微妙系RPGのヘイト担当悪役貴族に転生した俺は、世界の破滅を防ぐためバーサーカー系女主人公ちゃんたちとノーマルエンドを目指す   作:ぷうち☆りん

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ほぼ一年ぶりじゃねえか。
色んな転生ものを流し見したから引っ張られてると思う


転生したらゆるきゃんでした

「うふふふ♥聞いたわよボン君♥

なんでもカウ君のオールクリアを妨害してモーロック先生にお叱りを受けたらしいじゃない?」

「ええ。そういうワケでそろそろタメになる補講を実施して欲しいんですが」

「別にいいじゃない。名前さえ書いてそこに座っていてくれれば私が単位をあげるから」

 

ビルデ……ビルデ先生に俺は頼み込んでみるが暖簾に腕押しというか糠に釘というか。やはりクジョから送られてきた俺をダメにするための女教師と見るべきか。

ここはまるで追い出し部屋だな……。

これじゃ周りの皆との差が開く一方だ。

 

「ここにおりましたのね!ボン・ノワール!」

 

手詰まりを感じていた所にオレサマちゃんが講義室のドアをスパーン、と小気味良く開けてやって来た。

 

「あら、オレサマさん。ボン君に何か用かしら?」

「用がなければこんな所に来るわけがありませんわ」

 

オレサマちゃんは相変わらず悪役令嬢スタイルだな……こんな所って。

 

「何かオレに用か?オレサマちゃん」

「貴方、週末私に付き合いなさい。

……って何よ、そのロコツに嫌そうな顔は」

 

だってオレサマちゃんってこの『ドレイクユニバース』に登場していないキャラだしなあ。どうなるか展開が読めないし……。

 

「悪いが今は自分のことで手一杯で遊んでいる余裕はないんだよな」

「当たり前ですわ。何を好き好んで貴方と遊び歩かねばなりませんの。と、いうかそんな遊び呆ける余裕が今の私達にあると思いまして?特訓ですわ、特訓!」

 

ビシッ、と指を指しながらオレサマちゃんは俺に言い放った。サドゥー先生の影響かスポ根じみてきている。

生前の俺ならこういうノリは避けていたが……今はそんな事を言っていられないし、オレサマちゃんは美少女だし。

実際美少女は得だよなあ……。

 

 

で、週末。俺達は山籠りすることになった。まあ、俺の提案なんだけどね。

『ドレイクユニバース』は相殺システムと併せて基礎ステが戦況を左右する微妙ゲーって評価のRPGだ。

更に『敵の強さと経験値が比例していない』というアレッぷり。

即ち苦労して強いモンスターを倒してもあまりメリットがないのだ……。

 

「のどかな村ですわね」

「まーねー……」

 

ワールドマップはほぼ原作と一緒だったので俺が選んだのはドイナカって山あいにある街の側だ。ユーシャちゃんはこのあたりの出身と言う事になる筈なのだが。

ともかく俺はポーションや薬草、エトセトラを買い込んでいく。

 

「随分金遣いが荒いのね貴方」

「慎重って言って欲しいな」

 

オレサマちゃんの視線が厳しいがここは言っておかんと。原作と違って蘇生魔法はないのだから。

 

「おねーちゃんおひめさま?」

「え?」

「わー!おひめさまだー!」

「かっこいいー!」

「かわいいー!」

「え?え? わ、私はその……あの……!」

 

田舎の朴訥とした少年少女にはオレサマちゃんには太陽のように眩しい存在らしく子どもたちに囲まれていた。そして学園とは違いオロオロしている様はあっちが素か?

 

「お兄ちゃんはげぼく?」

「ケッ、げぼくかよ」

「オイ、げぼく。むらびとに対して口の聞き方がなってねーぞコラ」

 

俺はゲシゲシ太腿の裏に悪ガキから蹴りを入れられてるんですけどォ!? 汚れてもいいローブ着てきたからか!?

何でかなァ!?タバコが吸いたいなァ!!

