微妙系RPGのヘイト担当悪役貴族に転生した俺は、世界の破滅を防ぐためバーサーカー系女主人公ちゃんたちとノーマルエンドを目指す 作:ぷうち☆りん
オフェーリアの元ネタもいるし。
「えーと……だ。妖精女王の隠れ家に、
黄金卿の遺産のダンジョン、あと変わり種リッチのガラン導師の地下墳墓……。冥王の迷宮やエノクの塔は今の所スルーでいいかな」
ビルデ先生のいない間、自習室にて俺はこの【ドレイク・ユニバース】におけるイベントの洗い出しに勤しんでいた。
その中でも報酬のおいしいイベントや、経験値やアイテムドロップを狙える狩り場などを思い出しつつメモ書きを続ける。
しかしやり込んだとは言え10年くらい前のあやふやな記憶だしwikiやら位置アプリやら便利なものはこの異世界にあるわけもない。
況してオレサマちゃんをはじめとした俺の知らないキャラまで現れているのだ。
(こんな事して何になるのかな……)
小人閑居して不善をなすではないがそんないじけて弱い雑念が侵入してきそうになるが顔をブンブン振りながらそれは考えない事にした。
ー
そんなこんなで次の休日、俺はミザリーちゃんを連れて妖精女王の隠れ家に向かった。
女連れで女性が現れるイベントに向かうとかハーレム願望でもあるの? と言われそうだがそんな事はない……ない……!
「ボン様。私の側を離れない様にして下さいましね」
髪を纏めたミザリーちゃんもいいなあ……じゃなくてだな! お付きのメイドさんを壁役にして探検するってめちゃくちゃ情けなくないかなァ我ながら!!
情けない主ながらせめて探索では役にたたねばと俺は奮起しつつ【ザミカル】【サーチャー】【ラジフィリッド】を詠唱する。
それぞれ照明魔法、探知魔法、保護魔法だがつくづくサーチャー以外分かりにくい!
サーチャーはもうスタッフが名前思いつかなかっただけだろ!統一感を出せ統一感を!
「……ボン様、申し訳ありません。私が不甲斐ないばかりに負担をおかけして」
「ち、ちが……そんなつもりじゃ」
一人でヤキモキしていたら何だかミザリーちゃんに誤解までされてしまっているし!違うんだよミザリーちゃん。俺、君の事を大事な……いや今はそうじゃない。
「俺は見ての通り戦闘に関してはからっきしだからこうして魔法で役に立とうと思ってるんだ」
「ボン様は私の為に……」
「そうさ!君の為に!」
「でも……ボン様、私はもう」
(ん?)
いや待て、何か今不穏な事言ようとしなかった?
「ミザリーちゃん……?」
「……いえ、何でもありませんわ」
(いや絶対何かあったよね!? なんか終盤に明かされる衝撃の事実ってパターン!? もうちょっと早く言ってよ〜!ってパターンになるヤツなのでは!!
ならば……ここはギャルゲで培ったテクニックをば……!)
「ミザリーちゃん。俺はこのとおり情けないダメ坊っちゃんだけどさ。キミの役に立てる事なら何でも言ってほしい」
「ボン様……」
うーん、俺から出ているとは思えないイケボ。実際ガワは有名声優が声を当てているキャラだからネ! その効果もあるのかはわからんがともかくミザリーちゃんは瞳を潤ませ、頬を紅潮させている。
ってギャルゲーやっとるんじゃないわい!
「イチャイチャしやがって……」
!? な、何だ!? この悪魔の様な地の底から響く様な声は! いや声の主は悪魔なんだけど!
現れたのは4本腕のヤギ角悪魔、いわゆるアークデビルという終盤に出てくる凶悪極まるモンスター……但し本物だったらね。
「ここは俺のナワバリだと言うのに。
ウカウカと入ってくるとは……!
だが泣いて謝り持ち金の半分を差し出すと言うなら見逃してやらんでも……うわあ!」
アークデビルが向上を言い切る前にミザリーちゃんが音もなく【機先】【奇襲】【バックスタック】【暗殺】の四重スキルを発動させていた。
で、でたー! ミザリーちゃんの回避不可即死スキルコンボだー!!
原作ではどれだけお祈りゲーをさせられたか……って!!まずいまずい! しかしアークデビルは腕が4本あったことが幸いし、間一髪で腕をダガーと首の間に捩じ込むことで首を撥ね飛ばされる事を防ぎきった! 致死耐性ってそういう事なのか?
