【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
【ニュクス・アバター】のアルカナシフトにあわせて出現した【
まるで強制ファンブルでもされたような被害と、その隙を突いて襲い掛かってくる【
タイミング的にギリギリ陽電子対消滅砲が再使用可能になり、突破されそうな所を押し返せたのを考えると、まだ命運は尽きていないとも思えますね。
瑞樹さんが妨害を解除して、琴音ちゃんからの回復で持ち直した上、今は轟くような緑光を放ちながら、光速域での戦いを【ニュクス・アバター:死神】と繰り広げてますし、後は私達が【
「アイギスさんの最大火力で吹き飛びましたけど、まだまだ元気そうですね……」
「着弾直後の様子からダメージ自体はあったと思うでありますが」
『純粋な体力の多さもありますが、観測データを見る限り周囲から力を吸収して急速に回復している様子です』
『ネガティブマインドとパターンが似てるのを考えると、集合的無意識の領域内では倒せないギミックの可能性もありそうですね』
「こっちが新手だから急いで解析してくれるのは助かるけど、【ニュクス・アバター:死神】の方はどうかしら?」
『琴音さんの方も解析は続けてますが、ちょっと戦闘速度について行けそうに無いので……』
『文字通りの超光速に届きそうな戦いをサポート出来る程踏み越えてません。何かわかればチャットに情報を残して、琴音さんが気付くのを待つぐらいです』
「あはは……、まああの速度に付いていくのは確かに無理がありますよね。ともあれ、瑞樹さんも琴音ちゃんもそれぞれ出来る事をしてる訳ですから、私達も【
対消滅のエネルギーを受けて、ある程度押し返した【
確かに【
ただ、本質的に倒せないとしても、この場から退散させて化身を作れない程まで弱らせるぐらいは出来そうなものですけど……。
「手応え的に、二発目の対消滅弾で削り切れたと思うでありますが……」
「ほぼ原型が無くなるぐらいになっても回復をしてますね」
重金*1:情報共有、エレボス=無意識の自滅願望は、無意識領域内であるタルタロス最深部に出現する限り、討伐及び撃退不可の模様。現状ギミック解除手段は不明。
乃木坂:【ニュクス・アバター:死神】について報告します。先程アルカナ毎の体力を削り切った時と同様の反応を確認しましたが、直後月からの供給で復活、現在も戦闘が継続しています。
探求者:やはり耐久型のギミックはありましたか
ハム子:コレ倒して月からエネルギー供給されてるなら、一応削れてはいるのかな? そうなら回転上げて倒し続けておくけど
探求者:とりあえず削れてますし、アバターしばき倒すのは継続として、無意識と接続した事で影時間とタルタロスにも多少干渉出来る様になりましたから、とりあえず綴のO.S.を使っても大丈夫にしておきました。次はエレボスのギミック解除に取り掛かりますね。
ハム子:ハイヨー
黒先生:有り難う御座います。
全体共有した方が良いとの判断なのか、瑠璃さんと春香さんからの情報がチャットに表示されると、瞬く間に瑞樹さんと琴音ちゃんの書き込みが行われていく。
「二人共こっちより大変な戦いしてるはずなのに、随分余裕が有るというか……」
「単純な認識速度差が大きくなっているだけかと思うであります」
多分アイギスさんの言うことが正しいのでしょうね、琴音ちゃんはもう緑色の光が動いている事しか分からない領域になってますし、瑞樹さんは停止した時間の世界で動けるとか言ってる時点で考えるだけ無駄ですし……。
「まあ他に余裕が有るのは良いことじゃないかしら? どうやら綴も全力を出せるようにしたみたいだし」
「……そうですね。ギミックに引っ掛かるためこれまでは使えませんでしたけど、対処してくれたので有れば私も全力で行きます。【剛毅 プロメテウス】イン
