【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
タルタロス二百五十階――果てに【ニュクス】と推定される月が輝く以外は、星々の明かりどころか、月が輝くための光を当てる太陽も無い
見えている月へ真っ直ぐ向かっている様に感じつつも、実際は弧を描く様に月の周りを囲む軌道で、少しずつ近付いていたのが、いくつも設置してきた篝火灯台の明かりによって判明し、今では何重にもなった光の帯が、繭の様に月を包み込もうとしている程になっている。
探索再開の目印として、転移可能な範囲を増やすためにも設置していた物だった訳だけど、改めて見てみると割と見応えのある光景になっていたのには、驚いたりもしたところ。
そうして設置してきた篝火灯台の数は優に万を超え、辿ってきた道程は直線距離にしておよそ350,000㎞――地球から月までの距離である384,400㎞に、後35,000㎞程の所まで進んできたと言う事になる。
「それにしても、三万五千キロをあと少しなんて思う時が来るとは思わなかったよねぇ……」
「これまでの探索と、瑠璃を生み出した事で再度可能になったナビペルソナでの探査結果ですから、まず間違いは無いですが随分と掛かった気にさせますよね。まだ辿り着いていないので気を抜くわけには行きませんが……」
「春香さん*1のナビペルソナでも探知が出来なくなった二百階以降は大変でしたよね……」
「瑞樹が産休の間もガンガン進めたのは、私達に付いてこれる聖者ニキ*2と、強力なナビペルソナ使いの春香が居たおかげも大きいもんねぇ~」
琴音と綴がしみじみと語るのは、私が産休に入っていた頃のタルタロス探索時に、何度もヘルプに入ってくれていた沖縄支部所属のペルソナ使い、黒札である聖者ニキと黒札の娘でナビ型のペルソナ使いな乃木坂春香さんの二人。
その頃の二人は、運営資金が火の車な沖縄支部の運転資金確保のため、日付変更時の一秒間に一時間分の無制限シャドウ狩りが出来るタルタロスへ出稼ぎに来ており、最前線にも付いてこれるだけのレベルと精神的タフさを持っていた聖者ニキは前線で、ナビ型の春香さんは当時まだ残っていた階層解放のギミック探査により、何度も最前線を押し上げるのに協力して貰ったのは、報告書にも確りと記載されていたので私もよく知っているところ。
沖縄支部の大変さと崩れた場合の危険性は知っていたので、私の方でもガイア連合山梨支部の相互互助の範囲ギリギリとなる食糧支援や、技術指導の分身式神派遣などを行っていましたけど、私が復帰した後少しして到達した二百階以降では、春香さんのナビペルソナでも探査が届かないのが判明したため、タルタロス探索では余り交流する機会が無かったのは残念な話。
まあタルタロスの最前線に届かない分は、低階層でレベル上げするペルソナ使い達のサポートや、メメントスだったりマヨナカテレビだったりの手伝いにも回ってくれていたので、最近までは活動場所が余り重ならなかった訳ですが、状況が少し変わったのは、私がナビ型のペルソナ使いとして瑠璃を生み出した辺りの事。
ナビ型ペルソナ関連で、無惨ニキの専用式神であるダ・ヴィンチさん*3も含めて交流する機会が増えたのと、ナビ型同士でペルソナを共鳴させる事により、タルタロスの二百五十階――集合的無意識の深層まで、探索の手を伸ばす算段が付いたのが切っ掛けとなる。
今はまだ瑠璃のペルソナレベルが低いため週に一度ぐらいが限界だし、毎日の探索に春香さんを付き合わせる訳にはいかない話だけど、私が現場で探査にリソースを振る割合が減るのもあって、一回の探索で進める距離が倍以上に増えるため、無理をしない範囲で協力して貰っているのが最近の事情。
とは言えそうした探索の効率化があっても、まだ後35,000㎞程の道程が残っている訳ですが……。
「周囲の索敵とナビゲートをしてくれるサポーターが居るのと居ないのでは、探索の効率が雲泥の差ですからねぇ。慣れすぎると自身の対応力が錆び付きそうで怖いですが」
「ナビ無しでの探索も長いし早々錆び付かないでしょ。それに、瑞樹が技術を錆び付かせるなんて事の方が想像出来ないしね。っと、それよりそろそろ次ぎの設置始めよっか」
