布瑠部の方陣は透き通る世界で循環する   作:Another2

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思ったより長くなりそうだな……

6/20 加筆した為に再投稿致しました。


白亜の怪猫─参─

 明太郎氏に退室願い、今私たちは今後の方針を話し合っていた。

 

「はああああ……ありがとう、先生、頭がパンクするところだったよ……」

 

「ど、どうしましょう、先生?【七囚人】だなんて、もう私たちの手には負えません……」

 

 まぁ確かに、本人の言葉が正しければ今回のこれは間違いなくマコラが出向く案件だ、正面から事を構えるにはこの子達では荷が重過ぎる。

 

「帰りたい……ロッカー……心の故郷……」

 

 今からでも呼び出すべきだろうか?彼女が今現在何処で仕事をしてるか定かでは無いが、緊急で呼べば文字通り飛んで来る筈だ、いやそもそもの話として何故私とマコラに別々の仕事を寄越して別行動にさせたのか?何かしらの意図を感じるな。

 そして今回の依頼主である明太郎氏……間違いなく何かを隠している、さっきの反応からして裏に何かあるのが見え隠れしている、問題はソレが何かはまだ分からないって所なんだが、まだ情報が少なすぎるな。

 

「みんな、どうしてそんな反応をしているのですか……?アリス、一体どうすれば良いのでしょう……」

 

“そうだね……まずは依頼をどうするか決めようか?”

 

 本音を言うのであればこの子達には辞退して欲しい、既にきな臭くなってきてるこの依頼にはすぐにでも離れて欲しい物なのだが。

 

「……依頼を辞退したら、一体どうなるんでしょうか……?」

 

「たぶん……依頼人は抗議すると思う、今になって嘘でしたなんて言ったら、ミレニアム全体の問題になるかも……」

 

 そこなんだよなぁ……私だけの責任になるならそれは喜んで受け入れるがこの子達やミレニアム全体に責任問題を問われて学校全体が不利な立場に陥って生徒達が困るのは絶対に避けたい。

 

「そ、そうなったらネル先輩も、絶対怒る……よね?」

 

「想像したくない……」

 

 直近で本人と戦ってるからな、その恐ろしさも増加してるのだろうね。

 

「ですがモモイ!これはアリス達に与えられたクエストです!一度受注したクエストは最後までやるべきだと、モモイが言っていました、なのに、破棄しても良いのですか……?」

 

「あ、アリス……!も、もちろんその通りなんだけど……!でも……私たちには荷が重いよ……」

 

 そう、今回の仕事はこの子達にとって荷が重過ぎる物だ、幾つかの秘策はあるにせよ根本的に危険な仕事であることに変わりはない、完全に予想外の展開だ、慈愛の怪盗がどのような人物かは分からないが、ゲーム開発部の子達だけでも無事にミレニアムに返さなくては、最優先はこの子達の無事、その為には極力戦闘は避けたい、穏便に済ませれるのならそれに越した事はない。

 

“時には、クエストに逆らう事も必要かもしれないね”

 

「先生?」

 

「それは……どういう?」

 

“何も怪盗と戦う必要はないんじゃないかってことだよ”

 

「戦わなくても、良い……?」

 

「私、先生の言いたいことが分かったかも!要は怪盗に何も奪われなければ私たちの勝ちって事でしょ?」

 

 そう、今回の目的はあくまでも盗品を守る事で慈愛の怪盗を倒す事ではない、勿論依頼主はそれを望んでいるのかもしれないがこの子達の安全か依頼の完遂かなんてもはや天秤に乗せるまでもなくこの子達の安全が最優先、前提として【慈愛の怪盗を倒せ】なんて依頼は受けてないわけだし、そもそもあの依頼主が既に大分きな臭い、どこで聞かれてるか分からない以上口には出さないが。

 

「もうここまできちゃったし、先生も一緒にいる、それに屋敷の防犯設備もすごいんでしょ?怪盗と正面から戦ったり、捕まえる必要はない、お宝を盗られなければ良いんだよ!」

 

 案外そう言うところで頭が回るよねモモイは、機転が効くと言うか。

 まぁモモイの言う通り、戦ったり捕まえる必要はない、宝を守り通せば良いだけ、懸念点があるとするなら怪盗の技術なのだが……モモイはあぁ言ってるけどまぁ十中八九潜入されるだろうな、幾ら最新の──それこそミレニアム製の防犯設備で固めたとしても怪盗は来るだろう、じゃなきゃマコラがあそこまで評価することはないだろうからね。

 

「たしかに、それならまだ可能性はあるかも……わたし達は……C&C相手に戦った経験もあるし……もっと凄い人も、知ってるから……それを活かせば……」

 

“……確かに成功したら報酬はもらえるかもしれない、でもリスクもあるよ?”

