やはり俺の日常ラブコメはまちがっている。 作:ARuTo/あると
日いづる国という言葉がある。これは日本の美称で朝日の昇る国という意味があるらしい。真っ白いご飯の真ん中に梅干し。日の丸弁当とはよく言ったものだ。対して、我が千葉大国のマスコットキャラクター、チーバくんの体色も赤。背景にはよく白が使われる。これもう日本の名前を千葉に改称して、国のキャラとして売り出せば最強なのでは?と、いつも思うのだが、口元をよく見てみると舌を出しており、実は懸念事項が案外大きかったりする。おまけに地図上でその場所は例のディスティニーときた。世界レベルのコンテンツに喧嘩売るとかこれもう詰んでるじゃん……。いっそフリーでダムダムなジャスティス系遊園地を招致した方が集客を見込めるんじゃないかしら……。
などと益体もない事を考え、日々を浪費している内に夏休みは終盤を迎えていた。いやどうしたらそんな事になるのかと、肩をゆさゆさぶんぶん振り回されそうになるが、これが結構、高校生あるあるなのである。八月という合法ニート期間に突入したのも束の間、酷暑を言い訳に冷房の効いた部屋で撮り溜めていた女児向けアニメをだらだらと視聴。挙句の果てには夏休みの大半を室内で過ごしてしまうという最早、地底人並みの生命力を発揮するに至っている。
「今日の俺、まじ美白だなー。……てか暑い」
「お兄ちゃんのそれは病気の類だよ。少しくらい陽を浴びる努力をしたらどうですかー。……あーマジ暑い」
俺はソファに寝転がり、ゲームをぽちぽちとしていた。対する妹の小町は仰向けに雑誌を読みながら悪態をつく。あくる日の比企谷家。リビングのクーラーが壊れて室内は蒸し器と化していた。
「腹……へったな……。ああ……台所に行くのも面倒くせぇ……。小姑ちゃーん。にくまんはちまん何でもいいから持ってきてー」
「誰が小姑ですか。ていうか、それ面白いと思ってる?いい加減小町、口聞かなくなりそうなんだけど」
小町は雑誌から目を逸らすと、温度の低い口調で適当な言い草をバッサリと切り捨てる。
「言い方がマジじゃん……。ほんとそれやめて。怖いから。俺が悪かった。世界のお兄ちゃん一同謝るから。ごめんなさい」
「他を巻き込まれてもなぁ……。……ともかく、冷蔵庫には何にも入ってないからね。この暑さで何も作る気しないし。そのつもりで」
小町はソファから立ち上がると、冷蔵庫をがちゃこん開けて口に当たらないようにしながら麦茶を直飲みし始めた。本人は「ああ〜生き返る〜」なんて言って、元気で溌剌なCMに出演出来そうなくらい可愛いのだが、品のない事あらん事。そういう自分も辛うじて上半身にTシャツを着ているだけでパンイチよろしく、変質者と捉えかねない格好をしていた。これはもうあれだな。暑さで脳内が熱暴走を起こして判断が鈍っているのだろう。俺の脳内選択肢が品性を全力で邪魔している。
「あっつ……」
「暑いねぇ。わざわざ口に出すのも面倒なくらい暑いねぇ……」
先程の爽快感はどこへいったのか、へなへなと小町はソファに倒れる。このままでは埒があかない。ここは一つ、重い腰を上げて妹の為にも打開策を提示するべきであろう。
「……多分、更に暑い思いをすると思うけど。マリピ。昼飯がてら涼みに行くかー」
なんか店の響き的にも涼しそうだし。行くとしたらそこが一番手取り早いだろう。素っ気なく言ったつもりだったが、聞くが否や小町が飛び起きる。
「いいねぇ!お昼ご飯ついでにショッピングも出来そうだし!あとあと!知り合いにもばったり会えそうだし!」
夏バテは遥か彼方。フレッシュでキュアっキュアな瞳が早く行こうと告げている。正直、行くのは面倒くさいが家族一推しでアイドルのB(バカ可愛い)小町が言うなら仕方あるまい。よぉーし!お兄ちゃんも暑さに負けないようアニメを見てしっかり準備しちゃうぞっ!と、テレビのリモコンを手に取ったのだが……小町に引き止められた。
「あーほらほら、行くと決めたらすぐ行動しないと。お兄ちゃん一度見だすと止まらないから。あと一話、あと一話って結局、行く気なくしちゃうんだから」
誰かさんの真似をしながら、小町は着座しようとする俺を引っ張り出した。
「いつものパターンだな。いや、行く気はあるんだけどね?こうも暑いとひよっちゃってね?」
「はいはい。バスで行きますからね。それとお兄ちゃん。外出かけるんだからダサい格好は駄目だよ」