布瑠部の方陣は透き通る世界で循環する   作:Another2

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またもや本編からズレて幕間の話書いてる、思いついたネタは速攻で執筆するに限る、金次の方の秤の言葉を借りるなら“熱は熱いうちに”って奴。
今回のお話は9月なんでまだ先だけど月見の話でも、後ちょーっと甘い話を書いてみたかったんさ。
書けるから書く、書けないから書かないじゃなくて書きたいから書く、たとえそれがどれだけ拙くても、ひたすらに書き殴る。
そんな思いで書いてみた。


ガコンッ(6回転目)

 9月、まだまだ残暑が残る月だが猛暑奮う先月、先々月に比べればかなり過ごしやすい季節となる、それでもまだ熱中症の対策は必須な訳だが、それでも猛暑の終わりを確かに感じさせる季節だ、早ければ後二、三週間もすれば赤い紅葉が見れる所も出てくるだろう、つまり秋の季節だ。

 

 さて、秋といえば色々ある、食欲の秋、運動の秋、読書の秋、其々な秋がある、生徒の皆には様々な秋を謳歌して欲しい物だ、青春の日々はあっという間だから、せめてこう言った季節のイベントだけでも楽しんでほしい。

 等とおもいながら私は今日も書類の仕事をする、私の秋?言わずもがな書類の秋だ、然も処理する方の、と言っても私にとっては年中書類と睨めっこな訳だが、これも仕事、これが仕事、ならばやらないわけにはいかない、今更苦ではないし手慣れた物だ、ただ──。

 

“ちょーっとばかし、休息が必要かなぁ…”

 

 いつしかマコラに言われた事がある。

 

先生(とも)よ、仕事というのは体が資本なのだから健康の管理を怠るな、日々届く書類の山を捌くスピードの向上、見事な物だ、加えてどんな時だろうと冴え渡る指揮能力……正直に言うとアンタに畏敬の念を感じざるを得ない』

 

“ハハ……そりゃどうも”

 

『だからこそだ、自分の身体を最優先に考えるんだ、アンタの代わりは居ない、アンタが倒れたらその瞬間にシャーレという組織は機能不全を起こす、アンタは今やキヴォトスの心臓に等しいからな』

 

“大袈裟だよ”

 

『Non、大袈裟なものか、アンタに想いを馳せる生徒がどれだけいると思ってる、かく言う私もその一人な訳だが、アンタが体調不全で倒れたと知ればその波紋は即座にキヴォトス全域に広がるだろう、そうすれば三大校のTOP達は慌てふためきその様子を見た下部の人間が更に慌てふためく、次第に学区全域に広がり、そして遂にはキヴォトス全域へ……』

 

“拡大解釈しすぎじゃない?私が倒れただけでキヴォトス全域が混乱なんて”

 

『するとも、少なくとも“先生”と言う抑止力が一日二日、或いはそれ以上機能しなくなった、と不良グループや暴力組織に広まったらそれだけで馬鹿共は動く、能無しとはそう言うものだからな』

 

“あー、つまりそう言った始末や処理が面倒だからちゃんと休んでって事?”

 

『うむ、健やかな肉体と精神を持って初めて健康人と言えるのだ、だがまぁ何も仕事をするなとは言わん、せめて休憩時間は取れ』

 

“分かったよ、ありがとうね”

 

『ンン……』

 

 なんてやりとりもしたなぁ……それからと言う物マコラがちゃんと休んでるのか、ご飯は食べてるのか、書類仕事ばかりで運動不足が祟ってないかとか聞かれるようになった、彼女はいつから私の母親になったのだろうか。

 

ピロンッ

 

 あれ、マコラからのモモトーク、珍しい事もある物だ、内容を確認してみようか。

 

 

【先生、今少し良いか】

 

【うん、全然構わないよ、何かあったかい?】

 

【いや別に、たいした事じゃないんだが…】

【今日の夜、空けておけ】

 

【それはまた急だね】

 

【返事は?】

 

【勿論良いよ】

《マコラの絆ストーリーへ》

 

 その日の夜、私は仕事を終わらせマコラが来るのを待った、マコラが此処にくるのは結構久しぶりだ、前に来た時は乱雑にドアを開けられた、まぁ壁をぶち抜いたりドアをぶち抜かれるよりは全然マシなんだけどね、と言うか本当に何の様だろうか、誕生日?誰の?私?いや季節違い、マコラの?先月行ったばかりだ、仕事に忙殺されて忘れかけてたけどあの時のマコラの拗ねっぷりはやばかった、私より仕事が大切なのかとか言い出した時は全力でお祝いしてやった。