「そうですね。湯乃葉、陣を敷きますよ」
「ではいつもの様に周辺警戒に入ります。久遠さんとアイギスさんもいつも通りで良いですか?」
「ああ、それで問題無い。いつもの様に油断せず行こう」
「こちらも問題ないでありますよ」
「瑞樹、奇門遁甲術式の下準備は終わったわよ~」
何万と繰り返していれば慣れた物で、具体的な指示をせずともそれぞれで行動を開始。
十秒ほどでそれぞれの準備が整い終われば、篝火灯台を取り出しての防衛戦が始まる。
「うーん、レベル自体は変わらないけど、体力とかのステがまた少し上がったっぽいかな?」
「基本は巨体ですけど、偶に小さくて硬いのも混じってるのが大変ですよね……」
「そのために奇門遁甲術式の陣を予め敷く事になりましたしねぇ。っと、綴の方に小さいの行ってますよ」
「了解です!」
即席ではあるけど十分な防御陣地を構築し、全天から襲い来るシャドウの経路を限定させる事で、近接組が対処可能な範囲に数を限定、篝火灯台の影響によりシャドウが湧かなくなるまでの間、途切れる事無く溢れ出るシャドウを殲滅し続けていく。
時間にして数分、数の方は少なくとも四桁に届くシャドウを倒し終われば、後は周辺に溢れかえるフォルマやドロップアイテムを回収するだけ。
展開している陣をたたむ序でにフォルマやドロップアイテムを手元へ引き寄せ、まとめてバッグへと収納したところで、次ぎに向かう方向の確認を行う。
「ふむ……、次はこっちですね」
「オッケー、時間的に後一つって所かな?」
「無理すれば二つ行けそうですが、無理をする場面でも無いですよね。私も琴音ちゃんと同じくもう一つ設置したところで切り上げるのが良いと思います」
「ではそうしますか」
軽く方針を決めればさっさと次の設置予定場所へと進み出す。
篝火灯台から少し離れればまた直ぐにシャドウの襲撃が再開され、更に大量のフォルマなどが集まっていく。
「んーやっぱり予想通り、今日の探索でフォルマとか突っ込んでる倉庫が溢れますね、これ」
「前に拡張した直後は一ヶ月持ってたけど、気が付けばまた一週間で溢れる様になったねぇ」
「そうなると、今日は次を設置した後ベルベットルームですか?」
「想定する状況に合わせたペルソナ作成は、何処まで行っても終わりは無いからね」
「琴音の場合は保有出来るペルソナの数も多いですし、ワイルドだけ有って私達と違ってアルカナの相性による降魔制限も無いですからねぇ」
「それに認知の影響なのか同じ素材でも作れるペルソナが変わったりするし、ペルソナは同じでも耐性が違ったり何かもするし……。まあスキルカードの作成は大変だけど、スキルを自由に入れ替え出来るだけでもかなり楽だよね」
「前世ではペルソナシリーズをメインにやってたんでしたっけ?」
「だねー、目的のペルソナ作るために周回したりしたけど、まさか転生して似た様な事する羽目になるとは思わなかったけどね!」
「ある程度妥協すれば良いのではないですか?」
「その妥協したところにピンポイントで刺さって全滅なんて事も有ったんだよ……。ましてや私自身がこうして現場に立つ訳だし、妥協なんて出来ないって」
琴音が半ばやけになってる感じの声を上げるのを横に、集まっていく素材の使い道を改めて考える。
今のところは主に琴音のペルソナ厳選に使ってる訳だけど、それも少しずつ納得いくペルソナが作れているため、そう遠くないうちに一先ずの区切りには到達するだろうと思うところ。
その時点でタルタロスの攻略が終わってるかどうか分からないですし、そうなるとレベル三桁の素材が大量に溢れる事になる訳で、ガイア連合に流すとしてもこのレベル帯の素材を扱える人員となると、技術部や製造部でも数える程しかいない話。
とは言えその数少ない人員は、修業場異界深層組が持ち帰る分を処理するので手一杯なのが正直な所で、とてもではないけれどタルタロス深部の素材までは手が回らない。
そうなると、私の方で何とかまとめて消費出来る方法を用意しておきたいところな訳ですが……、まあ探索中に考える事では無いですね。
思考に区切りを付けて雑談を交わしながらしばらく進み、次の設置場所となるだけの距離に到達したところで本日最後の防衛戦を恙なく終わらせ、タルタロスから脱出する。
