女の子はひとりだけ! 男だらけの結束バンド   作:koshikoshikoshi

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夢がかなうかもしれない その2

 

「ボクの夢は、バンドで食っていくこと。……その夢が、かなうかもしれない」

 

 へっ?

 

 リョウがおかしなことを言い出した。オレ達、こないだバンド始めたばかりだぞ。ボーカルすらいなんだぞ。

 

「虹夏には感謝している。バンドに誘ってもらったこと。そして、ぼっちを見つけてきてくれたこと」

 

 リョウの真面目な顔。ついさっき「ヒモになりたい」と言ったときも真面目な顔だったが、真面目度がちがう。付き合いが長いからこそわかる。今のリョウは正真正銘の本気の大真面目だ。

 

「お、おまえ、そこまでぼっちちゃんのこと……」

 

「あれだけのギタリストが誰とも組んでいないなんて、奇跡としか言いようがない。この出会いは運命と言っていい」

 

 あ、ああ。それは、実はオレも似たような事を考えていた。あの日、あそこでぼっちちゃんに出会ったのは運命かもしれないなぁ、なんて。

 

「これは人生最大のチャンスなんだ。ボクは、……ぼっちを逃がしたくない、絶対に。できれば一生そばに居て欲しい」

 

 え? ちょ、ちょっと待てって。それっておまえ、もしかして、ぼっちちゃんのことが……好きってこと?

 

 

 

 

 

 リョウは、オレと違って女の子にもてる。同じ男としてちょっと信じられないくらいもてる。

 

 たしかに、黙っていれば顔はいいし一応名門進学校の生徒だしベース弾けるし金持ちだし。いままで告白された女の子の数は、オレが知るだけで両手両足の指では足りないほどだ。

 

 ……人間的にはクズでアホな男なんだけどなぁ。ホント世の中、人を見る目がない女ばかりだぜ。

 

 だが、リョウは女の子と付き合ったことがない。どんな可愛い子に告白されても、バンドのファンに誘惑されても、決してなびいたりしない。いつもの無表情のまま『ごめん』のひと言ならまだましで、気が乗らなければ目もあわせずに無視だ。

 

 幼馴染みながら、人間としてどうかと思う。いつか刺されるに違いない、ていうか刺されてしまえ!

 

 ……だけど、『ボクは女の子と付き合うより虹夏と音楽の話している方が楽しいから』とか、この綺麗な顔で面と向かって言われてしまうと、オレはなにも言えなくなってしまうのだ。

 

 と、とにかく。リョウは基本的に女の子に厳しい。ていうか興味が無い。そのリョウが? ぼっちちゃんを?

 

 

 

 

 

「……ぼっちに対するこの感情が『好き』なのか、わからない。でも、これは確かだ。才能も、性格も、外見もすべて含めて、ボクはぼっちが欲しい」

 

 はぁ? ちょっとまてって。おまえ、女の子とつきあったことないだろ?

 

「うん。でも、ぼっちはボクと似てるところがある。ボクらはきっと上手くやっていける」

 

 け、け、結束バンドはどうするんだよ。

 

「大丈夫、虹夏にも結束バンドにも迷惑は掛けないから。できれば応援してくるとうれしいな」

 

 え、えええ?

 

 幼馴染みの親友にこんな事を言われちゃったら、オレはなんと答えるのが正解なんだ?

 

 

 

 

「あ、……お、おはよう、ござい、ます」

 

 STARRYのドアがゆっくりと開く。消え入りそうな声。ぼっちちゃんだ。

 

 お、ぼっちちゃ……『ぼっち!』

 

 声をかけようと立ち上がりかけた虹夏(♂)。だが、機先を制したのはリョウだった。

 

「ぼっち、曲のことではなしがあるんだ」

 

「あ、リョウさん。……はい」

 

 あ、こら、リョウ、ちょっとまって。……ぼっちちゃんも! ねぇ、まてってば! 曲の話するならオレもまぜて! おねがい!!

 

 

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