 ってのもあって互いの誕生日関連ではないはずだ、じゃあ何の用で……いやちょっと待て、そもそもなんで用がある前提で話してるんだ、何の用がなくたって来てもいいだろう、いつからシャーレは用がなければ来てはいけない程厳かな場所になったのか、生徒が気軽に来れる場所、此処はそう言う場所なんだから、それでいいだろうに。

 

(コンコン)

 

 ッノック⁉︎

 

“どうぞ”

 

(ガチャ)

 

「待たせたか?先生」

 

“いいや、ついさっき仕事が片付いた所さ”

 

「そうか、ならいい……が、何だ鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしよって」

 

“いや、四回目にして漸くかと思ってね”

 

「中々言うじゃないか、まぁ流石にな……それはそうと……アンタ夕餉は済ませたのか?」

 

“いや、まだ済ませてないよ、何か作ろうか?”

 

「ンン……中々魅力的な提案だが今回は私が作る……いや、一緒に作るのもいいな」

 

“ハハ……じゃあ一緒に作ろっか”

 

 そうして私たちは夕飯の支度に入った、献立は旬である秋刀魚を塩焼きにして、栗を使った栗ご飯と味噌汁、あとは季節の変わり目なのもあって体調を崩さない為に生姜をふんだんに使った豚肉の生姜焼きと千切りにされたキャベツとポテトサラダの盛り合わせ……すっかりご馳走だ。

 マコラの料理の手捌きは見事な物だった、戦術の一つに剣があるからか包丁の扱いが慣れている、尤も剣と包丁じゃ勝手が違うが……ご飯が炊けた様だ、炊飯器の蓋を開けると炊き立てのご飯と栗の甘い匂いが合わさって食欲を唆られる良い匂いだ、水分を飛ばす為にかき混ぜ蓋をし少し蒸す、そうすれば更に美味しくなるから、いつ頃だったか習慣になっていたこの手順、母の知恵の賜物だろう。

 料理を皿に盛り付けていきテーブルに運ぶ、此処までずっと共同作業だ、まるで夫婦みたいだな……なんてほんのちょっぴり思ったり。

 

“さて、頂こうか”

 

「あぁ、冷めないうちに……な」

 

“「いただきます」”

 

 そうして私とマコラの夕飯が始まった、黙々と食べる訳ではないが私は静かに食事をするのが好きだ、マコラも同じだったのかとても上品に箸を使って静かに食していく、あまりにも上品だったのでなにかこう……美術館に飾ってある絵画作品の様に見えてしまった。

 だが静かに食すと言っても私たちは先生と生徒の関係であり、更に此処はマナーが厳しいレストランの類ではない、ならば必然と会話は発生する、他愛のない世間話の延長、今日あった出来事や最近の悩み事、会話の種は幾らでもある、そんな束の間の談笑を楽しみながら私たちの夕飯は終わりを告げた。

 

“「ご馳走様でした」”

 

“ふう、よく食べたね、お腹いっぱいだよ”

 

「ふふっ、それは共に作った甲斐があったと言う物だ、さて皿洗いを……」

 

“一緒に作ったなら皿洗いも一緒に……でしょ?”

 

「ンン……そうだな」

 

 ジャバジャバ、ザブザブと、水を使い皿の汚れをこそぎ落としていく、そうして終えた際に見れる元々の皿の色、そして洗い終わった際に聞こえるこのキュッとした音、私は案外これが好きなのだ、食器洗浄機もいいのだがこうやって手間暇をこさえた行為にこそ意味が見出せると私は思う、大きな水気を拭き取り後は乾かす為にラックに置いていく。

 食材を調理し、盛り付け、食した後に片付け、また元の位置に戻す、それらの行為を全てひっくるめてこその本当の夕飯なんだと、私個人は勝手に思うのだ。

 

“マコラ、この後はどうする?時間も時間だし泊まっていくかい?”

 

「ンン……私はそんじょそこらのチンピラに遅れは取らないが……折角だご厚意に預かるとしよう」

 

“そういえばマコラ、食材とは別に袋があったけどあれは?”

