ひとりぼっちの闇の精霊   作:TE

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出会い

森の中の道を抜ける一本の馬車がありました。そしてその周りを囲むように武装した騎士たちがおり森の中を進んで行きます

 

「うわぁ!!」

 

そんな集団が進んでいく中1番先頭にいた騎士が突如現れた落とし穴に落ちてしまいます

 

「へへへ!!」

 

そんな騎士を陰から見つめている存在がいました

 

「あの人間ども、俺様の罠にこうも見事にハマるとは、傑作だったな」

 

そんな声をよそに騎士たちは全員が臨戦態勢になり敵の襲撃に備えるように周りを固めます

 

「おぉ〜、こわ。さっさと逃げちゃお」

 

ーーー

 

「あぁ〜、楽しかった〜」

 

そう言いながら森の中を飛んでいるのは少女のような見た目をした精霊でした。先程の騎士たちの一件を思い出しながら満足そう頷いています

 

「やっぱり、イタズラするのが一番楽しいな」

 

どうやらこの精霊の少女はよく先程のようなイタズラをしているようです

 

おぎゃあおぎゃあ

 

「ん?」

 

そんな少女の耳に赤ん坊の鳴き声が聞こえてきました。その声が気になった少女はその場所に言ってみることにしました

 

「こっちの方から」

 

そこには布に包まれ、木の根元に放置されている赤ん坊がいました

 

「なんでこんなところに?」

 

少女はこんな森の奥にいる赤ん坊を不思議に思いました

 

「これはどうするべきなのかな」

 

突然のことにどうするべきか思案して入る間も赤ん坊は泣き続けます

 

「お腹すいてるのかな?そうだ!」

 

すると少女は何かを思いついたのか、赤ん坊を抱き抱えると自らの手の指を赤ん坊の口に持っていきます。赤ん坊も自分の目の前に持ってこられた指を咥えます

 

「よし」

 

そういうと少女の体が光だします。そしてその光が赤ん坊が咥えている指に収束していきます。すると赤ん坊の喉が上下し出します

 

暫く赤ん坊の喉が上下し続けやがて満足したのか少女の指を離します

 

「…この子どうするべき何だろう…こんなところに置いていくわけでもいかないしな」

 

少女は再びどうするかを思案した後赤ん坊を抱いたままその場から飛び立ちました。やがて小さな洞窟につきました。どうやらここは少女の棲家のようです

 

洞窟に戻って来た少女は洞窟の中にある小さな岩に腰掛けると赤ん坊を見ます。お腹がいっぱいになり満足したのか少女の腕の中で赤ん坊は眠っていました

 

そんな赤ん坊の寝顔を見た少女は何やら決心した表情をしました。

 

「これからは一緒に生きて行こうな」

 

少女は自分の腕の中で眠る赤ん坊を見ながらそう呟きました

 

ーーー

 

それからの少女は赤ん坊のお世話に大忙しになりました

 

「え〜なんで泣き止んでくれないんだよ…」

 

夜赤ん坊がなかなか寝付いてくれずひたすらあやし続けたり

 

「わぁ!!そんな物口に入れるな!!」

 

地面に落ちている石や落ち葉などを口に入れようとしている所を慌てて阻止したり

 

そんなこんなで赤ん坊も大きくなりハイハイができるようになると

 

「あいつどこに行ったんだよ!!」

 

少し目を離したすきにどこかに消えてしまったりなど少女は休む間もなく赤ん坊の世話をし続けました

 

ある日

 

「マ〜」

 

時がたち少女は一人で歩き出せるほどに成長しました。まだ辿々しながらも言葉を発しようとしています。

 

「どうしたんだ?」

 

「マ〜」

 

少女は自分に抱きついてきた赤子に抱き返しながら頭を撫でました。

 

グ〜

 

赤子のお腹からそんな音がなります

 

「あぁ、お腹が空いたのか」

 

少女はいつものように自分の指を赤子の口元に差し出します。赤子も慣れたようにその指を咥えます。

 

ごくごく

 

やがて光が収まり赤子の喉が動かなくなりました。

 

「おい、離せよ」

 

「んんっ」

 

しかし、赤子は指を離そうとしません。少女が指を引き抜こうとすると、嫌だと言わんばかりに両手で少女の指を押さえます。

 

「もう、しょうがねえな」

 

チュー

 

いまだに指に必死に吸いついている赤子を少女は微笑みなが見つめます。

 

「ん?」

 

少女は何かに気付いたのか洞窟の外を見ました

 

どすどす

 

「な、なんの足音だ?」

 

外から大きな足音が響いてきます。

 

「マ、マ〜?」

 

赤子が怯えているのでしょう。震えながら少女にしがみつきます。

 

「大丈夫だぞ。お前には俺様がついているから」

 

少女は赤子を安心させるためにギュッと抱きしめます。

 

グォォォォ

 

「ド、ドラゴン」

 

外から大きな咆哮が聞こえてきます。

 

