その日は突然来た。
父親からもうすぐお前の兄弟となる子が生まれるぞと告げられた時、アンドロメダはさっぱりどういう事か分からず事態を飲み込めなかった。
一方でベラトリックスは満足そうに母親に下品と叱られたあのゲラゲラ笑いをアンドロメダしか見えないところでしていた。
部屋にアンドロメダと二人っきりになると、ベラトリックスは笑いながら口を開いた。
「あんたこれで2番目ね。ぜんぶよ、ぜーんぶ2番目!」
ベラトリックスは楽しそうにクルクル踊りながら、部屋を後にした。
部屋の外の廊下では未だ彼女の狂ったような笑い声が響き渡っているようだった。
アンドロメダは、2番目の何が悪いのだろうと首を傾げた。
ベラトリックスがあれ程、アンドロメダに当てつけに言ってくるので、ベラトリックス自身2番目というものを相当、醜く最低なものだと考えているのだろう事は容易に想像出来た。
1番目じゃなきゃヤダと思った事は無いし、順位に一々こだわる程競争心というものが アンドロメダには無かった。
――私が2番目になったらベラは今度は誰と張り合うのだろう。新しい子も私のように嫌うんだろうか。
そんな風に呑気に考えていたアンドロメダも、次第に姉の言っていたことがどれ程深刻な事態か痛い程思い知らされる。
両親は、あまりアンドロメダに構ってくれなくなり、お腹の子のことばかり気にし話題に出した。
嫉妬という感情を知らなかったアンドロメダも、知っていたベラトリックスもそんな両親と一緒にいる時間が 最高に最悪なものとなった。
何故なら知りたくなかった真実を嫌という程思い知らされるからだ。
自分達姉妹は本当は望まれて生まれてきたわけじゃない。
二人が望んでいたのは……後継ぎとなる男の子。
二人はちっとも女の子を求めていなかった。
一時でも愛しているような素振りを見せたのは、仕方が無かったから。
望んだ男の子ではなく女の子だったとしても、生まれてきてしまったのならその子を後継ぎの代わりとして育てるしかなかったから。
そんな真実を姉妹は知りたくなかった。
だからこそ無邪気な悪意を持って強くこう願った。
次の子も私達と同じ女の子でありますように。
そしてその願いは愚かにも叶ってはしまい、その時だけは仲の悪い姉妹も共に抱き合い喜び合った。
だが喜びながらもアンドロメダはこう思った。
自分はなんて醜く最低な生き物なのだろう、と。
こうして、姉妹の新しい妹が誕生した。
その妹、ナルシッサは最初、両親にも姉妹にも歓迎されなかった。
それを裏付けるかのように妹はブラック家の伝統である星の名さえ、つけてもらえなかった。
彼女の名には「誰も望んでいないのに望まれていると勘違いした自惚れた子」という意味が込められていた。