 

「ン、あぁすっかり失念していた、あれはまあ……食後のデザートってところか、日もすっかり暮れた、今日は快晴だからな、良い月が見れるぞ」

 

“あっ……そっか、今日って”

 

「うむ、中秋の名月、つまり月見の日だ、となればその中身は当然……」

 

“月見団子だね、でもどこでやるの?此処にはちょうどいい縁側なんてないけど”

 

「ふむ、場所はな──」

 

 そうして連れてこられたのがシャーレビル屋上、周りの景色を一望出来る場所でそれなりの高さがある、高さがある故にそれなりに風があるのだが暑さに堪えた身としては心地良いぐらいだ、まさかこんなところで月見をやるとは思わなかった。

 

「毎年この季節になるとな、百鬼夜行の連中は月見祭と言ってはしゃぎ出す、元々在校してた身としては、一種の習慣じみた物だな」

 

“そういえばマコラって紆余曲折あってウチの直属だけも元々は百鬼夜行出身だったね”

 

「問題ばかり起こして停学を喰らったがな、その後連邦生徒会長に拾われ連邦生徒会の配属となった後に回り回ってアンタの元に来たって事だ」

 

“かなり異色な経歴の持ち主だよね、マコラって”

 

「自覚してるよ……ったく、本来月見をするならもう少し良い場所があるんだがな、時間が時間故……此処にしたと言う訳だ、此処なら終わった際すぐ帰れるからな」

 

“確かにね、お気遣いどうも”

 

「それに此処なら誰にも聞かれないし……何で部屋の至る所に盗聴器が仕込まれてんだ」ブツブツ

 

“ん?何か言ったかい?”

 

「いや、先生はもうちょっと身の安全を大事にしてくれって話だ」

 

“そっか”

 

 そうして始まる本日二度目の団欒、月を見ながら団子を食べ、持参した飲み物で喉を潤す、最高の贅沢だな。

 

“ん!この団子美味しいね!どこかの店で買ったの?”

 

「……ッ‼︎そうか、その団子は美味いか!」

 

“うん!こんなに美味しい団子初めて食べたよ、幾らでも食べれそうだよ!”

 

「ンン……そうか、なら好きなだけ食べるといい……私はその……もういっぱい食べたから……」

 

 マコラは此処に来て団子に一つも手をつけていない、それなのにいっぱい食べたとはどう言う事なのか、それを確かめる為にマコラの顔を見れば月明かりしかないのにはっきりとわかるほどマコラの顔は赤くなっていた、この反応とさっきの発言……まさか。

 

“まさかこの団子……マコラの手作りかい?”

 

「……そうだ、その団子は……全部私が作った、その際に味見を繰り返したから、その、私は団子はもう、いい……」

 

“凄いよ!こんなに美味しい団子を作れるなんて!お店に出せるレベルじゃないか!”

 

「ええい!そんなに褒め立てるな!アンタ私を誉め殺しにする気か⁉︎」

 

 凄い慌ててる、こんなマコラ初めてみた、そんなマコラを見て私の中に、ほんのちょっとした悪戯心が芽生えてしまった。

 

“マコラ”スッ

 

「なんだ、褒め言葉ならもうお腹いっぱ──何だそれは」

 

“何って、マコラが丹精込めて作ってくれたお団子だよ?”

 

「それは見ればわかる!私が聞いてるのは何故!それを私に向けているのかと言う事だ!」

 

“えぇ〜?言わなきゃ駄目?仕方ないなぁ〜”

 

“ほらマコラ、あーん”

 

「は、いや、その、私はもう、いっぱい食べたって」

 

“此処なら誰も見てないよ”

 

「アンタが見てるだろう⁉︎何故この歳であーんをされなきゃいけないんだ⁉︎」

 

“歳なんて関係ないでしょ、私にとってはマコラも大事な生徒の1人なんだから、それとも……私のお手付きは、いやかい?”

 

「う……っぐ……アンタそれは、卑怯だろ……!仕方ないな」

 

“はい、はーん”

 

「あむ(モキュモキュ……ゴクンッ)」

 

“どう?美味しい?”

 

「うん、美味しい、美味しいよ、いや味は知ってたがな?うん、本当に美味しい」

 

“そっか、それは良かった”

 

 今日は快晴、それにビルの屋上というのもあり遮るものは何もない、月明かりがよく映える、お陰でマコラの照れた顔がよく見える。

 

「……笑わないンだな、アンタ」

 

“笑うって……なにを?”

