【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく   作:緋咲虚徹

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幕間:交流

【あれから】蓬莱島民用、雑談・相談・要望スレ 17枚目【半年】

1:解放区画運営委員

 ここは蓬莱島外部解放区画の滞在者、並びに学徒用の掲示板です。

 区画内の運営・商業等々は、学びの園で得た知識を実践する場であり、

 将来的に区画内の人員で賄うことを目標としています。

 島主に感謝しつつ、多いに学んでいきましょう。

 

 各ギルド関連の詳しい話は該当スレでお願いします。

 

 探索ギルド関連のスレはこちら

 商業ギルド関連のスレはこちら

 職人ギルド関連のスレはこちら

 政務ギルド関連のスレはこちら

 

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228:名無しの島民

 長かった、ようやく蘇生費用分の返済が終わった……

 

229:名無しの島民

 乙~

 まあ死んで終わりじゃ無いだけ良いだろ

 

230:名無しの島民

 だなー

 それに、前はレベル6から全然上がらなかったけど

 蘇生して貰ってから返済終わる頃には10越えたし、結果的には良い感じだったな

 まあ何度も死にそうな無茶をするつもりは無いが

 

231:名無しの島民

 蘇生経験でレベル限界が上がるって話、マジだったのか……*1

 

232:名無しの島民

 つっても、普通に死んで蘇生されるだけで限界突破はしないらしいぞ

 少なくとも今の限界までレベルが上がっていて、死に抗う意志とか色々状況が重なってようやくって話

 

233:名無しの島民

 ほーん、まあどうしようも無いって諦めるよりマシだな

 何とか悪魔を視れるぐらいにはなったが、ガイ連基準の1にも成れなくて

 実家では出涸らし扱いされてたが、可能性有るならチャレンジしてみるか

 思い切って学徒申請出して良かったわ

 

234:名無しの島民

 あー最近の移住してきた学徒で、実家が霊能家系だった感じか

 

235:名無しの島民

 >>233

 限界突破チャレンジするなら、モンハン階層のVSクック先生って依頼がお勧め

 鳥竜種って言う竜の一種なのと、狩りの基本を学び一人前になる関門みたいな位置付けしてるらしくて

 レベル10までは限界突破した実績がある

 蘇生費用は普通に掛かるが、費用稼ぐ間にレベルも上限になるだろうから、

 クック先生を卒業するまで繰り返すのが、低レベルでの基本になりそうって話だな

 

236:名無しの島民

 >>234 二月の下旬頃にな

 ガイ連情報だと、戦後のGHQに紛れてメシア教が霊能者狩りしたせいで、

 ウチの実家みたいな名家気取りの殆どが、霊能的には無能って知った時は笑ったがな

 出涸らし扱いしてきたクソ親は覚醒すらしてなかったし、天才とか言ってた兄はレベル2で鼻伸ばしてる道化だったが

 

 >>235

 情報ありがてぇ

 今出来る範囲で準備してから挑んでみるわ

 

237:名無しの島民

 おー、上手く行くと良いな

 

238:名無しの島民

 そう言や食欲界の事で思い出したんだが、

 島主様が案内してた子達って誰か知ってるか?

 

239:名無しの島民

 島主様が案内ってーと、四日前のか

 

240:Drizzle

 >>238

 課外授業でメロウコーラ採取しに来た宮城支部所属の子達だってさ

 幼女ネキって黒札の嫁三人と娘一人、その娘さんとチームで行動してる六人

 

241:名無しの島民

 >>240 マ?

 って思ったけど、よく見たらコテハン霧雨か

 なら間違い無いか

 

242:名無しの島民

 どちらさん?

 つーか、ここでコテハンって見かけないから、運営以外は匿名固定と思ってたんだが

 基準どうなってるん?

 

243:名無しの島民

 コテハン付けて貰う様頼んで、各ギルドからも承認されたのが最近だから知らん奴もいるか

 他板は各ギルドの所属か個別板ならスレ主の設定だが

 雑談板は四ギルドからの認可を受けるってのが基準な

 んで、Drizzleは日本語だと霧雨って意味の単語だからそっちで呼ぶ場合も多い

 島主様から直接授業受ける権利を得られた幸運な二人の片方

 もう一人のコテハンは錬金術士な

 

244:名無しの島民

 は?

