推しの子-芸能のルルーシュ-   作:我来也

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俺はルルーシュより頭は悪い。つまりどういうことかわかるか?

ルルーシュのような戦略は思いつかないのだよ


2話

 俺は、いや俺たちは東京都内の某ビルにある、とある店に来た。ここはいわばあらゆるゲームの賭博場だ。

 流石にこのような場所に全員が行くわけにはいかず双子の子どもともう1人いた女性を先に帰らせることにした。

 だから今この場に向かってるのは俺と彼女と対戦相手の男だけ。

 

「…」

「…」

「…」

 

 会場に着くまでお互い終始無言だったが席にお互い付き準備が整ったところで対戦相手の男が口を開いた。

 

「貴方もご存知の通りこれは賭チェスです。お金でも良いですし物や情報、なんでも良いです。相手がそれに見合う価値あるものだと判断されれば問題ありません。ですが基本的には自分が提示するより相手が望むものがあった場合、それを承諾できるかは“はい”か“いいえ”で選んで下さい。」

「なるほど、ではこちらが先に要求しようか。こちら側が望むのは2つ。一つは金だ。そうだな、1ヶ月余裕で暮らせるだけの金が欲しい。それともう一つは俺の妻をはじめ、俺の子どもたちへ浴びせた罵声に対しての謝罪だ。」

「いいだろう。あなたが勝てばその条件を果たそう。なら今度はこちらの番だ。俺が勝てば…そうだな、王族の可愛い女性と付き合いたいね、それと貴方は王族の身分を捨て有金全てを頂こうか。」

「いいだろう。それでいこう。」

「!?───ダメだよー!だってこれ、どうみても不公平じゃん!!負けたらどうするの!?」

「問題ない、勝てば済むことだ。それに────撃っていいのは撃たれる覚悟があるヤツだけだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 向こうにも何か事情があったのだろうけど、それにしてもあんな些細なことでうちのルビーにあんな言い方しなくても良いと思う。でもどちらかが謝らないとどんどん悪化するしコレがきっかけで私たちの秘密がバレる訳にはいかなかった。だからちゃーんと謝ってるのに向こうは許してはくれなかった。どうしたものかなーって思ってたところに、明らかな場違いと思えてしまうほどの高貴そうな白い服装をした男性に出会った。

 まるで白馬の王子様が助けてくれたんじゃないかなって思う人もいると思う。

 

 だけど彼はただ助けに来ただけではなかったと思う。助けるだけならもっと別の方法とかあると思うし、何か別の目的があったのかなー?

 

 でもチェスかー、私チェスとかああいう頭使うゲーム苦手だし何が面白いんだろう。それに私と年齢は同じか近いと思うんだけど相手は歳上の偉そうな人だよ?きっと頭も良いと思うし勝てないと思うんだけど…どうするんだろう…?

 

 そんなことを思いふけってるうちにチェスが始まった。ぼーっとしてる時は気付かなかったけど、今この周りにはそれなりの多くの人がこの対局を観ている。こんなに観られて集中出来るのかなー?

 

 私たちを助けてくれた彼が駒を動かす番になった。彼は後攻の黒の駒を使う。すると対戦相手を含め、周りの人たちがどよめき始めた。何?どうしたの?彼が何かしたの?そう思い彼の手に持ってる駒を見るとそれは

 

「キング…?」

 

 チェスというゲームがよく分かってなくてもキングという駒の事は知ってる。その駒を取るゲームなんでしょ?でもそのキングを手に持ってどうするんだろうって思ってるとそのキングを1マス前に進めた。

 

「キングを…?ふはははっ」

「フッ、王様が動かないと部下がついてこないだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「チェック。」

「ば、馬鹿な…!?」

「これで賭は俺の勝ちだ。約束を果たしてもらおうか?」

 

記録15分。いつもと比べ今回は時間がかけ過ぎたか?まぁ、ゲームには物語が必要だしそしてそれを楽しみにして観てる観客。

 最短最速で終わらせる事はできたが、それをしてしまうと観客の視線という名の監視カメラが機能しない。数が多ければ多い方がいいしその監視カメラが十分に機能するには飽きさせないことが必要だ。

 それにイカサマなどとふざけたことを言われたりしたら彼女たちが危ない。だからコレで良い。

 

 

 

 

 あれから約束通りお金をその場で受け取った。謝罪に関しては目の前にいる彼女にまずは済ませた。彼女の娘に関してはコレから謝罪しに向かっている。だが不思議な事に家ではなく何処かの場所で落ち合って済ませようとのこと。

 まぁ何にせよ、コレで一件落着だ。俺はその場を後にして住居の問題を考えようとしたところで彼女が待って、と言われた為振り向く。

 

「ん?どうしました?」

「『どうしました?』じゃないでしょ?貴方も一緒に行くの!」

「はぁ?何でわざわざ俺が…」

「それはもちろん貴方のお陰なんだしちゃんと最後まで見てほしいじゃん?☆それに────貴方とお話しがしてみたいから☆」

 

 話…?一体俺の何が聞きたいのか。

 

「申し訳ないがこの後色々と立て込んでいてね、謝罪するのは見届けるが貴女とお話はまたの機会で。」

 

 彼女が俺と何か話をしたいらしいが、あいにく俺は貴女と話す事などない。

 

「えー!折角面白そうな人と出会えたのにー…!残念だなー」

 

 そう言う彼女だったが、態度や表情こそ残念そうに見えるが本心から残念そうだったかと問われるとそうは見えない。別に今日限りの出会いだ。考える必要はない。

 

 

 