 

「料理作ったり、お菓子作ったりする私をだよ、私が周りにどんな風に思われてるかは私自身がよく知ってるからな、だから──」

 

“笑わないよ”

 

“周りがなんて言おうと私はマコラの事を笑わない、戦いが強い事も、動物を愛でる事も、料理が出来る事やお菓子を作る事も、全部ひっくるめてマコラの特徴であり、個性だ、それでこそマコラなんだから”

 

“私は決して笑わない”

 

「そうか……ありがとう」

 

 私とマコラは月見を続ける、1分か2分か、或いは10分?そんな途方もない時間を思わせる静寂を打ち破ったのはマコラの方だった。

 

「なあ先生、これは、その、私の嘘偽り無き本心だ、だから、心して聞いて欲しい……」

「先生、月が綺麗だな

 

 ッ⁉︎その言葉は……聡明なマコラの事だ、意味を知らない訳じゃないだろう、でもそれは……答えるべきなのだろうか私とマコラの関係は先生と生徒、それ以上は行ってはいけない。

 だがこの言葉を口にするのにどれだけマコラは勇気を出しただろう、態々中秋の名月の夜に予定を空けておく念押しに手料理を振る舞い(これは私も手伝ったけど)更には手作りの団子も振舞ってくれたのだ、しかも自分が満足できるクオリティになるまで味見を繰り返してまで。

 この応答に対してのメジャーな答えは【死んでもいい】だ、でも私は冗談でも死んでもいいなんて口にできない、きっとマコラもそれは望んでない、しかし自分の気持ちに嘘はつきたくない、だって、私もマコラの事が好きなのだから。

 ならば此処での返答は──

 

“マコラ”

 

「(ビクッ)な、何だ先生」

 

“その言葉の意味するところ、君が理解してない訳ない、それを踏まえて私はこう答えるよ”

月はずっと綺麗でしたよ

 

「そうか、そうだな、ンン……月はずっと綺麗だものな」

 

“うん、そうなんだよ、月はずっと綺麗なんだ”

 

 顔が熱い、夏は過ぎたと言うのに熱くて堪らない、鏡を見るまでもない、自分の顔は今真っ赤になってるだろう、そしてそれをお互い知ってるからこそお互い顔を合わせないのだ、お互い恥ずかしいからこそ顔を合わせない。

 

「ククッ、月明かりがよく映えるな、お陰で互いの痴態がよく分かる」

 

“うん、全くもってその通りだ、それにしてもいきなりあんな事を言うなんて、驚かされたよ”

 

「ンン……さっきの返礼だ、下手に藪を叩くからそうなる」

 

“手痛い授業料だったよ”

 

「先生」

 

“何だい?”

 

「今日はいい夜だな」

 

“うん、本当に……いい夜だ”

 

 そうして私たち二人だけの密かな月見は終了した、この件は互いに内密にすることになった、まぁ当然か。

 

ピロンッ

 

 マコラからのモモトークだ、昨日の事だろうか。

 

【先生、昨日はありがとう】

【お陰でいい夜を過ごせた】

 

【こちらこそありがとうね】

 

【また何かあれば誘わせてもらう】

【だから、その時はまた……】

【出来れば予定を空けておいてほしい】

 

【うん、確約はできないけど空けておくよ】

 

【済まないな、いや、この言葉は不適切だった】

【ありがとう、先生】

 

 マコラは変わった、少なくとも初めて出会った時に比べると一目でわかるほどに。

 

“さてと、今日も一日張り切って行こうか」

 

【月はずっと綺麗でしたよ】という返答の意味、それは──。

 

実は、私もずっと好きでした。

 

メモリアルロビー解放【月明かりを背にして風に髪を靡かせながらこちらに向かって微笑むマコラ】




偶にはギャグとかシリアスとか抜きにして甘酸っぱいのを書きたい!の気持ちで書いたのがこれ。

この話のマコラは照れる時に「ンン……」となってるのがワンポイント、因みに本編時空で生かされる要素ではない。

以下無関係の後書き

呪術アニメ始まりましたね、新オープニング素敵すぎんか、特に最後の掌印ラッシュ、ほんと好き、平安最強の宿儺から始まって現代最強の五条で締めるのがほんと堪らない、あそこずっと鬼リピしてる。
前期OPが全体的に澄んだ青だったのに対して後期は全体的に淀んだ赤で対比になってるのも凄い、作画も安定して高いし、本誌で追ってた頃から見たかった所がようやく始まって感無量とはこの事、見たい所が多すぎる、後魔虛羅が動くところがもう少しで見れるって気持ちがいっぱいいっぱいですよ、戦闘シーンはどんどん盛ってくれ。

【最終決定】IF世界線のマコラ

  • アビドスIF
  • ゲヘナIF
  • トリニティIF
  • ミレニアムIF
  • アリウスIF
  • ゲマトリアIF
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