【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
「お母さん、やっぱり生きてたんだ……」
「今まで黙っていてごめんね、裕奈」
「ううん、お父さんに理由があって隠してるっぽい事は聞いてたから」
「……秋雄さん?」
「中学三年になる娘に、将来はお父さんのお嫁さんに――とか言われたら流石にね……」
「それは仕方無いわね」
ダイナミックな援軍到着から、顔見知りな銀鈴ネキが裕奈の母親だった事を知って驚いたりとかもしたけど、状況としては大詰めだし、ネコカオスニキの一撃が入った直後からニャルの動きが止まっているのも警戒しておかないとかな。
「うむうむ、感動の再会で御座るな」
「あ、二代は記憶の方も戻った?」
「ここで目覚めてから少しずつと言った具合で御座る」
「それじゃ裕奈も時間経過で戻ってきてる感じか――っと、悠長に話をする時間は無いか」
「? どうしたでござ――」
上から降りてきた四人も集まって来て、一先ず情報交換でもしようかと思うところだったけど、それより前に動きだしたニャルの気配を感じ取り、攻撃の動作に入ろうとしているとこへ【縮地】で間合いを詰め、弾き飛ばして動作をキャンセルさせる。
目まぐるしく状況が移り変わるけど、今は兎も角ニャルをどうにかして、ここを脱出する事が最優先かな、腐ってもレベル80オーバーのニャルだし、確かネコカオスニキ達のレベルって50に届いていないはずだし……。
「ギミック解除されたなら通るはず【アギバリオン】! っと、よし行けるね」
「ちっ、化物らしく油断していれば良い物を。それにこの異界も限界だな、割と上手く行っていたが所詮木偶は木偶か。仕方無い、今の私でお前をどうにかするのは無理だろうが、他はここで死んで貰うとしよう」
「私が居る前でそんな事させるわけ無いでしょ」
「おや、人語を理解出来ない化物かと思ったが、少しは知能があった様だな?」
「ギミックで護られて無いと私の前に立つ事も出来ない様な奴をいちいち相手するわけ無いでしょ。そんな事も分からないの?」
とりあえずニャルを煽ってヘイトを私に向けさせてる間に、銀鈴ネキ達には守りを固めて貰って裕奈や二代の護衛をして貰う感じかな?
レベルだけなら格下と言っても、認知異界のボスでもあるニャルを一人で瞬殺なんてのは流石に無理な話だし、下手に守りを意識するとそこを突かれるだろうしね。
『――そんな訳で、私は攻撃に専念するから、ネコ覚ネキ達は身を守る事に集中して貰う感じでお願い』
『了解、伝えとく~。って言うか、ハム子ネキってテレパシーも使えるんだね……』
『瑞樹に教えて貰ったからね。量子のもつれのちょっとした応用とか言ってたよ』
『量子とか言われても私にゃわからんよ。とりまアレの相手よろしく、アムネジアの施設側に侵食してる入り口閉じたら探求ネキも来るってさ』
『おk把握。それなら積極的に削るより、仕掛けの仕込みを邪魔する方が良さそうだね。瑞樹が合流すれば倒すのに時間も掛からないだろうし』
ニャルを煽りつつ削る裏で、読心を用いて念話と同じ事が可能なネコ覚ネキに行動方針を伝えると、どうやら裏方作業してくれてる瑞樹もそろそろ合流出来そうって事みたいだし、下手に追い込むより揃ってから一気に討伐まで持って行く事に予定変更。
そこそこ真面目に削りつつ、基本はレベルの低いメンバーへの干渉を排除する事に注力していく。
「おやおや、随分と温い攻撃だな?その程度で私がどうにかなるとでも?」
「少なくとも自動回復分は超えて削れてるくせに、やせ我慢? どうせ詰んでるんだから、さっさと負けを認めて消えれば良いのに」
「ふんっ、勝ちを譲る事は有っても私に負けは無い。それにお前が必死に護ろうとする足手纏いが死ねば、実質私の勝ちの様なものだ!」
「させるわけ無いでしょ!」
ニャルが認知異界に干渉して皆のシャドウを抜き取ろうとした所に、ダメージよりノックバックや攪乱を重視した一撃を入れて行動を阻止すると、今度は細工も無い力押しの全体攻撃が飛んでくる。
