推しの子-芸能のルルーシュ-   作:我来也

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何か前置きか後書きの欄に書く事があったのですが忘れました。

*1つ目:もう少しでこのオリジナルストーリーは終わると思います。その後本編に戻ると思いますので…。(残り約2〜3話)


27話

 

 会話での駆け引きをして慎重に情報を得たいが、休憩時間も限りがある。変な探りは不要か。

 

「単刀直入に言わせてもらうが、”今ガチ“の黒川あかねに対する演出、そしてこの写真の女の子、別の恋愛リアリティショーに出てたが後に亡くなった”◯◯◯◯“。どちらの番組のディレクターには貴方、三瓶さんが携わっているようですね。これの意味することは何か?それを直接伺いにきました。」

「………」

 

 三瓶の目つきが変わる。やや目つきが鋭くなり先ほどの友好そうな関係から一気に警戒心全開でこちらの様子を見ている。

 

「貴方が彼女らを殺したり黒川にも殺そうとしたのか?」

「……あとで話そう。今は撮影に集中したい。」

「おい、逃げる気か!?」

「違う。22時にこの店に来てくれ、個室だから安心しろ。」

 

 三瓶から紙切れ用紙を渡される。それは接待等で利用するそれなりの値段のするディナー店だ。

 正直食事をしながらするような話じゃない。楽しく話をする訳でもないのにわざわざそこを選んだのは、情報を外部に極力漏れない為か。

 もうここに用はない、撮影の邪魔になるし一度出よう。

 

 

 

 

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「それで、興味深い話を教えてくれませんか?」

 

 某所にあるそこそこ高いディナー店。雰囲気も落ち着いて食事をするような大人なお店。

 

「まぁ待ってくれ、ちゃんと話すからその前に少し食べさせてくれ。」

 

 脅すなりして主導権をこちらが握り話を進めたいが、手札がない為それは難しい。どうしても相手のペースに合わせるしかなく、そのマイペースさにイライラが募る。

 食事なんて今取るつもりもないが、このまま相手だけ食事をとりいつ話してくれるのかも分からない時間をぼーっと過ごす気もない。なら、ここは俺も少し喉に通しておくか。

 俺は目の前の料理を食す。

 

「それで三瓶さん、あの時の質問に答えてもらおう。あなたが、黒川あかねや◯◯◯◯を殺したのか?それとも殺す手引きをしたのか?」

 

 彼は食べた物を咀嚼し、ビールと共に喉に流した後しばしの間があく。表情を見るに何も知らないわけじゃなさそうだ。

 “違う”のなら直ぐに否定するはず。つまり少なからず殺すこと、殺されること、そういう向こうサイドの計画の一端は知っていた、ということか。

 

「…どこから話そうか。とある事務所を代表するタレントの“サチ“さんのこと知ってるかい?」

 

 それは今も活躍してる有名なマルチタレントの人。元はグループアイドルの中心として活動していたが、今はそのグループアイドルを抜け、個人アイドルとして活動しているがそれだけではなくドラマ等の女優業もしている。

 

「ああ、その人とお前がどう関係してるんだ?」

「サチはアイドル時代はグループの中で1番人気でね、それこそ貴方たちのB小町の“アイ”のようにね、俺はその時に何度かお世話してたんだ。」

 

 あれか、アイが映画撮影の時にお世話になった五反田監督のようなものだろうか。

 

「だけど悲しい事に光を浴びる者、浴びれない者が生まれる。そして上へのし上がるより上を潰すような事をして上へ行く者が…。」

 

 人間は集団社会である以上、派閥や政治的な駆け引きがある。芸能社会もアイドルグループもそこは存在する。

 

「ある日グループ内での事故があってね、いやあれは事故じゃなく事件と言った方がいいかな。」

 

 それはグループの1人が撮影スタジオでサチを階段から突き落とした。

 ちょっとしたイタズラ心か、ビビらせてやろうという気持ちかは分からない。だが、勢いよく落ちた彼女の先にまだ作業途中の変電設備が開いてあった。彼女はそのまま顔から高電流をくらい意識不明の重体に。

 

「手術をしてある程度は顔は元に戻ったらしい。だけど、周りの人も自分自身もその変わり果てた顔を見てショックは少なからずあった。」

 