 島主様から直接授業とか、んな羨ましい特別扱いされてるとかずるくね?

 

245:名無しの島民

 お前さん来たばっかりか、アカデミーの講義予定表見ないタイプか?

 霧雨や錬金術士は講義する側だぞ

 

246:Drizzle

 >>244

 気まぐれに探索ギルドへ依頼出てたのを受けれた幸運による物だけどな

 マッカとかの報酬の代わりに、相方の分と含めて週二日授業して貰える様になった感じだ

 後、そこで教わった内容は他にも教えて良いって言われてるから、

 私らの復習を兼ねての講義って感じで希望者には内容伝えてるぞ

 まあ私らは講師って程熟練してねーし、どっちかっつーと勉強会みたいな感じだが

 

247:名無しの島民

 特別扱いなのは運良く島主様からの依頼を受けたのと

 向上心とか学習意欲が気に入られたとかじゃね?

 進んで学ぶ姿勢を重視してるってのは、学徒証の申請自体から分かってるこったし

 

248:>>244

 あー、言われりゃそうだな

 ずるってのは言い方も認識も悪かったか、申し訳ない

 

249:名無しの島民

 まあその辺の生産性の無い話は終わりにして、宮城支部から来たって子らに話を戻すんだが

 課外授業でメロウコーラ採取って、随分無茶な事してるんだな……

 

250:Drizzle

 私らにとっては無茶だが、その子達とっては丁度良い具合だとか

 まあ黒札の娘さんがかなりの高レベルらしいし、他にもレベル30前後あるメンバーも居るって話

 それに、正式な依頼として受けたから、万一のサポートを兼ねて自分で案内してるってさ

 

251:名無しの島民

 へぇ~そんな理由だったんだ

 

252:名無しの島民

 良く依頼料出せたな……って思ったが、幼女ネキはかなり稼いでたな

 探求ネキも大量に分身居るから、素材とか技術料が関わらなけりゃ考慮してくれるし

 

253:名無しの島民

 あー、何か見覚え有ると思ったら、動画配信やってる黒札の嫁さんだわ

 思えば宮城支部に所属してるとか言ってたっけか

 

254:名無しの島民

 『ヤードポンド法とDレベル撲滅協会』ってチャンネルの配信だよな

 ……あれ?確かチャンネル主って去年八歳になったとか言ってなかったっけ?

 今来てる子達って、一番小さい子でも小学高学年ぐらいだった気がするんだが……?

 

255:Drizzle

 なんでも相手がウカノミタマって稲荷神だから、年齢相応の見た目じゃないってさ

 まあ黒札側の年齢や性別とかで理解が追いつかんかったがな!

 

256:名無しの島民

 つってもガイア連合のスケベ部なら性転換も生やすだけってのも普通に出来るからな

 それこそ探求ネキなんかは10歳頃に両性具有に成った上で、翌年には三人ほど子作りしてたって話だし

 

257:名無しの島民

 え、マ?

 黒札の人だよな?

 

258:名無しの島民

 マジ話だぞ

 探求ネキ自身別に隠してないしな、性別関係とか子供の事とか

 ただまあ、そこの支部長より探求ネキの方がレベルが高いってのも有って、公言まではしてないぐらいの感じらしい

 

259:Drizzle

 性別と二人程子供を産んでるってのは聞いた事有るが、

 11かそこらでってのは始めて聞くな……

 

260:名無しの島民

 色々と知らない新事実が出てくるなぁ……

 ってか、島主様のレベルっていくつなん?

 相当高いだろうってのはわかるが、無断アナライズはマナー違反だしな

 

261:名無しの島民

 ワイ、調べるの大好き侍、反射的にアナライズしようとした瞬間に島主様を見失ったでござる

 以降一度も遭遇出来ないのは何故……?

 

262:名無しの島民

 >>261

 反射的なアナライズの癖は直した方が良いぞ、敵対行動と同じだからな?

 

263:名無しの島民

 >>261

 基本的に面倒事はスルーする探求ネキで良かったな

 一部の高レベル黒札はアナライズトラップ仕掛けてるから、下手したら即死するぞ

 

264:名無しの島民

 だな、機械式ならハードが吹き飛ぶか状態異常くらう程度で済む場合もあるが、

 スキルや術だと手足が吹き飛ぶぐらいは普通にするし、そうなっても自業自得で終わるしな

 

265:>>261

 >>263、>>264 マジで?