「相応しい敵を用意してやろうと思ったが、邪魔をするなら直接手を下してやろう【刻の車輪】*1!」
「全体攻撃で巻き込まれる可能性ぐらいは最初から考慮してるっての! 【ネオ・カデンツァ】*2!」
「いやいや琴音! めっちゃ痛かったんだけどぉ!!?」
「叫ぶ元気があるなら大丈夫よ、裕奈」
「僕は多少慣れているけど、それでも辛いのは辛いんだけどね」
「拙者は
「くっくっく、修羅の素質があるガールだにゃ。今はその悔しさを大事にしまっておくと良い、ハム子ネキの友人なら強くなるための手伝いは喜んでするだろうさ。それはそれとして、首飾りの身代わり機能が死んでるな、ネコ覚ネキ回復頼む」
「ほいほい、代わりに防壁結界でも張って軽減頼むよ?」
「承った」
「ちっ上手く凌いだ様だが、その余裕がいつまで続くか見せて貰うとしようか!」
範囲攻撃とは言えニャルの放った魔法だけあって、流石に明石教授と裕奈に二代の三人は
再度ニャルが発動した【刻の車輪】は、一段防御が上がった事で一回目より余裕が有ったけど――
「強化を重ねて耐えると言うならこうしてやろう【泡沫の波紋】*3」
「ま、三回もバフ重ねたら剥がしに来るか。でも」
「そら、強化が無くなった所で私の一撃を耐えられるか見物だ――」
「チェックを掛けたのはこっちだよ!
「――なっ?! させるか「ふふ、邪魔はさせませんよ? 【フォーク】」ぐぁっ、おのれ、まだ化物が居たか!」
「【甲縛式O.S.
発動の度に威力が上昇するスキルにはちょっと焦ったけど、こっちのバフ解除に一手使わせた所でネコ覚ネキから情報来たのは良いタイミングだったよね、流石にタゲ取った状態で甲縛式O.S.の構築までする余裕は無かったし。
展開した私の【甲縛式O.S.
最大の特徴は組み合わせるアルカナやペルソナから連想可能な概念だったり、ペルソナの悪魔に由来する権能を行使可能になると言う物で、ペルソナチェンジによって属性や特性を変更したり、弱点に合わせて武器の形状を変更しながら戦う感じになる。
まあ流石に悪魔由来の権能を全て十全になんてのは無理だけど、今組み合わせてる【悪魔 ルシファー】なら〝明けの明星〟や〝光を掲げる者〟の様な代表的な認識から光を操る権能、神への反逆だったり堕天使や悪魔の長と解釈される側面から、秩序属性へのアライメント攻撃なんかも可能だったりする。
「ちぃっ、だが三度重ねた威力の上昇は耐え切れまい! 【刻の車輪】」
「有ると便利ですよね【鋼鉄の壁】*4」
「言ったでしょ、チェックを掛けたのはこっちだって【五月雨斬り】」
ニャルの全体攻撃へ差し込む様に瑞樹が結界を展開して跳ね返し、思わぬダメージで動きが止まった所へ権能により光速まで至った追撃を無数に叩き込む。
優に三桁を超える斬撃が入り、普通なら確殺レベルのダメージが入っただろう手応えはあったんだけど、ボス補正によるものなのか、大ダメージを受けては居てもまだ致命傷には遠い気配のニャルがにらみ返してくる。
「くっ、化物二匹の介入を許したのが失策だったか……」
「しぶとさは流石ですねぇ」
「ならきっちり止めと行こうか、ペルソナチェンジ【太陽 ヴィシュヌ】」
「それで行くなら多少の時間稼ぎをしておきましょうか【ヒート・フォーク】」
「あっづぁっ!! って、貴様何をした?!」
「ふふ、邪神の弱点の一つが
「ぐっふぁ! ちょっ、私の霊格が邪神よりになってるんですけど?!」
「不定形のままでは倒し難いですし、フォークが効くなら【邪神 ニャルラトホテプ】と認識するのに十分ですからね」
ペルソナチェンジに合わせて、形状を薙刀から籠手と言うか拳闘具みたいな感じに変化させ、トドメの準備に入ると、それを察した瑞樹が弱点攻撃を連打して時間稼ぎに移る。
それにしても、少し前に技再現したって言ってた【フォーク】を態々使ってる辺り、人が持つ観測の力による認識改変での存在固定でも試してる感じかな?
