【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
「――っと、連絡事項は以上です。それと、最近巌戸台周辺でも事件の話を聞きますから、夜遅くまで出歩いたりしない様注意して下さい。ではホームルームを終わります」
「起立、礼!」
『ありがとうございました』
昨夜から色々とあったけど、学校自体は特に変わった事も無くいつも通りに授業が終わったし、今し方担任からの話も終わって放課後の時間。
この後は予定通り裕奈の部屋に行って引っ越しの作業かな?と考えて裕奈の方へ視線を向けると、時々一緒に遊びに行ったりするクラスメイトが話掛ける所だった。
「裕奈!今日って用事無かったよね?アムネジアの割引あるんだけど行かない?」
「アムネジアってゲーセンみたいなとこだっけ?あー行きたいけど、用事入っちゃったから今日は無理なんだ、ごめんね」
「そうなんだ、どんな用事か聞いても大丈夫だったりする?」
「今日は学生寮から引っ越しする事になったって話じゃなかったっけ?」
「あっ、そういや朝の寮でそんな話してたね。じゃあ仕方無いか、また今度遊びに行こうね!」
唐突に決まった引っ越しって言う裕奈自身呑み込み切れていない事情から、どうした物かと戸惑っている様子に助け船を出すと、今思い出した様に納得してさっと離れていったクラスメイトに、裕奈が複雑な表情を見せる。
「今のって、琴音が何かした感じ?」
「いや、引っ越しの準備を進めるって瑞樹が言ってたでしょ?家族の都合で親元からの通学に切り替える事になったって軽い暗示を、朝の内に学生寮の方で掛けた感じ。最近この辺も犯罪事件が増えてるし、昼に瑞樹から来た連絡によると、裕奈のお父さんもガイア連合に所属してたみたいだから、暗示の内容も嘘って訳じゃ無いからね。特に違和感とかはもたれないはずだよ」
「昨日今日ですんごい腹一杯な感じなんだけど、お父さんもやっぱりオカルト関係だったんだ……」
「まあメシア教を警戒してとか言ってたみたいだし、裏の事情も知ってるとは思ったけど、連合の方に所属してたとはねぇ。いや月光館学園大学の教授だし、不思議じゃ無いけどさ」
「何と言うか、表向き見えない様にされてただけで、あちこちにオカルトはあったんだねぇ~」
「日常の何気ない行動も正しく意味を知っていれば、立派な儀礼だったりするからね。ま、今は話し込むより引っ越しの作業しに行こっか、色々説明する時間は多い方が良いし」
「オッケー、そんじゃ行こっか」
てな訳で、何時までも説明を後回しってのも座りが悪いし、さっさと引っ越しを終わらせるために学生寮へと向かう。
「私の部屋に来た訳だけど、引っ越しの業者とかでも呼んでるの?準備はしてるって言ってたけど」
「一部屋分ぐらいなら持ち運び出来る収納バッグ持ってきたから、これに入れて持ってくだけだね」
「え、そのポーチみたいな物に?」
「ファンタジー的に言えばマジックバッグみたいな物だからね。この程度のバッグでもトン単位で収納出来るから、裕奈の私物ぐらいなら余裕だよ」
早速証明としてタンス一つ分の衣服を入れてみると、わかり易いファンタジーなアイテムにワクワクとした表情を浮かべて、裕奈も次々に私物をバッグへと収納していく。
「うわぁ……、マジで全部入っちゃった」
「見落としや忘れ物は無さそうかな?」
「あ、うん。大丈夫だと思うよ」
「んじゃ、後は葦原荘で裕奈が使う部屋を決めて、家具の設置などを済ませれば一先ず終了だね――っと、メールだ」
「向こうの準備も終わったって事かな?待たせるのも悪いし、確認は向かいながらでも良いんじゃない?」
それじゃ葦原荘へ向かおうかって所で、瑞樹からのメールが届いた音が響く。
まあ裕奈も言う様に向かいながら軽く確認する事にして、一先ずは裕奈の私物を回収し終わった学生寮を出る。