 

266:名無しの島民

 黒札情報だし、マジだろうな……

 

267:名無しの島民

 そういや黒札に襲い掛かってきた奴らの一人が、アナライズした直後に血を吐いてぶっ倒れるのを見た事あるな

 あれもアナライズトラップの一種だったりするんだろうか……

 

268:Drizzle

 >>260

 Lv.1未満の〝未覚醒〟Lv.1~Lv.15以下の〝覚醒者〟

 Lv.16~Lv.30以下の〝達人〟Lv.31~Lv.50以下の〝超人〟や〝顕現者〟

 ってのが、ガイア連合の強さ指標の一つに有るのは知ってると思う

 んで、黒札以外だとまず見かける事も無いって事で、連合入る際の冊子には書いてないらしいが

 この上にLv.51~Lv.99以下の〝導師〟や〝仙人〟に〝現人神〟など、

 Lv.100以上の〝超越者〟や〝神人〟などの分類をしているんだとか

 んで、掲示板に流せる範囲だと〝超越者〟の一人って事ぐらいだな*2

 

 >>261

 無断でアナライズする様な連中は関わっても面倒にしか成らないから、

 そう言った連中からは認識されない様にしてるらしいぞ >一度も遭遇出来ない

 

 アナライズトラップに関してもマジ話だな

 後、相手のレベルが高いとアナライズの機械が壊れるって現象も二種類あるらしくてな

 一つは上にも書いた〝超人〟や〝顕現者〟以上になると強さの質が跳ね上がって、

 出回ってる機械じゃ処理しきれずぶっ壊れるんだと

 んで、もう一つがアナライズトラップで情報抜き取りの対策がされている場合って事だな

 達人級の術者系なら適性次第でその辺の対策も取れる様になるし、それが出来るなら技量も高い証拠だとさ

 

269:名無しの島民

 なるほどなー

 とりあえず>>261は性根を入れ替えて頑張れって事で

 

270:名無しの島民

 >>268

 つまり、最低でも100以上有るって事か……

 これもう(差が大き過ぎて)訳わかんねぇな

 

271:名無しの島民

 蓬莱島の外部解放区画がちょいちょい物理的に広がってる時点で今更な話だけどな

 何をどうしたらそんな事出来るんだっつう話だが、神とかの同類レベルってんなら逆に納得するわ

 

272:名無しの島民

 それな

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

「人生何があるかマジでわかんねーよなぁ……」

「どうしたのさマリッサ、唐突に」

 

 晴れ渡る青空の下、桃の花が咲き誇る果樹園の中に用意された宴会場で、今まで飲んだ事無い程美味いコーラを片手に、何となく意識の底から言葉が溢れ出る。

 私の独り言が聞こえたのか、ここ数日で仲良くなった裕奈がケバブ片手に話掛けてくる。

 ちなみに今日は、掲示板の方でも話題になっていた、宮城から課外授業の名目でやって来ていた一行が課題をクリアしたと言う事で、その打ち上げも兼ねて花見をするってんで私やペリーヌも呼ばれてきた訳だ。

 まあ花より団子な連中が大食い大会してたり、ペリーヌの方は幼女ネキと言う黒札の嫁さん達と話してたりと、それぞれ好き勝手に飲み食いする緩い集まりなのが気楽で良い話だな。

 

「そりゃ唐突に思い浮かんできたからな。つっても多分、去年の今頃と比べてって所だろうが」

「去年に何かあったの?」

「私が覚醒したのが大体去年の今頃だったからな。当時は良く分かってなかったが、いつの間にか両親共メシアンになってたし、私も洗脳でもされてたのか母さんと一緒に穢教鳥の相手させられてたしな。んで、霧の様な雨が降った日に覚醒して、クソ親父が電話先に私をメシア教の牧場とやらに連れて行くって言ってるのを聞いて、家ん中の金品かき集めて家を出たって感じだな」