 しばらく歩き目的の場所に着いた。そこは彼女らが一悶着を起こしてや場所だ。別に公園でも何処か食事する場所でも良いのにと思ったが当人がそこに決めた以上何も言わない。

 

 

 

 

 

 

 

 無事謝罪するところを見届け男性は帰っていった。今ここにいるのは小さな双子と俺と一緒に着いてきた彼女と子どもたちと一緒に来た女性だけだ。

 

 

「あの、助けて頂き本当にありがとうございます。」

「ありがとね。皇子様♪ねぇねぇお兄ちゃん私皇子様に助けてもらっちゃったよ!」

「はいはい良かったね、ルビー。てか次から気を付けろよ。」

「ごめんねー、ルビーもアクアも怖い思いさせちゃって。次から気を付けるね。にしても“チェス”っていうよく分からないゲームを見てたけど凄かったよー!皆(どよ)めいていたんだから!私ちっとも分からなかったけど

 

 皆口を揃えてへぇーと感嘆してるがいけない、このままだと彼女のペースにのまれてしまう。そう思いそろそろお暇(おいとま)しようとしたが折角だ。彼女の姿を見や時から気になってた事があったのでそれに着いて小言を言っておこうと思い彼女に聞く

 

「俺はこれにて失礼しますが、君。」

「ん?私?」

「あぁ最後に一言いいかな?変装して外出をしてるのならもう少し周りに気を張っておく事だ。」

「…変装?何のこと?私これが私服だよー?」

「俺もプライベート含め周りに知られたらいけない身だったから分かるんだよ。芸能人かお忍びで外出しないといけない人なんだろ?別に君の事など興味がある訳じゃないからこれ以上詮索するつもりは毛頭ない。だが君の思慮深さに欠ける行動で困る人もいるのでは?」

「……」

「…すまない。少し言い過ぎたかな?では。」

「すごーい!やっぱりバレるかー!私の凄いオーラが滲み溢れてたのかなー!?」

 

 はぁ?なんだこの女。バレたと言った割には言葉の重みは感じない。ふわふわとした感じだ。まるでバレたらバレたで仕方ないと思っている。切替が凄いのか、それとも…

 

「あっ、そうだ!ねぇねぇこれから一緒に食事に来ない?」

「はぁ!?」

「いいよねー?あっ佐藤さんにも伝えないとー!」

「あ、おい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺としたことがなんたる様だ。この女、俺の話を聞いてるのか聞いてないのか分からないがコイツに振り回されて気がついたらとある事務所にいてこれからここで食事をすることになってる。

 

「この度はうちのクソアイドルがご迷惑をお掛けして申し訳ございません。私はこの事務所、『苺プロダクション』社長の斉藤という者です。」

 

 社長でありながらあの女に振り回されて心中お察しする。第一社長なのにあの女、名前を間違えてるではないか。外国人なら佐藤と斉藤の発音の聞き取りミスはするだろうが、あいつは立派な日本人だろうが。

 

「んでそこのクソアイドルは一体どういう理由で貴方様をここに連れてきたんだ!?」

「あ、忘れてたー☆そこの…アヘン?さんと一緒に食事がしたかっただけだよー!」

「アイ、アヘンさんじゃないでしょ?“アラン”って言ってたでしょ?」

「あ、そういえばそうだったー!ごめんねー?」

 

 このまま偽名で使っていた“アラン”で貫き通しても良いが、根拠はないが今後何かと関わり続けそうな気がする。なら名前はちゃんと伝えよう。

 

「ルルーシュだ。」

「?」

「ルルーシュ・ランペルージ、それが俺の名前だ。“アラン”というのはただの偽名だよ。」

「そうなの?」

「ああいう奴はプライドが高く権力を使って俺の素性を調べ尽くして何がなんでも復讐するようなタイプだ。“負ける”という経験をあまりしたことがない上に多くの人間が見てる前でだ。いくら俺が()()()()()()()()相手は自分より歳下。だから偽名を使ってその場凌ぎをしたってわけだ。」

「スゴいわね、よくあういう状況でそこまで考えてるなんて。」

「あぁ、まさしく頭脳明晰って感じだな。────ん?皇族だと思っても?ってことは…。」

「あぁ、この身なりだが皇族ではない。」

 

 別に嘘ではない。確かに元々は皇族だった。それも唯一の皇帝『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア』だった。だがその名はもう死んだ。今は『ルルーシュ・ランペルージ』として一般人として生きて再び生きていく。

 

「てことは、ただの一般人で合ってるのか?言葉だけじゃなく身なりからそう思い込ませるとは…!」

「そんなことより早く食べよーよ!お寿司がいいなー!お寿司☆」

「あーもう寿司は高けぇからピザで我慢しろ!ったく。────本当うちのクソアイドルがすみません…あの、ルルーシュさんはその、お時間大丈夫ですか?」

 

 

 彼ら彼女らの会話のやり取りを聞いてるとどこか懐かしい既視感がした。生徒会の皆?スザク?いやピザ女たるあの魔女とのやり取りだ。あの傍若無人でなにかと俺を揶揄ったり悪戯する魔女。

 俺は結局世界の為を選び、『死にたい』という彼女の願いを叶える事が出来なかった。

 あの女は今どうしているのだろうか、また誰かにギアスを与えて願いを叶えてもらおうとしているのだろうか。

 

 思わず口角が少し上がって笑みを浮かべてしまう。

 

「大丈夫ですよ。それよりそのクソアイドルさんの為にピザでも頼みましょ。」




次は20日です。

*やっぱ17日です。
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