「ちなみに届いたメールって、私も関連する事?」
「んーどうだろ……、ああ一応、連合の所属登録とか葦原荘側の準備は終わってるってのは書いてるね。他は朝話したネコカオスニキの依頼関連だから、多分裕奈に関係はしなさそうかな?」
「へぇ~何か別の所の依頼っぽい事言ってたけど、琴音の所にも話が来るんだ」
「調査進めた結果、巌戸台支部が管轄する案件って分かったからだね」
いやまあ、その調査対象がさっきクラスメイトが言ってたアムネジアって施設だったり、其処に認知異界が出来ててN案件が確定したりと、すんごく嫌な予感がしてくる情報がまとめられてたんだけどね……。
情報を読んだ感じだと、僅かな労力で最大の効果とでも言うかの様に、人類の愚かさによる自滅を誘うネガティブマインドの化身らしい手口が記載されていたんだけど、施設を利用する人間の共通認識から出来た認知異界って、それ規模を縮小したメメントスでは?と思わないでもない。
それと施設内には、認知異界へ直接乗り込める
過去形で記載されてるのは、入り口が現実側に出現する前の頃と今では事情が異なるからと言う事で、現在は受け付けで利用者が名前を記入すると、本人も認識しないまま認知異界への階段を降りて行き、帰る頃には心の一部に
後は、そうしてネガティブマインドを抱えた一般人が増えた事で、終末思想系の噂がSNS上やネット掲示板などで広がり始めていて、終末思想団体的な噂話や儀式的な話も見つかっているらしいって所か……。
ざっくり斜め読みした中だと終末思想団体や儀式って単語が気になるし、とりあえずその辺の詳細から――
「あれ?今裏路地に入っていったのって
「へ?」
「ほらこっち!」
「あ、ちょっ、引っ張らなくても付いてくって!」
もうちょい詳しい内容を読もうかとした所で、裕奈に引っ張られて路地の入り口まで走る事になったけど、辿り着いて覗き込んだ裏路地には、ロングポニーテールの長い黒髪を靡かせて、普段から持ち歩いている模擬槍を入れた袋を担いだ特徴的な友人の後ろ姿が有り、見た時には丁度奥の角に消える所だった。
「やっぱ二代だ。そろそろ夜になるのに、何でこんなとこ歩いてんだろ……?何か変な感じ――」
「追いかけるよ!裕奈も感じてるなら確実にヤバい何かがある」
「って、逡巡もせず即決?!ああもう、琴音も何か感じたの!?」
「放っておく碌な事にならない感じはする!」
裏路地に消えていく友人――本多二代の後ろ姿を見て、裕奈の何かに引っかかる様な言葉を聞いた瞬間、湧き上がってきた猛烈に嫌な予感に突き動かされ、友人の後ろ姿を追いかける。
後ろから裕奈が付いてくる気配を感じながら、二代が曲がった角の先を確認し、路地の先で別の角を曲がる所をギリギリ視界に捉える。
とりあえず二代の名前を呼びつつ曲がり角の通路まで走って行ったけど、次の通路の先にいた二代はこっちに振り返る様子も無く、普段通りの足取りで歩き続けてて、明らかにいつもとは違う様子。
更に嫌な予感が加速する様な光景が裏路地の先、裏路地が十字に交差する交差点に見える。
「十字路で何か儀式してる複数の人影に、二代を含めて何人もゾロゾロと集まってるって確定じゃ無い!」
「うわっ、見るからに怪しいんだけど!?」
見るからに儀式は最高潮な様子で、もうすぐ二代に追いつけそうだけど、ペルソナを発動しても範囲外へ退避させるのはまず間に合わないだろうってタイミングなのは、何かしらの悪意を感じざるを得ない所。
儀式が完了するだろうまでの僅かな時間で取れる行動を思い浮かべ、こっちの状況を知らせるための簡易式神を瑞樹の下へ向かわせる事を選び式神を飛ばす。
「裕奈、何が起きるか分からないから手は離さないで!」
「昨日の今日で何が起きてるのさ!」
「はっ?!ここは――む?何故琴音が拙者の手を握ってるので御座るか?」
