【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
それは色んな意味で冒涜的だった。
最後に現れたフェイス部分は、色に狂い果てたかの様な狂気の如き表情を湛えた産物であり、金属音を奏でる機体には、いつの間にかぬらぬらと妖しく光る粘液が纏わり付いていた。
機械音声は精神を削る様な不協和音を立て、飛び散った粘液からはピンク色にも見える煙が立ち上る。
そして何より、そんな機体が一つでは無く、無駄にバリエーション豊かに存在して鳴き声を上げる所だろう。
具体的には一番大きな八本脚が二体、多少サイズダウンした四本脚が四体、ドローンが十体、それからサイズダウンした四本脚とは別形状の四つ足が四体と、合計二十体程の機械が群れを成していた。
「ひぇっ?!」
「悪ノリしすぎだろ技術班!!つーか、スケベ部だけじゃなくてロボ部とかも関わってんのか?!」
「これを作った奴らの正気は大丈夫か?」
「ダメだと思われますが、そんな事言ってる間に来ますわよ!」
余りの見た目から衝動的に意識を逸らしたくなったが、相手にとってはこちらの動揺など関係無い訳で、機体が動き出した事により戦端が開かれる。
「粘液のせいか妙に動きが滑らかだな、コイツら!【マハラツクジャオート】【麻痺針】――ちぃ、銃撃無効かよ!ウィズは弱体、ダクネスはいつも通り、アクアは超過回復準備」
「では【ランダマイザ】!」
「流石に私でもコイツらの相手を長時間は勘弁して貰いたいがな【仁王立ち】【硬気功】【覚悟の挑発】!」
「了解了解、【ヒュギエイアの杯*1】!」
「相変わらずCOMPでのアナライズは不発だぜ、カズマニキ。弱点か、せめて耐性無しがあれば良いんだがな【ブフ】!」
「【ジオ】!くっ無効ですか。機械ならと思いましたが、対策はされてるみたいですわね」
「氷結無効なら、【アギ】!ええぇ、火炎も無効?!」
――ハァイ!ボク、●ーマス!
開戦からしらばらくは、機械共が聞く度にヤスリ掛けされてる様な気分になる鳴き声を上げてダクネスへと殺到する間に、アクアの【メディアラハン】で約二倍まで一時的に体力を増強したり、有効打となる攻撃を探してノックする作業を続ける事になったが、とりあえずは問題無く情報収集が出来たと言ったところか。
判明した情報としては、まず物理の基本である斬・打・突には耐性、銃撃は無効になっていたが、変わり種である投具――弓や銃では無く、投擲による間接攻撃だと耐性無しで素通りしたため、物理で攻めるなら投擲がメインになるだろうか。
次ぎに魔法系の属性だが、耐性無しが地変・念動・重力・万能の四つ、使用者の多いメジャー属性な火炎・氷結・電撃・衝撃・疾風・破魔・呪殺は無効だし、使用者数的にマイナー扱いされる水撃・核熱などは耐性有りと、巫山戯た見た目の割りに優秀な耐性持ちだった。
まあ万能系統の術は消費も重いし、地変・念動・重力辺りをメインに殴る感じになるかね?あと気になるのは、攻撃の度に粘液が飛び散ってる事だけど、今のところ何か起きてるってわけでも無いし、一応頭の片隅に置いとくぐらいか。
「コイツら、妙に硬いが火力はそこまででもないか?いや、ダクネスが硬いだけってのもあるか、他に流れ弾来てないしな……」
「この分なら自己回復で何とかなるか?【ディアオーラ*2】」
「ダクネスは自分で何とかしてるみたいだし、調べ終わったんなら強化行くわよ【ラスタキャンディ】!」
「念のため残してましたけど、コスト的に重いんですよねぇ【メギドラ】」
「通る属性がある分まだマシだが、メジャー属性が無効ってのはきついな!【マハマグナ】」
「Cキューブ使わせて貰ってなかったら、私何も出来ない所でしたよ?!【マハグライ】!」
「こう言う時、契約呪法アプリで属性の幅を増やせる有り難さを感じますわね【マハサイ】」
「っと、考えてる場合じゃねぇな。折角だしこれ使うか」