「軽く言ってるけど、かなり重い話だよね?」

「んな事言ったら裕奈の方も、死に別れたと思った母親がオカルト界隈で諜報員していて、事件に巻き込まれた先で再会するとか、何処の映画だって話だろ」

「いや、方向性が違うでしょ。私の方は色々あったって言っても、結局は家族が戻った訳だし」

「ウチは元々家族仲もあんま良くなかったからなぁ……。グランマが生きてた頃はまだマシだったが、数年前に亡くなってからは冷え込んでたしな。母さんは余所で不倫してたっぽいし、今思えばクソ親父がメシアンになって母さんと私を穢教鳥に差し出したのも、その辺が理由だったんだろうな。もうどうでも良い話だが」

 

 裕奈や二代と出会ったのは数日前、先月から続いてる授業を受けてた時の事。

 その日は琴音が二人に蓬莱島の案内をしていたらしく、私らが武術方面の鍛練をしてる所に通りがかって、二代が勝負を挑んできたのが最初だっけか。

 私のレベル的に一応達人級ぐらいはあるらしいが、上昇した能力としてはガイア連合内で魔型――MAG(霊力)の量や質、操作能力が、筋力や体力などより伸びやすい成長型――と呼ばれてる分類で、身体能力としてはそこまで高く無いってのもあって、レベルは低くても技術の高い二代と拮抗した試合になったってのも、今にして思えばその後の展開に繋がる要因の一つになったんだろうな。

 ペリーヌも私と同じ魔型――私が霊力量と質寄り、ペリーヌは操作や制御能力寄りの違いはあるが――なため、近接技術の鍛練相手として互いに丁度良いって事で、琴音の弟子って立場になってる二人と併せて、私らも探求ネキ――師匠の正式な弟子にして貰ったのがその日の大きな出来事。

 そん時はえらくあっさり弟子入りが許可された様にも感じたもんだが、元々ここ一ヶ月の私らを観察して、弟子として鍛えるのも有りかと考えていたから、切っ掛けとして良いタイミングだったってのは後から聞かされた話。

 まあその後、最近のレベル伸び悩みというか、おそらく霊的素質によるレベル限界だろう現状の打開策として、学びの園(アカデミー)で見つけた登仙術技書の【霊質強化術】の指導を頼んだ結果については、色々と複雑な気分だが……。

 私はノーマルだと思ってたんだが、今ならレズの気持ちも分からんでも無いな……いや、師匠は両性だから単純にレズと言えないのも複雑な気分の大部分なんだけどな。

 【房中術】の鍛練も同時にする事になったおかげか、色々と能力が向上して出来る事も増えたし、修業の名目が無くても混ざる事に不満は無いんだが、去年の私が一年でこうなるとは絶対に予想付かんよなって思う訳だ。

 

「やっぱ重いって、マリッサ今15って事はその時14だった訳でしょ?」

「10月生まれだから、13の頃から一年以上は続いてたな。まあそれだけされても受精しない程度の種無しポークビッツだった訳だが、母さんの方は孕まされてたんだよな……師匠が言うには、半覚醒状態での本能的な拒絶が受精を阻んでいたらしいが、つまりは半覚醒程度でも拒めるぐらいの雑魚精子だったってこったな」

「何と言うか、色々と吹っ切ってる感じだよね~」

「そう言う裕奈も昨日は混ざって来ただろ」

「あはは、ちょっとした興味程度だったんだけどねぇ」

「むむ! 何やら楽しそうな話が聞こえます!」

「母様達との夜の話だよね! 僕にも聞かせて!」

「お、イズナちゃんと瑞琴君もこっち来たんだ」

「弟達はお昼寝の時間だからね。二代姉ちゃんも一緒に昼寝してるけど」

 

 話に加わってきたのは、幼女ネキって黒札の娘であるイズナ――見た目は私よりちょい上ぐらいだが、実年齢は去年の夏頃に生まれたばかりの0歳児な半人半神――と、師匠の子供である瑞琴――来月3歳になる両性具有――の二人。

 イズナの方は既に超人の域を超えてるらしいが、瑞琴の方はそろそろ達人級に手が届く辺りとの事で、正直なところウカノミタマとの間に生まれた半人半神って出自らしいイズナに関しては、そう言う事も有るのかと納得できた訳だが、両親的に一応は普通に人間の範疇な瑞琴が、二ヶ月程前の私と同じぐらいのレベルってのは、レベル差が少ないだけにより衝撃は大きかったな。