「仕損じたか……。ですが生物なら殺すことは可能です」
さらにミザリーちゃんはアークデビルの上腕に絡みついて全身の力を込めて捻るとアークデーモンの右上腕は不自然な方向に曲がった。
「うぎゃああああ!!お、オイラの腕がーっ!?」
「貴方にはまだ3本腕があるでしょう。
みっともなく泣き喚くのはおやめなさい。
ボン様ならば折れた腕を即席のフレイルにして殴りかかりつつ私に魔法を放つ位平気でするでしょうに……」
いや、できないよミザリーちゃん?
ミザリーちゃんの中での俺は修羅の国の住人か何か? ユーシャちゃんやオレサマちゃんもそうだけどこのゲームの女の子は薩摩系すぎ!!
「ヒイーッ! お許しをー!! 貴方様にはかないません!!命ばかりはー!」
「ミザリーちゃん!落ちついて! そいつは俺達の敵じゃないよ!」
「当然です。ボン様の才覚にかなうものなどジン様、ゴン様以外にはおりません」
キリッとした顔で太鼓を持たないで!?
そうじゃなくてェ!! 日本語ってむずかしいなァ! タバコが吸いたいなァ!
ー
「ほら、いいから正体を表せよ妖精クン。お前、そもそもアークデビルじゃないだろ?」
「(知っていたら先に言えっ!) は、はいっ」
そんなこんなでボフン、と煙が出るとアークデビルは緑の帽子を被った子供くらいの大きさのショタっ子になった。
あらかわいい。まあ、俺にそのケはないが。因みにショタっ子の骨折は俺の特効薬で治した。タダでやったんだぞ!(強調)
「ひ、ヒドい目に合わされた……。
オイラの名前はハック。見た目通り(?)の変化の妖精なんだぜ。その気になればドラゴンにだって化けられるし透明にだってなれるんだぜ!すげーだろ?」
「でも首をはねれば死ぬのでしょう?」
ヒィ! ユーシャちゃんは薩摩武士の発想だったけどミザリーちゃんは発想が鎌倉武士のそれ!! 危うく俺もハックも土下座するところだった。
「おい、あんちゃん! あんたのコレ頭がおかしいぞ! ちゃんと言って聞かせろ! 初対面の相手に対して首をはねようとしてはいけませんって!」
武家諸法度かな? ここは中世ナーロッパじゃなくて鎌倉時代になったのか……!?
ってそんな話はいいんだ! あと小指を立てる俗っぽいサインはよせ!
『ハック。何を騒いでおる』
「あ!? オフェーリア様!! 何だか頭のおかしい侵入者が二人も!」
『……ほう。そこの娘はともかくそこの小童は奇妙な形の魂をしておる。実に興味深い。これ、娘。貴様の主を貶しておるのではないからその様に殺気を纏うでない』
この声は妖精女王オフェーリアのものだろう。ってもう会えるのか?
確か原作ではハックやら妖精騎士ホリンやらのお使いをこなしてランプの魔神を助けて以下略の流れの筈だが……。この流れは吉と出るのか凶と出るのか……!?
『まあ、良い。小童。折角来たのだから妾に挨拶に来るが良い』
その声が響くや否や俺の身体は別の所に転送された。
ー
「うーん、ここは……?」
お決まりのセリフを吐きながら寝そべる姿勢になっていた俺は左右を見渡す。肌色を帯びた柔らかく、絹の様に肌触り抜群な温かな雪原が目に映る。ミルクとさくらんぼが混ざった様な芳香も心地良い。
(あー、ずっとこのまま横になっているのもいいかな〜)
「これ、小童。そんなに女の肌が恋しいか。 顔に似合って随分と好色よな」
「だっておっぱいの嫌いな男子なんてロリコン位のモンですよ……ってうお!?」
「ろりこん……? なんぞ、その言葉は? その様な言葉、妾は知らぬ」
などとゴロゴロしていた矢先に頭上はるか高くから麗しい女性のウィスパーボイスが響く。そう、ここは彼女の上乳の真上。デカアァァイ! 説明不要ッ!! いや、必要はあるか。
某光の巨人ばりの巨女である彼女こそが妖精女王オフェーリア。皇帝、三竜、冥王ゴルゴダ以外にこの世界の真実を知り、輪廻する世界における善き魂の保管役である。
因みに善でも悪でもない魂の検分役は冥王ゴルゴダだ。
黄金の大河の様に綺羅びやかな長い髪にエメラルドの様な翠の渦巻きの見える瞳、そしてクリスタルのような翅が印象的でDTを殺す白き背中と上乳が丸出しドレスを身に纏う美女なのだ。因みに善き魂の管理者という事でキャラメイクにおけるチュートリアルキャラでもある。
「それで小童。このオフェーリアに何の用で参ったか?」
「いやー、それはその……どこから話したらいいのか……」
まさか異世界から転生したのでノーマルエンドを目指していますとも言えないし。
更にオフェーリア様は妖精眼で嘘を見抜くし、テキトーな事を言ったらイベント終了しちゃうし……!