大盾を構えたダクネスが冒涜的な機械共の攻撃を防ぎきり、更には時間経過でダメージの回復までする不落要塞と化す後ろで、アクアのバフを受けてまともに通る魔法を兎に角撃ち込みダメージを稼ぐ。
とは言え、正直私とペリーヌにゆんゆんを加えた三人で与えた分より、ウィズの【メギドラ】によるダメージの方が大きいってのが悲しい現実だが。
そんな中、何か考えてたらしきカズマニキが徐に玉らしき物を鞄から取り出すと、魔法のが炸裂した直後の機械共に向けて、思いっきりぶん投げる。
「おー、分裂魔球っぽく飛んでんな。流石にドローン型には回避されてるが」
「あ、ガトリング背負ってる四つ足が落ちましたよ!戦車型っぽい八本脚と四本脚はまだ健在みたいですけど」
「見た目的にはそこまで重装甲って感じはしませんけれど、表面の粘液と合わせて衝撃を逃がしてるってところでしょうか。まあ装甲は抜けなくても動きは鈍くなっておりますし、加重の状態異常にでも掛かりましたかしら?重力属性魔法などで付与されることが稀にあると聞きましたが」
「それについてはカズマさんが投げた黒い鉄球の効果ですね。加重状態を付与する投擲用アイテムですよ」
「便利そうだが、結構な値段もしそうだな……」
カズマニキの投擲がトドメとなって、ガトリングで弾幕してた四つ足四体が沈黙したものの、ドローン型は未だ十体共禄に攻撃が当たらず健在だし、八本脚と四本脚はダメージこそ与えてるが、未だ動作に支障が見えない状況。
――ハァイ!ボク、●ーマス!
そんな中、弾幕を張りながらこちらへ近付いていた機械共だが、距離か損耗状況かは不明だが行動ルーチンが変化した様で、銃撃を停止させると今度は目に当たるだろう部分から、戦車型が薙ぎ払う様に、ドローン型が狙い撃つ様に熱線を発射してくる。
「ちぃ、流石にダクネスだけで完封とはいかんか!被害状況!」
「薙ぎ払い以外に単発も一つ受けたが、バフもあってまだ動ける!つっても当たり所が良かっただけで、運が悪けりゃ手足の一本は飛んでたな」
「こちらも同じくですわ!後、魅了対策の結界に掛かる負荷が増加してますから、何か他にも起きてるかもしれませんわ!」
「わ、私はカズマさんから貰った防具のおかげで、そこまでダメージはありません!」
「んふぅ、もっとだ!もっと私を痛めつけてくれ!」
「カズマ!ダクネスに発情入ってる!あの熱線って火炎と発情の複合かもしれないわよ!」
「追加で悪い知らせですカズマさん。撃破した四つ足は転送か何かで消えましたが、表面を覆っていた粘液が残って煙りを上げてます」
攻撃パターンの変化により装備の差が浮き彫りになった感じだが、この辺は完全に黒札の庇護下と言うか、恋人や仲間なりの位置に居るゆんゆんと、授業を受ける権利を得ただけの私らの違いってとこだろうな。
まあ即死でもなければ、契約呪法アプリに設定してる自動回復とアクアによる全体回復で、全快するからそこまで問題でも無いが、全体攻撃が何度も来る様だと危険な事に変わりは無いか。
それより問題なのは、確率的な話だろうけどダクネスに状態異常が通る可能性が生じた事と、機械共の表面を覆っていた粘液が本体を倒しても残留してる事、ペリーヌの言ったのと合わせると、あの粘液が拡散すると魅了の蓄積値が増加するって事なんだろう。
下手したら、粘液が直接付着すると耐性貫通して、魅了や発情にされる可能性も有るって事かもな……。
「ええいディスチャームだ、正気に戻れ!くそっ厄介なギミック付いてんな、おい!となるとダメにはもう一段バフ掛けて対処するとして、状態異常は都度回復するしかねぇか、後は火炎属性の耐性上げれば何とか――って、おいおい、あいつら自動回復もすんのかよ!」
「自動回復持ちのタンクってのは勘弁して欲しいぜ、まったく。私らも回復は自前で出来るし、ここで見つけたアイテムもそれなりに有るから多少は問題無いが、持久戦になると確実に持たんな」
