「ミドリって一番仲の良い先輩とかってだれ?」
「仲の良い先輩ですか?」
「うん。吹奏楽部に入ってちょっと経ったし、ミドリが一番仲の良い人って誰なのかなって気になって」
「仲が良いかは分からないですけど、一番話しやすくて助けになってくれるのは音海先輩かな」
「へぇ~音海先輩、人気だね」
「え、人気って?」
「前に久美子と話した時も名前が挙がっていたんだよね」
「そうなんですね。音海先輩は本当に頼りになるし、いつでも笑って話聞いてくれるんです。今まで会った男の人で一番話しやすい人かもしれないです」
「そ、そんなに!?」
「はい。それぐらい頼りになります」
「例えば、こんなことがあったんです」
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主人公視点
「あれ…川島さん、どうしたの?」
「あ、あの…ここ」
そう言って川島さんは教室内を指差した。
教室の中を確認するとそこには違うパートの人が楽しそうに話していた。
「そうか…。わかったよ。川島さんはここで待っててね」
「え……」
僕は教室の中へと入って行き、「突然すいません。ここはコントラバスの子が練習に使うので場所を移していただけませんか?」と言って、彼女たちを移動するように促す。
正直、憎まれ口でも言われたりするかと思ったが、彼女たちは素直にどいてくれた。
「川島さん、ごめんね」
「え、なんで音海先輩が謝るんですか?」
「中に居たのは皆同級生だったし。ここは彼女たちと同級生として謝らなくちゃいけないよ。本当にごめんなさい」
「せ、せんぱいは謝らないでください!」
「でも、川島さんに迷惑を掛けちゃったからさ」
「だ、大丈夫です!それに先輩にはいつも助けになってもらってますし」
「それはありがとう。これからも僕に出来ることならいつでも声を掛けてね」
「は、はい。ありがとうございます」
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「こんなことがあったりして、本当に音海先輩は頼りになる人だと思いましたよ」
「ああ~確かに先輩っていつも謙虚だし、周りをよく見てるよね」
その後も二人は音海のことや他の先輩のことなどで話していた。
すると急に葉月が何かを思い出したかのように大声を出した。
「ど、どうしたの、葉月ちゃん!?」
「そう言えば、音海先輩のことですごいエピソード思い出した!」
「す、すごいエピソード?」
「うん。顧問の先生が「全国を目指すか」「楽しくやるか」で選択を迫ったことがあったじゃん?」
「ありましたね」
「その時にさ、最終的に全国を目指すことになったけど、色々と先生のことで不満とか出てたじゃん」
「出てましたね」
「偶然見ちゃったんだけどさ、吹奏楽部が終わって帰ろうとした時に音海先輩とさっき不満を言っていた先輩と話していたの。悪いなぁと思ったんだけど、聞き耳を立てて見たらさ「先輩のお気持ちも分かります。ですが、どうかその気持ちは心の奥底に秘めてもらえないでしょうか。その代わり、僕が先輩の愚痴をたくさん聞くので。僕は先輩の音色が好きですし、先輩には楽しそうに引いて欲しいんです。だからお願いします」ってさ」
「え…そんなことをしていたんですか?」
「あとで他の子にも聞いてみたら、色々な人に同じことをしていたみたい。あの時に辞める人がほとんどいなかったのは音海先輩が色々と立ち回っていたからなんじゃないかな」
「やっぱり、音海先輩はすごいんですね」
そんな話が後輩たちの間で行われていたらしい。
主人公は誰かと結ばれて欲しいですか?
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結ばれないで欲しい
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結ばれて欲しい