【フォーク】が刺さる度に、視覚で捉え難いくせに不快感を強調する様な曖昧な姿から、
「くそっ、化物のくせに何処までも人を騙りますか!」
「はっはっは、超越しようとも人を捨てたつもりは一切無いですよ。それに、人の限界を勝手に決めて侮った貴方の負けですニャルラトホテプ。【影縫いフォーク】」
「ぎゃー! 影なのに痛い! てゆーか何なんですかアンタ、マジで!!」
「舞台になった施設近くにあるガイア連合支部の支部長ですよ。私が居る近くで問題起こされたなら、解決に来るのは当たり前でしょう」
「もう完全に邪神のニャルじゃん。ま、こっちも準備出来たしサクッと終わらせますか!」
「げぇっ!?」
【太陽 ヴィシュヌ】から引き出したのは、
そこに太陽のアルカナから太陽神の権能を持ち出す事により、創り上げたのは一つの再現技。
両腕に装備した拳闘具から迸るのは、緑色に光り輝くエネルギーの奔流にして太陽の如き熱量。
生命の輝きにも思わせる緑光を収束圧縮させ、造り出すのは擬似的な太陽その物。
瑞樹が影縫いの術でニャルの動きを止めた所に、満を持してそれが解き放たれる。
「消し飛べ!! ストナァァサンシャァァイン!」
「ちょっ、流石にそれはレギュ違反でしょ!」
「残念ながらニャルにレギュレーションを語る資格は無いんですよね」
「こ、これで勝ったと思うなよーーーっ!!」
「もう勝負着いてるから」
身動きの取れないニャルに【ストナーサンシャイン】*5が直撃、認知異界諸共吹き飛ばす程の爆発と衝撃が迸り、跡形も無くニャルが消し飛んだ事により、この長い様で実時間では一日も経たずに解決へと至った事件は、ようやく終息を迎える事になる。
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戦い終わって日は疾うに暮れた22時頃、時間は遅くなってきたけど色々と話さないといけないって事で、葦原荘に設置してあるダイオラマ魔法球に場所を移し、時間加速した中での説明会。
まあその裏で私の木分身なども事後処理に色々と動いて居る訳ですが、さして重要でも無いので裏方の話は置いておき、結構大きな事件だったと言う事もあって、それなら慰労会も兼ねて食事ぐらいは出そうかと言う事で、食事や酒などをテーブルに追加しながらそれぞれの状況を眺める。
「まったく、人生ってのはままならない物よねぇ。裕奈がオカルトに関わらなくて済む様、色々準備してたってのに……」
「それって来年ぐらいに、お父さんが山梨の方の大学に移るとかって話も関係してる?」
「そうだね。月光館学園と同じく山梨に有るガイアグループ系列の私大に移る感じで、ガイア連合の保護下に入る予定だったんだよ。杏奈も基本的には山梨の支部所属だから拠点もそっちと聞いてる。今は依頼を受けて全国で諜報活動とかしてるらしいけど」
「さっきも話したけど私達が半終末と呼んでる状態になったから、本当ならさっさと山梨に呼んでしまおうかと思ってたんだけどね。直ぐにどうこうって感じでも無かったし、高校で出来た友達とかの事も有るだろうからって卒業まで待つ事にしたんだけど……」
「あー、そう言えばお父さんから山梨の学校に転校するか、月光館学園で卒業まで通うか聞かれたっけ。学生寮に入ってたし、そのまま卒業までこっちに居た方が楽だと思ったから断ったけど、そんな意味があったんだ」
「あの頃はオカルト関連の話は伏せてたから仕方無いとも思ってたけどね」
「え~、それなら私にも覚醒の修業とか付けてくれたら良かったんじゃない?」
