死ぬ予定の夏油傑になった凡人   作:nyasu

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術式・蒼だけだと肉弾戦しか出来なくね?

中学3年生になった。

相変わらずイジメは続いてるし、何なら前より酷くなる……かと思いきや中学で俺に手を出す輩はいなくなっていた。

なんと中2から驚きの急成長、俺は170はある高身長のデブ(約150kg)となっていたからだ。

軽く叩いてやれば、いと容易く相手倒せる。

 

「おい、前に――」

「フンッ!」

 

知ってるか?170センチない奴に人権はないと未来で言われていること。

お前らがいくら睨もうと、涎を垂らしながら喰い殺してやろうとする呪霊に比べたら怖くねぇだよ。

 

「おい、エドモンド夏油だ」

「やべぇよ……やべぇよ……」

「なんか高校生と喧嘩したらしいぞ」

 

俺が歩くと、周りが距離を取る。

どうやら、強者としての風格が出てきたらしい。

そんな俺は、ようやく最強と相見える。

 

 

 

夏休み、呪霊がたくさん出るという繁忙期ということで俺も呼び出されていた。

頼んでもいないのに1級術師にいつの間にかされていて、職責を果たせと任務を依頼される。

おいおい、こっちは中学生だぞ。

労働基準法は死んだ、呪霊討伐は仕事ではないからだ。

だって呪霊は法律に存在しないからね、ガッデム!

 

「合同任務?」

「他の呪術師ではたまにあることなんです。今回は特級の呪霊が相手ですので」

 

聞けば、場所が悪いそうだ。

名古屋にある神社で呪術界的にもビッグネームな菅原に縁の場所らしい。

どうもそこにある信仰と菅原道真公への恐れから、悪魔合体してやべぇ呪霊がいるらしい。

 

「窓が確認したところ、竜と確認されてます。尤も今は台風被害と誤魔化されてますが」

「竜って、あの?」

「ドラゴンの竜です」

 

そうか、そうか竜か。

ついに神仏として扱われるレベルらしい呪霊か。

 

「それで一緒に戦うってのは?」

「特級術師が派遣されます」

「まさか……」

「五条家から特級呪術師、五条悟が来ます」

 

合同任務が始まった。

長い移動の末、名古屋に来た。

名古屋駅にはリムジンが止まっており、まさかと思ったら運転手らしき人がドアを開ける。

 

「一緒に任務する奴って聞いてたのに、豚じゃん」

「私は君が嫌いだ。ダサいサングラス」

「あぁん?ブヒブヒ言っても分かんねぇよ、人間の言葉を喋れよ」

「豚だと思って健気に話し掛けるとは、友達いなさそうだね」

 

リムジンの奥には寝転びながら俺を見定める白髪頭がいた。

染めてるのかってくらい白い頭、病気に見える。

開口一番には罵倒してきたが、ボッチだからコミュニケーションの取り方も知らないだろう。

可哀想な奴だ。

 

私は宥める窓の人に従いリムジンの中に入る。

ほう、オレンジジュースか。

瓶に入ったオレンジジュースを一気飲みする。

2リットル程度しか用意してないとは……ケチかな?

 

「……嘘だろ?」

「ふぅ……この程度誰でもできるが、どうやら君は出来ないようだね五条悟」

「はぁ?そんな品のねぇ飲み方、俺はしねぇの。豚基準で喋らないで欲しいぜ」

「分かった分かった、出来ないんだろ?」

「何言ってんのお前、出来るに決まってるだろ」

 

所詮はガキよ……安い挑発に乗りやがった。

やれるんか?ペットボトルラッパ飲みしたことなさそうだが。

 

「こんなの余裕だし、俺最強だから」

「変顔やりまーす、鬼瓦!」

「ブゥゥゥゥ!?テメェ、ズルいぞ!」

「おやおや、飲めなかったようですね」

 

フゥ~煽るの、たーのしい!俺は自分のことをコケにしたやつをコケにするのが最高に大好きなんだ!

