですか……?」
“【お掃除】の依頼だと伺いましたが……詳細を教えていただけますか?”
一先ず依頼人と依頼の詳細を確認しないとな……現段階では白か黒かも分からん。
「なるほど、早速本題に入ってほしい、と、お忙しい中、これはこれは大変失礼を、私は美術商を営んでおりまして、コレクターから買い取った品を管理し、オークションを通して再度流通させる、所謂セカンダリーをしております、そこで、次のオークションに、とても貴重な作品が並ぶ予定でして……参加者の護衛と美術品の警備をお願いしたく」
「ちょ、ちょっと待って⁉︎私たちは【お掃除】の仕事って聞いたんだけど……⁉︎」
「仰る通り、私は【お掃除】と申しました、ですがC&Cにおける【お掃除】とは、エージェントとしての活動を指す──そうでしょう?《リトルタイラント》──いえ、C&Cのリーダー、美甘ネル様」
あー……成程、通常の部活への掃除の依頼ならモモイの想像通りで正しい、だけどC&Cに対しての掃除の依頼ならそういう解釈になる、て言うかモモイがネルと間違われてんのか、《リトルタイラント》ってなんだよ、うける。
(そ、そうだったの⁉︎)
(私が知ってるわけないでしょ、お姉ちゃん!)
(ど、どうしよう……⁉︎どうしよう、どうしよう、どうしよう……!)
(とりあえず落ち着いて!……今はこの状況を乗り切らないと!)
「は、はい!たしかに、その通りではありますが!」
“事前に詳細を教えてくだされば、まだこちらの準備も……”
「その点に関しては、失礼いたしました、ですが、C&Cの皆様は、秘密エージェント……公衆の面前で込み入った話をしては、余計な誤解を招くのでは無いかと、限られた期間で、話し合いの場を設けるのも難しいと判断した次第です」
うーん、C&Cの機密活動が裏目に出た感じだな。
「ともあれ……屋敷までご足労いただき感謝いたします、こうして私たちが出会えたのも何かの縁ではございますし……ほんのお願いなのですが、噂に聞くC&Cの実力を直接お目にかかりたく存じます」
「「「「‼︎」」」」
「なんでも、C&Cの皆様は、それぞれの分野で特別な実力をお待ちとか、もちろん、全てを披露してほしいなどと、図々しい事は申しません、皆様の本当の実力は、【お掃除】の現場でこそ発揮されるものでしょうから……しかし、その実力の一旦を見せていただく分には問題ないかと」
(やっぱり本当の事を話そうよ、お姉ちゃん!)
(待って、ミドリ!そんな事したらネル先輩に殺されちゃう!今の私たちはC&Cだと思われてるんだよ⁉︎)
(じゃあ、私たちで依頼をなんとかでからっていうの……⁉︎)
これはエンジニア部から授かったアレ等を使うしかないようだね、念のため渡しておいて良かったよ。
(そうだよ、ここら、私たちの力でなんとかしよう)
「さて、どなたからお見せいただけるのでしょう?」
依頼主の発言に対して出向いたのはアリス、その表情には自信に満ち溢れている。
「アリス、分かりました!これは転職イベントですね!アリスはC&Cのメイドにジョブチェンジします!」
「アリスちゃん⁉︎」
「アリス⁉︎」
不味いな、アリスのやる気は十分なんだが、それが術式にまで及ぶと流石にまずい、何が起こるかわからなくなるぞ、最悪思い描いた人物をトレース出来る位は想定しておいた方がいい。
「アリスのクラスは……」
そう言うとアリスは目を閉じ瞑想を開始する、イメージを固めてるな…
「今日のアリスの役割は……光属性の単体アタッカー……アリスは、今から遠くに見えるあの小さな岩を狙撃します!」
えっ、出来んの?
「ハアアアァッッ……‼︎出力20%……光よ‼︎」
アリスから放たれた光線はいつものような太い大雑把な物ではなく細く鋭い物、これにより威力は落ちるが連射性と精密な操作を可能とする。
あわや外れるかと思われた光線は途中で軌道を変えアリスの宣言通り、岩に命中した。
「お、おお……!あんなにも遠くの小さな岩を、一撃で……!これが噂に聞く、どんな標的も必ず命中させる狙撃手の実力……!成程、軌道を途中で変える事で自身の位置のカモフラージュも兼ねている……お見事です」
光線の操作……まぁ術式の副産物なんだけどかなり上達してきてるね、以前の戦闘はアリスを大幅に成長させた様だ。
「ありがとうございました、他の方の担当も気になるのですが……そちらの先ほどから静かにしている方は……?」
「ひっ⁉︎」
おっと、ここでユズが指定されてしまったか、此処はアレの出番だね。
(どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう……!)