 

 

「貴方達!さっさとしばきなさい!」

 

そんな村での経緯はさておいて戦旗を掲げてオレサマちゃんがプリンセスの特有スキルである【号令】を発動。

 

「「「うおおおお!!!」」」

 

その号令に呼応して俺達のパーティの前衛であるウザイ・ムサイ・クサイの三兄弟がスライムに斬りかかり、貫き、叩き潰す。剣、槍、斧のトライアングルアタックにスライムは為すすべなく消滅した。

 

「……ボン。たかがスライム相手に大袈裟過ぎではありませんの?」

「いや、そうでもないって。と、いうか

号令の掛け声がしばけってどうなの?」

「まあ! ノツモリダ家の作法にケチをつけるつもり!?」

 

小休止の前にジト目で俺に指さしながらオレサマちゃんは距離を詰めてくる。

石鹸とアロマの香りが混じったいい匂いが鼻をくすぐるがそんな事は置いておいて。

『ドレイク・ユニバース』にはマスクデータだが熟練度の様なシステムがあって技やスキルは使い込む程効果が上がったりリキャストの時間が短くなるのだ。

まあ、現実もゲームも基礎能力は積み重ねだし当たり前の話なんだけどね。

 

その時ぐゅるるるぅ〜!!と凄まじい轟音が鳴った!な、なんだ今の音は!?

何だと!? 警戒のスキルとサーチャーの魔法で奇襲エンカ対策は万全だった筈だぞ!?

 

「ウザイ!ムサイ!クサイ! 直ぐにオレサマちゃんを囲んで防護!トライアングルフォーメーション・オメガだ!」

 

俺は咄嗟に指示を出す。偉ぶるワケではないが俺は一応オレサマちゃんの婚約者だから指示を下せる位には信頼関係は築いていたのだ。

 

「「「ははーッ!!」」」

 

三人が即座にオレサマちゃんを庇う様に立ち塞がった!よしいいぞ!これで様子見だな。……しかしなんだこの轟音は!?まるで飢えた獣の様な……!

ん?オレサマちゃんが真っ赤になって震えている……?怯えているのか? それもそうだよな。 知らない土地でスライム狩りをしていたら正体不明の獣の雄叫びが聞こえて来たんだからな……。

 

ギュルルルルウ!!!

 

「近くか!?オレサマちゃん!俺達のそばを離れるなよ!」

「い……い……」

 

オレサマちゃんは耳まで真っ赤になって涙目になって震えている。そりゃそうか。

ゴブリンとラミアクィーンの一件で勘違いしていたけどオレサマちゃんは年頃の女の子だ。こんな得体の知れない獣の雄叫びは怖いだろうな。

俺は俺でどんな獣がやって来るか内心ハラハラしていた。

 

「いい加減になさい!こ、これは私の……私のお腹が減った音ですわ〜!」

「は?」

 

ギュルルル!とまた腹の虫が鳴くとオレサマちゃんは顔を抑えて蹲った。

 

 

「うーん、これはうまい!」

「ボン様はきっと良い主夫になれますな!」

「星三つ!」

 

アッハイソッスネ。まあ……【調理】スキル使っただけなんだけど。ゲームでは薬草やら食材やらを有効活用する無用なスキルだ。

ジン姉さんの書斎で凡そ500冊のスキルブックをひたすら読んだ甲斐があった。

異世界転生の影響か、バグなのか……。

知識に関してのみスキルポイントの制限が俺にはない。武技や適応属性以外の魔術はてんでダメだが。これもある種のバランス調整と言えなくも……ないか?

そういや俺を転生させた存在は果たして何なんだ?竜なのか神なのか、まさかドレイクスレイヤーってオチはないよね……。

 

「ま、まあ……給仕としては及第点と、い、言えなくもないですわ!」

「骨以外全部以外食べておりますが」

「給餌?オレサマ様。幾ら何でも己をメス豚呼ばわりするなどと。せめてもう二周り胸を膨らませてから名乗りなされ」

「兄者。何倍した所でゼロはゼロですぞ」

「指導!指導!!指導!!!クサイ!

特に貴方は念入りに2発指導!!」

 

ブチギレたオレサマちゃんの渾身のビンタが三兄弟にクリーンヒット。

 

「ま、まあまあ落ち着いて……美人が台無しだよオレサマちゃん」

「フーッ!フーッ!!ま、まあ……ボンがそこまで言うのなら……。

で、でも!次から気を付けなさい!」

「「「ははーっ。誠にごめんなさい」」」

 

三兄弟の土下座にオレサマちゃんご満悦。まあ、これはこれで……いいのか?

ともかくスライムをしばき、一休み。

スライムをしばき、一休み。

才能がないなら地力を上げる!!