「ドローンの回避率も高いですし、ここは戦車型に集中して全体攻撃を減らしていくべきですわね。その分魅了の蓄積値も上がると思いますが、熱線を何度も受けるより消耗は少ないと思いますわ」
「単発狙い撃ちなドローンはダクネスで引き付ければ何とかなるか……うっし、そんじゃ四本脚から潰してくぞ!アクアはバフ重ねて状態異常を都度回復、ウィズは火除けの結界を張ったらメギドラかドレインで削り、ダクネスはもうちょい壁頼む、目標は右の奴から行くぞ!」
カズマニキの指示が飛んで全体強化と火炎耐性強化が施され、即死の心配がかなり緩和されたところで、自己回復持ちタンクとの削り合いとか言う、くそったれな状況が開始された。
まあ普通に感じ取れるレベル差からしても、ダメージディーラーは主にカズマニキが投擲するアイテムとウィズの魔法な訳だが、ゆんゆんも含めた私ら三人の魔法でも、積もれば多少は自己回復を遅らせる事も出来るって事で、今回の探索中に見つけたチャクラドロップなんかの回復アイテムを、ガンガン使いながら攻撃を重ねていく。
何なら私らの攻撃を減らして、カズマニキやウィズの霊力回復に回ったりもしつつ、何度も熱線の薙ぎ払いを食らいながら、ついに戦車型の撃破に成功する。
「まじでくっそ重かったぞタンク?!巫山戯た見た目の癖して、コイツら群れればショタおじ製シキオウジ並かよ!粘液付着で耐性貫通しやがるし!」
「シキオウジなる物がなんなのかは分からんが、少なくともカズマニキが居なけりゃ私とペリーヌは確実に死んでるな。そもそもボス部屋まで来れたかも怪しいが」
「後はあのドローン型ですけれど、なかなか攻撃が当たりませんわね」
「二、三度当たれば落ちますけど、まだ後七体も残ってるんですよね……」
「もうこれ以上のバフ重ねは無理よ?補助が切れない様に維持は出来るけど、必中とかないの?カズマ」
「有ったら苦労しねぇんだよなぁ……」
「現状可能な方法としては、面制圧系で逃げ場を封じる様に攻撃するぐらいですか」
「ちと負担が大きいが
何とか八本脚まで破壊して、大物が片付いたから後は小物だけと言った感じだったんだが、思えばこれまで散々範囲魔法も使ってきたにもかかわらず、落とせてるのが三体だけな事から、ドローン型が回避に特化してるのはわかりきってた話で、単体攻撃はもちろんの事、一体を中心にした範囲魔法ですら、発動から効果発揮までの僅かな時間で回避される事が続き、どうにか逃げ場を封じる様に発動して、追加で二体撃墜した所、またもや行動パターンが変化する。
「ぐっ、私の防御が突破されたか!」
ドローン下部のアームには、いつの間にか黄色い刀身と言う共通点を持つ大小様々な剣がセットされており、すれ違い様の攻撃でダクネスが明確にダメージを受ける程の一撃が繰り出される。
更には残りの五体が高速機動で連携しながら攻め立てる動きに変化したことで、一気にダクネスの消耗が加速していく。
「黄色い刀身の剣?もしかしたら――【ステアル*5】!……やっぱチキンナイフか!」
「は?相手の武器を奪ったのか、カズマニキ?!」
「それも驚きですが、チキンナイフとはその短剣の事ですの?」
「何を盗めるかは割と運任せだがな、コイツはガイアグループで出してるFF*6に登場する武器の再現品ってとこだよ。妙に避けまくると思ったら、回避数に応じて威力が上がる武器持たせてやがったって事だな」
「って事は、下手に攻撃すると不味いんじゃ無いです?!」
「デバフを最大まで掛けてる状態であれですし、逃げ場を減らしながら確実に落としていくしかないでしょうね」
「くっ、また粘液プレイか!」
「おいおい、武器奪われたら粘液付きのアームで殴ってくるのかよ!そこは熱線攻撃にでも戻れっての」
カズマニキが敵の武器を一つ奪ったことで、ダクネスの防御を抜けた絡繰りが判明したのと、単純に手数が一つ減った事でダメージ自体は減らせたものの、耐性貫通で発情状態を付与してくる粘液攻撃が追加された事で、差し引きはイーブンってとこか。
