【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
「で、この子が覚醒しているのに地獄巡りしてる物好きなのだ?」
「おいぃ!?面と向かって何言ってんだお前!」
「まあ知り合い全員に同じ事言われてるので、今更その程度気にしませんよ」
開口一番に思考回路が狂ってるのではと疑われたが、まあ厳しい修行に挑戦してる最中の修行僧には毎回言われてることなので、本当に今更である。
「さて、今日は十三日目という事で修行内容は重力だ。後、そこの瑞樹ネキは厳しい修行を一通り受けておきたいとか言う奇妙な理由での参加だから、いないものとして扱ってね」
「奇妙では無く探求と言って下さい。臨死体験なんて本来なら知りようもない事を知れる機会なんですから、参加できるならするに決まってるじゃ無いですか」
「(求道者として)分からないでも無いが、(それでも態々死ぬために参加するのは)おかしい」
「義勇の言うとおり、瑞樹ネキはどう考えてもおかしいのだ!」
「ま、考えは人それぞれですからね。それより修行を始めましょう?」
「オッケー、それじゃそれぞれに重力掛けていくから」
「ちょおっ、いきな――」
と、ショタおじが軽い口調のまま、心の準備などさせる物かと言わんばかりに重力魔法が行使される。
未覚醒の三人に関しては本来の修行目的として、何が起きているかが分かる範囲で徐々に力を込めて行ってるが、私に関しての調整は特に行われず素の攻撃魔法が飛んでくる。
一応魔法の位階を下げる程度の加減はされているが、それでもショタおじとのレベル差による霊力密度は正しく桁が違うわけで、私の肉体は瞬く間に潰れ拉げていくのを五感と第六感で感じ取る。
「げほっ【ディア】、【ディアラマ】」
「お、即落ちは防いだか、じゃそのまま耐久してて」
【食いしばり】のおかげで、ギリギリ意識が飛ぶ前に出の早い【ディア】を差し込んで肉体を持ち直し、【ディアラマ】で安全圏まで戻した直後には重力が更に強くなり倒れ伏す。
生後直ぐから独学で行ってきて、星霊神社で正しい技法を学んだ結果、パッシブスキルとして安定した効果を発揮出来る様になった【小周天】による霊力と体力の回復を意識して呼吸を整え、肉体を回復させる霊力を切らさない様に意識を何とかつなぎ止め、【ディアラマ】を一度に大きく回復させるのでは無く、継続回復の様に効果を発揮させる感じで発動して小康状態を維持しながら、ショタおじに掛けられている重力魔法を解析していく。
この場合重要なのは〝重力とは何か〟という物理的な話ではなく、〝どの様な考えで重力を操っているのか〟という事、創作で登場する重力系能力者のバリエーションからも分かる様に、大地へ引っ張る力を強化するのか、対象の重量を増加させるのか、或いはブラックホールの様に圧縮をイメージする場合もあるわけで、そう言った部分を感じ取り理解する事で、私の稚拙な技量でもショタおじの術式に介入することが可能になる。
「お、この術式の対処が出来る様になったのか、じゃあ次はこっちね」
「ぐぶっ【ディアラマ】」
まあ対処して術式解除した瞬間に別の術式で別の潰され方するんだけどね!