「覚醒なんて本来は長く厳しい修業を重ねて、それでも至るかどうかってぐらいに難しい物だし、覚醒して直ぐなんて悪魔やメシア教に狙われやすいからね。僕の代で終わらせるつもりだったんだよ」
「秋雄さんのその辺の事情は、私もメシア教に狙われて完全に覚醒した後に聞いたぐらいだから、裕奈に話して無かったのは許してあげて頂戴」
「むーしょうがないかぁ……あっ、じゃあお母さんが身を隠してからの話を聞かせてよ」
「そうね――」
まず目についた明石一家の方は、ようやく家族が揃ったと言う事で親子水入らずの団欒中、しばらくは積もる話もあるだろうから、料理などの追加だけ配り会話には混ざらずに次へ。
「ん~ミルクジラのミルク飲み放題ってのは、流石探求ネキ主催の宴会だね~」
「またそんなに乳製品取って、前みたいにお腹壊しても知らないわよ?」
「そん時は秋名に治して貰うから大丈夫!」
「ははは……」
「なるほど、ネコ覚ネキはまだ合法ロリ同盟*6脱退を諦めていないのか」
「いやいや、私二十歳になったばっかだよ? キノネキより一個下だしまだ行けるって!*7」
「若く可愛らしく見られるのは、女性として嬉しい事では無いのでしょうか?」
「そこに幼いとか小さいとかも入ってるのが嫌なの!」
「合法ロリ同盟認定も人気の一つなのだから誇れば良いだろう。吾輩にゃんて【
「そうですよ。マスターはこんなに小さくて可愛らしいのに、ネコ覚ネキさんは同じ猫耳としてもっと誇るべきです」
「身長じゃなくて体長表記の
ネコカオスニキやネコ覚ネキは、認知異界って事で連れて行けなかった式神と一緒に食事中で、N案件後とは言っても協力者ぐらいの立ち位置だったのも在って、既に普段通りな感じですね。
「料理の追加持ってきましたよ。あ、それとネコ覚ネキのカチューシャですけど、次のバージョンアップは式神パーツを応用した物になるみたいですね。装着すると一時的に頭皮と融合して実際に猫耳が生えた様な感じになって、一体化する事で大幅な性能向上が見込めるとか。オプションで尾てい骨辺りに繋げるネコ尻尾も開発してるらしいですよ」
「ちょっ、追加は有り難いけど今その情報要る?! ネコカオスニキはニヤニヤしながら手招きすんな!」
「それも個性と受け入れれば楽になれると思うんですけどねぇ」
「私は
「いやいや、恥じらいが最高のエロスを生み出すのですから、むしろ恥を大事にしているのが
「おい」
「それではごゆっくりどうぞ~、追加で欲しい料理があれば持ってきますので言って下さいね」
そんな感じで軽く話して後にすると、最後は琴音と二代さんの所へ向かう。
「くぅ~、こんなに美味い物がオカルト界隈にはあったので御座るな!拙者七倉殿の家の子になるで御座る!」
「いや、落ち着きなさいよおバカ。瑞樹が色々と研究してるのは話した通りだけど、蓬莱島の食欲界に潜れば自力で集めるのも可能なんだし、そこは修業なりで力を付ける事を考える所でしょ」
「その様な美味なる物を得られる場所があるので御座るか?!」
「なんか美食屋でも目指しそうな感じですね」
「おっ瑞樹、追加分?」
「ええ、他の所は既に置いてきましたし、ここは他より消費が早いみたいですから、多めに置いていく序でに二代さんとも少し話しておこうかと」
「もぐもぐ……? せ、拙者で御座るか?!」
「ああ食べながらでも構いませんし、そう難しい話をするつもりも無いですよ」
