微妙すぎる順位ですが、なんか順位として入ったのでご報告します。
ありがとうございます。
俺たちは今、パキスタンにあるとある神殿に来ている。
足場が不安定なところが所々あり、アイと手を繋いで慎重に進む。途中、この建築物のカラクリを解き地下水脈を開き地下にある隠された古の神殿が現れ始めた。
正面に見え始めた不死鳥のような見覚えのある模様をしてる巨大な門が現れた。この門は特殊で普通の人なら何をしても反応しない。だけどギアスユーザー、特にコードを継承してる者が門に触れる事で反応し2人の意識は門の中に入りCの世界へと入っていった。
「どうやら一緒に中に入ることは出来たようだが。」
無事アイとCの世界へ入ることは出来たがそれでほぼ問題をクリアした訳ではない。ここからアイの意識を探さねばならない。
だが些細な違和感というべきものを覚える。
「こっちのCの世界は、なんだが景観が崩れてるようだが…一体何があった?」
向こうの世界で見たCの世界はまるで空に続くような神殿が見えていてある種の美しさがあった。だが、こちらのCの世界はその美しい景観が崩れ廃墟化したような感じだ。
「あぁ゛ー!!あぁ!」
アイが何かに気付いて驚いたのだろう。俺に抱きつき何かを指差して見つめてる。
指差す方を見ると怨念ともいうべきか、少なくともあまり良いモノではない有象無象の集合体がいた。
「どういうことだ?まさか俺があっちの世界で神を殺したからだとでも言うのか…!?」
それともこっちの世界は皆憎しみや憎悪といった負の感情で一杯なのか?それとも行き場のない魂が過去の何かに囚われてるのだろうか。
こんな所にいつまでもいるのは俺やアイにとっても良くない。早くアイの意識を探さねば。
「アイ、一緒に探しに行こう。」
アイと一緒に急いでこの場から離れたいが退院したばかりの彼女に走らせるのはやや無理な事だ。
だから、あっという間に俺とアイを魂の
「うあぁぁぁぁぁあっあぁぁぁぁ゛!!!!!!」
「アイっ!いけない、こっちだ!」
アイがこちらに向けて手を伸ばしていた。俺も離れない為に手を伸ばし離れないようにしたかったが僅かに届かなかった。そのまま俺とアイは魂の奔流によって別れてしまった。
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刃物で体を貫かれる感触が体から、心から、記憶から離れられない。体の中に冷たい鉄棒が入ってるのに体の中が熱く焼かれていくような感覚が体を襲う。温かいモノが体から溢れて服の繊維を染み込ませ、床に伝って落ちていく。
ズブリ───。
固い物が腹から引き抜かれ、腹部を圧迫していた物が消えその瞬間身体中から力が抜けていく。
その出来事がずっとよく分からない空間に来てから輪廻のように
最期にルビーとアクアに愛してるを伝えることが出来たけど、こんな死ぬ前になってあの子たちに一生のトラウマを植え付けさせてごめんね…。ごめんね。
こんな私は母親として失格よね。あの子たちが普通に成長して普通に一生を終えた後、私はあの子たちに出会っても良いのだろうか。あの子たちは会いたがるだろうか。
ううん、あの子たちだけじゃない。ルルにも私は嘘を吐き逃げてきた。そして今も…。
意識を戻す事は本当は出来たんだ。でも私は怖いんだ、怖くなって今もずっとこんな空間に逃げている。
私はもうみんなとは違う理の世界で独りで生きていこう。
「────いた。」
ああ───。つい甘えたくなっちゃう人の声がする。
私はつい笑みがこぼれてしまう。いる訳がないのは分かってる。でも何かしらの奇跡で僅かでも彼が私に会いに来たのなら、また甘えても良いよね?
私は僅かばかりの期待を胸に少しずつ振り向く。
「──── っ!ルル。どうして…?」
振り向くと彼はいた。短髪の黒髪に紫色の瞳、間違いない。
いるはずのない彼がいる事で私はつい気持ちが舞い上がってしまってる。
会いたい、会いたくないとかでグズグズ悩んでいたけど彼と会って自分の気持ちの一つが分かった。本当はやっぱり会いたい、会いたかったのだ。
会って色々と話をしたかったんだ。でも急な出来事で話したい優先順位が分からない。だから私は便利な言葉の“どうして”と聞いた。
“どうして”ここに来れたの?
“どうして”私を会いに来たの?
