グッドエンドで世界が滅ぶなんてそんなのアリ!? ~ヘイト担当悪役貴族は主人公らとノーマルエンドへ辿り着きたい~ 作:ぷうち☆りん
(畜生! 畜生!! どいつもこいつも! バカにしやがって!!)
カウ・マッセは嫡男に用意されたにしては華美な装飾のみが目を引く広くはあるが寒々しい個室にて怒りに震えていた。
と、言うのは学園で起こっていた落書き事件が起こる前日の事だ。
『えっ!? 父さんが母さんの弔いを!』
『うむ。思えばお前の母さんには酷い仕打ちをしてしまった……。嫡男を産んでくれたというのに愛人だという理由で馬小屋に押し込めて……。せめてもの償いとして彼女をここへ呼ぼうと思うのだが』
その時の父親ベンキョウシ・マッセの顔はカウ・マッセが生まれてから一度も見た事がない表情であった。
それは後悔と言うものであるのだが当時のカウ・マッセには何故父親がそのような表情をしているのか分かっていなかったのだ。
(何を今更!!
お前が正妻のアイツを御せなかったから、母さんは可哀想に……追い立てられた鼠の様に寒さに震えながら死んでいったんだ……! それでもアンタへの恨みは一言もなく!! どうして捨てたんだ!!
あんな優しい母さんを……!!)
マグマの様に熱く、冷めることなく心に燃え続ける炎が目の奥から溢れ出してきそうになる。
それを堪える為にカウ・マッセは奥歯を噛み締め過ぎて欠けてしまいそうだった。
だが……耐えねばならない。
自分は神童ではあったが麒麟児にはなれなかった。 魔術の才はほぼ頭打ち。
複数の基礎魔術や広範囲化の使用はできるがそれだけの事だ。
それくらいの力量なら一つの街は10人はいる。
友も、家族も、仲間も、才能もない。
露見すれば愛人の子である自分は廃嫡は免れない。だから耐えた。
あのクズ(父親)が死ねばマッセ家を継ぐのは自分なのだから。
正妻も弟も叩き出して、馬小屋よりも劣るスラムの角に突き落としてやる。
それまでは我慢する。
我慢して……耐え続けてきたのだ。
だが……。
母の弔いと聞き、喪服でやってきたカウは集まっている皆の姿を見て愕然とした。
死者を弔う意思などかけらもない。
華美にして煌びやかな衣服を纏う制度化された盗賊、もとい親戚一同が集っていた。
(な、なんだこれは……!!)
「どうしたの兄さん? 今日は僕の誕生日じゃないか……!?」
カウとは似ている様で似ていない。
父の様に金色の髪をしていた弟カマシ・マッセは怪訝そうに兄を見る。
いや、怪訝そうにというのは不適格だ。
ただ命や尊厳を奪うだけのレジャーハントに興ずる様な敬虔さのない酷薄そうな瞳で兄を見つめる。
「あらあらカウ。カマシの帝都魔導技術部推薦決定のパーティーに来てくれるだなんて本当によく出来た息子ねぇ」
癇に障るほど甘ったるい声に振り向けば、そこにはいつの間にか現れた蛇のような女が微笑みかけていた。
誰あろう義母のヤーリ・マッセだ。
「……どういうことです?」
「あらぁ、知らなかった? 弟君のカマシちゃんはわたくしと同じ土属性魔術師なのよ? それでゴーレム作りの才能が凄いらしくて帝都に呼ばれたの」
「いやだなあ母さん。僕なんて土属性しか使えないポンコツだよ。兄さんは六属性も扱えるだからさ! やっぱり『神童』は違うよね! 今度複合魔法のコツを教えてね!」
「まあカマシちゃんってば!