タルタロスから出て機体から降りると、そろそろ影時間が終わる頃と言うのもあり、低階層でのレベル上げに来ているガイア連合員のペルソナ使い達も、次々と脱出しているのが見える。
「何度見てもオカルトじゃなくてSFだよな、あれ……」
「瑞樹様の中では科学とオカルトは分ける物では無いみたいですけどね」
「あんなロボット使わないと対処出来ない最前線とか、絶対行きたくないよねぇ」
「そうで御座るか? 拙者達も着実に強くなっているのだし、いずれ似た様な戦場に行く事も有ると思うで御座るよ」
「タルタロスの低階層は日毎に通路の構造が変わるだけですが、主のレベルが高い異界へ行けば特殊な環境になってる事も多いそうですし、裕奈さんとマリッサさんならその内直面するのでは?」
「私もかよ!」
「いやいや、流石にそんな事は無いって…………無いよね?」
そんなタルタロスのエントランスから出てくる者達の中に混じるのは、マリッサとペリーヌに裕奈と二代、それからサポートに付けた瑠璃の五人。
流石に私達みたいに毎晩欠かさずと言う訳では無いけど、タルタロスの低階層ならレベル上げや戦闘経験を積むには丁度いいって事で、無理をしない範囲で潜っているのだけど、今日は帰還のタイミングが重なった様子。
ちなみに、普段はメメントスを探索しての素材集めだったり、マヨナカテレビの方で人手が足りない時のヘルプに行ってたりがメインで、タルタロスに来るのは主に二代の戦闘意欲を発散させるのが目的だとか。
「裕奈ならその内巻き込まれると思うよ? 具体的には来月辺り」
「来月には鉄火場で御座るか、実に楽しみで御座るな!」
「ヒョッコリ話に混ざって来て不吉な事言わないでくれるかな!?」
「五人ともお疲れ様、そこそこ良い感じだったみたいですね」
「その察知能力は何なんだろうな……、まあ師匠が言う様に良い感じに宝石が拾えたからな」
「タルタロスは力の有る宝石を集めるのにも良い場所ですわよね。これなら想定より早く全種類集まりそうですわ」
折角見かけたのだからと機体を収納して声を掛けに向かうと、琴音が開口一番に不安になる事を告げたりしたけど、まあ運命力的に避け得ないのがこの世界だし、その時が来たら手助け出来る様には注意しておきましょうか。
それは置いといて、マリッサとペリーヌは宝石集めが順調な様で、集まったなら
圧縮した宝石の配置や紋章に込める意味などで、増幅する能力や効果なども弄れますから、それぞれに合った宝石輝章を作るのが良いでしょうしね。
「久遠姉さん、マスターの方はいつも通りですか?」
「多少シャドウがタフになったぐらいだな。早々大きな変化がある場所でも無いが、油断しなければ問題ない程度には安定してるさ」
「ナビが有る時に比べれば探索効率は落ちるけど、その状態の方が長いものね。瑠璃は焦らずに確りと自力を付ける事に注力した方が良いと思うわよ」
「それは分かってますが……」
「瑠璃、四人のサポートお疲れ様」
「あ、マスター」
「色んなペルソナ使いとも交流して、大分ペルソナが成長してきましたね」
「はい、皆さん良くしてくれています。まだ足りない、もっと頑張らないと……」
順調な弟子組の方は良いとして、ちょっと気を付けておかないと行けないのは、三月の件で作り出した二体目の専用式神である瑠璃の方ですかね。
表情の方は若干柔らかくなってきたし、感情の成長も着実に進んでいる瑠璃だけど、殆ど言葉にならない程度の極小さな呟きが溢れだしてる辺り、専用式神として一緒に最前線へ行けないのが無自覚のストレスになってる様子。
特に一体目の久遠が常に側で護衛していると言うのも、自身との違いをより強く感じる様になってきたのだろうと思う。
「湯乃葉も言いましたが、瑠璃はまだ生まれてから二ヶ月程しか経ってませんから、焦って早く成長しようとする方が問題です」
「あう……」
「私の式神であると同時に、瑠璃と言う一人の人格を持つ私の家族なのですから、誰かを羨み誰かの代わりになろうとするのでは無く、あなたらしさを探して、あなた自身が誇れる
なので、まずは瑠璃をギュッと抱きしめて意識の空白を作り、頭や背中を撫でながら良く言い聞かせる様に耳元で囁き、最後に軽く口付けしてから解放する。