“ユズ、くる前に渡しておいたアレの出番だよ”
(……‼︎そうだ、アレなら……‼︎)
ユズは事前に手渡されていた装備品を見て、自身もまた覚悟を決め、手の甲に備わっていた小さな玉を弾き、次の瞬間。
「動かないで、ください」
「うおおおっ⁉︎」
移動した瞬間も動いた所も見てなかったそれはまさに入れ替わり、側から見たなら突然ユズが瞬間移動したように見えただろう。
「これはこれは、驚かされました、まさか移動する瞬間すら見せずに私の背後を取るとは、そういえば……C&Cにはものすごい強運の持ち主で、いつの間にやら目の前に現れる潜入員が居ると聞いたことも、小さな体で任務をこなすのは、さぞかし大変でしょう、いや……むしろ、それを潜入に活かしている、という事なのでしょうね」
「では次……そうですね、冷静に戦況を把握し、皆をまとめる参謀が居るとも聞いておりますが……それは、貴女の事でしょうか?」
まぁミドリだろうな、まとめ上げる役はどっちかっていうとモモイの役割だけども。
「はい?えっと……はい、私が、参謀……」
「そして残るは……」
「……」
「……」
にらめっこすんな、なんか言えよお互いにさ、モモイも何ワクワクしてんだ。
「な、なに!言いたい事があるなら早く言って!」
「いえ、失礼、《リトルタイラント》──噂に違わぬその風格、改めて感服しました」
「ど、どういうことーー⁉︎」
“まぁ、《小さな暴君》ってある意味ピッタリだよね”
「確かに……」
「ちょっと⁉︎聞こえてるんだけど⁉︎」
モモイがこちらに対して怒り散らすが私達は全員顔を逸らす、仕方がなかった事だと思って受け入れて欲しい。
各々の能力確認も済んだところで、改めて依頼犬……明太郎氏に屋敷の案内を受ける、外から見ても大きかったが、中に入ると一段大きく感じる。
“この規模の屋敷であれば、防犯システムがあるはずですが、何故C&Cに依頼を?”
「確かに、屋敷の防犯システムは万全です、ですがそれでもC&Cの皆様にご連絡差し上げたのは……予告状が届いたからです──あの《慈愛の怪盗》から……!」
「「「「《慈愛の怪盗》?」」」」
慈愛の怪盗……記憶が確かならマコラが言及してた人物だな。
『アンタ、正式に就任する前にワカモに出会ったんだって?』
“ワカモ……”
『狐の面を付けてた奴だ』
“あぁ、彼女ね、軽く交戦した後撤退したらこの建物内に居て少し驚いたよ、軽く挨拶したらどこか行ったけども”
『まじか……ご愁傷さん』
“なにが?”
『朴念仁って事だ馬鹿、話を戻すぞ、今回の……
“成程ね……強いの?”
