ミミナナが中学生になった。
時は2013年、俺の寿命があと4年になった。
日本では原発の汚染水問題やアベノミクスとなんだか後々までに続く大事件が起きた。
呪術廻戦にない、本来の大きな歴史は何もせずとも起きるということだろう。
試しに描写のなかった中国で街1つ分、消し去ってみたのだが、何処かの呪詛師がやったことになって俺まで辿り着けなかった。
恐らく肉体は奪うとしても、その前に乙骨と本来の夏油が戦うという運命ということなのだろう。
恐らく、乙骨と戦うつもりがなくても戦わざるを得なくなる。
そして、俺の思考では考えるはずもないのにリカちゃんを奪うことでメロンパンへの対抗が出来ると思っている自分もいる。
いや、昔の術師の記憶から羂索という名前だったな、思い出した。
だが、思わぬ収穫だった。
やはり、運命である原作に描写されてない存在は運命の対象外だ。
何しても影響さえなければ、極論アメリカ以外の国が滅んでようと問題ない。
それは極論過ぎるかもしれないが、そういうことだって考えられる。
計画を1段階進める必要があるな。
「夏油様、例の件ですが」
「やはり、政府を取り込もう。此方で勝手にやってもアジアの術師に邪魔されるからね」
「呪力という新エネルギーですか?呪術規定に反しますが」
「死に方が決まっているからね、バレないはずさ」
早々と死んで肉体を奪われるかと思ったが、その場合は羂索が百鬼夜行を行い死ぬということだ。
まず、ありえないと思う。
俺の仮説、過程はどうあれ結果は変わらないという運命への考え方として、俺の死はやはり悟だ。
だから、悟以外には殺されない……はずだ。
「起きることは回避できなくても、起きていたことは前倒し出来るからね」
「既に誰かが?」
「似たような前例はあるんだよ」
君には未来の話かもしれないな。アレは私が死ぬ前世の……エルシャダイごっこは置いといて。
人工的に術師を生み出す、そんな計画があったら飛びつくだろ。
「呪力というエネルギーの解放、そうだな天体現象から名前を取ってコロナなんて名付けよう。プロジェクトコロナだ、プレゼンが楽しみだなぁ」
「ウィルスなんて、予防されるんじゃないですか?というか、テロですよ……」
「大丈夫さ、私の計画は成功して全世界に広がる。運命が保証してるからね」
「夏油様って占いとか好きそうですよね、ディスティニー論者ですし」
そういう君だって運命の相手がとか言って婚期を逃してるじゃないか。
それを言ったら戦争になるからやめた。
中国政府の政党のトップを襲撃した。
お抱えの術師を雇ってる奴もいたが、それも難なく排除して全員に集まってくれるように説得した。中国には呪術界みたいなのはないのかな?日本は政府が認識してるけど、アメリカとかは術師の存在とか知らなかったし海外はないのかもしれない。
そして会談の日に研究所を武漢に設けてくれるとこまで話をつけた。
「おいおい、中国語は通じてるだろ。何が問題なんだ」
「例えばウィルスの変異、外部への流出、管理を徹底しても起きる可能性がある。やはり、ここは何処かの島に研究施設を移すべきだ」
「超能力を手に入れられるというのも、信憑性に欠ける。いっそ、地下施設で研究するのはどうだろう」
だが、少し時間が立てば恐怖も薄れるのか我を出してきた。
あれかな、殺されないと思ってるのかな。
アレか、お前らに合わせて現地人の脳みそ同化して中国語覚えてきたから、こっちが下だとでも思ったのか?