撫でるのと口付けに合わせて瑠璃の体内の気を整えたのも有り、体温の上昇で薄らと色付いた姿はとても情欲を誘うけど、それを楽しむ前に色々と雑事を片付けておかないといけませんね。
「んぅ……ますたーのいじわる……」
「ふふ、続きは家に帰ってからですね。さ、そろそろ影時間が終わりますから、一度支部に戻りましょうか」
「お、今日は瑠璃ちゃんも参戦かー、裕奈と二代はどうする?」
「琴音に負けっぱなしは癪だからリベンジしよっかな。
「いつも通り使って大丈夫だよ」
「では拙者も鍛練に混じるとするで御座る。【霊質強化術】で肉体の方も強くしていかねばならぬで御座るからな」
「二代はまだその建前で行くの? いい加減普通に参加するって言えば良いのに」
「いや拙者は鍛練としてで――」
「いやいや、そんな発情した雌の顔してそれは通じないって」
「琴音!?」
「そこもじゃれ合ってないで行きますよ~」
姦しくじゃれ合う三人もまとめて支部へと転移し、琴音がベルベットルームへ移動してる間に報告書などをささっと作成して、夜間担当の
参加しようか葛藤していたマリッサとペリーヌも連れ込み、私と久遠と湯乃葉に瑠璃、琴音とアイギス、綴にマリッサとペリーヌに裕奈と二代、合計十一人の百合園は朝方まで咲き乱れる事になったけど、それはまた別の話。
全員がノックダウンした後の部屋を【浄化】で綺麗に掃除した後、蓬莱島に差し込む朝日を眺めながら煙管を取り出し、色々と試して行った結果出来上がった最近お気に入り、桃とミルクが混ざった甘く蕩ける様なフレーバーに調節した刻み煙草を詰め、一服吹かす。
「そうしてるとホントに同い年には見えないよね~」
「まだ五分も経ってないと思いますが、もう動けるのは流石ですね」
「レベルだと十は上になったからね。まあレベル差があるはずなのに未だに勝てる気配がしないのが悔しいんだけどさ」
「試合形式の
「よく言うよ、事前準備有りだと未だに五割超えられてないじゃん。あ、私にも煙草頂戴」
「どうぞ。それにしても、思えばもう五、六年になりますか」
夜の激戦もあって多少気怠げにする琴音へ紙巻きの煙草を渡すと、慣れた手つきで火を付ける。
揺らめく紫煙を眺めて思い浮かんだのは、琴音と出会ってからのあれこれ。
一緒に遊んだり、初めて影時間へ入った時の事だったり、本格的な攻略へ入る時に綴を紹介した際の事、恋人になって初めて一つになって、妊娠や出産なんかも経験して、本当に色んな事を一緒にしてきた物だと改めて思う。
「あー私がガイア連合に入った頃かな? あの頃だとこうして瑞樹と恋人になってるとか想像もしてなかったねぇ。煙草とかお酒なら、前世が二十歳になる前に死んじゃったから興味あったし、高校入った頃には手を出してるだろうとは思ってたけど!」
「前世未成年だとその辺の興味や憧れはありますか。私の方は女性の体になったのと、生まれる前から覚醒してたのとで、霊力の鍛練とか女性としての生き方を学ぶ方に意識が向いていて、恋愛とかって余り意識してなかったんですよね。初めての相手は【房中術】の鍛練で美波さんとでしたし、数は少ないですけどカズフサニキとか男性相手との【房中術】の鍛練なんかもしてましたし」
「むぅ……、瑞樹って鍛練目的だと貞操もあんまり気にしないよねぇ」
「女性だと範囲は広いですが、誰でもって訳では無いですし私なりに基準はあったりしますよ? 男性の場合は特に私相手に本気にならない、鍛練目的と割り切れる人としかしてませんし、この辺は前世の男としての部分が影響してるんでしょうね」
「それって精神としては男寄りで、精神的BLはNGってこと?」
「ざっくり言えばそんな感じですか。前世ではそもそもリアルの女性相手に恋愛するって感覚自体が無かったですし、ストライクゾーンと言うか性欲の対象は割と無節操でしたけど、転生して女性の体になったら、脳構造的な影響も有った様で、好みのタイプが割とボーイッシュな感じというか、自立した芯の有る女性って感じになったみたいなんですよね」
「へぇ~、それでキノネキと仲が良いんだ……」