あなたも『神童』のカウを見習うべきよね! ホホホホホ」
カウの足場を崩し去るかの様な高笑いが響く。カウにはもう何も聞こえなかった。何が死者の弔いか。所詮そんなものは方便。
新たな嫡子カマシが帝都へ呼ばれた祝いをするためだけに開かれた茶番なのだ。
それが分かると同時に、自分たちが置かれている状況というものが否応なしに理解できた。
彼らにとってカウは政治的には死人と変わらない。
嫡子ではない。母親から受け継いだ六属性基礎魔術の才覚だけが取り柄の落ちぶれ者として彼のマッセ家での地位は確立されてしまった。
ー
カウ視点
「カウ坊っちゃん? もうお帰りですか?」
「煩いっ!!」
自室に籠る前に執事を怒鳴りつけるしかできない自分が情けなかった。
自分は何年もこの日のために耐え忍んできたのだ。
なのにこの仕打ちはなんなのか。
これで父への復讐心すら無くしてしまった。
ただただ虚しさばかりが胸に積もっていくのが苦しい。
だが、その胸の内にもまた別の炎が燻り始めていた。
「……ふざけるなよ……」
あの場にいた全ての人間が憎かった。
自分のことなど眼中にもない連中。
母の墓に花の一つすら手向けてやれぬ屑ども。
あの茶番劇を開いていた連中の顔が焼き付いて離れない。
「世界を守護する三竜とやら!!
俺はあんた達を許さない!!
なんで俺と母さんがこんな理不尽な目に合わなければならないのですか!!!」
叫んでも意味はないことはわかっている。
けれどもそうしなければ気が狂ってしまいそうだった。
なにがお帰りだ。
ここはもう俺の家ではないのだ。
この家の中で自分の居場所はとっくの昔になくなっていたのだ。
自分はこの家の血縁上の息子というだけの異物に過ぎなかったのだ。
だからこそ……。
「もう終わりだ……。俺は何のためにここにいるんだ……」
全てを失ってしまった気がした。
何もかも投げ出してしまいたい衝動に駆られる。
(そうだ、俺はもう何も持っていない。金も、友達も、名誉も……仲間も……)
フラッシュバックするのはあの忌まわしいノワール家の三男、ボン・ノワール。
(使えよ、無理するな)
(立てるか?)
(すんませんっしたー!)
(人徳も力のうちだ)
(何を憶測で俺の弟を侮辱している)
ふざけるな……! ふざけるな……!
何であいつばっかり! 恵まれてるんだ!
俺の失敗をフォローする才能もあって!
皆に囲まれて! 信頼されて!!
血統! 才能! 兄弟! 仲間! 資産! 名誉!
何もかも! 何もかもに!! 恵まれやがって!! そんなヤツが俺の学園の居場所まで
奪うのか!? こんな理不尽が許されていいのかよ!
ー
俺は着替えも髪も整えずに魔導学園に戻った。なにやら浮ついた雰囲気だが俺の知ったことじゃあない。
そして寮の部屋に戻ろうとしたが玄関にボンとその取り巻きどもが俺を待ち構えていた。
「お前……!!」
「……」
あのときと同じ様な、どこか申し訳なさそうな顔をしているのが腹立たしい。
まるでこっちが悪いかの様な態度だ。
「なんのつもりだ」
つい、睨み付けてしまう。
ボンのヤツが口を開く前にオレサマが先に口を開いた。
俺はこの女が嫌いだ。
あんな風に料理人を侮辱する真似をして、
洞窟の試験の時にはボンと俺を見限り、
トップに立った。
そんな真似をしておいて良くもヌケヌケと私は無能なボンの婚約者ですわ、なんてデカい面をしていやがる。
……気に入らねえ。
そんな女が俺を指差して声高くこう言った。
「カウ・マッセ! 貴方に確認したい事がありますわ! 落書き事件について貴方は何か知っているんじゃなくって!」
「……知らないよ。知っててもキミには言わない」
「貴方は!!」
……何だってんだ?
俺が恥曝しならお前は恥知らずだろうが!
俺はものも言いたくなくなった。
しかしオレサマのヤツはそんな俺の沈黙を動揺と捉えたのかますます言葉を強めた。
「貴方は【魔族の信奉者は学園から出ていけ!】貴族を貶める様な事を書いていたではありませんか!!」
魔族? 魔族だと?
ああ、魔族の信奉者は学園と言わず世の中から出ていって欲しいな。 家族すら見捨てて、妻に媚びて、
愛した女の息子すら使い捨てにする。
世間じゃこういうヤツ(父親)を鬼や魔族って言うだろうよ!!
