魔界最強の魔族になったが、魔王様から勇者と別世界の魔王軍を倒してくれと頼まれたのだが!?   作:リーグロード

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なろうで書いているものをこっちでも掲載します。



核と氷河期の力を手に入れし者

 俺は一度別の世界から死を経験してこの世界にやって来た。

 

 その際に神たる存在からいわゆるチート特典を貰った。

 

 

 

 その能力は2つ。当時の俺は中二病と呼ばれる精神病を患っていた。

 

 単純にオシャレで強い能力が欲しかったのだ。その当時の俺は炎熱系と氷雪系の属性攻撃に憧れを抱いており、貰うのならばその2つだと豪語していた。

 

 

 

 だから俺は最強の炎と氷が欲しかった。そして問われたのだ。

 

 

 

『イメージせよ!君が思い描く最強を……。世界に存在する炎と氷の力をその身に宿せ!!』

 

 

 

「俺の思い描く最強……世界にある炎と氷……」

 

 

 

 退屈な授業中にずっと考えていた事がある。世界史の授業で習った人間の戦争によって生み出された全てを焼き尽くす破滅の炎たりえる核の炎。

 

 同じく世界史の教科書で読んだ太古の昔である恐竜の時代を終わらせた氷河期の終焉の氷。

 

 この2つを自由自在に操れるたならば、それはもはや最強と称するに相応しいのではないか?

 

 

 

 なんてことだ、社会科の授業は中二病レベルを高める内容だったのか!?

 

 

 

 ともかく、俺のイメージ通りの力を神は俺に授けてくれたのだ。

 

 しかし、それを人の身に宿す危険性を俺は深く考えていなかった。核の炎と氷河期の氷の相反する2つのエネルギーをその身に宿したお陰で俺は産まれた瞬間にそのエネルギーをまともに制御出来ずに周囲に振りまいてしまった。

 

 

 

 そのせいで俺を産んだ母は死んだ。それが切っ掛けとして俺は忌み子として捨てられることになった。

 

 殺されずに済んだのは周囲の大人たちが俺の中にあるエネルギーを恐れたからだ。

 

 

 

 恐らく、それは正しいかったのだろう。あの頃から俺は意思を持っていたのだ。

 

 もし俺に対して殺意を持って近づいてきていれば、俺は躊躇なくこの力を使って反撃していただろう。

 

 

 

 そうして森に捨てられてしまった。

 

 普通ならいくらチート特典を貰っていたとしても、まともに体を動かすことが出来ない赤子が森の中で生き残ることは不可能だ。

 

 しかし、俺は人間ではなく魔族という種族に転生したお陰で生き永らえることが出来た。

 

 魔族とは人間に似た容姿をしていながら、頭部に角が生えているのが特徴的であり、身体能力や生存能力も人間とは比べ物にならないほどに強い。

 

 だから、赤子といえどチート特典持ちの魔族である俺ならば、未熟な肉体でも生き延びることは可能だった。

 

 水分は空気中の水分を凍らせて氷にして摂取した。

 

 魔族は赤子でも肉が食える。俺はチート能力で俺を餌として襲い掛かってくる動物を逆に返り討ちにしてこんがり肉として食ってやった。

 

 ただ、最初の頃は火力の調整など上手くいかずに、焦がすどころか灰に変わるレベルまで燃やし尽くして、森が大火事になった。

 

 もしこの時、俺のチート能力が炎の他に氷でなかったら、あの時点で火葬されていただろう。

 

 

 

 それから数年間、俺は一人孤独に森の中で生き抜いていた。そうして赤子から幼少期まで成長し、その頃になると元々持っていた前世の頃の感情というやつは薄らいでいた。

 

 弱肉強食、生存競争の為の殺し合い、etc.と現代日本人の倫理をそぎ落として育っていったのだ。

 

 

 

 この時点で俺は自身の能力をある程度は自在に操れる程度には扱い慣れた。

 

 まず、炎と氷を両方同時に操れることが可能となり、それぞれの力の使い分けを上手く出来るようになった。

 

 

 

 基本的に炎は左半身、氷は右半身と使い分けることで互いの力を衝突させず100%の威力で放つことが出来る。

 

 無論、右半身でも炎を左半身でも氷を操れることは出来る。っが、本来の威力の80%程度に威力ダウンはしてしまう。

 

 それでも核の炎と氷河期の氷のエネルギーの80%ならば、ほぼ全ての生物を倒すどころか殺せるだろう。

 

 

 

 実際、練習中に間違って80%の出力で森を冷凍して凍らせてしまったことがあるからな。

 

 その後、慌てて炎を微調整して森全体を燃やさないように解凍したけど、多少下手をしてしまって一部ボヤを起こしてしまったが、そこはご愛嬌というものだ。

 

 

 

 そんなこんなしてたら、唐突に森の外の世界が気になり始めた。

 

 最初のころは自らのチート特典の掌握に精一杯でまるで外の世界の事なんて気にしちゃいなかったが、前世はラノベ小説大好きな男だったんだ、異世界がどんなところか気にはなる。

 

 

 

 そんな好奇心に惹かれて森の外へ出た俺を待ち構えていたのは、超大型魔獣とその群れの進軍だった。

 

 いわゆる、ラノベお決まりのスタンピードというやつだ。

 

 

 

 魔獣とは大体知っての通りのモンスターで、超大型魔獣ってのは山ぐらいデカイ図体を持ったモンスターだ。

 

 本来ならば国の軍が出張ってようやく討伐出来るかどうかの危険度らしいのだが、俺は興奮状態のまま嬉々として突撃を決行した。

 