 

「はい……それでも、やります」

 

「じゃあ、決まりだね?」

 

「はあ……本当に大丈夫かな、まずいんじゃないの?色々とやばかったりしない?」

 

「大丈夫!私達ならなんとかなるよ!それに、これってC&Cに貸しを作るチャンスじゃない?本来は、C&Cが受けるはずだったんだし!」

 

「アリス、頑張ります!先生と一緒なら、アリスたちは無敵です!」

 

 無敵……ねぇ、随分と懐かしくて頼もしいこと言ってくれるじゃない、三十路前のおっさんにはとても眩しく感じるよ、決まりだね。

 


 

「……お気持ちは固まったのですね、引き受けてくださりありがとうございます、それでは先ほども申し上げた通り、3()()()この屋敷と美術品を守っていただきたく思います」

 

「3日間でいいんですか?」

 

「ええ、明日から開催するイベントの期間中だけで構いません、初日はゲストを集めてパーティを、2日目は美術品の展示、そして最終日に……美術品のオークションを開催する予定です」

 

 3日か……まぁオークションとかなんやらするならそれくらいの期日はあるか。

 

「……か、怪盗は、その3日のうち、どこかで来る……ということですね……」

 

「ええ、おそらく、初日はパーティー会場で給仕をしながら守っていただければと思います」

 

「えっ、給仕……?」

 

「ええ、木を隠すなら森の中と申しますでしょう?正体を隠して会場に紛れるには最適かと、ちょうど皆様は給仕に最適な格好をなされておりますし、念の為お伝えしておきますが……ゲストに怪盗が紛れ込んでいる可能性もあります、油断なさらぬよう、くれぐれもご注意を」

 

(何か、引っかかるような……予告状の解は、本当に合っているのかな……?他の可能性もありそうなのに……)

 

()()()()()()()()()、ね……確かにその通りだな、パーティーに展示観覧の二日間、裏で事を起こすには十分過ぎる時間だ、3日目に差し当たった時にはすでに全部終わらせる腹積りなんだろう、全く用意が周到だよ)

 

 考えを纏めつつ散策しているとアリスがモップで掃除しているのが見える、随分気合いが入っている様だ。

 

“お疲れ様アリス、お掃除頑張ってるね”

 

「もちろんです、先生!今のアリスはメイド勇者ですから!」

 

 聞いた事ないジョブ出たな。

 

“メイド勇者?”

 

「メイドと勇者を極めた先にある最強の存在です!最強と最強が合わさった上級職です!」

 

 最強と最強って、そりゃ無敵じゃないのか……?アリスにとってメイドって……あぁC&C(あの子達)か、教育に良いやら悪いのやら。

 

「ところで、先生はこんな遅くまで起きてて大丈夫なんですか?いのちを大事にしてくださいね、宿屋で寝ないと体力は回復しません……ですがアリスはへっちゃらです!モモイたちと、よく徹夜でゲームをしていますから!」

 

 おいお姉ちゃんズ、これは後でお説教が必要ですね……これはアリスの教育に悪影響ではないのかね。

 

“うん、ありがとうね、ならお言葉に甘えさせてもらおうかな、実は結構ギリギリだったんだよ”

 

「はい!掃除はアリスに任せて、先生は寝てください!もう朝になってしまいます!」

 

「アリスちゃん……そっちの棚を拭き終わったら、次はこっちをお願い出来る?」

 

「分かりました、ユズ!アリス、床拭きモードに切り替えます!」

 

 そう言って二人は向こうの掃除に向かっていった、アリスは元気だなぁ……私があの頃の年齢の時は確か……やめよう。

 

「ふぁああああ……」

 

「眠い……」

 

“みんな、こんな時間までお疲れ様……”

 

