このお話は「戦国時代風艦これ」を目指した結果、何だか良く分からない和風異世界で繰り広げられる、艦娘と深海棲艦(深"怪"棲艦)との戦いを描きます。以下の要点をよく読んで閲覧を決めて下さい。
・第二次世界大戦当時に関連する実在する人物をモチーフにしたオリジナルキャラクターが出ますが、性格や外見等を史実に忠実にすることはないので「名前を借りたオリキャラ」として見てほしいです。
・艦娘たちも多少の性格変更があるかもしれません。
・この作品独自の設定がモリモリで、少々難解かも?
・戦争(戦国)なので人が〇〇されるシーンを多く出す予定です。
・世界観や時代設定が曖昧なので、どこかで綻びが出るかもしれません。
以上の要素が大丈夫な方は、このままご閲覧下さい。
・・・さて、作者に残酷描写が最後まで書けるでしょうか? そんな技量も度胸もあるのでしょうか? それも含めて見守って頂けたらと思います。
最初は短編の焼き直しといった具合ですが、見て頂けると幸いです。
序章──戦国の修羅と鋼の乙女①
──かつて、この世は生と死の世界に分かれていた。
生の世界を統べる神と死の世界を形作った神は、均衡を保ちながらも互いに隣り合う世界に影響を与えながら、それぞれの世界に平和な暮らしを築いていた。
だが──突如として二柱の神々は「争い」をし始め、やがて世界規模の「戦争」と成った。
死の世界は生の輝きを「奪う」ため、生の世界は脅威から生ける者を「守る」ため、それぞれの理由の元勃発した「世界大戦」は、気の遠くなるような長い年月を掛け、地上の凡ゆるものを壊し大地を血で染め上げた。
やがて大地が腐り果てると地が割れて、地底に有った膨大な水流が地上を飲み込み始める。陸続きだった大地は島々となり…海という壁に隔たれた。
このままでは世界は海に沈んでしまう…生の世界の神は死の世界の神を地底へと追いやり、二度と出でぬよう封印した。
斯くして生の世界とその神々が長き戦いの勝者となった、だが──死の世界の影響は、数百年の時を経た現代であろうと、未だ切れぬままだった。
──灰の妖、即ち深"怪"棲艦──
地底より突如とし出でし怪異の群団。凡夫では斬れぬ鋼の皮膚を纏い怪力無双にて生の世界を脅かし、人々を喰らい、世を恐怖に陥れていた。
その禍々しい出立ちはかつての「死の世界の亡者」を彷彿とさせ、一説では死の世界の怨念が深怪棲艦を象ったと言われている。
二度も繰り返される殺戮と争い…遠のく太平の世、迫る混沌は生世界へ確実に暗雲を齎す。
また惨劇が繰り返されようとしている…その事実に「この世」を生きる臣民たちは倦み疲れていた。
──願わくば永き平穏を、もう一度。
その想いを誰しもが天に掲げ両手を合わせて乞い念じた、戦いに疲弊した人類の願いを束ね──とある一人の僧は己の命と引き換えに、戦を終わらせる者ドモを呼び寄せた。
名を──"艦娘"と言う。
僧が呼び寄せた九十九神の魂宿せし者たち、その証となるは現世の少女たちの身体に彫られた「刺青」だそうな。
艦娘たちはその華奢な身体からは想像つかぬ勇猛果敢な戦いぶりで、世を悪徳に染め上げんとする深怪棲艦を悉く駆逐していき、その勢いを弱らせていった。
こうして世に再び静寂が訪れようとしていた、だが──矢張り戦いに終止符は打たれなかった。
凡夫とは一線を画す──深怪棲艦と同等の──異能を有していた艦娘たちは、今度は人間同士の「領海戦争」に駆り出され、やがて彼女たちは人の道具に成り下がった。
海の上にまばらに有りし島々、そこに住まう人々の創りし「国」に就いては対峙する「テキ」を排除していく。時に人を、時に同類をその手に掛けた。
そして──今や各列島を統べる「三つの覇国」が現れり。
ヨコスカ国──生世界を創造せし神々「天陽一族」を奉る神聖国家、圧倒の武力支配による泰平の世を志す。
クレ国──戦に生きいくさに死する、戦場の刹那の高揚を求むる、命要らずの猛者の国。
サセボ国──先の世護りし兵法を用いて、数多小国を束ね
三度始まった「三つ巴」の戦いは、それぞれの理念を掲げて戦う人、そして艦娘たちの闘争。更に未だ潰えぬ深怪棲艦の影──それら負の要因は現在までに数多の将を、民を、そして艦娘たちを死に絶えさせ、血塗られた屍の世を築こうとしていた。
世は、群雄割拠の戦国時代──
果たして、人の世に天下太平は再び訪れるのか…?