「さあ!現世の未練を捨て去り、楽土への道よ開け!」
何が起きても対処出来る様に追いついた二代と付いてきてくれた裕奈の手を掴み、何が起きても良い様に心構えもした所で、何かの儀式をしていた男が高らかに声を張り上げ、直後に闇夜の様な暗い光が交差点の中央から溢れ出す。
――<忘却の回廊>――
暗闇に覆われた視界が戻るのに合わせ、まるでゲームでフィールド名が表示される様な音声が意識に響き、続いて環境音とは思えないヒーリング系音楽の様な旋律が聞こえてくる。
「即座に襲撃される気配は無し、裕奈と二代は……まだ意識がはっきりしていないか」
二人の気付けは現状の把握をしてからが良さそうだけど、見える範囲だと壁と天井に床も白い石の通路、石畳の両端が一段低くなっていて水が流れてるのは、さっき聞こえた言葉通りと考えるなら、
前後に通路の端は見えないけど、流石に一本道って事は無いだろうし、儀式をしてた男が楽土への道と言っていた事から、少なくとも辿り着く先を想定して造り出された空間――周囲から感じる気配的に認知異界のはず……。
後は出来るだけ通路の端、特に流れている水には触れない様に注意する感じで、通路を進みつつ情報を集めるしかないかな?
「うん、後は動くしか無いね。それと、二人共そろそろ起きて!」
まあ認知異界に引き込まれて数秒程度しか経ってないし、異界に慣れてなければ直ぐに状況確認なんて出来る訳も無いから仕方無い事だけど、自然に気が付くのを待つ程の余裕は無いから、ちょっと強引だけど起こすために二人の胸を鷲掴みにして刺激する。
裕奈も時々じゃれつきでやってくる事だし、堂々と触る理由が有るならやるよねってのが本音だけど、一応レベル差の事もあって、万が一でも攻撃の意識が乗ると即死しかねないから、攻撃にならず気付けになるだけの刺激としてやってるって理由も有ったりはする。
「程好い重量と手に馴染む柔らかさ、二人共なかなかの揉み心地だね」
「んっ……、って!何堂々と揉んでるの?!」
「む、琴音に裕奈?何故此処に……いや、そもそも拙者は何をしていたので御座るか?」
「意識もはっきりした様でよかったよかった。現実なら兎も角、此処だと肩を叩いて起こすだけでも万が一の可能性が出てくるからねぇ」
「いや、肩を叩くだけで起きる万一の事態って何さ」
「え?肩からちぎれたり、最悪即死する可能性も有るかな……」
「何そのスプラッタ――えっマジで?」
嘘でしょ!?みたいな表情で見つめてくる裕奈からちょっと視線をズラし、状況が全く分かってないだろう二代の方へと目を向けると、まだ若干ぼんやりとしてる感じかな?
ああいや、時代劇の影響で定着したらしい独特な言葉遣いで独り言を呟いてる感じは、軽度の混乱状態っぽい感じも有るし【パトラ】でも掛けた方が早いか。
「胸揉んでも効果今ひとつっぽいし、なら【パトラ】っと」
「はっ!?」
「うん、軽度だけど混乱状態に陥ってたみたいだね。色々疑問に思うだろう事に説明するから、二人共ちゃんと聞いててよ?」
「オッケー」「あ、ああ頼むで御座る」
改めて二人共正気に戻して話が出来る状態になったって事で、現状について分かってる事や必要だろう前提知識の説明を軽めにしていく。
「まずは裏路地に居た事を認識してなかったっぽい二代の状況に関してからかな」
「む?拙者の事で御座るか?」
「あー確かに、あの時の二代って様子がおかしかったし……」
「確証は無いからおそらくだけど、何かしらの暗示を受けてたっぽい感じだったんだよね。二代は少し前まで何をしてたか思い出せる?」
「確かスマホでSNSを見ていたはず……、何かの画像を見たのまでは思いだしたで御座るよ」
「なら多分、その画像ってのが裏路地の交差点で儀式してた連中が暗示を掛けるのに使った奴かな。目的に沿った人間を集める意図でネット上に流して、二代みたいな暗示に掛かった人を自発的に儀式場まで呼び寄せたってとこ」