(ど、どうしよう。俺がドラゴンなんかに勝てる訳ないし。なんとかここで隠れてやり過ごさないと)

 

ぎゅううう

 

少女はより一層赤子を抱きしめます。

 

バサ バサ バサ

 

しばらく大人しくしているとドラゴンは羽ばたいて行きました。

 

「なんとかバレずに済んだ〜」

 

「マ〜!!」

 

少女はドラゴンがいなくなった瞬間に地面にへたり込みます。そんな少女に赤子は先ほどまでの怯えた表情とは一変して元気よく抱きつきます。

 

「はは、お前は元気だな」

 

すぅ〜

 

やがて赤子は少女の胸元で眠りにつきました。

 

「これからどうするか、あんな大きな咆哮を出せるドラゴンが近くにいるなら移動しないとだけど」

 

少女は自身の胸元で心地良さそうに眠る少女を見つめます。

 

「そんな長い移動こいつが耐えられないよな。でも対処しないと」

 

翌日赤子と少女はいつものように外を散歩していました。

 

「お前の名前を考えないとだよな。良いかげんお前とか呼び辛いし」

 

「ん〜?」

 

じっと見つめられた赤子はコテっと首を傾げます。

 

「でも、俺が名前なんかつけても良くないかな」

 

少女はしばらく思案した後、少し悲しげな目をします。

 

「やっぱり、人間のところに帰さないといけないよな」

 

「マ〜」

 

「お前にとってもそっちの方が幸せだろ?」

 

ガチャガチャ

 

「ん?」

 

少女たちの近くで鎧や剣の擦れる音がします。

 

「ドランゴンが現れたってのは此処か?」

 

「あぁ、そのはずだ」

 

「どでかい足音はあったからここに一度きてはいるはずだよ」

 

「み、皆さん安全に行きましょうね!」

 

そこには男2女2の4人の人間がいました。

 

「…」

 

少女は赤子は声が出ないように胸元に抱きしめて息を潜めています。

 

「そういえばここら辺って珍しい闇の妖精が出るって話があったよな?」

 

「あ、あの人間を呪い殺してしますという妖精ですよね」

 

「確か、その場で殺せば死なないのではなかったか?」

 

「えぇ、そんなルールあるんだ。じゃあそんなに怖くないじゃん」

 

「で、でもその妖精は気づいたら消えていると言う話も聞きましたよ!!」

 

「まぁ、安心しろよ!このドラゴンスレイヤーの俺が闇の妖精なんか消える前に速攻倒してやるよ」

 

(ヤバイな。俺の存在がバレたら殺される。ってかなんだよ呪い殺すって、そんなのやったことないぞ)

 

「んんぅぅ」

 

胸元に抱きしめられている赤子がぐずり出します。

 

(ごめんな。もう少しだから)

 

「取り敢えずもう少し探そう」

 

「そうだな」

 

「はい」

 

「そうしよう」

 

「行ったか」

 

「むぅ!!」

 

ポカポカ

 

ずっと抱きしめられていた赤子はずっと息苦しかったことに対して怒ったのか両手をグーにして少女の胸を叩きます。

 

「ごめんな。でもしょうがないだろ。あいつら俺のこと殺すとか言ってるんだぞ」

 

なんとか少女が宥めようとしますが中々機嫌をなおしてくれません。

 

「君が闇の精霊かい?」

 

「なっ」

 

少女と赤子が問答を繰り返しているといつの間にか先ほどまで近くにいた人間の中の一人がいつの間にか背後に立っていました。

 

「だ、だったらなんだよ」

 

少女は赤子は抱きしめながら目の前の人間を睨みつけます。

 

「君って本当に見た人を呪い殺すの?」

 

「殺すわけないだろ!お前らが勝手に言ってるだけだろう」

 

「ふ〜ん、まぁいいや。じゃあね〜」

 

「は?」

 

そういい目の前の人間は一瞬赤子を見つめると歩いて行ってしまいました。

 

「なんだあいつ」

 

「マ〜?」

 

「(ドラゴンも出たし、人間にも俺様の存在がバレた。ここも、もう安全じゃなくなっちまったな)お前をどこか安全な場所に…」

 

少女は考えますが中々考えが浮かびません。

 

「あの人間に預ける、とか?」

 

少女の頭の中に先ほど話しかけてきた人間が頭に浮かびます。

 

「でもアイツが友好的とは限らないし…」

 

「あう!」

 

八方塞がりになってしまい暗い表情の少女を元気づけるように赤子が声をかけます。

 

「へへ」

 

そんな赤子に感化されて少女も笑顔になります。

 

「せめてお前が独り立ち出来るようになるまでは…でも俺が育てたとか知られたらこいつは人間から迫害されるかもしれないし。俺じゃ守ることもできない。渡すなら早いほうが…」

 

(俺みたいな思いをさせるわけにはいかないし…)

 

「はぁはぁはぁ」

 

「お、おいどうしたんだよ!」

 