琴音はもちろんの事だけど、二代さんの方も一般的には健啖家な様で、他より減りが早いみたいなので少し多めに料理を並べていく。
追加で持ってきたのは、ミルクジラのミルクから作ったダヒー*8と、ガイアカレーでも使われている各種スパイスを配合した混合液に、ドリルバード*9を一羽丸ごと漬け込み、円筒形の土釜タンドールで炭火の高温と煙で焼き上げたタンドーリ・チキン。
それから、私以外でトリコ食材の再現に挑戦してる破魔ネキが以前*10に創り出したイチゴ飯*11を酢飯に使い、クラーケンや万華マグロ*12、ストライプサーモン*13に金色イクラと言った魚介類に、変わり種として叉焼やミニハンバーグなどのネタも色々と用意した種々様々な寿司。
まあシャリが白くない所は若干違和感が有るかもしれないけど、寿司が一般に広まった江戸後期頃、所謂江戸前寿司と呼ばれる物で使う寿司飯は、赤酢と言う酒粕を熟成させて酢酸発酵したお酢を使った赤シャリなのを考えると、そこまで奇異って程では無いと思う、米粒が小さなイチゴの形なのは奇異かもしれませんが……。
後は、腹ペコ学生のお供な各種揚げ物と、KSJ研究所のクラウドゴンで栽培された良質な野菜サラダを、バリエーション豊かに盛り付けた大皿と言ったところ。
ここの一角だけフードファイトか大食いチャレンジみたいな様相になってるけど、実質的に限界がほぼ無い私と琴音に、元からよく食べるらしい二代さんによって瞬く間に料理が消えていく中、今回の騒動で色々と状況が変化した当事者の一人へ今後の希望を聞いておく事に。
ちなみに裕奈さんの方は、昨夜から琴音が色々と聞いていたのと銀鈴ネキの事もあって、当面は葦原荘の鍛錬用ダンジョンやタルタロスの浅層辺りで鍛えつつ月光館学園に通う感じで、いよいよとなったら葦原荘に設置してる転移陣で蓬莱島に避難する事で話がまとまっている。
「現在手配してますが、二代さん自身の保護と周辺被害を抑える目的から、学生寮を引き払って葦原荘へ住居を移して貰う事になる訳ですけど、今後どうしていきたいかの希望を聞いておこうかと思いましてね。可能不可能は聞いてから判断しますので、とりあえず挙げるだけ挙げて見て下さい」
「そう言う事であれば……もぐもぐ……うむ、まずは強くなりたいと言うのと、そのために何が必要なのかの知識、で御座るな。それから実家の両親や道場の門下生の事も心配で御座るし、後はこの美味い食事がいつでも食べられる様になれば言う事はないで御座る」
「さっきみたいにおバカな事言い出すかと思ったけど、ある程度食べて落ち着いた?」
「毎日極上の料理を食べられるのは願ってやまぬ事だし、七倉殿が男性であれば嫁入りも考えたのだが、拙者の代で実家の槍術道場を潰す訳にはいかぬで御座るからな。オカルトが実在すると分かった以上、霊能も取り込んで槍術を発展させ、我が子に引き継ぐのが拙者の役目で御座ろう」
さて、琴音から二代さんについて軽く為人を聞いてはいたけど、こうして話した感じだと古風と言うか、感性の一部が戦国時代の武将みたいな感じですかね。
強さを基準の一つに定めて鍛練に邁進し、積み重ねた強さを正しく振るう戦場を求め、家名を残し受け継ぎ繋げる事を当然の物として根幹に据える。
現代の女の子らしい部分は、食へのこだわり具合が辛うじてと言った所でしょうか……。
「霊能界隈だと世継ぎ関連は特に重要ですから、女性同士で子をなす方法も普通に有りますよ?昔は戦や悪魔の調伏などで男が少なくなる事も多かったみたいですし」
「む、そうなので御座るか?」