「暗示……で御座るか?そんなオカルトが――「有るから裏路地なんかに居たし、こんな状況になってるんだけど?」――むぅ……」
「二代がオカルトな事件?に巻き込まれて裏路地に行ってたってのは分かったけど、怪しい儀式してた男とこの場所については何か知ってたりするの?」
「確定じゃないけど関連しそうな情報はさっきのメールにあったね。この場所については認知異界だろうって所かな」
「「にんちいかい?/で御座るか?」」
「うん、先に異界について説明しよっか」
まあざっくりと物理法則以外の法則が混じった空間を異界と呼んでいて、認知異界はその中でも夢の中みたいな精神世界側の性質が強い事、人の認識が強く影響するため、認知異界の中なら模造刀でも本物の刀の様な切れ味を発揮したりする事、シャドウと呼んでる襲いかかってくる敵が出現する可能性などを話していく。
「つまり、此処でなら拙者の模擬槍も本物同様の武器となる訳で御座るな!」
「二代がそれを武器として強く意識すれば多少はって所かな。本物そっくりに作ったレプリカならより効果的だけど、模擬槍としての見た目だと、その分認識による補正はどうしても落ちるよ」
「こんな状況になって、直ぐに戦う事考えるとか、二代ってやっぱりバトルジャンキーな気があるよね~」
「最近どうにも伸び悩んで居たで御座るからな。思い切り槍を振るえる機会が無いかと思っていた故、戦えるのなら良く分からぬ状況にはこの際目を瞑るで御座る」
「地頭は悪くないはずなのに、どうしてこう一直線なんだろうね……」
「あれ?そういやそのシャドウとか悪魔とかってのには、覚醒してないと攻撃当てられないんじゃなかったっけ?」
「なんと?!」
「裕奈の言う通り、今の二代は認知異界に連れ込まれて半分ぐらい覚醒してる感じだけど、まだ戦えると言うほどじゃないかな?とりあえず未覚醒状態でも装備出来る霊装があるから二人に渡しとく、裕奈も覚醒したてで敵の強さによっては流れ弾が危険だからね」
ある程度説明が進んだ所で、受けると危険な状態異常の対策も兼ねて、肉体系・精神系状態異常の無効化と、簡易式神による防壁を展開する三つの勾玉で構成された〝大和の首飾り*1〟を二人に渡しておく。
ちなみにこの勾玉、新潟は糸魚川付近の異界から産出した翡翠を使用した物で、日本人なら覚醒して無くても霊的効果を十全に受けられるって言う特殊な効果を持つ装飾品だったりする。
この日本人の判定については、国籍を取得して帰化してたり日本人の血を引いてたりして、当人が日本人だと認識していればオッケーな結構緩い物なんだけど、代わりにこの効果が付く翡翠は、日本の領土内にある異界の地中から産出した物に限られていて、悪魔から翡翠がドロップしても対象外になるって言う特殊な付属効果。
まあこの付属効果が翡翠に発現したのは、二年前の2001年だったかな?に瑞樹が政界ニキネキや富豪ニキネキなどに根回しして、日本を象徴する宝石として認定させたり、縄文時代の翡翠文化なんかをPRした事で、日本人の認識向上に併せて霊的効果が上昇した結果って話。*2
それに加えて、糸魚川周辺の翡翠文化の情報とか、実際に糸魚川付近の異界から産出した翡翠を加工した装飾品を、天照大神や皇室に献上したりして権威付けもしてみたらしく、糸魚川周辺に発生する異界産の翡翠が最上級の効果を持つ様になったとかで、瑞樹も翡翠に関しては新潟から態々購入してるんだとか。
「――と言う訳で、今回の二代みたいな霊障に巻き込まれた未覚醒者にも、雑に渡せる霊装として重宝されてる装備だから、確り身につけといてね」
「この首飾りが何か凄い装備だってのは分かったけど、こんな装備が必要な状況って事……?」