 顔が売りのアイドルや芸能人。それが失われたらその世界では生きていけない。あの世界はある意味魔薬だ。あの世界を知ってしまってその世界でまだ生きていきたいのなら尚更今の自分の姿に絶望するだろう。

 

「だが今の彼女に事故の傷痕はもう……。──ッ!!まさか!?」

 

 24通りの可能性がある。その中で最も可能性が高いのはその中の2つ。一つは誰かが“ギアス”を使い彼女の顔を修復してみせたか。もう一つは別の誰かの顔を彼女の顔に手術したか、だ。

 辻褄として合うのは後者の別の誰かの顔を“サチ”の顔に手術して“サチ”として活動してる、という線だ。まだ駆け出しの人や、恋愛リアリティ番組に出るようなルックスがとても整っている人を上手に吹け込み誘ったのだろう。それこそ姫川が言っていた「大きな役」の話だ。

 が、何かしらの理由があって命を落とし“顔”の秘密を守るために死体の多くは顔に傷が付いていた。

 しかし、この世界にも“ギアス”がないとは言い切れない。現にパキスタンの神殿で俺はCの世界にアクセスすることが出来たのだから。

 

 

 三瓶さんと“サチ”の関係はある程度は理解した。三瓶さんはサチに少なからず惚れていたのだろう。だからこそ、あの出来事が許せなくて協力してるのだ。俺はその人物を知らなくてはいけない。

 

「で、結局誰だ?若手芸能人を誘惑させた張本人は?黒川あかねをあそこまで追い込ませたのは何故だ?」

「そこまでは流石に言えないね、()()()()。だけど黒川あかねの事はいいよ。至ってシンプル、彼女を誘いたかったんだろうね。」

 

 やはり…。黒川あかねの圧倒的な役作り、プロフィールや情報を元に深い考察、そしてそれらを完璧に演じきれるセンスの高さ。それが目当てか。

 もういないサチを黒川の演技と顔を作れる技術力でサチを生き返らせようとしてたって訳か。本物に限りなく近い贋作で。

 

 これらの張本人に関しては、サチに関する情報を洗いざらい調べれば候補は絞り込めるし、伊井野から見せてもらった資料のダイイング・メッセージの謎を解けば分かる。

 

 話はこれで終了、という形で三瓶は席を立ち会計をし始める。三瓶を拘束するなり伊井野に頼んで捕まえさせたいが、直接的な犯行はしていない。あくまでしてたのは番組のディレクターの業務内。

 ギアスを使い自白させても、ギアスの効果が切れたらまるで洗脳が解けたようになってしまい前後の記憶が曖昧になる。それだと意味がない。

 

 悔しいがどうすることも出来ない。三瓶もそれを分かっているから俺たちはこの後普通に別れ俺は帰路に着く。

 

 大きな収穫はあったが一つ気になることがある。なぜ俺にあそこまで話をしてくれたのか、ということ。

 いくら三瓶を捕まえる事はできなくても俺がその後色々調べて事件が明るみになる事だって予測出来るはず。それに会話の中で発した「念の為に」だ。あれだけの情報を話したんだ、今更伝えれないことなんてないだろ?念の為…つまり用心して話すことを控えたってことだが逆にいえば、用心する必要がなければ話してたってこと。この後の展開が曖昧で不透明だからってことだが…少なからずその下地は整えてたはず。この場合の下地と言えば今回の会合の場所、完全個室なディナー店。

 そういえば日本には「同じ釜の飯を食う」という言葉がある。一緒に食事をとる事で親近感が生まれ友好関係が深まると…加えて夜の食事は尚の事それが増す。つまり気が緩み隙が生まれる。

 

 

 

 

────ッ!しまった。

 

 

 

 

 三瓶の策略に気付いてしまったが、時既に遅くもう始まってしまった。ルルーシュは左胸を強く握りしめて苦しくもがく。

 

 

「はぁ…はぁ…、がっ…あっ…」

 

 毒だ。考えればこうなる事くらい予測出来たはず、あっちの世界と違って戦争もしていなければ争い事の程度もたかが知れてる。かなり平和な世界だったからどこかで油断していた。こういう事もする輩もいるんだな。

 

 

 ポケットから携帯を取り出し開く。救急車を呼ばなくては…

 