翌日少女が目を覚ますとそこにはいつもよりも頬が赤く息が激しく乱れた様子の赤子がいました。

 

「なんでだ?ちゃんとご飯も上げてたのに」

 

少女は何もどうすればいいのか分からず焦り出します。

 

「人間に会いにいくのがいいんだろうけど、俺じゃあ…」

 

少女は昨日の人間たちの会話を思い出し顔を曇らせます。

 

「でも、悩んでる暇なんてないよな」

 

少女は少しの間考え込んだ後人間に会いにいくことを決心します。

 

「確か、いっつも人間たちはこっちの方向からきていたはず」

 

いつも人間が来ていた場所を探して歩き出します。

 

「はぁ、前まで人間なんてなんとも思ってなかったのにな」

 

以前まで人間に対して悪戯を頻繁にやっていた自分を思い返します。

 

「あれ?闇の精霊だ」

 

「またお前か」

 

するとまたしてもいつの間に人間がったっていました。

 

「あれ?その子なんだか体調が悪そうだね」

 

「そ、そうなんだ。こいつを治してくれないか!」

 

少女は反射的に警戒をしてしまいますが、自分が抱いている赤子を見つめると目の前の人間に頼み込みます。

 

「へぇ〜、そうなんだ。それで見返りは?」

 

目の前の人間はチラっと赤子に目線をやった後、顔をニヤけさせながら少女を見つめます。

 

「ぐっ…」

 

「はぁはぁはぁ」

 

少女は苦しい表情をして赤子を見つめます。

 

(ここでこいつの言う通りになったら何をされるか分からない。でも、これ以上こいつを放っておくことはできないし…)

 

「俺に出来ることならなんでもしてやるから、頼む」

 

「決まりだね」

 

人間は少女の返答に満足したのか笑顔で頷きます。

 

「じゃあ僕の家に行こっかそこで治療してあげる」

 

「分かった」

 

「テレポート」

 

人間がそう唱えると周りの景色が一瞬で変わります。

 

「ここだよ」

 

「一瞬で景色が…」

 

「転移の魔法も知らないの?まぁ妖精だからそうなのかな?」

 

「早くこいつを治してくれ!」

 

「いや、その前に報酬をもらう」

 

「なっ」

 

「報酬は僕と使い魔の契約をしてもらうことだよ」

 

「使い魔?」

 

「そうだよ」

 

「お、俺に、俺様にお前の奴隷になれって言うのか?」

 

「違うよ、これでも僕は結構すごい魔法使いなんだよ?妖精、しかも君みたいな闇の妖精を使い魔にしたってなれば僕にも箔がつくでしょう?」

 

「お前らの事情なんか知るかよ」

 

「どうするの?あ、ちなみにここは王都の中の家なんだけど今君が外に出たら大騒ぎになるから逃げるとかはやめた方がいいよ?」

 

人間は少女との距離を徐々に縮めていきます。

 

「お前、クソだな」

 

「え〜、その子を助けてあげるのは本当だよ?どうするの?」

 

「…分かった」

 

「決まりだね!」

 

少女がうなづいたのを見て人間は心底嬉しそうにしています。

 

「ふふ、これで僕もやっと使い魔が使役できる。しかも闇の精霊」

 

「やるならさっさとやれよ。早くこいつを助けてやってくれ!」

 

「じゃあこの魔法陣の中に入ってね」

 

人間は丸められた神を持ってきました。それを広げると中には魔法陣が書かれておりそれを地面に敷きます。

 

「いてぇ!」

 

少女が魔法陣の中に入ると手の甲に紋章が現れます。

 

「はい、これで契約完了」

 

「ならすぐに治療をしてくれ」

 

「はいはい」

 

その後赤子は人間に薬を飲まされ布団に寝かされました。

 

「これで助かるのか?」

 

「ただの風邪だよ。これであとは自然に治るよ」

 

少女は赤子に寄り添うようにベッドの横で手を握り込みます。

 

「さてと、ちょっときて」

 

ぎゅう

 

「お、おい何するんだよ!」

 

そんな少女を後ろから人間が抱きしめます。

 

「君の魔力をもらうね〜」

 

「はぁ?ぐぁぁぁぁ」

 

人間に抱きしめられた少女の体が赤子に指を咥えさせた時のように光出します。そしてその光は後ろから抱きしめている人間に集まっていきます。

 

バタバタ

 

「ちょっと暴れないでよ。乙女の肌に傷がつくだろう」

 

少女は味わったことのない痛みに悲鳴をあげますが人間は全く力を緩めません。

 

ぴくぴく

 

「あ、あぐ」

 

暫く少女は人間に抱きしめられたままでしたが、明らかに弱っていきます。

 

「ふぅ〜こんなもんかな?やっぱり精霊の魔力はすごい量だね」

 

「…て、テメェ」

 

「さてと、じゃあ私はまたクエスト受けてくるからお留守番よろしく〜」

 

地面に力なく横や割っている少女を尻目に家を出ていきました。

 

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