よし、ここは頭がおかしいと思われようが一部本当の事を言おう!!
「実は、幸せになって欲しい女性がいまして……」
「ほう。この妾の隠れ家を見つけるに至るまでに叶えたい願いにしては通俗的な事を言うわい」
オフェーリア様は寝釈迦スタイルを崩さずそのご尊おっぱいに俺を乗せたまま呆れた様な声を出した。しかし俺に視線を外さない辺り興味を失ったワケではないらしい。
やはり恋バナ……!恋バナは全てを解決する……!
「それで? そのおなごとやらを幸せにするのと妾の加護を求める事に何の関わりがあるのだ?」
「それはですね……」
俺はかいつまんでこの世界に転生したことと、ユーシャちゃんやゴン兄さんに助けてもらったこと。その恩に報いるにはこの世界を崩壊させるワケにはいかないということをオフェーリア様に伝えた。
「ふむ……。世界を救うでもなく破壊でもするでもなく維持を是とするか。 矮小にして凡庸なる好色な小童には丁度良い願いと言えなくもない」
「そうでしょうね!」
「これ、小童。その様に拗ねるでない」
矮小にして凡庸という辛辣な評価と頭をツンツンと人差し指の先でつつかれる子供扱いに、つい俺はムッとしてしまった。
「別に拗ねてはいませんが……」
「ふふ。そなたはつくづく蒲公英の種の如き小童よな。力なくふわふわと漂いながらもいつの日か花を咲かせてみせるのだ、と荒涼の大地を目指し彷徨うか。
力に溺れ、際限なく血を飲み干す乾いた魂でもなければ殉教者を気取る神の操り人形にもあらざるものよ。その有り様は妾には好ましく映る」
オフェーリア様はニコリ、と嫌味のない笑みを見せる姿は思わず見惚れる程に美しかった。
それとどうやら面接は合格……かな? マスクデータの属性値が偏っていると不合格になるはずだからな。
「そなたの願い、妾は気に入ったぞ。
善き魂の持ち主が旧き世界の殻により不幸になるのは心苦しいものよ」
「では……!」
ひょい、と俺は身体摘まれるや彼女はその谷間に俺を納めてきた!? ぐ、ぐわっ!? 苦しっ!? あ、あったかやわらかむにゅむにゅふわふわ!? こ、こんな死に方はイヤ……!?じゃないかも!? ってむががが!?
「ふむ。そろそろ良かろう」
「ぶ、ぶはっ!? 死ぬかと思いましたよ!!」
「まあ、そう言うでない好色な小童。言うほど悪いモノでもなかったろう?」
「そ、それはまあ……」
桃源郷のクレパスからUFOキャッチャーの様につまみ上げられた。役得……じゃなくてヒドい目にあったと言い逃れたい所だったがドヤ気味小悪魔スマイルを見せられてしまってはひ、否定できない!!
「ともあれ、そなたの願いは聞き受けた。
そなたには我が加護を示す証を与えた故手放すでないぞ」
オフェーリア様がその美声でそう宣言すると俺の視界はまたしても光に包まれ……
ー
「ボン様!」
「おわっ!ミザリーちゃん?」
マシュマロの天井と膝枕!?
ってナチュラルなセクハラはやめんかい我ながら!
「あわわ! ご、ごめんよミザリーちゃん!」
「いいえ。ボン様がお望みならば私はどんな事でも……」
頬を染めて俯きながらミザリーちゃんはいじらしくそう呟く。
「え、えーと……それで俺は何を?」
「はい。ボン様は妖精女王オフェーリア様との謁見を果たされ、その証として特別な力を賜った……とあの妖精から聞いております」
隅でガタガタ震えるハックに視線を向けながらミザリーちゃんは答えた。トラウマになってんじゃんかー!?
で、俺の薬指には翠の宝石がついたリングらしきものがついている。これが妖精女王の守りだな。って薬指かいな!!