 いやまあ、実年齢的に驚くべきはイズナの方なんだろうけど……。

 

「いや、レベルのおかげで体力あるっつっても、瑞琴はまだ来月で3歳だろ。確り寝て体を成長させろよ」

「母様から【魂魄精練法】習ってるから大丈夫! それより裕奈お姉ちゃんやマリッサお姉ちゃんも、母様達と夜に何か気持ちいい事してるんだよね?」

「ブッ!? ゲホッ、ゴホッ……お前、それ誰から聞いた?!」

「? 昨日の夜ちょっと目が覚めちゃってお水飲みに行ったんだけど、その時に聞こえたマリッサお姉ちゃん達の声が気になったからイズナちゃんに聞いてみたら、愛を確かめ合う行為って教えて貰ったんだ!」

「私の(ちち)上も文殿達といつも愛を確かめ合ってますし、マリッサ殿の感じから間違っては居なかったみたいですね!」

「あー……、瑞琴君は肉体年齢的にも十年ぐらい早いんじゃないかな~」

「えぇ~」

「と言うかイズナちゃんの言い方的に、もしかして見た事あったりする……の?」

(ちち)上達がいつもしてますから良く見てますよ! 後は(ちち)上に焚書されましたが、ナマモノネキ殿の描かれた本なども読んだ事が有ります。私も(ちち)上のハーレムに入れて貰いたいのですが、これだけは(ちち)上が許してくれないんですよね……」

「そりゃ普通の感性してたら頷かんだろ、世界各地の神話的に見れば割とよくあるこったけどな。つーか、お前の親父さんが許可しないって事は、娘相手に欲情する様な性癖してないって事だろ」

「そうですかねぇ……、私の見た目は好みに合致しているとは聞いたのですが」

「だよね? 好みなら好きって事じゃ無いの?」

 

 そう言って納得出来ない様子の二人を見ると、普通に会話出来る思考能力があるから勘違いしそうになるが、見た目ハイティーンな0歳児と見た目相応な3歳児と考えれば、情緒や精神が成長途中なのは当たり前の話か。

 とは言え私も色恋に長けてる訳じゃねぇし、どうしたもんかね……。

 

「瑞琴、好きと言う感情はそう単純な物では無いですよ」

「母様!」

「探求ネキ殿、それはどの様な意味です?」

「そもそも感情自体が複雑な物ですし、私なりの考えとなりますが、好きの感情を大きく別けると、体から生まれる物と心から生まれる物の二つに別ける事が出来ます」

「体と心?」

「ええ、二人は好きな食べ物は有りますか?」

「母様達の作ってくれたご飯!」

「私もノワール殿達が作ってくれるご飯は大好きです!」

「では、このクッキーなんかはどうです?」

「甘くて美味しいから好き!」

「おお、サクサクとして小麦とバターの香りが濃厚ですね! 私もこのクッキーは好きです!」

 

 私や裕奈が返答に窮していたところ、師匠が来て話を引き継いだと思えば、二人にクッキーを配りだしたんだが、性欲関連の話と食べ物がどう繋がるんだ?

 

「さて、最初に二人が答えてくれた好きな食べ物と、このクッキーの好きは同じ物ですか?」

「え? えーと、ん~……」

「……はっ! 別です! このクッキーは美味しいので好きですが、ノワール殿達が作ってくれるご飯の好きとは違う感じがします!」

「あ! うん、僕もそんな感じがする!」

「それではこのクッキーは味や匂いと言った体の反応から、二人は好みと感じた事になりますね」

「おお、なるほど! それが体と心から生まれる好きの違いなのですね!」

「そうですね。体の反応による好き嫌いは、生き物としての基本的な物ですのでわかり易い部分です。――が、感情が複雑になるのは、体の反応による物と心の反応による物が、常に混ざり合っている所にあります」

「混ざってるの?」

「例えば……瑞琴はこのクッキーをどれだけ食べたい?」

「ん~いっぱい? あ、でもいっぱい食べると母様達のご飯食べられなくなるし……」

「今瑞琴は、クッキーの美味しさや好きと思う感情とは別に、他の好きな食べ物が思い浮かんで、クッキーを好きと思う感情に混ざっているでしょう?」

「あ、ホントだ」

「っと、ここまではイズナさんの疑問と言いますが、悩みに関する前提の話になりますが、体の反応と心の反応については大丈夫ですか?」

「はい! 好きの感情にも色々とあると言うのは分かりました!」

 

