【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
さてさて、いざ決戦って気持ちをぶち壊してくれた
「アイギスと綴さんは大丈夫? 湯乃葉さんは居ないっぽいけど」
「セルフチェックは問題無いであります」
「個別隔離されての問答はちょっと堪えましたが、戦闘には支障無いですね」
「オケオケ、そんじゃ――」
『あ、琴音さんの方も繋がりましたね』
「っと、こっちもってことは瑞樹の方は順調な感じか、湯乃葉さんはどうしてるかわかる?」
『湯乃葉さんは最深部の侵入条件が解除されたので、先程移動しました』
「瑠璃ちゃん了解、よっしそんじゃ瑞樹が時間稼ぎしてる間に、本丸の方へ向かうよ」
アイギスと綴さんに声を掛けると、言葉では問題無いとは言っているけど、声を聞く感じだとニャルとの問答でそれなりに精神的な負荷が掛かってそうかな。
春香からの連絡も来てナビ組のサポートも回復したし、話し方から既に瑞樹の方と一度話してこっちの対応に入るって事は、既に戦闘中の瑞樹の方はサポート無しで大丈夫って事だろう。
湯乃葉さんがそもそも最深部への突入から弾かれていたってのは予想外だったけど、話してる内に合流出来たから問題無し。
ちらっと見た瑞樹の方は、久遠さんが護衛しつつニャルと殴り合ってるみたいだし、今のうちに封印可能になるまで【ニュクス】を削りに行かないとね。
「こうして近付くと大きさに圧倒されますね。まだ結構距離はあるはずなんですけど」
「だよねー、現実の月その物じゃないけど大きさは同じらしいし、P3の設定みたいに実際の月が本体って世界じゃ無いだけ、まだマシって思えるよね……」
『その比較はどうなのかと思いますが、進路上に反応有りました』
「オッケー、こっちもお出ましか」
瑠璃ちゃんの報告を聞いて一段と意識を引き締めて進むと、何も無いはずの空間から滲み出す様に一つの巨大なシャドウが現れる。
それは人の形をしている様で、だけど同時にいくつもの姿が重ね合わさってる様にも見えて、安定と不安定が併存するかの様な、そんな矛盾をこちらの意識に叩き付けてくるナニか。
「SANチェックって程じゃないけど、地味に見てるだけで不快感があるなぁ」
「想定通りだとしたら愚者のアルカナを表す形態って事ですけど、何者でも無いって意味を悪意で解釈するとこうなるんでしょうかね……」
『一応解析結果だと【ニュクス・アバター:愚者】、レベルは最低でも100以上になってますね。ただ、表面上の情報は兎も角、詳細な解析は現状難しそうです』
「来るであります!」
現れた【ニュクス・アバター:愚者】の観察をする間も殆ど無く、戦端が開かれアイギスの【牽制射撃】*1が飛ぶ。
特に何かしらの耐性が有る様子も無く射撃が通ったのを確認しつつ、【コウハ】【エイハ】で耐性チェック。
瑞樹の方で戦闘が進行しているのとこっちも戦闘に入った事で、時繋ぎの腕輪*2により認識行動時間の加速が行われ、【ニュクス・アバター:愚者】が動き出す前に複数の攻撃を叩き込む。
「光と闇に分類される系統はまとめて無効っぽいし、他は耐性無しパターンかな」
「リロードって奴だと光と闇も耐性無しでしたか」
「他の黒札から共有された情報でありますな」
『共有されているそれらの情報も参考に解析を行っています。【ニュクス・アバター:愚者】は恐らく、光と闇のみ無効で他は弱点も耐性も無しと思われます』
『今のところ周囲に他の反応は無いですし、トラップやギミックの類いも観測されていませんね』
「それじゃ愚者のアルカナはサクッと倒して次ぎを確認だね。【ブレイブザッパー】*3!」
月面に向かうのを阻む様に出て来たのは、予想通りの【ニュクス・アバター】。
P3のラスボスに位置する存在だけに、確実に出てくるだろうとは想定してたから驚きは無いけど、ゲームと違ってだいぶ気持ち悪い造形、と言うか印象を与える感じだったのは予想外だったかな……。
まあ前世でのゲームと実際に相対する場合で、ほぼ同じって状況の方が少ないんだし見た目の事は置いとくとして、調査解析をしながら最初の【ニュクス・アバター:愚者】を削って行く。
ゲームだと攻撃してこない形態だったけど、現実でそんな甘い話は無く、物理攻撃のみだけど普通に全体攻撃もしてくるのを対処しつつ殴っていると、体力を削り切ったのか攻撃の手応えが無くなり、その間に【ニュクス・アバター:愚者】が姿を蠢かせ、その形を変えていく。
「わかり易く魔術師って感じの姿に変わったわね~。じゃあ試しに【アギ】」
『火炎属性反応は無効、こちらはリロードの情報と一致します。観測出来るレベルの最低ラインが105相当まで上昇』
「あー、混合か良いとこ取りでもしてる?」
『その可能性は普通に有るかもですね……。どちらの可能性も考慮に入れて解析を続けますね』
「お願いします。貫通可能な範囲なら良いですけど、後半は耐性破壊を挟みつつになりそうですね」
「楽観は出来ないでありますが、出来る事から進めていくであります。【牽制射撃】――着弾、耐性無し確認、【バレットセット】*4【ワンショットキル】*5」
最初の愚者は無印のP3と同じだったけど、次の魔術師が恐らくリメイクのリロードと同じとなると、集合的無意識経由で黒札が前世から持ってきた認識も影響しているのは確定と見て良さそう。
まあ最低レベルが三桁超えてる時点でゲームと別物なのは当たり前だし、毎度の事だけど油断せずに対策しつつ削って行くだけか。
「様子見してましたけど、想定通りの敵で長丁場になりそうですし、火力を上げて行きます。【アギバリオン】
今のところは前座みたいな物だし、サクサク進めるためかアイギスは【バレットセット】も使って火力を上げて、綴さんも【火天の構え】で自己バフ掛けて【みだれうち】で【バイパースマッシュ】の発動回数毎に威力上昇と、【発勁】での耐性破壊を同時に仕掛けてるみたいだし、ここはローテーションしながら大火力ぶつけて【ニュクス・アバター】のアルカナを進めていくのが良いかな?