「まあ事実だし、ガイア連合だとスケベ部ってとこがそれ系のを専門に色々扱ってたりするね。それより、強くなりたいってことなら、一応レベル10は超えた事だし今日の夜にでもタルタロスの浅いとこ潜ってみる? 巌戸台支部の常設依頼に低階層の間引きが出てるから、レベル上げと稼ぎを両立出来るよ」
「タルタロスと言えば、確か忘却の回廊を進んでる時の雑談で話していた、琴音が普段から探索している影時間とやらに出現する場所で御座るな?」
「そうそう、大体15階層目辺りまでならシャドウのレベルは10前後だから、装備を整えればレベル上げに丁度良い感じだね。ある程度稼げる様になれば、ガイア連合や支部の購買で装備なんかも色々と購入出来るし、万一の時は葦原荘へ避難させるって事も出来るから、家族や道場関連は何とかなると思うよ」
ちょっと猥談系のネタを振ってみましたけど、反応的にこれは、子作りを武家の義務ぐらいに考えてそうな感じですね。
こう言う娘が恥じらいを見せる姿にはそそる物があるんですけど、今考える事では無いですし置いておきましょう。
それより、巌戸台支部の常設依頼にタルタロスの間引き作業を入れてるのは事実ですけど、受注者が少ないからと言って友人を引き込むのはどうかと思うんですけど?
タルタロスのシャドウ無限湧きと膨大な物量が、魔界に繋がってる星霊神社の修業場異界と似た様な原理で、集合的無意識の深層と繋がってる事に由来していて、浅層での間引きにより深部の探索効率が上がるから、出来るだけ多く受注して貰って間引きに参加して欲しいって気持ちは分かりますが……。
とは言え一番簡単な常設依頼でも、受注の推奨構成はレベル15以上の4~5人パーティーで、最低限の受注条件にトラエストストーンか類似の手段で撤退手段を確保している事、ってしているんですが?
「いや琴音、無限湧きするので一時間戦い続けられる余力のあるパーティーか、撤退手段を確保してる事が受注条件ですし、今の二代さんだと許可出来ませんよ? 万一の場合の避難先として葦原荘を使うのは大丈夫ですが」
「そこは裕奈と組んで装備を私が貸し出すのと、丁度瑞樹がナビ型の式神――瑠璃ちゃんを新しく作った訳だし、サポートの経験を積む感じで二人のナビをさせれば行けるでしょ?」
「……ふむ、確かに悪くない話ではありますね。瑠璃のレベルはボディだけなら80前後ですが、ペルソナの方は生まれたばかりで10も無いですから、深部探索のサポートはまだ無理ですし」
「おお、では早速修業に入れるで御座るな!」
「何々? なんか私の名前呼んだ?」
「うむ、拙者と裕奈でパーティーを組んで、この後タルタロスにてレベル上げをしようと話していた所で御座るな」
「ちょっと待って、さっきの今でとか勘弁なんだけど?!」
どうやら思ったより話し込んでいたのか、各々満足いくまで食べ終わり宴もたけなわと言ったところで、裕奈さんも家族との話が一段落してこっちに来た感じの様子。
「二代さんは兎も角、裕奈さんは戦う事自体も慣れてなくて休息が必要でしょう。少なくとも明日一日休養に充てて、様子を見てからですね。葦原荘にも鍛錬用の異界を用意してますから、そこで装備の慣らしをしてからでも遅くないですよ」
「あーそっか、もう習慣化してるから気にもしてなかったけど、普通は疲れも溜まるよね」
「ん? 聞いてる感じだと琴音はあれだけ戦った後にまたどっか行く感じ?」
