中学1年生、入学から少ししてすぐに窓に捕まった。
遂に、俺が呪術が使えることが分かったらしい。
普段通り、呪霊を取り込みながら下校した時のことだった。
「夏油傑くんだね」
「そういう貴方は不審者かな?」
「失礼、私はこういう者でして」
そう言って、名刺を渡してくる黒服の男。
名刺には私立の高校教員という感じのことが書いてある。
なるほど、表向きカモフラージュか。
東京都立呪術高等専門学校じゃなくて、私立を表向きは装ってるってこういうことね。
「へぇ、それで何の用ですか?」
「君、見えるよね?」
「見えますね」
直球だった。
まぁ、独学では限界を感じていたので渡りに船だったんだが、どこで確認されたのか。
「なら話が速い。君が見ている化物について、詳しい説明を一度受けてみないかい?」
「いいですよ」
「ありがとう。どこか座れるような……あぁ、コンビニでも行こうか」
俺はそう言って勧誘するべく足を運んだ窓の人とコンビニに行き、一通りの説明を受けた。
呪霊、呪術師、呪詛師、呪力、術式、それこそ色々だ。
だいたい知ってることだったが、興味深いことも言っていた。
「つまり、呪術師というのは呪霊から非呪術師を守る存在なんだ」
「なるほど」
「社会を守るため、人知れず脅威をから人々を守る。強い呪霊を祓い、弱者である非呪術師を助ける。それが社会のあるべき姿さ」
「興味深い話ですね」
多分に個人の思想を色濃く反映している話だった。
もしかしたらこの人の影響を受けて同じ考えになったのかもしれない。
子供に正義の味方とか、人知れずは、聞き心地がいいもんな。
適者生存は聞いたことあったが、弱者生存なんて言葉は聞いたことがなくて、夏油が考えていたものだと思ってた。
こういう話を聞いて、そういう考えに至ったんだろう。
コンビニでの説明を終えて窓の人は後日ということで、その日は帰った。
彼の、もっと言えば呪術高専の要求としては中学校の間にバイトをして欲しいらしい。
1 呪術師として登録、また呪術高専より依頼を受ける
2 報酬として、東京都立呪術高等専門学校の推薦と金銭を与える
なるほど、一般家庭の描写とかなかったのだが高校入学までは普通に中学に通わせるのかと驚いたものだ。
そして、東京都立呪術高等専門学校の推薦が報酬になるのは表向きは偏差値の高い学校ということになってるらしい。
カバーストーリーとしては、俺が中学の頃に何かの大会で何かの実績を経て、それを理由に推薦の話が来るってことらしい。
一番多いのは、スピーチとか小論文などらしい。
たまに絵とか吹奏楽とか、スポーツとかもあったりするそうだ。
まぁ、呪力があればスポーツ系のことなんとでもなりそうだし、気付かずに記録持ってるやつとかもいそうだしな。
ちなみに、バレたのは俺が呪霊を取り込んだ時に呪術高専が紛れさせた蠅頭がいたかららしい。
今までの活動にお墨付きがついたのと、休日などに車などで移動して呪霊を祓いに行くことになったりした。
それなりの呪霊は回されないのだが、町中でたまにそこそこ強いと思ってた呪霊が回される。
級で言うと4級、たまに3級らしい。
「そろそろ着きますよ」
「そうですか」
俺は車の中でジャンプを読みながら呪霊退治に向かっていた。
窓の人の説明は話半分、最初は窓の人も説明しようとしたのだがいつしか諦めた。
中には怒ったりする出来た大人もいたのだが、これは術式によりインスピレーションの為だと言ったら、渋々黙ったりした。
嘘ではない、だって今のジャンプは俺的には黄金期だ。
テニプリ、ワンピース、ナルト、ブリーチ、遊戯王、ハンターハンター、ジョジョ6部、ボボボーボ・ボーボボ、武装錬金、いちご100%。
何読んでも楽しい時期だ。
「着きました、一応もう一度説明を聞いていただきたいのですが」
「呪霊の等級が間違いでない限り、危なくないですよ。それに、戦うのは俺じゃない」
「しかし」
「大丈夫です。帳をお願いします」
到着したのは、山奥だった。
おいおい、こういうところには等級違いの呪霊がいそうだな。
「まぁ、なんとかなるか。ふひぃー……」
もう、何を言っても無駄だなと思ったのか、諦めて窓の人は帳を下ろしてくれる。
俺も帳を教えてもらったし、簡単な結界術は覚えたから色々と研究したい。
結界術を極めて、ナルトとかブリーチっぽいことしたい。
黒棺とか詠唱言えるぞ、まだ尸魂界編じゃないけど。
「さぁ、出てきたな」
帳により、雑魚呪霊が見えてくる。
4級か、それに満たないような奴らだ。
以前、黒閃を発動させてから拡張術式を考えているのだが、それを考える過程で俺は色々出来るようになった。
まぁ、あれだ、伏黒が拡張術式とか考えてたら影に呪具を収納できるのに気付いたようなもんだ。
あれは術式の解釈を広げたから拡張術式と言っていいような気もするが、術式の応用としては微妙だから言わないのかもしれない。
まぁ、呪霊操術版の拡張術式未満な術式の応用だ。
俺はその場で口を開けて、呪霊を降伏を省いて調伏する