 

 

 氷結能力で群れ全体を凍らせ、続けざまに炎による摂氏4000℃の熱攻撃で粉砕した。

 

 本来ならば氷漬けにした時点で勝負は決まっていたのだが、これを放置しっぱなしは邪魔という理由で砕いたのだ。

 

 その時の俺の感想は……

 

 

 

「雑魚じゃん……」

 

 

 

 てっきり、あの群れの中で一番デカイ超大型魔獣くらいは氷を砕いて襲い掛かってくるものだと警戒していたのだが、そんな気配は一切せず見事な氷像が完成いたのだ。

 

 この時点で俺は自身の圧倒的な力を再確認した。この力は強すぎる。無暗矢鱈に振り回して使えば絶やす世界を破壊してしまうものだと。

 

 

 

 あまり自重という言葉は好きではないが、これは流石に自重せざるを得ないだろう。

 

 

 

 そんな俺の認識を改めたところで、遠くの方から何やら謎の集団が馬に乗ってこっちに向かって近づいてきた。

 

 最初は警戒していた俺だったが、段々と近づいてきた集団を見てその警戒は薄くなっていった。

 

 

 

 だって、なんか見るからに弱そうなのだ。いや、大剣やら鎧やら着込んでいるから戦闘関連の荒事を生業としているであろうこと察しが付くし、それなりの集団であるということは身なりや体格を見て判断できるのだが、如何せんエネルギーが少ない。

 

 

 

 いきなりエネルギーなどと言われても理解しにくいかもしれないが、俺の肉体には核の炎と氷河期の氷というトンデモパワーが内包されている。

 

 しかも、使用すれば減っていきはすれど、その都度どこからか使用したエネルギー分補充されていくのだ。

 

 つまるところ、実質弾数無限の破壊兵器とも呼べる俺はそれが理由なのか自分以外の生物の保有しているエネルギーを見抜ける能力を持ち合わせているのだ。

 

 

 

 そんな俺の目から見れば、こっちにやって来る連中のエネルギーは微々たるレベルのもので、恐竜の元に蟻んこがやって来る感覚にしか思えないでいた。

 

 

 

 勿論、この異世界特有の特殊能力や異世界技術で封殺されるかもしれないという可能性もあるので、一応最低限の警戒だけはしていた。

 

 

 

「全員止まれ!」

 

 

 

 集団の隊長と思われる人物が片手を上げて後続の仲間に停止命令を下した。

 

 やがて俺の目の前に馬に乗ったまま隊長格の男が進み出た。

 

 その男は不躾ながらに俺を値踏みするような視線で見つめ、やがてただの子供と判断したのか、不用心に馬から降りて目線を合わせる為に屈んで俺に話しかけてきた。

 

 

 

「坊主、お前はどうしてこんなところにいる?」

 

 

 

 どう答えようか? ここは正直に話していいものだろうか。

 

 まぁ、隠す必要もないので素直に話すことにしよう。

 

 

 

「……別に」

 

 

 

 ごめん。森での一人暮らしが長すぎてまともなコミュニケーション能力が損なわれてるわ。

 

 まるで素直になれないツン全開キャラになってしまっている。

 

 

 

 今の俺は傍から見れば大人相手に反抗的な生意気なガキにしか見えないだろう。

 

 そんなクソガキを相手に、目の前にいる男は困った顔で頬をかいて苦笑いを浮かべている。

 

 

 

 見た目はむさ苦しいオッサンだが、わりといい人なのかもしれない。

 

 まあ、だからどうしたという話しなんだがな。

 

 

 

 俺からすれば善人だろうが悪人だろうが、役に立つか立たないかでしか相手を判断しない。

 

 重要なのは相手がどれだけの情報を持っており、それをどれだけこちらに譲歩するのか。ただそれだけだ。

 

 

 

「なら坊主、これだけは答えてくれねえか?つい先日までここら辺を大量の魔獣が群れをなして移動していた。その中には超大型魔獣もいたんだ。そいつらが何処へ消えたか知ってるか?」

 

 

 

 先程の質問と違って脅すような鋭い目つきで聞いてくる。

 

 まあ、消えた大量の魔獣がいたであろう場所にたった1人で子供が立っていたら怪しいとは思うだろうから、当然か。

 

 

 

「その魔獣ならそこら辺に転がってるぞ」

 

 

 

 そう指を指した場所には熱で溶けきれていない細かく砕けた氷の破片が転がっていた。

 

 

 

 それを見たオッサンは訝しげに小さくなった氷の1つを手にとって確認していた。どうやらその氷の中に魔獣の肉体の一部が残っていたようで、ウゲッと嫌な顔をしていたが、ひとまずは信じてくれたようだ。

 

 

 

「魔獣共がここで死んだってのは分かった。だが問題はこれをやらかした存在がいるということだ。まさか自然現象でこうなったって訳じゃないだろうからな」

 

 

 

 どうやら、このオッサンは俺がこの事態を引き起こした犯人だと疑っているようだ。

 

 まあ、この現状で疑わない者はいないだろう。

 

 

 

「あれは俺がやったことだが?何か問題でもあるか?」

 

 

 

 傲岸不遜な態度で言い放つ俺に訝しげな顔で怪しんでいるオッサンだが、状況証拠的にそれしか考えられないだろうと納得している。

 

 

 

「分かった。いや、正直言って納得は出来ていないが、この状況下からして君以外考えられないからな。それで、君はこの後どうするつもりだ?よければ、私と共に来ないか?」

 

 

 

 これが、俺とアレックスのオッサンとの出会いだった。




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