そうして種類を変えたり、複合させたり、出力の強弱が可変式になってたりする様々な重力魔法に晒されながら理解を深め、それに合わせて第六感が鍛えられている横で、未覚醒の三人は死んだ魚のような目をしながら様々な種類の重力に晒され、死にかけてはショタおじに回復される地獄を繰り返していた。
「いやー良い重力体験でしたね」
「いや、その発言はおかしい」
「狂人なのだ……、どう考えても俺らより酷い有様だったのにどうして笑えているのだ??」
「なんで(そんなこと言えるの)?」
こうして見事にドン引きされ、他の厳しい修行を一緒にした修行僧と同様に、一線を引いた対応をされることになるのは然もありなんと言ったところか。
で、そうしてショタおじの地獄巡りが進む事二十一日目、幾つもの臨死体験を経たことで重力属性の【グライ】に加え、核熱属性の【フレイ】、万能属性の【メギド】の魔法まで習得出来たりと個人的にはとても満足いく結果になったわけだけど、こうして地獄巡りが続いている事から分かる様に、三人は未だに覚醒できていないと言う状況。
「そんなこんなで二十一日目なわけだが、今日はそれぞれ個別で覚醒修行して貰うことになる。しかも〝とある悪魔と1対1〟でだ、覚悟は良いか?」
「ここまで来たら今更なのだ!悪魔も地獄も何も怖くないからさっさと始めるのだ!」
という事でショタおじの分身式神に連れられて三人それぞれが別の部屋へと案内されて行く。
「ちなみにその修行って、私が受けることも可能なのです?」
「瑞樹ネキの場合は既に覚醒してるからどうかな……。今回のは言ってしまえば強制的にシャドウと対面させるペルソナ覚醒修行だからね」
「なるほど、素質か精神的に向いてなければやるだけ無駄で、少なくとも素質的に向いてるならとっくに覚醒してるはずって事ですか」
「そう言うことだね。ただまあ瑞樹ネキは精神的にいけそうな気もしないではないんだよね、これまでを見るに」
「それなら受けるだけ受けさせて貰って良いですか?ペルソナに覚醒出来たら技術者が足りてないペルソナ関係のサポートもよりし易くなるでしょうし」
「そっか、じゃあそっちの部屋でシャドウとの対面といこうか」
一応の用意はしてくれていたのだろう、ショタおじの指し示す部屋に入ると、異界に入り込んだ時と似ていて、でも少し違う空気を感じる空間へと踏み込んでいた。
そこは薄暗い室内であり、意味が有るのか無いのか分からない機械類がそこらに散乱しており、ぐちゅりぐちゅりと粘質な音が反響する地下室だった。
霊感による知覚でないにもかかわらず、薄闇の中にはっきりと浮かび上がるのは私だった。
手も足も機械に取り込まれ、己の女としての象徴を蹂躙された
しかし同時にアレは
快楽に目を濁らせ、あさましく体を蠢かせ、女という記号を蹂躙する
己の尊厳を蹂躙されながら、己もまた誰かの尊厳を蹂躙する、それに嬌声を上げる
「そう、
「そう、
「だから
「学ぶなんて無意味なことしてないで、早く
「強さなんて無駄な物求めていないで、早く
シャドウは語りかける、醜悪な程の悪意でもって、お前はこんな人間なのだと、命を冒涜し、尊厳を蹂躙し、自己の快楽のために使い潰すのが正しい姿だと。
シャドウは囁きかける、邪悪な程の悪意でもって、お前はこんな存在なのだと、命を改造し、意志を放棄し、他者の欲望のために使われるのが正しい姿だと。
そしてシャドウは嘲笑う、私の顔で、僕の声で〝さあどうだ〟と、目を背けひた隠しにした醜い欲望をさらけ出された気分はどうだ?と。
「やはり心のち●こだけでは足りないみたいですね。これはやっぱり擬似的に生やすのではなく、真なる意味での両性具有となる方法の確立が必要という事だったんですね!」
だからこそ、私はここに答えを得た。
「「え?」」
今世の始まりは恐怖だった。
生まれることを望まれすらしない、それどころか玩具として
だから私は、僕自身が望んだのだ、僕と言う私が産まれ、一つの命として生きていく事を。
故に僕は、僕で有りながら私である事を受け入れ、女であることも、女としての喜びの在り方も知る努力をしたのだ。
しかしながら私は、私で有りながら僕である事を否定したいわけでは無いのだ。
私が私である事は、僕と言う
「故にこそ、私は可能性を追い求め続けている」
「「僕/私はナニをイっていル!?」」
育つ環境の中で力を鍛えたのは生きるためだった。
超常の力が存在する世界で、もしもの時に身を守るのは己の力だけだと判断したのも事実で有り間違いは無かった。
しかしながら、純粋な力だけを追い求めていた訳でないこともまた事実である。
それは前世においても超常の力が関与しない現実として存在した症例で有り、超常の世界であれば時にはその在り方こそが正しいとすらされるモノ。