『うむ。そういう事になる』
コイツ、脳内に直接……!? ひとりごちていたらオフェーリア様の声が直接脳内に響いてきた。
『しかし驕るでないぞ。力というものは振るうものの意思によってその在り方も変わる。 そなたがこの世界の鍬となるか偶像となるか、はたまた鎌になるやらはわからんがな』
「肝に銘じておきますよ」
『うむ。時折退屈凌ぎに声をかける故、息災でな。かつてボン・ノワールであった者よ』
オフェーリア様の声は一旦は聞こえなくなった。
「あの妖精から聞きましたが……ボン様は本当に凄いのですね」
「え? いや、そんな事はないよ。俺はただ……」
(この世界の未来より、周りやユーシャちゃんを救いたい)
そう言おうとしてやめた。これは俺のエゴだ、と気づいたからだ。願いというのは情を混ぜた途端に欲望になってしまうものな。前の人生でそれが良くわかった。
と、それはそれとしてこれで行ける所が増えたワケで早速やりたい事がある。
「ミザリーちゃん。もう少し俺に付き合ってくれるかな? あとハックも」
「はい!」
「なんでオイラがそんな事を? お助け代として金貨一万枚でも貰わないと……。
ヒィ!そんな人間としての良心を腹の中に置いてきた様な目で見ないで下さいミザリー様!やりますやります! ボン様のためならどこまでもー!チクショー!」
ハックは犠牲になったのだ……。
グリッチ経験値稼ぎの犠牲にな……。
ー
ほんで俺が今いるのは隠れ家の一角にあるグレートマンティスの巣。
経験値もタップリだがそれなりに強いし仲間も続々と呼んでくる……。だが、コイツらには決定的な弱点がある!!それは……。耐性がないのと行動パターンが物理攻撃と仲間を呼ぶの二つしかないことだ!
「ーーーッ!!!」
なんとも表現しがたい高音を発しながらグレートマンティスは斬撃を放ってくる。しかし、ハックの透明化は1ターン(まあこの場合は一分位か)は必中ないしターゲットを取らない全体攻撃以外の物理は無効となる。
「マキシマイズド・ドンムブ!」
奴等のスキをついて俺は鈍足化の全体魔法をグレートマンティスの群れに放つ。
すると奴等は電池の切れたオモチャの人形ばりにギシギシと動きが止まる。
「……命を、頂きます」
ミザリーちゃんの即死攻撃が次々と決まる中、グレートマンティスはターゲットを認識できないから仲間を呼ぶことしかできない。そしてまたハックに透明化のスキルを発動させて相手のターゲッティングを無効化、俺が動きを鈍くさせてミザリーちゃんの即死攻撃を必中化させる。
レベリングの永久機関が完成しちまったなァ〜!!!(ご満悦)
『戦い様とは色々あるものよ……。
まあ、良いわ。そなたの気風はなかなか面白い』
オフェーリア様が褒めているような呆れている様なトーンで脳内に語りかけてきた。
ちょっとズルい気もしますがレトロゲーに牧場稼ぎはつきものって事で一つ。
「お疲れ様でした。ボン様」
「うん。ミザリーちゃんもありがとうね」
日が沈みかけ、夕焼けに包まれながらミザリーちゃんと共に寮に戻る。
因みにドロップ品の殆どと奴等が持っていた金貨はハックの持つ変化の帽子、妖精の靴とトレードした。なかなか便利なアイテムだからね、どっちも。
「あ、そう言えばミザリーちゃん。
ハックがやって来る前に何か話そうとしてくれてなかった?」
「あ……。それは……」
ミザリーちゃんは視線を落として言い淀む。余程重大なことなのだろう。
急かすわけにはいかないので俺は彼女の決心がつくまで待つことにした。
『その娘、純粋な人間ではないようだの。
魔族との合の子、それも私生児のようじゃ』
しかしオフェーリア様が先にネタバレしてきた。 えっ!? 何その急に生えてきた設定! 知らないよ俺! 攻略本にもそんな情報なかったぞ!! 開発者は開示をしろ! 開示を!!
「……実は私」
「いや、いいんだ。女の子の、それも、俺を心から慕ってくれる子の秘密を暴こうだなんて貴族失格だよな……俺」
俺はミザリーちゃんの肩を優しく掴んで彼女の瞳を見ながら言った。
なんちゅうイケボかつ歯が浮くどころか天界まで吹っ飛びそうなセリフだ我ながら。
「ありがとうございます……ボン様。
貴方が何者であろうと私は貴方に従います。 互いを死が別とうとも、私は貴方のお傍に」
ミザリーちゃんは俺の胸に顔を埋めながらそう言った。うわっ、やっぱりいい匂い。
ヘナヘナ顔になりそうだがここはビシッとキメないとね!!(キリッ)
ってあれ? 今さらっと重要なコト言わなかった? あなたが何者であろうともって……俺の正体がバレている……ってコト!? 背中から汗がダラダラ流れて
止まらないよー!!
裏切ったらバラす(二重の意味で)なんてやだよー!!
しかし、そんな俺の不安も翌日に吹っ飛んでしまう一波乱が訪れるのであった。
なにせ俺の机に【魔族の信奉者は学園から出ていけ!!】なんてラクガキがされちまっていたんだからな。
妖精女王の加護……封印、エナジードレイン無効、物品保護、アンチスペルゾーンでも魔法使用可、ダークゾーン、回転床、移動床、落とし穴無効
加護がないと原作はラストダンジョンでクソゲーを強いられる