都内にある宗教法人、そこに国家公安委員会の人間が複数人いる。
傍らには協力者である、呪術師が複数派遣されていた。
「ここが……」
「情報によれば、エルピスの会では薬物による洗脳や誘拐などが行われていて――」
「御託はいい、それで奴は?」
「……五条悟を連れてこい、とだけ」
そうか、と公安の人間に言い放ったのは白髪にサングラスの男だった。
横には巫女服の女や刀を持った人物もおり、奇妙な出で立ちだ。
「エルピス、パンドラの箱とは皮肉か」
「そんなことはどうでもいい、アイツがいるんだろ」
「一人で乗り込むつもりか?貴様、奴を逃がすつもりか」
「んなことしねぇよ!アイツは……」
すいませんと頭を下げる女性の後ろで、何やら揉めている。
しかし、上からの命令は彼らをメッセージの場所まで案内すること、これ以上は関わらないように言われている。
だが、公安の人間は思った……何でこの人巫女服なんだろ。
講堂を開け放つと、椅子に袈裟を着た人物が座っていた。
「やぁ、悟」
「遂に見つけたぞ、傑」
「呪詛師夏油、我々についてきてもらう。もし抵抗するなら」
「楽巌寺さん、京都から来たんですか?歌姫さんも冥さんもいる。刀の貴方は日下部さんかな」
夏油と呼ばれた男の周りには大小様々な呪霊がいる。
呪霊操術、呪霊を使役する呪術に緊張が走る。
「いい加減うんざりしてるんだ、殺してやるよ」
「勝てるとでも?」
「さあね、行け!」
呪霊達が殺到する。
戦いの始まりは一瞬のことだった。
視界を奪うほどの群れが呪術師達に襲い掛かる。
「フフフ、せめてもの手向けだよ。君に協力してもらって生み出した物を見せてあげよう」
「カラス?」
カラス達が殺到する。
戦いの終わりも一瞬の事だった。
呪力を纏ったカラスが命を燃やして突撃する。
「神風、カラスに自死を強制されることで威力を上げたんだ……もっとももう聞こえてないだろうけどね」
「……冥さん」
「おっと、仕事なんだ。そう睨まないで欲しいねぇ……」
「こんな弱い訳ないだろ!アレは偽物だ!」
そこには首から上をなくした夏油傑と呼ばれた男の遺体があった。
呪霊達は祓われ、戦闘は数分にも満たない物である。
確かに、その反論は説得力があった。
だが、他の状況証拠がそれを覆す。
「おいおい、冥冥術師の神風ってのは1級呪霊すら貫通すんだよ。そんなもん不意打ちの初見で食らったら死ぬだろうが」
「認めたくないだろうが、残穢は夏油の物だ。呪霊操術だって使っておった」
「確かに弱いと思うけどね、呪霊は1級揃い。本人で間違いないさ……これで仕事は終わりだろ、私は帰らせてもらうよ」
「遺体はこちらで回収させてもらう、上層部からの命令じゃからな」
各々が疑惑を持ちながらも、その戦いは確かに幕を降ろした。
呪詛師、夏油傑と呼ばれた男の……死ぬ予定であった凡人の最後であった。
長い長髪の女がホテルの一室で札束に埋もれていた。
ベッドの上には札が撒き散らされている。
「はい……確かに入金は確認しましたよ。えぇ、遺体は加茂家に……まさか上層部のことは気付いていません、えぇ、また機会があれば」
電話を終えると、女は今度は別の場所へと掛ける。
「やぁ、歌姫。請求書はそちらに送って置くから支払いを頼むよ。あぁ、良かったらメロンも贈るから食べてくれ、楽巌寺の爺様にはよろしく頼むよ……えっ、男かい?紹介しても良いが、貯金はいくらあるんだい?……そう、まぁ気が変わったら言ってくれ、金額相応の相手を用意するよ、それじゃあ」
通話を切った女は、ノートパソコンを、立ち上げながら再び電話を掛け始めた。
「やぁ、私だ。5億の振込はまだかい?……ネットバンキング、なるほど確認したよ。勿論だとも、私が秘密を守る限り毎年1億の振込は守ってくれたまえよ。へぇ……IT分野は私も注目してるんだ。起業するのかい?一枚噛ませてもらおうかな……」
そう言って、女は……呪術師冥冥は3つの依頼主から金を巻き上げたのだ。
マンションの一室で報告を聞いた俺は笑みをこぼせずにはいられなかった。
計画は順調に終わったと、冥さんから報告があったからだ。
「夏油様、お仕事終わった?」
「あぁ、どうしたんだい」
「じゃあ、一緒に遊ぼう!」
美々子に手を引かれ、子供部屋へと誘導される。
もう今日の仕事は終わったし、遊んでも良いだろう。
部屋に入ると、既に先客がいた。
「うわぁぁぁ!眠るのズルい!」
「…………」
「嘘だもん!一撃だもん!おかしい!」
「…………」
何やら菜々子とリコちゃんがゲームしていた。
いや、何でいるんだよ。
あと、子供相手に大人気ない。
ポコポコ殴られているが、やれやれと顔で訴えかけてくる。
喋ってなくても大体、言いたいこと分かるな。
リコちゃんは与えたスマホを叩きまくって何か訴える。
「えっ……か、漢字読めないー!」