 とても眠そうにしているゲーム開発部だがそれもその筈この時間帯は特に警戒しておかなくてはならない、寝てる間に盗まれたとか間抜けにも程があるからな。

 

「あはは……5時20分から7時40分の間は、特に警戒してくれって言われてるからね……」

 

「ついでに掃除も頼まれたので、体を動かしている分眠気はマシな方ではありますが……」

 

「掃除分報酬に上乗せされるらしいから、不満はないけど……ね〜む〜い〜……」

 

 まぁ本来こう言う仕事する役柄じゃないものなこの子達……成長期の子供の睡眠時間は貴重なんだぞ、いや本当に。

 

 そうして予定通り開催されたパーティは私たちの予想を上回る混雑ぶりを見せていた、どう考えてもあの子たちのキャパを超えてる。

 

「おい、グラスが空いたままじゃないか、いつになったら注いでくれるんだ?」

 

「え?あ、ごめ……も、申し訳ありません、すぐにお待ちします」

 

「メイドの失態は主人の評判に直結するというのに、まったく何をしているんだ!」

 

 まぁ、こんな時こそ俺の出番なんだが、戦闘は出来ないけど、これくらいはしないとね。

 

「そもそも、雇われメイドとはいえ、基本の所作くらい学んだらどうなんだい?その辺のロボットの方がまだ優雅だよ」

 

 よく言うよ、ロボに給仕させたら人事不足だとか宣うだろうに。

 

「あの……申し訳ございません、お客様のグラスは、すでに注がれております」

 

「なにっ?そんなバカな、さっきまで確かに……!ほ、本当だ!いったい誰が淹れたというのだ……?音も気配も無かったのに……?」

 

(うそ⁉︎一体何が起きたの?)

 

(さっき先生があっという間に注いでたよ、先生って戦えないだけで本当は色々できるんじゃ……?)

 

 次は……アリスのカバーかな、人だかりが出来てる。

 

「うわーん!お客様が多すぎます!このままではアリス、スネイルみたいになってしまいます!」

 

「おい!こんな所に皿が落ちてるじゃないか!危ないだろ!早くなんとかしてくれ!」

 

 周りが見てない隙に自分で置いておいてよく言うよ、社会の厳しさも何も知らない成金が。

 

「も、申し訳ありません!ですが、アリスは今他のお客様の対応が……」

 

 その点アリス達は立派だね、術式を併用しながら一人一人自分の役割を果たしてる、文句を言われても堪えれてるのも流石だ。

 

「言い訳はそれだけか?わたしを誰だと思っているんだ!」

 

「う、うぅ……」

 

 いやまぁアリスがやってる事は真面目に珍しいから人目を集めるのは仕方ないかな……明らかに加速してんだもん、加速呪文すな。

 人にバレず事を起こすとか餓鬼の頃を思い出すわ、尤も当時やってたのは奉仕じゃなくても悪戯だけどな。

 

「ううぅ……申し訳ありません、お客様、少しお待ちください……アリスが分身の呪文を使えたら良かったのですが……あれ……?お皿が……どこにもありません」

 

「何を言ってるんだ?ここに……ど、どこにいったんだ⁉︎ぐぬぬ……パーティに文句をつけて、オークションで優遇を受ける計画が」

 

 アホくさ、そんな幼稚な計画成功させる訳ねえでしょ、そう言うのはもちょっと緻密に計画を練ってからやるんだな、さて次は、厨房かな。

 

「おい、一体何を作ってるんだ!こんな料理をお客様にお出しするつもりなのか?よく見ろ!これのどこが焼けてるっていうんだ?生焼けですらないぞ⁉︎そこのメイド、お前もだ!給料を貰ってるんだから、もっとキビキビ働け‼︎」

 

「わあぁっ……すみません、すみません!」

 

 あんたさぁ……仮にも料理長(シェフ)なんだからその辺の人材管理はしっかりしろよ人には向き不向きとかあるんだわ、適材適所って言葉をご存知ない?