 

「すいません、タオル借ります」

「はぁぁぁ!今のノーカンだから、ノーカン」

「車内では静かにしましょう、ね?」

「ノーカン?何度もやり直せると思ってるとは、まだまだ子供だね」

「夏油さん煽らないで……また、掛けられたくない」

「いいや、変顔されなかったら出来てた。じゃあ俺変顔するからお前やってみろよ!」

「やらないで下さい、五条家の方からの苦情は私に来るんです」

 

原作では仲良しだったようだが、俺はコイツと仲良く出来る気はしなかった。

実際、現場に着くまでずっと口論していた。

所詮はお坊ちゃま、ジャンプもゲームも知らないし、テレビも見たことないらしい。

デジモンを知らないなんて、可哀想に。

 

「俺は、そういう低俗な物は見ねぇの」

「やれやれ、新しい物を受け入れられない老害のようなことを言っている。禪院家の当主はアニメを見ているというのに」

「はぁ、んなわけねぇーだろ」

「確認もしないのに言い切れるのかい?ちなみに投射呪法はアニメと関連があるんだが?んー?ご存知ない?」

「うるせぇ!豚野郎!」

 

随分とワガママに育ったものだ。

しかも呪術界に関わることばかりの知識で、サブカルチャーに触れてないからな。

いや、触れさせてもらえなかったのか?

 

 

 

神社に行くかと思いきや、現場は海だった。

季節外れの台風……と思いきや、唸るように飛び回る竜が上空にいる。

鱗は虹色に輝いていて、ひと目で虹龍だと分かった。

こういう縁で手に入れたのか。

 

「お前はそこで見てろ、子豚野郎!」

 

窓の人が慌てて帳を降ろす。

ちなみに五条はそう言って、急に空に向かって飛んでいった。

いや、落ちてるのか?

反転術式は使えないはずだから斥力ではなく引力のはず。

順転の蒼で上に引っ張られるみたいな感じか、便利だな。

良く分かってない術式だけど、無限をこう……なんやかんやしてるんやろ。

 

「グォォォォ!」

「ふぅ……もうあの人だけで良くないですかぁ?」

「ですね」

「オッフ!ネタに返事が来るとはデュフフ」

「オタクみたいな笑い方ですね」

「暇すぎるンゴ、オタクにもなりますわぁ」

 

最高にイラつくであろう笑い方で、窓の人と雑談している傍らで怪獣とスーパーマンの戦いが繰り広げられていた。

もちろん、怪獣は虹龍でスーパーマンは五条だ。

虹龍が突っ込んでは、五条が避ける。

五条が海とかに引っ張ってるのか落としては、すぐに虹龍が飛んで戻ってくる。

 

あぁ、なるほど。

五条は肉弾戦だけで有効打がないんだ。

しかも、虹龍は結構硬いっていうね。

 

「おっ、流石天才。黒閃だ、しかも二連発」

「今のは効いてますね」

「あっ、なんかこっちに来る!まずいなぁ……」

 

五条にやられた苦痛を、八つ当たりするかのように顔をこちらに向ける虹龍。

漫画で言ったら、貴様には効かないが仲間はどうかな?みたいなことを言う悪役思考だろうか。

流石、呪霊汚い。

 

「闇より出でて、穢れを否定する」

 

掌印を作り、呪詞を唱え、仁王立ちで構える。

眼の前には虹龍が迫ってくるが、動くことは出来ない。

というか動かない縛りだ。

 

「な、何してるんですか!逃げますよ!」

「私の後ろに居てください。離れていたら、守り辛い」

 

それに、もう間に合わないと思う。

焦りの表情を浮かべて何やら手を向ける五条、それよりも早く突っ込んでくる虹龍。

どちらも舐めているな。

俺の防御はちっとばかし硬いぞ。

 

「もうダメだ、うわぁぁぁ!」

「グオォォォォ!グォッ!?」

「防御結界――」

 

俺から1mくらいの所で、虹龍が軌道を変えて斜め後ろに突っ込んでいく。

俺を避けるように、斜め後ろに突っ込んだのだ。

偶然ではなく、俺が俺にぶつかれなくしたのだ。

 

「――聖域」

 

タネを明かせば、ただの帳を応用した結界だ。

視覚効果も炙り出し効果も隠蔽効果もない。

ただ出入りに関して条件があるだけの無色の帳だ。

全人類が出入り自由なのに対して、一定レベル以上の呪力ある存在は入れない帳だ。

なお、俺の呪力が大量消費されるし、俺が呪霊を使った危害を加えることは出来ないし、動いてはいけない縛りによって成立させてる特殊な帳だ。

何もできない代わりに何もするな、そんな結界だ。

 

「ふぅ……全く手を貸そうか」

「いらねぇーよ!」

「何もしないのは辛いんだ、デブの私が言うんだから間違いない」

 

決定打に欠けるし、そもそも虹龍は消される前に取り込みたい。

 

「拡張術式を開帳する」

 

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