『強い、連邦矯正局では七囚人と言われてるが、そいつらは全員術式持ちだ、しかも鍛え、研ぎ澄まされている、下手な術式使いと同等視していては逆に狩られる、だからそいつらの案件は基本的にSRTの狐か、或いは
その七囚人の一人、慈愛の怪盗がここに来るのか……‼︎マズイな、マコラを呼ぼうにもあっちはあっちで別件で手が回らない、寧ろそれを突いて来たのではとすら思える、向こうの情報収集力はかなりのものと見て良いな。
「《慈愛の怪盗》はかの悪名高き《七囚人》の一人、本当の名は存じておりませんが……」
“七囚人の案件かぁ……”
「その通りです、《災厄の狐》と呼ばれるワカモは、現れるたびに辺りを焦土と化していきますが……」
何やってんのあの子。
「《慈愛の怪盗》は……ターゲットしたものは必ず盗んでいくことで有名です」
こっちもやる事やってんな、こんなんばっかか七囚人。
「《怪盗》っていうか……ただの犯罪者じゃん!それに変な名前!」
「お姉ちゃん……」
気楽だなぁ、これは本格的に面倒な案件になってきたぞぅ。
「ほう……《慈愛の怪盗》に対してそのような反応をされるとは……流石はC&C、ですが……《慈愛の怪盗》の所業は、到底無視できるものではありません、予告状が届いたが最後、どのような警備も無意味で、宝は奪われてきました……」
凄えな、アルセーヌ・ルパンかよ。
「もっとも、予告状があまりにも難解なため、盗られるまで何が狙われてるのか分からない、というのも大きいのでしょうが」
「パンパカパーン!クエスト内容の更新です、次は《慈愛の怪盗》と対決です!」
「その予告状……私たちも見て……良いですか?」
「ええ、もちろんです、こちらをどうぞ」
正確な2人。計り知れない20。そして半歩。
月の届かない場所。
止まったアンティキティラの裏側。
一度も授与された事のない。
贅沢であるが不遇な剣のもとへと伺います。
──慈愛の怪盗
もうこれ大分ポエムだよ、知って欲しいのか知られてほしくないのかどっちなんだ、これ書いた奴は。
「「「「これは……?」」」」
「《慈愛の怪盗》の予告状です、まずもって、これを読み解くのが難しく……にもかかわらず《慈愛の怪盗》は【堂々と予告状を送り、盗みを成功させた】と自らの犯行を流布するのです」
タチが悪いねぇ、読み解けない方が間抜けとでも言いたいのかね。
「ああ、何度読んでも分かりません、1日に22回、向き合う2人の旅人とは、一体何を指すのでしょう?」
「この屋敷に1日22回も顔を合わせてる人が居るって事じゃないかな?」
「何言ってるの、お姉ちゃん、そもそもどうやって顔を合わせた回数をカウントするの?」
「アリス、分かりました!この旅人たちはNPCのことです、クエストカウンターのNPCなら、1日に20回どころか、もっと会えます!」
「アリスちゃん……現実にクエストカウンターのNPCは居ないよ……」
「そんな事ありません!ユズは特定の場所に行くと会う事ができ、話をしたらクエストをくれます!」
“何やってんの、君たち”
「うぅ、完全に否定できないのが悔しい……」
“とにかく、1日に22回なら、大体1時間に1回のペースだね”
「1日は24時間だから、2時間は会わないんですね……」
“そこはもう寝かせてやれよ”
「24時間……もしかして……?すみません……明太郎さん、この屋敷に、アナログ時計はありますか……?」
「え、ええ……ホールの真ん中に、大きな壁掛けの時計があります……」
「少し……その時計を見ても良いですか……?」
「はい、それはもちろんです、もしかして、何か手掛かりが……?」
「ユズちゃん、何か分かったの?」
「私の考えが正しければ……この予告状は……」
そう言いだすとユズは皆をホールへと連れ出して行った、そして目的の物を見つけたのかそこで立ち止まる、そこには明太郎氏のいう通り大きなアナログ時計が掛けられてあった。
「やっぱり……!」
「ど、どうしたのユズ?時間ならスマホで分かるよ?」
「ううん、違うの、スマホ……というか、デジタル時計じゃ分かりにくくて……1行目と2行目の途中までは解読できたと、思う……!」
「「「‼︎」」」
いいね、流石数多のゲームをやり込んだユズだ、その中には脱出ゲームや推理ゲームといった少ない情報から答えを導くゲームもあったんだろう、いち早くヒントを見つけたか。
「えっ⁉︎どういう事⁉︎どうやって⁉︎」
「【1日に22回向き合う二人の旅人】は……たぶん、アナログ時計の短針と長針のことを言ってるんだと思う」
「ですがユズ、1日は24時間です、2回多いです!」