 ここまで来れば私にも多少はわかるな、この二人っつーかイズナの方は生まれて一年も経ってないのに、肉体面ではハイティーンと変わらない所為で、物事を考える前提となる知識や認識が足りてないって訳だ。

 子作りに必要な行為は知っていても、そこに至るまでの過程や行為その物についての倫理なんかは、ローティーンのそれにすら届いていないってとこだろうな。

 

「さて、本題に入って行きますが、さっき例題に挙げた好きな食べ物と同様に、性欲に関連する好きと言うのも色々と複雑な事は分かると思います。体の反応としては、子孫を残すのに適した相手であれば自然と反応してしまう物ですが、心の反応はそう単純な物ではありません。好きという心の反応――この場合は愛と表現するのがわかり易いですが、家族に向ける愛情で括った場合でも、その中には夫婦としての愛情や親子としての愛情などいくつもの種類が含まれた物になります」

「夫婦と親子は違うのですか?」

「そこは人により意見が異なる事も有る部分ですが、現代社会の基本的な認識では、夫婦と親子で愛情の形は違う物です。夫婦における家族愛は性愛や友愛に独占欲など、多かれ少なかれ生殖に適した独立した存在として、互いを意識する感情が混ざり合った物になります。一方で親子における家族愛は、父性や母性の様な護る側である親が抱く感情と、そうした思いによる愛されている、と言う護られる側の子供が抱く感情を合わせた物が基礎となるため、家族愛の言葉で括った物でも、中身を構成する要素は異なる物になると私は考えています」

 

 そこで一旦話を区切った師匠は、イズナが話の内容を理解する間を置く様に茶を一服し、改めて話だす。

 

「幼女ネキの場合で言えば、以前に宮城の掲示板で話していた内容も含めて考えるに、自身の子供は庇護する対象であって、性欲を向ける相手では無いとの意識が強いのだと思われます。これは幼女ネキ自身の心の問題ですので、例え体の方がイズナさんに反応したとしても、自身の子供では無く一人の女として見るかは別の話、と言った感じだと思いますよ」

「それはつまり、(ちち)上が私を娘より女として見てくれる様になれば、ハーレム入りを許してくれると言う事ですね!」

「いや、そこは親の気持ちを考えて諦めとけよ」

「そう言われましても、(ちち)上以上の相手なんて想像も付きませんし……」

「と言うか、イズナちゃんは体は兎も角、生まれてから一年も経ってないんだし、数年は時間を掛けて考えるべきじゃない? まだまだ知らない事も沢山有るんだし、色々経験してからでも遅くないと思うよ」

「裕奈殿……」

「うーん、僕は良く分からなかったけど、子供はいっぱい遊んでいっぱい学ぶのが仕事だって母様も言ってたし、イズナちゃんも今は色々遊んで学ぼう! って事で、次はペリーヌお姉ちゃんの所行こう!」

「そうですね! 考えるのは後にして、今は遊びましょう!」

 

 そう言って二人が駆けて行くのを見送ったところで、振り回されたと言うほどでは無いんだが、昨夜の件も含めてエロ話をぶっ込まれたのもあって、どっと疲れが湧いてきた気がするな……。

 

でもまあ、こう言うのも悪くない、かねぇ

「? 何か言った? マリッサ」

「ちょいと気疲れしたし、何か食おうかなってな」

「あ~確かに何か食べたい気分かも、二代と琴音が大食い大会してた残りぐらいはあるだろうし、見に行こっか。瑞樹はどうする?」

「私も行きましょうか、足りない様なら追加で何か作りますかね」

 

 家を捨てた時――いや、洗脳された期間もあるしその前からか、家族ってのに良いイメージが無くなってたし、こうしたホームパーティーみたいな催しに呼ばれる事も無いだろうと思ってたんだがね。

 マジで人生、何がどう転ぶかわかんねぇもんだな……。

*1
本家様の方では式神パーツの移植などしなければ限界突破はしない様ですが、拙作世界線では女神転生TRPGなどの設定から、ガイア連合の技術が有れば難易度は高いが可能としてます。

*2
レベルでの分類は、拙作世界線での設定です。

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