・・・・・
──十数年後…。
「号外ー!号外ーだよぉ!」
此処は「ヨコスカ国」は表通り、瓦屋根の
様々な情報を生活に反映させるかわら版売り。しかしながら何やら雲行きが怪しい様相だった。
「聞いて驚き見て叫ぶ! 此度語りの主役はあの「深怪棲艦」! アタシらにとって見えない脅威、憎き怨敵、そんな奴らが遂にクレ国を襲って来たってもんだからさぁあ大変っ!」
かわら版売りの放った一言は、正に驚天動地だった。
深怪棲艦──世界を侵略せし灰色の怪異ドモ、一昔前に出で始めたソレは三国間の海を跳梁跋扈し民間人に損害を与えていた。国を出ようものなら海上路を進む荷船、商船、魚船など如何なる船をも襲っては乗員を喰い殺し尽くされてしまう、なので今までおいそれと外へ行くことなど出来はしなかった。艦娘の出現によりその鳴りを潜めていたが、未だ三国間の海域中に現れては海を行く人々を容赦無く強襲していた。
それでも外出しなければ被害はなく人々の生活に支障は無かった、だが此処に来て遂に三国の内一国を襲撃するとなれば、ヨコスカにも再び深怪凄艦の脅威がやって来るのか、町民たちは気がキではない。だからかいつの間にやらかわら版売りの周りには、どよめく町民が大勢押し寄せてはあれやこれやと不安の声を上げていた。かわら版売りは気にせず続ける。
「嘘じゃあございやせん! 奴らが猛威の大盤振る舞いを始めたのは今から十年も昔、それも艦娘のお嬢さんたちのおかげでマシになりやしたがぁ、しかあし! 彼奴らが野であれ山であれ、ましてや海であろうとも、人様の領分に踏み入れたのは唯の一度もございやせんでした!」
──そうだそうだ! …何かの冗談よ!! …どうせ嘘に決まってる!?