「そう……わたしも最初はそう思ってた、でもね、アリスちゃん、時計の針は午前と午後でそれぞれ11回……
「おおっ……流石はC&C、驚きの推理力!では、その続きも既に?」
「えーっと、【そして半歩、月の届かない場所、止まった舞とアンティキティラの裏側、一度も授与された事のない、贅沢であるが不遇な剣のもとへ伺います】だよね?」
「半歩、半歩……ここも時間の事だと思うけど……」
「半歩……半分……あ!もしかして30分の事じゃない?」
“成程、確かに30分になったら何時半と言うね”
「ユズちゃん、時計の針が重なる瞬間で30分前後になるのって何時か分かる?」
「それなら、5時27分か7時38分の間……かな?」
「つまり、怪盗はその時間に侵入してくるという事ですか?」
「でも【月の届かない場所、止まった舞とアンティキティラの裏側】が分かってないよ……これってどういう意味だろう?」
「アンティキティラ……アンティキティラ……んんっ⁉︎」
「何か、心当たりでもありましたか?」
「い、いえ何も!アンティキティラの裏側なんて、本当に突拍子もない話ですね、しかし……【授与された事のない、贅沢であるが不遇な剣】でしたら、心当たりがあります、おそらく……明後日から展示される展示品の事でしょう、こちらになります」
……何か引っかかるがまぁいいだろう、要警戒だな。
明太郎氏が取り出してきたのは三段積みの箱に乗った小さな王が配下である騎士に剣を授与している絵だ、正直なところ私にそっち方面の知識は疎い、アイツとやったスプレーアートの方がすごいんじゃねえかとすら思える。
「叙任式の絵です、主人から剣を渡される事で騎士となる光景を描いた1枚ですね、絵画に描かれた剣であれば、【一度も授与された事のない】に当てはまるのでは?そういう意味では【不遇】とも言えるでしょう」
「言われてみれば……?」
「……」
「こちらの絵画は、ちょうどオークションに出品予定の貴重な一品でして、お求めの方も多いはず」
そう言うものかね、コレクターの気持ちはよく分からん。
「嗚呼、この大切な絵画を狙うだなんて……皆様のお力が無ければ、何も出来ずに奪われる様をただ見ているだけでした、狙われている品も判明したことですし、皆様にはこちらの絵画を全力で守っていただきたく……」
「え?他にも貴重な物があるんじゃ……?」
「いえいえ!予告状の謎は解けたのですから、後はこれを守っていただければ!はっはっは、間抜けな《慈愛の怪盗》め……まさか奴も、これほど優秀な皆様がいらっしゃるとは、夢にも思わないでしょう!」
「あはは、そ、そうかな?」
「でも……」
“シッ、ミドリ、君の懸念点は多分正しい、でも今は胸の中にしまっておこう、推理は怠らずに……ね?”
「……‼︎分かりました」
さっきからの不自然なこの反応……こいつ何か隠してやがるな?しかも後ろめたい物で明らかなにされるとかなり不味い物と見た、かなりアウトよりだが、今はグレー判定にしておこう。
「お、お役に立てて……何よりです……」
「クエストクリアです!次は絵を守る連続クエストですね!」
「そして大変恐縮なのですが、皆様に追加でお願いしたいことがございまして……」
「……なんでしょうか?」
「明日から三日間、この屋敷の警備をお任せしても良いでしょうか?」
「構いませんが……もし、予告状の解が間違ってたら?」
「もちろん、怪盗の狙いが別にある可能性も否定できません、ですが、皆様が捕らえてくだされば良いだけのこと、《慈愛の怪盗》は神出鬼没で有名ですが、C&Cの実力の前では赤子も当然、はっはっは、そうですよね?是非ともお願いします、報酬は十分にご用意しますので……そうですね、コレくらいでいかがでしょう?」
そう言って差し出されたのはあり得ない位の金額、少なくとも学生のうちでもらうには少し多すぎる位の量だ。
(ほ……本当に、こんな金額を……?)
(1人1台、最新のプライステーションPro7に……ZBOXシリーズZも買えちゃう!いやいや2台ずつ買ってもお釣りがでるよね!ど、どうしよう?ミドリ⁉︎)
(私に聞かれても!)
不味いね、あまりにも大きすぎる金額でだいぶ混乱してる、ここは一先ず落ち着かせないと……
“一度、私たちだけで話し合っても良いでしょうか?”
「ああ、これは気が利かず失礼を、それでは、私は席を外しておりますね」
……ふう、一先ず落ち着く時間は作れた、一つ一つ得た情報を整理して考えていかないと。
トキが居ない分外付けの術式で補っていくスタイル。
トキがいない理由?まだ出会ってないのもあるけどこの世界のトキはちょっと強すぎるのでこういうイベントでは出さないです、申し訳ない