「あれだけと言っても道中は二人のサポートしてただけだし、ボス格もレベル80ぐらいだったから対して消耗もしてないからね。いつも通り影時間になったらタルタロス探索の続き、最深部らしきとこまで到達してると思うんだけど、兎に角広いからね~。探索出来る時間も一日一時間しかないから、今日ぐらいの事件で休んだりはしないかな」
「あれで〝ぐらい〟とは……、拙者には神代の戦いと言われても頷ける規模だった様に思うので御座るが」
「今回は銀鈴ネキ――杏奈さんと裕奈さんの運命力によって引き寄せられた因果に、琴音の運命力に巻き込まれた二代さんの因果の流れが混ざって、規模の大きな話になった感じの事件でしたけど、個別に見れば月に二、三度は発生する程度の出来事ですし、対処が遅れれば人類の終わりみたいな事件の規模も、三ヶ月に一、二度は起きてますからね。別段驚く事でも無いですし、いつもの事ですよ」
「だよね~。私一人が巻き込まれて対処するって事も多いから、今回みたいに瑞樹がバックアップで動いてくれた分、楽だったくらいだし」
「ええぇ……」
昨日まで一般人だった裕奈さんがドン引きしているみたいですが、まあ然もありなん。
「まあいつもの事とは言え、それだけ事件に遭遇するのは運命に愛されてる琴音だけですし、常に一緒に行動でもしてなければ巻き込まれる可能性は低いはずですよ」
「人を疫病神みたいに言うのは止めてくれない?」
「私にとっては最愛の人ですが、事実は事実として伝えるべきですからね」
「ぬぐぅ……」
「うわぁ、琴音顔真っ赤……」
「それにしても琴音が運命に愛されている、と言うのはどう言った意味で御座るか?」
「そうですね、ガイア連合でも
「あの~、さっきの〝はず〟って微妙に不安な言い回しだったのは……」
「さっき少し話した様に、今回の事件って中心にいたのは琴音と裕奈さんの二人なんですよね。裕奈さんの生い立ちって、要素を挙げていくと現代伝奇小説の主人公みたいな感じになりますから、裕奈さん自身の運命力で事件が引き寄せられる可能性は否定出来ないので……」
改めて要素を挙げてみると、父親の明石秋雄さんはメシア教による族滅から逃げ延びた霊能名家の生き残りで、本人もレベル10は超えた一般的オカルト界隈だと一流クラスだし、技術継承自体も確り出来ているため日本のオカルト事情的には上澄みの一人。
母親の杏奈さんは
そして高校三年生となる時期に事件へと巻き込まれ、生き別れた母と再会し超常の世界へと足を踏み入れる事になるって流れな訳で、あらすじとして書かれていても余り違和感が無い程の経歴なんですよね……。
「えーと、つまり……?」
「私の事件とは関係無しに、裕奈自身が事件に巻き込まれる可能性も多いに有るって事だね」
「なので同じく事件に巻き込まれるなら、琴音と一緒の方が対処し易いだろうって事で、葦原荘を拠点にする方向で杏奈さんも納得した訳ですね」
「Oh……」
「なるほど、騒動に巻き込まれやすい二人の近くにいる事が、強くなるための一番の近道と言う事で御座るな!」
「まあ運命を乗り越える事で劇的に強くなれたりはするけど、そのためにはまず生き残る術を身につける所からだけどね」
「うぅ……、ああもう! やってやろうじゃない! 運命だか何だか知らないけど、泣き寝入りなんてごめんだからね!」
二人の少女の平穏な日常は終わりを告げ、死が身近に存在し、薄氷の上に仮初めの平和があったのだと知り、刺激的で波乱に満ちた新たな日常が幕を開ける――って所でしょうか。
とりあえず打ち上げの後片付けが終わったら、