かわら版売りの口上を受けて、町人たちから喧騒が聞こえる。そんな中でもかわら版売りは最早怒涛の勢いで、情報を伝え続けた。
「そういうと思ってやしたが皆様! 一部の軍人様や国の当主様ならいざ知らず、あっしら町民が彼奴等の姿形!男が女子(おなご)か、それこそ人か獣かだなんて知り得るわけなし!だがしかしお
「──ふぇ? どういう意味ですか読売りさん?」
その場に居合わせた、茶色い着物姿の快活そうな短髪の少女が尋ねる。かわら版売りは「よくぞ聞いてくれた!」と言わんばかりに大きく頷いてから、驚きの事実を告げた。
「…あっしの知り合いが、クレ国の出身でして。でね? 見たってんですよ! 深怪何某の”姿”を…!」
「……っ!!?」
絶句する町民たち、しかしかわら版売りは顔色一つ変えず続ける。
「色は全体的に白と黒の二色、性別は例外なしに”女”! 但しまるで人であるやつもいれば、鯨だか獣みてぇな奴もいる! 正に「灰色の化けモン」でさぁ!!」
「ば、化物ぉ!?」
「そう! しかしご安心くだせぇ皆々様! クレ国は被害はあったものの大したけが人もなかった、それというのもっ! 我らが”将軍閣下”のお力によるもの!!」
おおぉ! と民衆の声はどよめきから歓声に変わった。将軍閣下とはヨコスカ国現当主、若年でありながらヨコスカ国軍と艦娘部隊を纏め上げる逸材であり、守護者として町民たちの大きな支えとなっている御方なのだ。
「将軍閣下率いる軍は、偶々居合わせたクレ国の一大事とあって自ら指揮を執って、怪物どもを千切っては投げちぎっては投げえ! そのまま大将首を刈り取ったときたもんだ!」
「す、すげえ! さすがウチの現当主様だあ!!」
町民たちが将軍閣下の八面六臂の活躍に湧き立つ中、短髪少女だけは顔を顰めて「なんだかなぁ」という表情を浮かべた。
「そうでしょうとも、そうでしょうとも! しかし驚くのはここからで…何と! 先の深怪ドモ襲撃から助太刀した将軍閣下に恩情を感じたであろうクレ国が、「二国間同盟」に乗り気だと小耳に挟みやした!!」
「何、同盟!? そりゃどういうこったい?」
「わかりやせんか?だったらこいつを見てやってくだせえ!全てここに書いてある!さあ買った買ったあっ!!」
かわら版売りの口に乗せられて、民衆は我先にとかわら版をこぞって買い求めた。かわら版売りニンマリ笑いながら忙しなく紙を配っては賃金を稼いでいた。
その様子を短髪少女──茶屋の娘「おえい」はポカンと眺めていた。
「うわあ、ホントみんな逞しいというか…」
いつものやり口といえかわら版売りの熱の入った弁舌から、それが真実であることは解る…しかし現実味が感じられない。
「深怪棲艦…かあ」
ぽつり、と誰に言うでもなく言葉を零す。
この国…ヨコスカ国はどの国よりも国土が広く、それでいて国民は豊かだった。それも然り、この町のありとあらゆる国政、及び情報伝達組立は前賢当主「ミツマサ」により盤石のものとなった。それらを踏まえ現当主が武力により維持したこの国では、一抹の不安は感じるも
しかしそれはあくまで「国内」の話、ヨコスカ国──と呼ばれる海上の島々──の領海外に出ようものなら、最悪──先の深怪棲艦に限らず──クレなりサセボなりに威力偵察と称した艦娘を用いた威嚇射撃が飛んで来る。深怪凄艦だけでも手一杯である筈が、何故人間側が三国に別れて戦争をしなければならないのか…城下町に生まれた普通の感性を持つおえいには、てんで分からない話だった。
「色々大変なのはわかっているんだけどねぇ…おっと、買い物かいもの…っと」
独り言ちにそう言うと、おえいはその場を離れようと背を向ける。彼女の頭の中では既に茶屋の店主である自身の母に言われた、買い物表がリストアップされていた。手に持った竹籠から覗く物をそれと見比べる。
「お茶葉とお菓子の材料…はもう買ったし、後は…」
一通り確認し終えると、そのまま残りの物を買い足すため走ろうと足を上げる。
このまま行けば彼女は一人の茶屋の娘として人生を歩んだやも分からない、だがこの日──彼女の運命は大きく回り、変わり始めた。
「──てっ、てぇへんだあ!!