そうだ……俺はどうせ見捨てられた男だ。
最後に彼奴等ともども自爆して地獄に引きずり込んでやるのも悪くない。
と、開き直ればなんだか笑みが漏れる。
「なに笑ってンの?」
ザンテツのヤツが今にも掴みかかってきそうな態度で口を開く。だが関係無い。
俺にはもう何も無いんだからな。
俺は嘲笑を止めずにヤツらに向き直った。
「ああ、そうさ。俺だよ。
何か文句でもあるのかよ?」
「何ですって!!」
「やっぱりテメーが犯人か!!」
「見損なったよカウくん!」
やいのやいののオレサマ、ザンテツ、ユーシャが俺を糾弾する。なにが見損なっただ……。お前らは俺の事を何も知らないで、キラキラしやがって……!!
「ムカつくんだよテメェら全員。
ああそうだ。キラキラ見せびらかす様にテメェらが輝いてるのが腹立つンだよ! 金も! 才能も! 兄弟も! 仲間も!
お前ら全部持ってるじゃねえか!! 一つくらい寄越せよ!!
なんで俺だけ何も無いんだよォ!!」
叫ぶと同時に俺の中の何かが崩れ落ちた。
そして同時に湧き上がる衝動のままに叫び散らす。もう俺にはこれしかないんだ。
「なんだとォ……?」
もう良い。もう限界だ。こんな奴等に俺の気持ちなんか分かりっこないんだ。
もう喋る気も起きなかった。
ボンのヤツは俺がいなくなったら満足だろうな。
オールクリアが暴発しかけた時に、俺が暴走させかけたのをお前が無効化したのに、本当の事を話さなかったんだ。
へっ、何だ俺もあのクソ親父と同じじゃねえか……どいつもこいつも……。
バキッ! と小気味いい音が響いたが俺の身体のどこにも痛みは走らなかった。
だがザンテツが俺へと振るった拳を代わりにボンの奴が顔面に食らっている……!?
どうして!?
「ボン君!? なんでそんなヤツ庇うんだよ!?」
「ボン! 犯人を庇うばかりでは解決しません!」
「違うだろ! いい加減にしろ! 落ち着けってんだ!!」
お前が落ち着け、と言いたいがその気迫に俺達はたじろぐしかなかった。
そしてヤツは捲し立てる。
「なんで本当の事を言わないんだよカウ!
いつもみたいに、『はー……参ったなァ。僕がそんなすぐに足がつく上になんの意味もない真似なんてするわけないだろ?
素振りや稽古ばかりではなく魔道書の一冊くらい読み込んでもう少し知恵をつける事をオススメするよ』くらい厭味ったらしく肩をすくめて言い返せよ!!」
……何だってんだ? コイツは俺の才能のなさを見透かして、見下して、せせら笑って、俺の居場所を奪おうとしたんじゃないのか?
……。俺は、僕は間違っていたのか?
ー ボン視点
い、痛い……!!
本来回避デバッファーであるボン・ノワールに転生したせいか前衛系アタッカーであるザンテツ君のパンチはキツい……!!
目から星が出るとはこの事だ。
「そこまでだ皆。大凡の真相は掴んだ」
「く、クオタ君!?」
ベストなタイミングでキラワレモン三兄弟と共にクオタ君が割って入ってくれた。
「真相? どういう事ですの? 彼が犯人ではないと仰っしゃりたいのかしら?」
「オレサマ女史、貴方ほどの切れ者がまだ解らないのですか?」
「それ、皮肉?」
ああ! ダメだ!!
三兄弟のせいで絵面が水戸黄門VS悪役令嬢になってる!!
あの三兄弟、オレサマさんが出会え! 出会え! と言ったらどっちにつくんだ?
って俺のバカ! そんな話はどうでもいいんだ!!
クオタ君は頭のキレるいいヤツなのに
笑顔が超硬いし、口調が慇懃無礼に聞こえてしまう。せっかくの名探偵が……!!
「あー! 待った待った!!