ゲッター線の代わりに、宇宙規模の終焉と再生・進化の概念に太陽の権能を組み合わせ、【太陽 ヴィシュヌ】と【愚者 オルフェウス・改】にハム子ネキ自身での三位一体の概念を成立させる事で力をまとめ上げ、【螺旋丸】と同様の要領で圧縮する事を可能とした。
単体~広範囲など任意に規模を変更可能な、人類の敵特攻を持つ万能属性特大威力魔法。
合法ロリに該当する黒札をまとめて呼ぶ時に使われる名称であり、分類に括られて嬉しいかは当人達による。
その突撃は、とても頑丈なドリル状の嘴と回転しながらの高速飛行により、コンクリートぐらいなら軽く突き破る程の破壊力を発揮する。
肉は脂肪の少ない高タンパク低カロリーでやや硬めの肉質だが、硬い筋繊維の中には旨味が凝縮されており、良質な筋肉を作ったりダイエットを目的としたボディメイクにもってこいの食材になっている。
海域に溶け込む旨味成分を取り込み濃縮させる性質を持たせた事で、成長過程の違いにより同じ品種で在りながら様々な味を楽しめる魚となった。
派手な見た目相応に味も華やかで、サーモンの旨味をこれでもかと味わえる。
また、栄養状態が良いほどに卵の旨味が増して、色味が金色に近付く性質を持っており、黄金色に輝くイクラは極上の一品。
登場したオリキャラ紹介
・明石裕奈
ハム子ネキの月光館学園での友人その一。
魔法先生ネギま!の同名キャラと似た容姿の高校三年生(四月から)で、半終末によるGPの上昇と世情不安によるストレス、影時間に巻き込まれた事が影響して、ペルソナ能力に目覚める。初期ペルソナは【恋人 クピド】
七年ほど前に母親が亡くなったと知らされていたが、実は六年前の時点で父親は母の生存を知っており、メシア教に目を付けられない様に隠されていた。
黒札の銀鈴ネキを母親に持ち、高い射撃適性を持つ。
・本多
ハム子ネキの月光館学園での友人その二。
境界線上のホライゾンの同名キャラと似た容姿の高校三年生(四月から)で、時代劇の殺陣や武術、格闘技などを好み、自身も強くなるための鍛練が趣味と言う、生まれた時代と性別を間違えたのでは? と言われるタイプ。
地頭自体は悪くなく、確りと授業を聞けば学年上位も狙えるぐらいだが、深く考えるよりも動きたいタイプのため、成績は大体平均程度。
一応父方が本多忠勝から続く家系の分家に当たるが、霊能とは関係無い槍術道場の一人娘。
初期ペルソナは【戦車 ホンダタダカツ】だが、実は二代自身が本多忠勝の転生者でもある。
※ちなみに、今回のN案件で有り得たルート分岐は以下の感じ。
二代が巻き込まれたのは道場稽古での伸び悩みと、実戦を経験してみたいと言うバトル脳から、SNSに投稿された画像による誘導に引っ掛かり儀式場に連れ込まれるのは同じで、此処で銀鈴ネキと裕奈が関わっていない場合、影時間になってからニャルのペルソナを植え付けられ暴走した二代とハム子ネキが遭遇。
その後、アムネジアの認知異界に囚われた二代の精神が完全に失われ、ニャルの端末となるか、その前に救出出来るかのチキンレースが開始される所だった。
また、銀鈴ネキがアムネジアの認知異界に突入していない場合、ハム子ネキの霊感だけでは生成された忘却の回廊からアムネジア側までの経路の特定に時間が掛かり、裕奈がアムネジアの認知異界に囚われるかどうかのチキンレースが開始される感じ。
ハム子ネキが関わらない場合だと、裕奈が他の友達とアムネジアへ遊びに行って認知異界に囚われる事になり、銀鈴ネキが裕奈を助けられるかどうかと言う流れで、裕奈の友達は確定で助からない。