RPGの極意だよな。

 

そうこうしている内に日が暮れだした。

よし、今日は宿に泊まって明日は陣形や立ち回りの復習だ。

 

「よーし、今夜は宿に泊まって後は明日だな」

「お待ちなさい!」

「「「えー」」」

 

最寄りのドイナカに帰ろうとした俺をオレサマちゃんが引き止めた。

 

「無闇に財貨を使うのは貴族のあるべき姿ではありませんわ!ここは野営をすべきですわ……って何ですの!その心底イヤそうな顔は!!」

「野営かあ……。オレサマちゃんは平気なの?」

「わ、私なら問題ありませんわ!」

【オレサマ様は少しでも長くボン様と休暇を過ごしたいのです】

【察しなされ】

【もげろ】

 

三兄弟がオレサマちゃんの死角からカンペを見せてきた。もげろってなんじゃい。

いや、解ってはいる。だが……。

このゲーム……夜エンカはパーティーのレベルに応じて変化する仕様があるんだよなあ……。

朝はスライムなのに夜はデーモンだのサイクロプスだのと……。

昼間お前らどこにいたの?って感じだよ。

設定資料集にはその理由を書いていたけどさ!ドロップ狙いならエンカもありだが今はそういうのじゃないんでね……。

 

「どうしたの?ボン」

 

オレサマちゃんは純粋な眼で俺を見てくる。いや、いやいやいや……!

 

 

「飯盒でもパンは焼けるんですわね」

「ま、まーねー……」

 

ああ、山の麓にて結局押し切られてしまった。あといつもより距離が近い。キラキラした目で飯盒を見るオレサマちゃんに俺は思わず苦笑い。

鍋にはとろけるチーズと野菜のスープ、そしてパン。

 

「ほい、出来た。漬けて食べると旨いよ。

でもゆっくり食べないと」

「はっ、はふっ!?」

 

いきなり食べたけど口の中を火傷したのかオレサマちゃんは目を白黒させる。

「はふ……あちち……」

「だからゆっくり食べなって言おうとしたのに」

「だ、だって!早く食べないと貴方の手料理が冷めてしまうでしょう!」

「いやまあそうだけどさ。限度があるでしょ」

 

俺はポーションを取り出してコップに注ぐ。オレサマちゃんにも注いで渡した。

 

「んぐんぐ……ぬるいですわね」

「悪いな。俺、氷魔法は使えないんだわ」

「……そう」

 

あれ?てっきり『何ですって!?貴方補習で何を学んでおりまして!この役立たず!ゴミ!給料泥棒!首だ!』と生前の会社の朝礼ばりに詰められると思ったのに。

 

「まあ、その……今の貴方は給仕代わりですから、給仕に魔術の才を求めるつもりはありませんわ」

「あ、はい」

「何ですのその卑屈な態度は! 貴方はノツモリダ家の婿に、いえ私の夫になるのですからもっとシャキッとしなさい!」

「は、はい」

まさか叱咤されるなんて思わなかったなあ……。でもあのオレサマちゃんが俺に対して譲歩してくれたのを喜ぼう。うん。

さて、どうにか野営を避けねばならんがどう説得しようか。

 

「なんか、臭くない?」

「だ、だだだ、誰が臭いですって!?

臭いませんわ!決して!絶対!臭いませんわよ!!」

 

これで行くしかないな。涙目で自分の服の匂いをクンカクンカ嗅いで錯乱しているオレサマちゃんは可愛いがここは心を鬼にして俺は上弦の月を見る……。

いや、待てよ!?月が2つある……!?

こ、これは!?

 

「グギュルルルルウ!!」

 

オレサマちゃんの腹の虫の音以上の咆哮が宵闇の麓に響き渡るや地面に陥没が

「魔物か!?」

 

見上げ入道ならぬ見上げサイクロプス!月が2つ見えたのはサイクロプスが見下ろす巨眼が原因か!

 

「ぼ、ボン?!こ、これは……!」

「ああ、もう戦闘しかないだろ。……やるぞオレサマちゃん!」

 

ああ……めっちゃ逃げたい。

しかし、食材を買いに行った時に村人の皆さんに親切にしてもらったし!

やるしかねえよな!!




※微妙ゲーあるある
マスクデータがやたら多い。

※補足・説明
夜エンカがバグってる。
ドレイクスレイヤーが冒険者達のレベルに対応して刺客を放ってるから。光の中ではドレイクスレイヤーも流石に力を発揮できないのだ。
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