「がっ…はっ…」

 

 思考も身体も働かない。視界もだんだん暗くなっていく。

 俺は…まだ……ナ、ナリー…ア…ィ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はいもしもし…ええ苺プロのミヤコですが…えっ、どういう事ですか?嘘ですよね…?ルルーシュに何があったんですか!?…すみません…すぐ行きます。』

 

 事務所でルビーや有馬と過ごしていたがミヤコさんが珍しく電話で声をあげる。それもルルーシュ関係の。ミヤコさんのあの言葉だけでは細かい予測は出来ないが、ルルーシュ関係であまり良くない事が起きたのは間違いない。それもミヤコさんが声を上げるほどの。

 

「ルルーシュさんに何かあったんですか?」

 

 ルビーがミヤコさんに尋ねる。ルビーも有馬も表情はあまり良くない。心配している。

 ミヤコさんは「えと…その…」と歯切れが悪い。いやこの場合は頭が混乱している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ルルーシュが、死ぬかも…しれない…って。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────え?」

 

 その声は誰だっただろうか。2人のうちのどちらかだろうか、いや俺自身だったのかもしれない。

 

「どういうことだ?」

 

 俺自身電話の内容に頭が冷静じゃない状態ながらも、なるべくアバウトな質問をしミヤコさんの口から色々話してくれるのを待つ。

 

「さっき病院から電話が掛かってきて…ルルーシュが住宅街の道で心肺停止で意識不明の状態で倒れてて…今治療に当たってるけど、今のままだと…」

「嘘よ…ねぇ嘘でしょ?だって!!あんなに元気だったじゃない!?私との約束もして…くれたのに…何で…?」

 

 有馬がぐすんと泣くのを堪えながらミヤコさんに尋ねる。だがミヤコさん自身も聞きたいはず。故に有馬のそれに応えれない。

 

「とりあえず病院に行って確認しよう。」

「私も行く!ルビーとアンタは?」

「私も行く!もしこれで最期だったら私後悔する。」

「俺もとりあえずは行く。理由が気になる。」

 

 僕たちにとって長い夜になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っ、う…ん?」

 

 意識が戻り目が覚めると白い色地につぶつぶ、うねうねした穴のような模様の天井が見える。いつか見た病院の天井だと理解する。

 毒の影響かそれとも寝起きだからなのか頭が若干働かない。毒を喰らってた時にあった自発呼吸のし辛さ、手足の痺れ、体温の冷え等の身体の症状は完全になくなってる。

 身体をお越し酸素マスクを外す。ふと隣を見ると、

 

────スー…スー…

────スー…頑張って…ルルーシュさん…スー…

 

 グースカ寝てるルビーと寝言を呟きながら寝てる有馬がいた。

 

 俺はあの時携帯を出した後救急車かミヤコさんらに連絡はしただろうか?まぁいい。今はあれから何日経過したのか、俺の所持品はどこにあるのかを知りたい。

 2人を起こさないように慎重に身体を動かし、ベットから出て部屋を出ようとすると、ドアが開き開けた者と対面。

 

「ル…ルルーシュ!?」「だ、大丈夫なの!?」

「アクア…それにミヤコさん、すみませんご迷惑をおかけしました。それより俺の所持品が何処にあるのか知りませんか?」

 

 ドアの向こうにはアクアとミヤコさんが立っていた。2人とも驚いた表情をしていた。余程俺がこうして意識が戻ったのが意外だったようだ。

 俺の所持品はミヤコさんが預かっており無事俺の元に帰ってきた。良かった。他人に見られたら困る情報が色々あるからな…。

 

「アクア、病院の先生に連絡してくれない?ルルーシュが目覚めたって。」

「分かった。」

 

 ミヤコさんの指示でアクアは先生のところへ向かう。そして「それで?」とミヤコさんがそのままルルーシュに尋ねる。まるで何か聞きたい事があるんでしょ?と言わんばかりだ。

 

「ああ、聞きたい事もあるが話しておきたいことがある。が今は言えない。あいつらがいるしな、病院の先生次第だが後で連絡する。」

 

 「分かったわ。」と相槌をうつ。

 病院の先生の話の内容次第ではミヤコさんと社長らには伝えないといけないかもしれない…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────俺の身体について

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