「世界各地の神話にも登場し、人だけでなく神もまたそう在るのが正しいと記述される事も有る性の在り方。そう、それは〝ふたなり〟!」
「「ドウしテそうナッタ??!?」」
実在する超常と言う中で、創作の中の半端な知識で、それでも何か出来る事はないかと考え、両性具有は半陰陽とも呼ばれることから連想したのが陰陽術であり、その大本である道術ひいては仙人。
〝気〟と言う前世では実在したかも不明な力を操る超常的な存在であり、当初の私が自身の中にある力で見出した可能性。
故に私は本物の知識に触れて以降も
様々な技術大系において性転換の術式はあり、一時的に男性の象徴を得る術であればそれこそ今の私でも可能なモノすら在った。
「だが!私の
「「エッ!?コレ〝ワタシ/ボク〟ノセイナノ????」」
「女のまま男の真似事をするのではなく、ましてや男になることでもない。正しく、真に、男で在り女でも在るそんな存在へ、自らを創り替えることこそ、私が目指すべき答えなんだと!」
「「エエェ?ソウナノ?ソウナノカナ??ソウダッタカモ……?」」
「だからこそ私の一面たるシャドウはその姿でもって私に示してくれた。両性具有となった私を、どの様な手段であれ自身の本質を改造してでも成したい本心なのだと、男として誰かに子を産んで欲しいと言う思い、女として誰かの子を産みたいと言う思い。それをどちらも叶える存在になりたいという強欲こそ、私と僕の原点なのだと!」
「「アア……ソウカ、ソレガ〝僕〟デ〝私〟ダ」」
「男も女もあさましく喰らいたいと言う爛れた情欲もまた、私の抱える陰としての側面であり、切り離していけない陰陽において大事な一部であると。だからこそ陽でありたいと思う私は、陰である
「「そうだ、故に我は汝、汝は我。渡り来た
「ペルソナッ!【女教皇 スクナヒコナ】!」
そして私は、内なる己と向き合い受け入れたことで、もう一人の私、ペルソナ【女教皇 スクナヒコナ】――見た目は神○Projectのスクナヒコナ――の能力を得たのだった。
後、ペルソナに覚醒した時の経緯が影響したのか【不動心*1】を習得したし、ペルソナ方面からの能力として【初段の賢魔*2】【ローグロウ*3】を習得して、更にペルソナ発動時は【呪殺耐性】も獲得されるみたい。
「これは、酷い……」
なお、その様を一部始終見せられたショタおじの表情筋は死んでいたが、コレもまた私という事で諦めて欲しい。
「と言うわけで神主、魂の身体構造情報を改造して両性具有になろうと思うんだけど、術式とか相談乗って貰って良い?」
「……本気、と言うより正気?」
「もちろん!と言うか美波さんやエドニキ、フェイスレスニキとかと、疑似●根とか穴とかの道具や術式は今までも色々試してたんだよね。神主この手の避けてる節があるから余り直接相談とかしてなかったけど、それで一応本物に近い感じで楽しめたり、人間同士なら子作りも出来る程度にはなってたんだけどね」
「お、おう……」
「それでもあんなシャドウが出てくるって事は、擬似的なモノじゃ無く本物のち●こでないと駄目だと心の奥では思ってたって事なんだよね、やっぱり。という事で、本物を生やすなら私を構成する情報自体を書き換えて、両性具有の状態こそが正しい在り方とするのが、一番問題の無い方法だと思ってたんだ」
「ん?思ってたって、前からするつもりだったの?」
「そもそも私がタオ系メインで魂関連を重点的にするようになったのって曖昧な知識で基礎囓ってたのもあるけど、最初の講義*4で神主に【サマリカーム】の概要聞いてからだし、肉体が損傷していても魂を元に肉体を修復するって事は、魂にはその人の正しい肉体情報があるって事でしょ?なら魂の情報を変更した上で【リカーム】系の魔法を使えば、魂の情報に合わせて欠損している部位を復活させる感じで生やすことが出来るんじゃないか?って思い付いたのも、魂関連の技術習得を重点的にした理由の一つなんだよね。まあ分身式神が技術習得に便利そうだったから覚えたかったのもあるけど」
「ああ、うん。そう言う意味ではペルソナ使い向きだったんだね、ホントに……マジでブレねぇ……」
「そう言う意味でも今回のシャドウとの対面は良い機会になりましたね。精神的な陰陽の調和が取れているのか【不動心】のパッシブにも目覚めましたし」
「これは酷い……。はぁ、一応術式のダブルチェックぐらいはするし、施術する時は僕も立ち会うから、ちゃんと声かけるんだよ」
「了解でっす。それじゃ美波さんと術式の最終確認してきますね!」
とても疲れた様子の声で許可をくれたショタおじに返事を返して部屋を退出、それから二日後には無事施術も成功し、晴れて真性の
ちなみに、今回シャドウとの対面まで地獄巡りすることになった三人は、無事覚醒してペルソナ使いになったのが一人、残り二人は次の日に行われたかなり特殊な修行で【自爆】と【リカームドラ】のスキルに目覚めたそうな*5。