「ダメだ、不好」
「えっ?あぎゃ――」
「何を――」
「不好」
リコちゃんが、背後から思い切り殴り飛ばし頭部を粉砕する。
これだから猿は、従ってればいいのに欲を出す。
「私の決定に反論があるやつは……好、素晴らしい判断だ」
「君に従う、従うとも……」
「結局、権力があっても暴力の前には無力だ。だが、私と協力すれば核よりも圧倒的な力、永遠の命だって手に入る。なにせ、日本には概念に干渉したり、不死の術師がいるからね」
尤も才能や努力が必要だけどね。
「私は不死には興味ないし、日本で化け物どもの相手をしたくないんだ。50年くらいできっと飽きて死ぬからね。もし不死に興味があるなら君達は50年程度、私に不自由ない生活を保証するだけでいい」
「この話は、我々だけで……ということ、ですか?」
「君達が非協力的であればアメリカにしようと思ってたがね、君が術師となったら縛りを結んでもいい。術師同士は破れない約束のようなものがあるんだ、そして私に従うなら」
リコちゃんが一人の党首の首根っこを掴む。
そして、片手を謎の黒い空間。
まぁ、俺の術式空間なんだけど、そこから呪霊を取り出す。
脳の形に加工された呪霊、デザインは口のついたメロンパンである。
「あっ、がっ!?がが、ががっ……」
「い、いったい何を!?」
「こ、これは……見える!見えるぞ!」
党首である小太りのオッサンがぐるりと振り返り、そしてリコちゃんに頷く。
そして、俺の方を見て興奮した様子を見える。
「彼に、力を授けた。彼の周囲を見ることができる力だ。これを日本では術式という、千里眼とでも思ってもらえばいい。そして、私は日本で唯一他人に術式を与えることができる」
「もしや、不死の術式とやらも……」
「それは持っていない。だが、コロナプロジェクトにより術師に覚醒した者が不死の術式を持っていた場合、不老不死という人類の夢も叶えることができる」
「素晴らしい!我々は全面協力する!」
「私もだ!だから、私にもその力を与えて欲しい!頼む!」
「私は変身する力をくれ、髪だ!髪を生やしたい!」
うーん、なんかすぐに調子乗るのは国民性なんだろうか。
まぁ、気分がいいから全員同じ記憶を持った呪霊の脳味噌に取り替えてあげよう。
同じ記憶を持ってて、自分のことを人間だと思ってる呪霊が肉体を乗っ取ってるけど気付かないだろ。
そして、俺のコロナプロジェクトが始まった。
日本に帰ってから数ヶ月、テレビでは東京オリンピックの開催が決まったという報道をされていた。
中国ではそれどころではないのだが、報道を規制しているらしい。
極小の、それこそウィルス類と同化したリコちゃんを培養して意図的に流出させたから広まってるはずなんだけどな。
そもそも、同化とウィルスは相性が良かった。
ウィルスとはミクロの世界の生物とも言えない細胞の存在で、人の中に入り人の細胞を使ってコピーしていく形で増えていく。
やっていることは同化と近く、相性がいい。
リコちゃんウィルスに感染したら、感染者の細胞と同化を開始。
感染と同時に同化したリコちゃんはプログラムを書き換えるように肉体の細胞をどんどん同化、そして対象の肉体をリコちゃんの受肉体に変える。
本来なら拒絶反応がある可能性のほうが高いが、同化の特性上それもない。
宿儺の指とか呪物としては、毒のように食ったら耐性ないと即死するしな。
そして、宿主をリコちゃん化してから、リコちゃんウィルスを人に移すのだ。
遠方では術式空間にブチ込めないので、解析して脳の複製は出来ないし、その脳を術式が使えるように加工しての同化による、術式を使える状態への改造も出来ない。まぁ、本人は改造人間にされたことも気付かない。
ただ、呪霊が見えるようになったり、呪力が回るようになったり、リコちゃんの意思1つで勝手に身体が動いたり、呪霊のいる術式空間にブチ込まれたら術式とか解析されたりするくらいだ。
自己補完で母体から呪力を奪い、リコちゃんは同化し続けるし、何なら他のリコちゃんを中継してネットワークのように情報を交換出来る。
俺より先に、リコちゃんが不死になったな。
俺のところにいるリコちゃんは、差し詰め統括個体と言った所か。
何もかも順調だった。
これで俺は死んでも復活する準備が出来たからだ。
「久しぶりだね、夏油くん」
「えっ……」
俺の隠れ家でもある、宗教施設に襲撃がなければ完璧だった。
「好みは変わったかな、どんな女がタイプかな?」
「少なくとも、お前じゃねぇ!」