まあ下手に攻撃を仕掛けない事で、アクアの回復とダクネス自身の自己強化でダメージの回復は追いつくし、発情もディスチャームを投げるか私やペリーヌが用意した特化回復術式で対処可能と、十分に凌げる状況まで持ち直す事は出来たが、凌いでるだけではジリ貧なのに代わりは無いのも事実。
正直ダクネスほどの防御性能が無ければ、速攻で切り刻まれて全滅してるだろうしな。
「よしっ、ちょっと無理するがドローン共に一撃当てる方法がある。それに合わせて追撃で打ち落としてくれ」
「お、切り札があんのか?」
「
「ああ、決闘外使用だから消費がでかいし、発動後はしばらく魔法の一つも使えなくなるが、地変属性の範囲魔法を複数設置するスペルカードを組んでる。接触起爆だからドローンの速度でも回避はできんだろう」
「ならそれで行くか!時間掛けると不味い感じもするしな、一体でも二体でも落とせるなら十分だ」
即断即決で次の行動が決まり、私はSDアプリから次にペリーヌと模擬戦する時用に組んでた新スペルカードを待機状態にして、タイミングを図る。
各々追撃の準備が整った所でカズマニキの合図を受け、スペルカードを
「
《決闘外の使用宣言並びに発動制約受諾確認、限定起動認証完了、
術式展開【
宣言により今の私では制御出来ないレベルの儀式魔法が展開され、それに合わせてごっそりと霊力を持って行かれる感覚に歯を食いしばって耐える。
アプリによって制御されたスペルカードが設定した通りに実行され、空中に星形の霊力塊が機雷の様にいくつも設置されると、ダクネスを狙って連携飛行していたドローンが次々と星に触れて【マハマグナ】が発動し、ダメージと共に僅かではあるが姿勢を崩して失速、そこにすかさず追撃が飛び、無事に残りのドローン全ての撃墜に成功する。
「残敵確認!」
「追加のマグネタイト反応は今のところ無いですね」
「COMPのエネミーサーチにも反応は無いです!」
「ドローン共も回収されたっぽいのを確認。結界の負荷も消えてるな」
「こちらも対魅了結界に掛かっていた負荷が消えてますわね。ドローンを撃墜した場所に粘液も有りませんし、異界のギミック自体が解除された可能性も有りますわね」
「とりあえずダクネスは全快にしといたけど、大丈夫じゃない?」
「なかなか歯応えの有る攻めだったな!まあ傷は塞がったがMAGは相応に消耗してるし、脱出前に回復を挟みたい所か」
「とりあえず戦闘は終了で良さそうだな。警戒はしつつある程度霊力回復したら脱出口っぽい奥の扉調べるか」
室内から敵の反応が消えたのを確認し、戦闘直後を狙う様なトラップなども無いのを確認した所で、警戒段階を戦闘時から探索時程度まで下げ、ようやく強敵を撃破した実感が湧き上がってくる。
実際、COMPで確認するとレベルが2つ上がって19になってたし、ただの感情面だけでは無く、実質としても力が湧き上がってたって事だろうな。
まあ私のことは兎も角、戦闘での消耗分をアイテムなどで回復なりした後、これまでの傾向からこの部屋にも何か仕込まれてるのでは?と言う事で、念のため部屋内に隠しアイテムなどが無いか調べて回った所、案の定と言うか何と言うか、奥の扉がある壁の右端に、隠し扉が有るのを発見する。
「ここに来て更に隠し部屋まで有るのかよ……」
「マリッサのその気持ちは良く分かるが、ガイア連合の技術班ってのはこんなもんだし、諦めるのが楽だぞ」
「トラップは無さそうですね。念のため開けるのはダクネスで」
「任された。では開けるぞ」
扉とその周辺にトラップが無い事を確認してダクネスが扉を開くと、そこには待機状態の機械群が所狭しと並べられ積み上げられてる倉庫が広がっていた。
※葛葉ライドウ対超力兵団参照
※真・女神転生NINEより
※ラストバイブルスペシャルより。