登板するのは11番   作:つきくん

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6話 過去は今

 

 

河川敷には紗良が一人黄昏ていた。

 

蒼名「紗良。」

 

蒼名が声をかけると、「座れ」とだけ俯いたまま言った。

 

戸惑いながらも紗良の隣に腰掛けると、紗良が顔を上げて口を開けた

 

紗良「お前、いや…蒼名。ナックルボールはもう使わないのか?」

 

蒼名「ナックル?何でだ?」

 

蒼名が不思議そうに紗良を見ると、少し寂しそうな顔をして手に持っていた石を川に放り投げた。

 

紗良「…いや、なんでも無い。俺は帰る」

 

バッと勢い良く立ち上がるとそそくさと去っていった。紗良が言っていたナックルボールがなんの事なのか気にかかるが今はそんな事より練習をしなければ…

 

 

ーーーーやっぱり、忘れてんのか。

 

 

 

7月9日 開会式。

 

 

横浜スタジアム前

 

 

「デカイな。準々決勝からはここで戦うのか。」

 

「なぁ、里ッチ。俺らどこ行けば良いの?」

 

「辞めろその呼び方。まだここで待機…」

 

 

蒼名「…なぁ、俺らさ、どこまで行けるかな」

 

悠賀「分かんない、が…ヤッパリ甲子園っしょ」

 

ハマスタ前は高校球児でいっぱい。今はこの高揚感をずっと味わっていたい気持ちだ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

横浜スタジアム レフトスタンド

 

 

 

 

 

「さっさと着替えてぱっぱと行くぞ〜。」 「うぃー」

 

 

 

長々と待たされたが、このレフトスタンドから見る景色は物凄く綺麗だった。今からあそこに立てるのか…ドッドッと鼓動が高鳴っていく

 

紗良「おい、パンツ一丁で突っ立ってんじゃねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠賀「はぁ、疲れた。おい蒼名、ラーメン食いいこうぜ!!」

 

蒼名「金無いので…」

 

紗良「俺も遠慮しとく」

 

開会式は終わり、ずっと立ちっぱなしだった蒼名達は疲れがどっと食欲に変わった。この後すぐ学校に戻って練習なのに、悠賀はのんびりラーメンを食べるみたいだ。

 

紗良「横浜高校、前回の優勝校だからな。そのうち当たるぜ」

 

蒼名「あぁ。稲葉、木下、郷公。《 三人のエース 》は厄介だな」

 

色々な高校の分析をしながら、悠賀以外は電車で加賀美高校に戻っていった。その後、すっかり置いてきぼりにされた悠賀は、やっと練習の事を思い出し、夕暮れ時に寮に帰宅した。

 

監督「蒼名か、先発より抑えの方が良いのか、うーむ。」

 

紗良「本人に直接聞いてみたらいいじゃないですか?」

 

 

翌朝、蒼名の起用法について紗良親子が悩んでいた。別に戦力にならないわけでは無いし、かといって先発は少し荷が重いか。色々言い合った結果、中継ぎにする事になった。リード時多めの起用法。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

蒼名「…」

 

悠賀「何見てんだ?」

 

蒼名「藤川球児のストレートで三振取る動画」

 

 

最近直球について調べ出した蒼名。正直変化球を新しく覚えて欲しいと素直に思う悠賀。言っても聞きそうにないのでそっとしておく

 

そもそも明日の試合までに変化球を覚えられるわけがない。

 

悠賀「腹減ったから食堂行ってくるわ。」

 

蒼名「うい、」

 

動画を視聴し終え、次の動画を検索していると、気になる動画が流れてきた。

 

「天才中学生、ナックルボールを投げる!!」

 

その動画の内容は、中学生が物凄く綺麗なフォームで、若干ジャイロ気味に不規則に落ちていく魔球、《 スピアナックル 》を投げる動画。しかし、この中学生は何処がで見た気がする。いつも見ているような…

 

悠賀「…それお前じゃね?」

 

蒼名「え?」

 

悠賀「いやだって、まんまお前じゃん。特に幸薄そうな感じが」

 

まじか?こんな事した記憶無いのだが、もし俺だとしたら…この魔球を投げられるかも知れない。そう思い徐ろに悠賀のネクタイを引っ張りながら、急いでブルペンに向かった。

 

 

悠賀「おい、昼休み無駄になっちまうよ」

 

制服のまま勢いでブルペンに入った。しかし、不思議と懐かしい感覚が蒼名を襲う。この魔球は本当に自分が編み出した物なのか…

 

蒼名「行くぞ、ナックル。」

 

悠賀「…は?ナックル!?投げれんのかよ?」

 

悠賀の質問など露知らず、動画通りのフォームでナックルの握りをする。人差し指と中指を押す感覚で…

 

蒼名「こうだッ!!」

 