呪霊玉と取り込みの応用だ。
呪霊玉は別に手で作らなくても、手以外でも作れるんじゃないかと解釈した。
プロセス的には呪力化して、自分の呪力で覆っているだけだからだ。
だから、舌で集めて覆うことで口の中に呪霊玉を作れると解釈したのだ。
動くのダルいな、手塚ゾーン的なの出来ねぇかなと思って思いついた。
そして、もしかして原作のメロンパンがすげーたくさん呪霊を集めていたり、夏油が同じような呪霊を複数取り込んでいたことから、一度に複数の呪霊を取り込めるんじゃないかと考えた。
そもそも、呪霊を呪力化して取り込む際に使役できるように加工してるのが呪霊玉だと考えている。
元々の呪霊の大きさは無視してるし、一度に呪力化した呪霊を自分の呪力で覆えるのは一体だけとも思えない。
結果、小さい飴玉の集合体のようにはなるが同時に呪霊玉は作れると解釈した。
「行くぜ、魂吸い!」
そして、生み出されたのが魂吸い。
口の中に呪霊玉を作り出し、それを飲み込んでは新しい呪霊玉を作る応用だ。
なお、たまに失敗して喉に詰まったりするので飲み物は必須。
まだ連載では描かれていない、ブリーチの破面の技を参考にした。
なお、そいつは霊魂が必要なのに食ってたからいいのかと思ったりする。
あれ、魂魄だっけ?幽遊白書と混ざってるかもしれない。
「さて、これが俺の考えた移動手段。呪霊浮遊だ」
俺の足元から呪霊が出てくる。
呪霊の群れ、百鬼夜行だ。
それが俺の足から湧き出て、俺の体に巻き付いてくる。
呪霊で作ったソファー、そこに腰かけて俺は呪霊達の神輿に乗って移動した。
どうだ、空も飛べるぞ!
「伊達にナルトは読んでないぜ」
さて、雑魚の露払いはしたが問題の呪霊っていうのがいるはず。
そして、帳が下りている状況ではソイツはすぐに姿を現した。
「おぉぉぉぉぉ!」
ミシミシと軋むような音を立てながら木を踏みつぶして、ソイツは現れた。
とても巨大な呪霊、二階建ての家くらいの大きさの一つ目の巨人だ。
何やら指を曲げて印を結んでいるが、こいつは普段俺が相手してる奴よりも強そうだ。
拳銃で安心か微妙、2級とか3級?まぁ、銃で殺せそうっちゃ殺せそうだから3級か。
俺は周囲に雑魚呪霊を出しながら敵を見据える。
「俺がどのくらいの実力かしらないが、降伏を省けなかったみたいだから全力で行く。俺の呪霊操術は呪霊を取り込み、使役することが出来る。実力差があれば、降伏を省き調伏するんだ。そして、どのくらい使役できるか試してみたんだ」
術式開示、自らの術式を説明する。
自分の手札、手段をバラすことで不利になる代わりにメリットを得る。
術式の底上げ、ただ知性や俺の言葉が分からない相手には効果は不明だ。
「よし、言葉は分かるみたいだな」
雑魚呪霊に流していた呪力によるバフ効果が上がった気がした。
呪霊に呪力を流していたが、呪霊自身の呪力が増しているからだ。
恐らく、呪力による強化が効率よくなったんだろう。
「使役の説明だが、まず試したのは縛りによる自死の強要だ。呪霊でも縛りを結べることは真人のことから分かっていたがな、ただこれは呪霊だからかカラスと違って強化はされなかった。恐らく、カラスは生きてるから負の感情を死ぬ間際に爆発させたんじゃないか?呪霊は負の感情の塊、負の感情を生み出す存在ではないから強化できなかったんだ」
だから、俺はそれでも強化する方法を考えた。
「呪力制限のないカラスの突撃が強力なら、呪力で強化しまくった呪霊の突撃も強力だろ。でも、俺の呪力も限界がある。だから一つにすることにしたんだ。蠱毒って知ってるか?毒虫を殺し合わせて最後に生き残った奴を呪いに使うんだ……喰っていいぞ」
呪霊が両面宿儺の指をより強い呪力を求めて食べたり、取り込んだ呪霊が特級呪霊になっていたことから、呪霊が呪霊を食べると呪霊が強くなると思われる。
俺の呪力とは独立した呪力を持つ呪霊同士が共食いし、最後に生き残った呪霊は強くなるという解釈は正しく、ちゃんと呪霊は強化されていた。
もしかしたら、蟲毒になぞらえた行為が儀式めいた効果を生み出しているのかもしれない。
結果論だが、呪霊は強化されている。
「ブリーチを読んでなかったら思いついてなかったぜ。さぁ、今からお前に行くのは互いを殺しあい、そして生き残った個体だ。行け、蟲毒砲!」
俺の目の前でお互いを食い殺しあった雑魚呪霊が、最後の一体になったタイミングで突撃を命じる。
通常時よりも呪力を滾らせ、さらに俺の呪力による強化もされた個体。
自死の縛りによって呪力は増えないようだが、存在を維持する必要がなくなる分だけ人間で言うところのリミッターがなくなったのか、最後の一滴まで呪力を放出しながら塊となって突撃した。
「おぉ?……オォォォォ!?」
上半身と下半身が切断された状態で倒れる一つ目巨人の呪霊。
突撃した呪霊はぶつかった際に肉体の半分を欠損してしまったので使い捨てになってしまうが、それに見合った効果だった。
「ふぅ……」
俺は弱った一つ目呪霊を呪霊玉にしながら滝のように流れる汗を拭くのだった。