特に綴さんの方は、【みだれうち】の八回攻撃で、【火天の構え】に組み込まれてる【豪傑の転心】*8――悪路王異界の資料から発掘出来た確率発動のパッシブスキルを発揮し易くしてるし、合わせて組み込んでる【りょうてもち】*9や【仙気金剛体】*10のスキルで更に威力を跳ね上げてるから、特化アタッカーとしてほぼ完成形って感じだよね。
実際【ニュクス・アバター:魔術師】は一度も行動出来ずに消し飛んだし。
「次の女教皇は氷結の吸収か無効のどちらかしらね? 【ブフ】」
『観測結果は無効の方でした。リロード寄りの性能と見た方が良いかもしれません』
『あ、瑞樹さんの方からいくつか攻撃が流れて来てますから、気を付けて下さい。察知出来た分は情報表示しますけど、全部は無理かもしれませんので』
「了解! じゃあ次は私が大技行くよ。
電撃属性と魔法攻撃の威力を高めに高めて放った後は、降り注いだ六つの雷で狙い通り体力を消し飛ばせたのか、【ニュクス・アバター】が次のアルカナへと変化を始めていた。
攻撃の手応え的に、綴さんが習得した【豪傑の転心】の魔法版になる【魔弾の射手】*16が励起活性で六回全部発動したかな?
元々【審判 ゼウス】は全体魔法の【ケラウノス】運用メインで考えてて、【一騎当千の眼差し】*17の特性を持たせて【マルチブースタ】*18で全体威力を更に向上させて、【仙気三昧常】*19用に魔・知・精神へステ振りしたんだけど、予想より威力が跳ね上がってる気がする……。
まあ目標通り削り切れたから良しって事で、【ニュクス・アバター】がアルカナシフトしてる間に、送られて来た流れ弾の情報からそれぞれ当たらない位置へと移動し、次の形態に備える。
『次の女帝は無印なら疾風と光系統に闇系統が無効、リロード版なら物理三種以外に耐性です』
「それなら、ちょっと広めに確認してみるわね。【アギ】【ブフ】それから【ガル】に【エイハ】辺りかしら」
『【ニュクス・アバター:女帝】レベルは115、火炎氷結共に吸収、疾風は耐性で闇も吸収になってます!』
「あっちゃぁ、良いとこ取りパターンか。って事は、後いくつか進んだら全吸収か全反射とかしてくるだろうね」
「それならそれで、耐性破壊しながらの攻撃をするだけですね」
状況が進むに連れて集まって来た情報から、案の定面倒な能力を持っているのがわかった【ニュクス・アバター】に辟易しつつ、吸収相性の攻撃を受けて活性化した【ニュクス・アバター:女帝】の攻撃を避けるため、それぞれ回避行動に移った――んだけど……。
「丸太が見事にカウンターしてますね……」
「ジャストレベルで動き出し潰れたのは出来過ぎな気がするけどね!」
「何かダウンまで行きそうねぇ。【ランダマイザ】と綴に【ガイアブースト】が良いかしらね」
「では【牽制射撃】で確実にダウンさせるであります」
「そんじゃ気を取り直して、総攻撃!」
瑞樹が戦ってる方から飛んできた極太の丸太が、スキル発動直前の【ニュクス・アバター:女帝】の頭部に突き刺さり、更にいくつかの武器とか何かの種っぽいのが追撃して攻撃をファンブルさせたのは、何と言うかギャグかな?
まあ流石に流れ弾の全部が【ニュクス・アバター:女帝】にヒットした訳じゃ無くて、月面の方に流れていったのもあるけど、体勢を崩した所にアイギスがダメ押ししてダウン出来たし、ここはペルソナらしく総攻撃ーってね!
当初の同調可能人数は四人までだったが、現在は改良により人数制限が無くなっている。
固有スキルに昇華したアイギスの対単体ボス用補助スキル。
固有スキルに昇華した綴の攻撃的な上段の構え。
事前に武器へ魔法を
※葛葉ライドウ対超力兵団より
パッシブスキルのため、チャージ効果とも累積する独自設定スキル。
【甲縛式O.S.
単体または全体魔法の発動前に使用する各種スキルを、一纏めに昇華した琴音の固有スキル。
一回行動するまでの間、弱点属性による怯みと被クリティカルを防ぎ、スキルや術式などの威力・効果を上昇させる
※葛葉ライドウ対超力兵団より
※P3での銃は貫通属性で、今話内の【銃撃メガブースタ】も本来はP3リロードで登場した【貫通メガブースタ】ですが、耐性を貫通する攻撃と混同する可能性を考え、貫通属性を銃属性として名称を変更しています。