「少なくとも覚醒してない二代にとってはね。まあ今こうして認知異界ではっきりと意識持って行動出来てる訳だし、ペルソナに覚醒出来る可能性は有ると思うけど、どうなるかはまだ分からないから保険ってとこ」
「そのペルソナとやらの力が有れば戦えるので御座るか!?」
「戦いの場に立つための最低限の条件って所かな?その辺は此処を脱出する過程で覚醒出来たらって事で、それより裏路地で儀式してた連中に関しての話なんだけど――」
朝の内に瑞樹へメールしたあれこれの調査結果なんだろうけど、送られて来たのは心療娯楽施設アムネジアに関連する内容。
今日の放課後にクラスメイトが裕奈に話しかけていた施設の名前が出てくるのかとも思うけど、兎も角本来はただの娯楽施設になるはずだった場所に、邪神の細工がされていたってのが事の原因。
アムネジアを利用する度に精神の均衡が負の側面に傾き、末期に近くなると裏路地で儀式してた連中みたいになるんだろうと思う。
メールの時点だと終末思想信者みたいな感じに、世界の終わりから逃げるため全てを忘れて~なんて書き込みしたり、何処かに集まりだしてるって内容も有ったけど、まさに集まって怪しい儀式を行ってた場面に突っ込んだ形になるんだよね……。
まあ言ってる事は終末から生き延びるためって感じだけど、やってる事的に人類自体を絶滅させて、終末どころか終焉を呼び込もうとしてるのが笑えない所だけどね。
「――っと、こんな感じの情報が来てて、それ読んでる所で裕奈が裏路地に入ってく二代を見つけて、ギリギリで追いついたってとこ。だからこの場所は、現実の事を全部忘れて捨て去ろうとしてる人達の所、心療娯楽施設アムネジアの認知異界に繋がってるんだと思う。其処まで辿り着ければ、現実側へ脱出する出口も見つかるはず」
「脱出出来る可能性があるのは朗報だけど、世界が終わるとか荒唐無稽な事でこんな事されるのはいい迷惑だよね~」
「あ、終末自体は荒唐無稽どころか現在進行形で近付いてるよ」
「え?」
「どう言う事で御座るか?琴音」
「去年の五月頃だったかな。日本だと情報規制されてるけど、メシア教を名乗ってる連中が核保有国の中枢を洗脳するなりして、世界中に核ミサイルが降り注ぐ事態になったんだよね」
「は?核ミサイル??」
「戦争が起きている等という話は聞いた事ないで御座るが?」
「ここらでも月に一度ぐらいはミサイル警報とか鳴ってるでしょ?それに数年前から世界中で紛争騒ぎがニュースになってたけど、それの裏に居たのが天使と名乗ってる悪魔の言いなりになってるメシア教の連中。で、その核ミサイルが爆発した時のエネルギーを使っての悪魔召喚とかもされた結果、終末に片足突っ込んだ様な状態になってて、ガイア連合とかで備えてたから日本は核ミサイルを防ぎきったのもあって、何とか終末に突入する手前で踏みとどまってる感じ」
「……マジ話?」
「海外への渡航制限とか輸入品の減少に物価の高騰なんかは、核ミサイルで荒廃したり海洋系の悪魔の影響で海路が安定しなかったりも影響してるからね」
「それらが事実として、何故日本では情報規制されてるので御座るか?それにSNSなどでも、そう言った話を全く見かけないで御座る」
「さっきの翡翠の話みたいに、一般人の認識でも何千万と集まると力を持つのがこの世界のもう一つの姿だからね。情報規制して核ミサイルが飛び交う前の日常を維持する事で、終末化を遅らせてるってとこ。まあ流石に完全な情報統制なんてのは出来ないし、少しずつ海外の実状が広まったりしてるから、いずれ終末は必ず来るのが確定してるし、その後の生存圏を維持可能にするための準備期間って感じかな?今は」
何か途中で話が脱線した気もするけど、裕奈は確実にだし、二代も多分オカルトに関わっていく事になるだろうから、話しておくのは大事だろうしね。
ともあれ、最低限の共通認識は出来ただろうし、そろそろ脱出に向けて動き出すとしますかね。