リリースのタイミングで指を伸ばす。放たれたボールは回転が掛かってしまっていた。しかし、回転はジャイロ回転。微かに回転が掛かったボールは、ホームベース手前で大きく斜めに割れた

 

悠賀「コレは、間違いなくナックルボール!!」

 

変化が大きく過ぎて悠賀は取れなかったが、完全にストライゾーンに入っており、コントロールも取りやすいのだが、ナックルを投げる時だげこのフォームだと、すぐバレてしまう…

 

悠賀「これは試合に使えるな!もう少し投げてくれ」

 

 

その後も何球か投げ、変化せず落ちたり、グラグラ揺れながら変化したり、ほぼスラーブの角度に変化するまさに魔球。しかし、何故いきなりこんなにも投げれるのか少し疑問に思った

 

バシッ…

 

悠賀「この位でいい、これはもう明日から通用するな。」

 

 

悠賀は満足げに蒼名の肩をボンと叩くと「次はカットボールとかね」と早くも次の変化球を要求してきた。

 

 

 

そんな無理や。

 

 

 

7月11日 第1試合

 

 

加賀美高対光密高校

 

 

 

先行、光密校

 

 

 

 

監督「自分達が強豪だとか思うなよ。一試合一試合全力でプレーしろ!良いな!!」

 

一同「はい!!!」

 

 

「加賀美附属高校の先発は、10番、紗良 亮二君…」

 

 

監督「蒼名、お前は今回中継ぎとして使う。まだエースの古木は本調子じゃないからな。頼んだぞ!!」

 

蒼名「はい!!」

 

 

ズバァーーーンッ!!

 

 

「スリーアウトチェンジ!!」

 

 

蒼名「紗良が投げる時はいつも早く守備が終わるなぁ。」

 

紗良の立ち上がりは順調。二奪三振と二ゴロ…次は加賀美高の攻撃。一番は、主将の里原 得則。とにかくバンドが上手い…それ以外は特にない気がする。

 

里原「…甘いボール頂き!」 ガンッ!!

 

いきなりセーフティバント!絶妙な所だ!!

 

ズザァーーーー… セーフッ

 

 

蒼名「おぉ足も速いのか、やりますね流石」

 

悠賀「お前は何様だ?」

 

その後はバンドで手堅く送り、3番の紗良がタイムリーツーベースを放って先制点を上げだ。

 

攻撃はこれで終わり、守備では相手の5番にヒットを許し、盗塁を狙われるが、ここは悠賀の強肩で盗塁を阻止。そのまま6番もしっかり抑えて2回表を終える。

 

攻撃は相手ピッチャーはこれ以上失点出来ないと気合いの籠った投球で三者凡退。そして同じような攻防が続く中、紗良がノーアウト3塁の場面でワイルドピッチ。5回で追いつかれ1対1

 

5回裏は吹奏楽部の必死の演奏虚しく得点ならず…

 

吹奏楽部の部員達は、悠賀のリードが悪かったから紗良がワイルドピッチしてしまったのでは?ととにかく責任を紗良以外に押し付けていた。

 

7回、裏

 

紗良「分かってます、監督。ここで打てなかったら蒼名と交代ですね。」

 

監督「あぁ、しっかり打ってくれよ!」

 

 

「3番 ピッチャー、紗良」

 

 

紗良(相手ピッチャーは相当疲れてると思う。それに連続でベースカバーに入るシーンがいくつかあった。もう厳しいコースは投げられないはず。甘めに来た玉を打つ!)

 

「ッあ…」

 

 

紗良「甘い球!!」

 

 

 

カキィーーーーーンッ!!

 

 

観客が声を出して打球の行方を見守る。ぐんぐん伸びていき、ライトスタンドに入った。

 

審判が腕を回す。ホームランだ!!

 

 

また記事に載るであろう投手で3番のソロホームラン。推定でも130kmは飛んだであろう。物凄い一発…

 

紗良がホームに帰ってきて、ガッツポーズ。

 

これで1点リード。このまま攻め続けていけば勝てる!!

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「礼!」

 

 

「ありがとうござぁしたーーー」

 

 

 

 

加賀美高2-1光密高校

 

 

 

 

 

 

紗良のソロのあとは呆気なく攻撃が終わり、それ以上試合は動くことなく紗良は完登勝利を果たした。

 

ーーーなお、蒼名の登板はなし

 

 

 

 

 

 

 

 

次の試合

 

加賀美高対恋泉湘南高校

 

 

 

 

 

 

 

 

 




指がおかしくなってないので平気です。

改善点、希望のキャラ追加。ストーリー的なあれなど…

  • 字が見にくい
  • 主要キャラ増やせ
  • 挿絵描いてくれ!!
  • 女の子増やせ
  • 男の娘だせ!
  • ストーリー変
  • 面白いよ
  • 面白くない
  • 他の小説書け!
  • アンチです。
  • ファンです。
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