”どうして“君はこんなに優しいの?
どうして…?
「ん?ああ、ここはCの世界と呼ばれる空間でな、まぁアイでもわかるような言葉で言うなら過去を含め全ての人類の心や記憶、意志が集まる空間でな、俺は訳あってその空間に接続する事ができるからこうして来れたわけだ。」
なんか粋のいいかっこいいセリフを期待してたけど女心を分かってない言葉通りの受け答えをする感じ、やっぱりルルだ。
「アイ、俺はお前を助ける為にここまで来た。一緒に戻ろう。」
「ううん、無理だよ。私は皆のところへ帰れないよ…。」
「な、何を言ってるんだ?アイ、何があったか聞かせてくれ。」
きっと私は彼と一緒に戻ると思っていたんだと思う。私の答えに彼は予想外と言わんばかりの表情をしていた。
本当は、感情むき出しで怒鳴るような感じで言おうとしていたんだろう。そこをグッと堪え優しく聞こうとする辺り、優しいなって思う。
私は彼の優しさにまた甘えたいのかそれとも、このCの世界と呼ばれる空間の特性なのか分からないけど嘘を付いて誤魔化す気は起きなかった。だから正直に今までの心情を伝えた。
私が色々話してる時、時折私の考えに対して何か反論しようと口を開く時があったけど彼はぐっと堪え最後まで話を聞いてから色々話すことにしたみたい。
「───だから私はもう皆のところへは行けないよ。こんな嘘つき、皆が知ったらきっとショック受けるよ。」
「ならばアイ、嘘つきなお前に聞きたい事がいくつかある。いいだろうか?」
聞きたいこと?私が首をかしげると彼が質問し始める。
「俺はあの事件の後アイの携帯全てをハッキングし情報を得た。それで分かった事があった。それは【アイはかなり用心深い】という事。そんなアイが悪質ストーカーの存在やいずれこういう事件が起きる可能性を考えてないはずがない。それなのに大事なあの日にドアスコープ越しで確認をしないだけでなくチェーンを掛けずにドアを開けて確認するのは違和感を覚える。」
「……えと、つまり…?」
「アイ、お前あの事件は犯人とグルでやった計画的犯行なのでは?と思ってる。」
「……。」
「───まぁ、これに関してはもう終わった過去の事だからそこまで気にはしない。もう一つはアイ、人は何故嘘をつくと思う?」
「それは、誰かに知られなくない秘密があるからとか、周りの空気を読むとか、理想の自分を周りに魅せたいからとか?」
「ふっ、まぁまぁ似てるところはあったかな?俺の思うに、人が嘘を付くのは何かを守るだけじゃない。何かを求めてるからだと思う。」
「何かを…?」
何を?私は一体何を求めていたんだろう?私はそんなの考えたことないな…。
「ありのままでいい世界とは、変化が無い、生きると言わない。“嘘”とは人が人らしくあるための曖昧で、そして運命に抗うための優しい“なにか”だと思わんか?」
私はただただ彼の言葉を黙って聞いていた。私は自分の生立ちや自分のなにかに抗いたかったのかな?
「俺も昔、社長がお前に言ったように友達から似た事を言われた事がある。その嘘を本当にしてしまえと、ついた嘘は最後まで、と。────アイ、お前と俺は似たような存在だ。お前が嘘つきなアイドルなら俺は嘘つき魔王になればいい。俺たちは共犯者だ。」
彼らしい実に傲慢な事だ。何よ、”魔王“って。でも、私くらいしかいないのかなと思っていたけど、私と似たように嘘付きな人がいて普通なら否定されるその“嘘”を彼は受け入れて認めてくれた。寧ろ、嘘を付く事が人の特権とでも言ってるかのような感じだ。
私は独りではないと実感した。生きていいんだ、って思った。
「貴方がそこまで言うなら、いいよ。一緒に帰ろ。」
その時、私達の周りに幾多の魂の残滓が囲み始める。敵意や悪意は感じない。温かく、優しさを感じる。そんな魂が私たちをCの世界から現実へ導いていく。
そんな魂の移動の最中に聞こえるはずのない人の声が聞こえた。
───ルルーシュのことよろしくお願いしますね。
───ルルのことよろしくね?ルルね今までずっと1人で世界と戦ってきたから、だからあなたもルルの本当になってあげてね。
───兄さんは世界で一番優しい嘘つきなんです。兄さんのことよろしく頼みます。
うん、分かった。