自己犠牲系が覚醒トリガーになってたならそれは中々覚醒しないのも分かる話、流石にやる修行内容が内容のため私は参加しなかったし、魅了関連なら美波さんとの修行でそれなりに経験があるので問題なしってことで。
なおその後、両性具有になって身体検査も一通り終わった頃の話。
「ついでだから聞いておきたいんだけどさ、君は
「一応分類的には仙人が近いですかね?魂魄を解析する中で以前神主が言ってた祖先の悪魔というか、霊的起源みたいなのも多少分かって、権能っぽい力も少し使える様になりましたけど、人で在ることも手放したくはないんですよね」
「顕現者や現人神とか呼ばれる方向なら直ぐに行けそうだけど、あえて人の極限を目指すって事かな?」
「私は強欲ですからね。使えるなら神の権能でも使い倒しますし、私が
「確かに強欲だ。まあ無理せず
そう言って笑うショタおじが、何時にも増して楽しそうに感じた、秋も深まった日の一幕。
【覚醒者 瑞樹 Lv13→15】
≪性別≫
女→両性具有
≪ペルソナ≫
【女教皇 スクナヒコナ】
≪耐性≫
水・氷結耐性、破魔無効
(ペルソナ発動時:呪殺耐性追加)
≪スキル≫
>攻撃系
【アクエス】【ブフーラ】【ジオ】【アギ】【マグナ】【ガル】【ニードルショット】【サイ】【ハマ】【ムド】【グライ】【フレア】
【マハアクエス】【マハブフーラ】【マハジオ】【マハラギ】【マハマグナ】【マハガル】
【ラピッドニードル】【マハサイ】【マハンマ】【マハムド】【メギド】
>回復系
【ディアラマ】【メディア】【パトラ】【リカーム】
>補助系
【タルカジャ】【タルンダ】【ラクカジャ】【ラクンダ】【スクカジャ】【スクンダ】
【ポイズマ】【パララアイ】【ドルミナー】【シバブー】【プリンパ】【マリンカリン】
【ダストマ】【コンセントレイト】【アナライズ】
>自動系
【水・氷結プレロマ】【食いしばり】【地獄のマスク】【不動心】
【二分の活泉】【二分の魔脈】【初段の賢魔】【ローグロウ】【小周天*1】
>生産系
【魔法道具作成】【霊薬作成】【豊穣の祈り】【降霊術(式神コア製作)*2】
【低級式神製作*3】【式神パーツ製作*4】【カード作成*5】
>特殊系
【分身式神*6】【契約術式*7】【神道系召喚術*8】
>汎用系
【房中術】【料理】【絵画】【造形】【演技】【演奏】【歌】【舞踊】【解体*9】
≪装備≫
女性用装備〝巫女服〟*10
※上位互換スキルを習得した場合、基本的に下位スキルは使用可能だが、ステータスには記載しない方針。
大気中のMAGを取り込み自身の霊力と混ぜ合わせ、霊体を活性化させる事で霊力や体力の回復効率を向上させている。独自設定スキル
ペルソナに覚醒した事でSPの回復力向上も追加された。
降霊術で【名も無きスライム】まで存在を削った悪魔を降ろし、様々な契約と術式で縛った状態の核。この核に式神の体となる依り代を繋げ主従の契約を結ぶことで、専用の式神となる。
所謂、陰陽師が札から召喚する式紙のようなモノで、その構成上独自に思考する程の知性は無い。
そこで発想の転換として、初めから実体を持つ式神として作れば良いのではないか?との構想から確立された技術。
その性質上、実体を形作るパーツの素材によって初期性能を高くすることも出来る。
なお、悪魔や人から直接概念を抽出したりコピーする形で作成することも可能だが、その場合も作る物の〝概念としての量〟が影響して作成難度が変わる。
独自設定として、フォルマは悪魔が魔晶化した物であることから、魔晶を作り出すスキルと組み合わせる事で術者の理解している概念であればマグネタイトのみで作成も可能。
本来は影武者として周囲に誤認させる事が目的であり、そのために本人の知識や技量を再現する能力と活動停止時にそれまでの記憶を術者に還元する仕組みだった。
ショタおじがこの術式を改造していった結果、分御霊を派遣して獲得したMAG等を回収する仕組みと同様の術になっており、経験などの成長分も含めて還元される用になった。
なお、現在は足りない人手の補充、学習の効率化など、本来の用途とは別の用途に活用されている。
所謂ライドウスタイルで、封魔術も習得内容に含まれてはいるが、危険なので契約術式を確り身につけるようにとのこと。
作成元になった人物や悪魔により性能が大きく変わるスキルだが、モノによっては悪魔肉を無毒化し、一般人でも食用可能な食材に変えることも可能にする。
星霊神社に勤務している訳だから、と言う理由もあって瑞樹も含めた生産組が全力で取りかかった作品であり、バージョン違いも含めて結構な数が作られている。
素材や概念的な関係から、破魔の効果上昇と呪殺への耐性、精神系状態異常への若干の耐性に加え防御力もそれなりに備える装備となっている。