クオタ君はコミュニケーションが硬いからついついこんな感じになったんだ!
要はさ! クオタ君は真犯人への動かぬ証拠を掴んだって事なんだ! ねっ!
クオタ君はカウ君の濡れ衣を晴らすためにあちこち走り回ってんだ! なっ!
オレサマちゃんだって真犯人が
『まんまと引っかかりやがってこのバカタレが!』とせせら笑うより
『おのれ〜! あと一歩のところで……ばたり』と成敗された方がすっきりするだろう!?
ねっ! オレサマちゃん!!」
頭に血が上った子をクールにするには言葉のシャワーならぬ放水をかますのが一番! ソースは転生前のブラック外回り!!
果たして転生前の知識が活きたのか。
「お止しなさい! 私に対して一気に捲し立てるのは! 私、口の軽い殿方は嫌いでしてよ!」
「そ、それはご勘弁……」
オレサマちゃんには効果はあった。
タゲ取り成功!!
「で、真犯人は誰なの?」
頭に? を浮かべた様な表情でユーシャちゃんがクオタ君に尋ねる。
「うむ。それはズバリ言ってオネスト氏だ」
「ええ〜っ!?」
オネストって……!?
ミザリーちゃんが倒れた時に介抱に向かったって話だよ? 流石にそれは……。
「お待ちなさい! 彼はミザリーさんが熱中症で倒れた時にいち早く介抱に向かいましたわ。魔族との混血児に対して水筒を持ってきた彼が魔族の信奉者を糾弾する事なんてありえますの?」
「「う、う〜ん……」」
オレサマちゃんはミザリーちゃんとサドゥー先生のスパルタ補習を受けていたから現場を見ている。そう言われては犯人候補から除外するのが自然だ。
「水筒を持ってきた……。そこがまずおかしい。
彼が本当に魔族やその混血児との融和派ならザトゥー先生をやりすぎだと非難する前に先ずはミザリー女史の介抱をするか、手当をするべきだ。
治癒魔法の適正がないザトゥー先生は仕方がないとして彼は文武両道、交友関係も広い。
水だポーションだと回りくどい真似をせずに幾らでも水魔法の一つでも使えばいい。そうじゃないか?」
立板に水、というかさながら偉いお坊さんの説法の様で俺はクオタ君の名推理に聞き入るのみ。 俺は妖精女王様の加護で精神操作無効だからクオタ君がなんらかの魔法で好意的に解釈させている事もありえない。
というかそんなマネはしない。
いくら俺がノンデリバカでもその位解る。
「パニックになっていたとか?」
「残念ながらそれも違う。何故なら彼はミザリー女史、もとい魔族に何の価値も見いだしていない」
「なんでそう言えんの? ミザリーちゃんは激マブじゃん? ボン君の彼女? じゃなきゃ俺もアタックしてたし。
カウ君もアタックして振られたじゃん」
「う……うぐ! そんな過去は忘れ給え!」
お、カウがいつもの鼻高々マウントモードに戻ったらしく真っ赤になって反論した。ていうか地金はヤカラぽかったけど。
ま、そんな話はいい。
「だからこそカウ君が犯人というのはあり得ない。カウ君は彼女を美女として価値あるものと考えている。
なお美醜が人間の価値を左右するかの議論は一旦置こう。一日二日で結論が出る議題ではないからね」
「あっははは! クオタ君ってば面白いね!」
あ、出た! クオタ君式ジョーク!
ユーシャちゃんにややウケ!!
「話を戻そう。先のオネスト氏だが
「何もそこまでする事はない!」とザトゥー先生を批判した。この意味が解るかな」
「何って……やりすぎって事じゃね?」
「残念ながらそうではない。水筒を出しつつも差し出さない。介抱も手伝わない。
ミザリー女史を保健室に連れて行ったザトゥー先生への過度の暴言も制しない。
そして凍てつくようなミザリー女史への蔑視。これらの事から彼の発言の真意はこうだ」
『(魔族なんぞに)何もそこまで(介抱や特訓を)する事なんてない!とね』
「……」
俺達はクオタ君の名推理と、オネスト先輩、いや彼の陰湿かつ邪悪な本性を知り絶句するしかなかった。
なんてこった。これが真実だったのか!