「どれ……避けられない奴が悪い」
「そうだよ菜々子、避けたらチャンスだよ」
「うぎぃぃぃ!夏油様も美々子やるの!3人で倒すの!」
リコちゃんが、立ち上がってファイテングポーズを取った。
何だお前、ゲームしろよ。
3人でその後、目茶苦茶ゲームした。
「おい、煽りやめろ」
「…………」
「クソ、ゴリラめ……まずい!離せ、離せぇぇぇ!」
「夏油様が死んじゃう、あぁぁぁ」
ボコボコにされた。
呪詛師になってから1年、夏油傑は死んだことになっていた。
種を明かせば、熱心な教徒の1人を夏油傑に仕立て上げた。
リコちゃんの同化によって肉体を呪霊として、呪霊操術の順転・黑(くろ)と反転・皓(しろ)を同時に使い行う、虚式・鈍(なまくら)
その術式効果は呪霊をデザインし生み出すこと。
順転が格納、書込み、復元であれば反転は展開、修正、分解だ。
出し入れに関しては順転も反転も同じ、呪霊玉として取り込むか放出するか。
空間内で行われているのは呪霊に対しての使役するための書き込みと解放するための修正、呪力による強化と呪力の奪取。
最後に構築と分解だ。
リコちゃんと同化させることで呪霊という扱いにする。
まぁ、改造人間みたいなものだ。
それを呪霊操術でいらない部分を分解し、必要な部分を構築、精神面や記憶などは呪霊を使役する要領で植え付け、または削除する。
元々、取り込んだ際の設計図みたいな情報から呪霊を復元していたのだ。
自ら図面が書けるなら好きな形の呪霊を生み出せる。
ただ、術式はどうやったら出来るのかは研究が進んでないので、今は複製までしかできない。
脳に関しては同化したことがあるなら、呪霊として扱えるので詳しい詳細を呪霊操術で解析出来る。
リコちゃんの同化で取り込み、解析した脳……正確には術式を適当な呪霊を捏ねくり回してデザインする。
後はリコちゃんが同化で取り込み、発動するって言うのが俺達の考えたコンボだ。
「悟が無効化なら、俺は創造とかかな」
仕立て上げた男は、そこまで高度な事はしていない。
分解と構築で男の見た目をそっくりにして、記憶を消し去り覚えたセリフを読み上げることを使命だと思い込ませた。
呪力だけが問題だったが、信者の呪力を隠すように大量の呪霊で残穢だらけにした。
男に従うように調教して命令した呪霊には無駄に呪力を撒き散らすようにも指示していたので悟でも気付くかどうか、これは賭けだ。
バレることも考えて、冥さんには証拠隠滅と周囲の調整のために仕事も依頼した。
これでしばらくは雲隠れ出来るはずだ。
「その間、私は時代を進めさせてもらうよ」
起業だ。
そろそろスマホはアポーに対抗するサイボーグ製の物が出てくる。
金があり、これから成功する事業のアイデアがある。
ようやく原作知識をまともに利用できる。
「1000年生きる?呪いに長けている?だから何だ、血と鉄、人と武器の前には個人の実力は意味がないのだと学んでいない。世界大戦も引きこもって知らないんだろ、核でも生きれるかな?」
最終手段は核攻撃だ。
原作は、天元が操られて悟が戦うところまでしか知らない。
宿儺が復活して悟が勝つのか負けるのか、負けた後の事を知らない。
多分、勝つだろうけど負けたときのことを考えてその時は他国の要人を洗脳して渋谷に核を撃つ。
その際に呪詛師にした教徒も送り込もう、呪霊にやられるアメリカ兵達は呪霊対策が出来ない一般人だからだ。
「夏油様、トゥイッター社の買収が完了。起業の準備が出来ました」
「様付けは止めてくださいよ、菅田さん。貴方が社長になるんですから」
「私は、夏油様の秘書のほうが……」
「表舞台には立てないからね。頼むよ、菅田社長」
まずは、SNSを手に入れる。
金で納得してくれないから手荒な真似をしたが、社長自ら快く譲ってくれたんだ。
Twitterは有効活用させてもらう。
「メディアは強い、ネットテレビ局を作るんだ。今は普及されてないがスマホも流行るぞ、サイボーグ携帯もそろそろ出る。指定した米国の株を買い占めろ。システムエンジニアは金で引き抜きまくれ、企画書に上げたパズルゲーや引っ張りアクションゲーもシンプルだから作れるだろ?」
「なんで馬や偉人や戦艦を女の子にするんですか?このカードゲーム事業はゲームじゃなくて紙のほうがいいんじゃ」
「意外とこういうのがウケるんだ。私が認めるクオリティーならね」
「ネットでフリーマーケットや服を買うんでしょうか?あとアニメも月額で見る人なんて、そんなに多くは……版権の問題もありますし」
「そうだな。課題がいっぱいだ。だが、美々子や菜々子が大きくなる頃にはスマホで宅配も、ゲームやアニメも、漫画や仕事だって出来るようになるんだ。これは運命だよ」
先に殺す事が出来るんだ、原作とはあんま関係ないであろう事だって先に活かす事も出来るだろう。