「無意識に惹かれていた部分は有ったんでしょうけど、小学生時代は互いに転生者だとは知らなかったですからね。今は前世が男だったとしても、今世で女性としての性自認していれば気にしませんが、当時に知っていたら男友達の延長になってた可能性も有りますね。好みとかが自分の中ではっきりしたのはペルソナに第二覚醒してからですし、なので割と真面目に私の初恋は琴音相手で、一目惚れした様な物ですよ?」
「……!?」
好みの相手の話が出て来た辺りで、ちょっとジト目で見つめてきた琴音に興奮しそうになったけど、流石にさっきの今でそれは自重し、代わりに今まで話していなかった事を真っ直ぐに伝える。
驚いてこぼれ落ちた煙草を空中で燃やし消して、煙管を煙草盆に立てかけ、琴音と口付けを交わす。
嫉妬してくれた事を嬉しいと思う反面、不安な思いをさせたのは私の落ち度。
なので純粋に愛しく思う気持ちを伝えるために、抱きすくめて唇を合わせ、舌を絡ませて唯々口付けを重ねる。
「プハッ、わ、わかった! 瑞樹の気持ちは十分理解したから、これ以上は止まらなくなるからお終い!」
「ん……っと、そうですね。私も久しぶりに気持ちが溢れて止まらなくなる所でした」
どの程度時間が経ったのかは曖昧だけど、少なくとも完全に太陽が水平線から登り切るぐらいには重ね合った唇を解放し、一つ呼吸を整える。
情欲に互いの身体が火照っているのは意図的に無視して、再度煙草に火を付け一服。
体は兎も角、精神的には落ち着いたところで琴音から話を再開してくる。
「それで、タルタロス攻略の目処が見えてきたってところで態々振り返り何てしてた理由は何?」
「琴音はまだ高校に通ってる訳ですから、結婚指輪を渡すのは卒業後にした方が良いかと思ってましたけど、恐らく終末はそれより前に来るだろうって話なので、婚約指輪としての形でも良いので渡すか、いっそのこと身内だけの結婚式でもしようかと思った感じですね」
「んぐっ、あ、あーそう言われると、その、凄く嬉しい。うん、私も瑞樹との結婚式はしたいと思う。思うんだけど……何かフラグっぽくない?」
「それなんですよねぇ……、言うかどうか迷ってた理由。後、
「それに関しては、もうちょい色々と話し合ってから決めた方が良いんじゃない? 少なくとも綴さんとは一緒に話し合うべきだし、アイギスと久遠に瑠璃ちゃん、湯乃葉さんはどうするか分からないけど、裕奈と二代は将来的に家族になるのは確実だし、マリッサとペリーヌもほぼ確実ってところだろうし……」
「三月の件から一気に増えましたよねぇ。まあ専用式神な二人は、終末後には恐らくって感じは有りましたけど」
「私としては二月に瑞樹が二人に教え始めた辺りから、ああ増えるんだろうなって感じがしてたけど? 瑞樹って好みの娘には色々と作って渡したりするし」
「そこまで節操無しな事、してたつもりはないんですけどね……」
「いや、少なくともキノネキ相手には結構露骨にアピールしてたでしょ、キノネキのレベルに合わせたコスプレ装備のアップグレードとか、趣味のツーリングで役立つ道具を作ったりとか。マリッサとペリーヌの二人にしても、依頼の報酬だからと言って、週二日でも無期限で授業するってのは流石に破格が過ぎると思うんだけど?」
「ぬぅ……」
「ま、私もキノネキは可愛いと思うし、恋人や家族に成れるならそれも良いかなって思うよ。これもワイルドの性質が関係してるのか分からないけど、愛情の形は一つじゃないって言うか、皆にそれぞれの愛を感じてる私が居るんだ」
「そう言えば通称屋根ゴミと呼ばれるP5の主人公は、十股とか出来るんでしたっけ」
「P4の方も七股とか行くしね。独占欲が無いって訳じゃ無いけど、愛を繋ぎ合う今の関係ってのも居心地が良いんだよねぇ」
「私もそうですね。琴音が居て綴が居て、私達三人それぞれの子供達が居て、久遠にアイギスに湯乃葉が居る生活が続いて、そこに新しく裕奈と二代に瑠璃が増えて、マリッサとペリーヌも加わって、この家も何度も増改築しましたし、賑やかな大家族ってのも良いですよね」
「そうなると、便宜上でも一家の大黒柱は瑞樹になるかな? 掲示板とかだと私も含めて瑞樹のハーレムって扱いらしいし」
「この家も蓬莱島も私が造った拠点な訳ですし、やっぱりそうなりますかねぇ」
「そうそう! だからこれからもお願いね、旦那様♪」