「確かに貴方の論理はそれらしく聞こえますけど確たる証拠は?」
「うむ。それについてはこれから三兄弟の方々に彼の調査結果を……」
と、そこでまさかの乱入者。
それはオネストでもなければザトゥー先生でもなく……。
「はろー♡皆青春してる〜♡」
「……び、ビルデ先生」
相変わらず歩く18禁モード全開というか胸元開けっぴろげドスケベ改造制服に尋常じゃねえスリットが入ったスカートに身を包んだビルデ先生がやってきた!
しかし……なにやらロープでぐるぐる巻きにされた生徒を連れて。
「な、なんの用です?」
「何って、追試結果の話をしに来たんじゃな〜い♡真犯人はオネスト君ってわかったんでしょ♡だから実行犯を連れてきてあげたの? ねっデマーゴ君?」
ビルデ先生の確認に対し、往復ビンタでも食らったのだろうか。
物理的に顔を真っ赤にしているのは保健室に駆けつける時に俺とぶつかった上級生!?
(ケッ、魔族の信奉者だけあってゴブリンみてぇにチョロチョロしやがって)
って言っていたな! 確か!
あの時はミザリーちゃんの事が心配すぎてそれどころじゃなかったけど!!
ってかビルデ先生ナイス!
「ひぃっ! 勘弁してください!
オネスト君に頼まれただけなんです! 悪気はなかったんだ!! 成績が振るわなくてムシャクシャしてて!スカッとしたかっただけなんだよ〜! 許してくれよォ〜!!」
洟まで垂らして憐れみを乞う姿……呆れて物も言えねえ。こいつは自分がやった事が解っているのか?
ビルデ先生がいなかったらボコボコにしてるところだぞ。 いや! むしろビルデ先生がいるから合法的に制裁できるチャンス……!!
『でも助けてくれる人なんて現れない。相手がこちらの手を払い除け、石でも蹴飛ばす様に除け者にしてせせら笑うの。
ああ、これで俺達は一つになれる。友情や絆の力こそ最高。ってね。
そうして期待するのを止めるの。ああ、なんて私はバカだったんだろう。周りから笑われるのだって当然だってね』
諦めてしまったビルデ先生の悲しい笑顔とあの時の言葉がフラッシュバックした。
ここでデマゴーを罵って、糾弾して、スカッとしたらコイツやオネストと俺達に何の違いがあるのだろうか?
「……。許すって事は絶対に出来ない。だけど謝罪を受け入れるかどうかは被害者のミザリーちゃんが決める事だ。解ったらさっさと行けよ」
「……ボンがそういうのでしたら私からは何もいう事はございませんわ」
大切な幼馴染の事を思い出しつつ、ミザリーちゃんに委ねるのが一番だと思った。
罰を決めるのは俺やビルデ先生じゃないんだ。
「ま、それはそれとして……オネスト君とはじ〜っくりオハナシしないとな?」
「だね」
「行きましょうか」
ってカッコつけてたらザンテツ君とユーシャちゃんは蛮族スマイルを浮かべていた!
地元じゃ負け知らず! コワイ! ドゲザ!
こんな水戸黄門は嫌だー!!
「ま、待って〜!! こういう時はみんなかがんばれ! ガンガンいこうぜはダメー! 行くぞクオタ君! カウ!」
「フフ、ボン氏も苦労が絶えないな」
「わ、私も!?」
今はバッチリがんばれ! だったかもしれんがそれどころじゃない!!
俺はカウとクオタ君に目配せして後を追うことにした。だから……。
「お見事ボン・ノワール。合格よ。
まあ、私はしがない教師で未来の名宰相じゃないから。
私のお仕置きはキツいわよ。デマゴー」
「ヒィィーッ!!お助けー!!」
とビルデ先生が呟いたのを知るヒマもなかった。
デマゴーの悲鳴は聞こえたけど。
ヌルくない?
ここでリンチするやつは俺が書くお話の主人公になっちゃダメです