 

「謝ってる暇があるならさっさと料理を持っていけ!せっかくの料理が冷めるじゃねえかって……あ?ここにあった料理……どこに行った?」

 

“既にお出ししましたよ、空いた皿も洗浄させておきましたので次の料理をお願いしますね”

 

「何だって?あの量を全部一人でか?」

 

“勿論、今の私は先生じゃなくて執事(仮)ですから”

 

「そ、そうか……よし、ホール班は交代で休憩に入って良いぞ!キッチン班は残れ!」

 

「先生……本当にどう言う人生送ってきたの……?」

 

“まぁ色々とね、休憩に行こうか”

 

 そんなこんなで私たちは昼のパーティをなんとか乗り切ったのだった。

 

 束の間の休息、私はここまでで収集した情報を元に様々な推測を立てては崩してを繰り返している、慈愛の怪盗の予告状の推察は勿論、明太郎氏がこちらに隠してる事も不明だ。

 

・まず両者が繋がっている場合(パターン)、無くは無いな両者が結託してマコラを削る事が目的ならばまぁ百歩譲って理解が及ぶ、だけどそれをして明太郎氏のメリットが少なすぎる、態々その為にC&Cに依頼をするのもなんかな……敵の敵は味方理論で手を組んだってのならだいぶ変わるんだろうし狙いがマコラではなくC&Cなら話は別だけど、まぁ繋がってるパターンは大分無いかな。

 

・次に怪盗と明太郎氏にそれぞれ真の目的があってその為に互いが邪魔な場合(パターン)、1番あり得るかな。

 前提として表の目的はフェイクで両者それぞれに目的があると言う物、明太郎氏のあの時の態度も怪しかったしね、本人はあの絵画を盗むんじゃないかと言ってたけどあの態度の所為で芋蔓式に怪盗の目的もズレ込んでくる、まぁ本当の目的はまだ分かんないしこれ以上は推測や予想の域を出ない、視野が狭まる行為は危険だ。

 

・最後に……これは本当に推測や予想の域を出ないけど、今回の一連の出来事を裏で誰かが事引いてる場合(パターン)、しかもこの場合事を引いてるのはミレニアムの生徒会長と言った連中の仕業ではないだろう、もっと何かこう、ドス黒い悪意が渦巻いているような気がする、もしそうならばこれらは事を起こす前の事前準備って所かな、そしてその事を起こす日は自然と限られてくる。

──エデン条約、その調印式の日。

 この日はゲヘナやトリニティの首脳陣が一箇所に集まり、その立会人として連邦生徒会長補佐のマコラがその場に出向くと本人から聞いた、正に事を起こすには絶好の機会と言える、ただまぁ本当に推測の域を出ないから片隅に留めておく程度にしておくのが正しいね、今は目の前の仕事を処理しないと。

 

 はぁ、やる事が多いねぇ……やり甲斐があると言われたらそれまでなんだけども。

 

 推測を脳内で巡らせながら休息をとっていると突然屋敷中の明かりが落ちた、マジか、もう来るのか。

 

“皆、いつでも動けるようにしてて、来るよ”

 

「は、はい!」

 

 突如の事態に皆がパニックになる前に冷静になる様促す、反面周りのゲスト達はてんやわんやとしている、まぁ気持ちはわからなくはないけどね。

 

「落ち着いてください!皆様、ご安心を、停電は一時的なものですから、すぐに復旧します」

 

「いえ、そうはさせませんよ──」

 

「誰だ……?」

 

 暗い部屋の中慌てふためくゲストたちの声を押しのけるようにしてその声はよく響いていた、新たな声、声からして恐らく生徒の物でこの声の主こそが──

 

──ある者は、こう言いました。

【価値ある物は、その手に収めてこそだ】と。

たとえ人目に触れぬまま……何年、何十年と経過し──いつしか人々から忘れ去られようとも。

しかし、それは本当に正しいのでしょうか?

美術品とは、広く知られてこそ、

その価値を証明できるのでは?

 

 凄え独特な喋り方してるな、こう言うのに毎回気合い入れる性質なのだろうか。

 

「まさか……!」

 

──ある者は(わたくし)盗人(ぬすびと)と蔑み

そしてまた、ある者は私を咎人(とがびと)と罵る。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

故に、私は──その名を受け入れました。

()()()()()()()()

そう、我が名は──

 

 言い終わると同時に屋敷の明かりがつく、声の発生源の方に──それこそ階段の方に目をやれば彼女はいた。

 

「慈愛の怪盗」




(戦闘以外なら)専門家に劣るがなんでもできる先生

意味深な事言ってますねこの怪盗
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