「…っ!!?」
「っえ!?」
橋を忙しなく走り切った一人の男の一声に、その場にいた町民たちは忽ちどよめきだった。おえいも思わず驚きを声に出しつつ振り向いた。
「い、いや流石に冗談だろ!?」
「ほ、本当だよ!近くの山あるだろ? オラそこに畑耕したんだが、畑の様子見に行ったら川に黒いのが…」
今しがたの現状であるのでまるで浮世絵の世界と勘繰った町民たち、その場に居合わせた男と怪物が来たと言って聞かない男との言葉の撃ち合いが始まりかける…しかし、耳に響く「飛沫音」に町民たちは直ぐに男の言っていたことが「真実」だと思い知らされる。
「うわあっ!?」
「で、でたあ!? 化け物だぁ?!」
「こ、コイツだぁ! オラが見たヤツはぁ!!」
「深怪棲艦だあああ! みんな逃げろおおおおおっ!!」
『KYゥイイイイイ………!』
そこには黒い肌に不気味に開いた口、成人より一回りは大きい小鯨のような怪物がいた。
橋の架かった川から飛び出した化け鯨が耳を劈く咆哮を上げると、町民たちは我先にと逃げ惑った。化け鯨はと言うと地面に着地したと思った瞬間、何と化け鯨が接触した
化け鯨が地盤を揺らすように駆け回るので、表店は激しく揺り動かされ酷い場合は「崩落」した。幸い圧し潰される前に中に居た町民は避難していたので命に別状はないが…あれだけ活気に溢れていた町内が阿鼻叫喚の地獄絵図に塗り替えられた、これだけの被害を一匹だけで出している。誰がどう言おうとも「脅威」という畏怖の対象であることは明白だった。
「あれが…深怪棲艦…っ!?」
おえいは目に焼き付いた黒く不気味な姿と、圧倒的な力を前にただ立ち尽くしてしまう…だが──次に化け鯨が地面から顔を出した瞬間、おえいの化け鯨への印象は反転する。
『KYウゥゥ………KYゥイイイイイ…ッ!』
「…え?」
おえいにはその怪物が──泣いているように聞こえた。
「…っ!」
「お、おい! 何してんだ危ねぇぞ!?」
おえいは手に持った荷物を投げ捨て無我夢中に走り出すと、怪物の前へ躍り出る。そして地面から顔を出しては威嚇する化け鯨に対し語り掛ける。
「ねぇ! 貴方…どうして泣いてるの?」
『ッ! KYゥ…KYゥイイイイイ………ッ!』
化け鯨は相変わらず声を出して威嚇するだけだったが…おえいは構わず話し続ける。
「もしかして群れからはぐれたとか? なら私が貴方の仲間を一緒に探してあげるから、だから怖がらないで…泣かないで…ね?」
『──KYゥイイ…?』
おえいは柔和な笑みを浮かべながら根気よく言葉を投げ続ける、すると──先程までの暴れ様が嘘のように、化け鯨は途端に大人しくなるとおえいの話を大人しく聞いている様子だった。
それを受けておえいは、化け鯨との距離を一歩ずつ縮めていく……そして距離が完全に無くなって少し経つと、ゆっくりと片手を上げて…その手の平を化け鯨の頭に乗せて、優しく撫でた。
「良い子だね、これからは周りの迷惑にならないようにするんだよ? 分かった?」
『…KYゥイイ!』
「よしよし! あはは!」
自分の言うことを大人しく聞いてくれている、化け鯨の様子を見ておえいは心からの喜びを言葉にし自然な笑みを浮かべた。
「す、すげえ」
「何もんだあ?あの娘っ子は??」
何の武器も力も無い少女が、町内を暴れ回った化け鯨を言葉と態度のみで説き伏せ、終いには朗らかに笑ってみせている。正に地獄の始まりを予感させた先ほどと比べると、実に呆気ない終わり方なので周りの町人たちは呆とそれを見つめていることしか出来なかった。
──しかし直後、馬の蹄を鳴らしながら此方に近づく何者かが居た。
「…何事だ?」
「ん? ……っ!? しょ、
声を掛けられた男が振り返り見上げると…そこには馬に跨った人物、鎧と陣羽織に身を包んだ「鷹の目をした男」が、状況を問いつつおえいと化け鯨を睨んでいた…。