普段は装備状態で超機人
使用する武装の関係から元々火炎と核熱属性に高い耐性を持つ迦楼羅で無ければ、発動しただけで機体が溶け出す程の熱量を放ち、そこに在るだけで世界を太陽の様に照らし出す。
「太陽の概念が強くなりすぎて、発動が日の出判定になるため使えませんでした*3が、その問題が無くなったのなら――【火天の構え】【焔刃・燎原神楽】*4!」
一閃振るい生じた熱を受けて力を増し、二閃重ねて更に速度を増し、四閃連ねて概念を積み重ねる。
刃を振るう度に火勢と熱量が高まり、刃を振るう度に力が増強され、刃を振るう度に世界が加速して行く。
瑞樹さんとも琴音ちゃんのそれとも違う、私が出来るより先へと進む力。
二人程の才能を持たない私が出来る事を考え、ただ純粋な強化により限界を突破し、立ちはだかるあらゆる
「ふぅ……、上昇する速度の制御がまだまだですか」
「全回復していた様子の【
「速度に振り回されて外しているのも多いですから、そこが改善出来れば三桁を超えるのも安定するんですが」
「比較対象が可笑しいだけで、綴も超越者なのよねぇ……」
「あの二人と共に歩むと決めましたから、ここで満足している訳にはいきませんよ」
しみじみと言葉を紡ぐ湯乃葉さんに返事を返し、瞬く間に再生した【
私がここまで来れた始まりはあの日、今までの人生全てを思い返しても最大の分岐点だったと言える、影時間に巻き込まれた五年前の出来事があったから。
昔の、子供の頃の私は、霊能家系の分家に産まれた事から、稽古や習い事としてメシア教に気付かれない様に隠して行われた覚醒修業を、当時は小学生だったため良くは理解出来ないまでも、必要だからと言われて熟すことに疑問は感じていなかったし、両親の期待を受けて頑張るのは苦でも無かった。
そんな普通とは違うけど幸せと感じていた日々も、本家が抱える悍ましい闇により崩れ落ちた。
それは本来なら、覚醒に至る困難さから十年以上の修業を続けても、それでも覚醒に至れない場合にのみ行われるはずの性行為を用いた覚醒修業。
この修業が行われている理由については、瑞樹さんの弟子になってから知った事だけど、本家も所属する対魔忍衆が第二次大戦後にメシア教により根切りされ、当時の主家筋が潰された後、組織再興の為に低級淫魔を召喚して、受精卵を呪って貰い生まれた子供たちにより、今の対魔忍衆が再組織されたかららしい*5。
性行為を用いた修業が最終手段として行われている事は兎も角、問題はその修業が未覚醒でも金稼ぎだけは出来る本家の一部権力者により悪用され、分家や一般人の女の子が私欲を満たす為に使われていて、私も修業の名目で輪○された事。
この件で私が男性恐怖症になり、父と触れ合うどころか会話すら禄に出来なくなった事で、両親が私を霊能者に覚醒させるのを諦め、本家ともある程度距離を置くことに決めた忌まわしい出来事。
霊能への不信やオカルトへの忌避感もあって、全寮制の女学校へと進学し、家族とも離れて過ごした中学高校時代は、今の私を作った大事な思い出の一つ。
父とも普通の家族に戻れたのはこの頃お世話になった先生達のおかげだし、私も誰かを導ける人になりたいと思う様になった切っ掛けで、月光館学園大学部の受験を決めたのも恩師の勧めがあったからの事。
まあそれが、結果的に影時間に巻き込まれる事に繋がったのは不幸な事故――瑞樹さん達が言うところの運命力の結果――みたいな物だけど、霊的現象に巻き込まれ、忌まわしい記憶に呑み込まれそうだった私を救ってくれたのが、恐怖と絶望の象徴だったシャドウを焼き払った瑞樹さんの炎。
あの炎の熱と灯りが私のペルソナの原風景で、今にして思えば私にとっての〝死〟を乗り越える切っ掛けとなった出来事であり、怯え震えるだけでは無く、抗うことが出来るのだと理解した最初の一歩。
そして私が強くなれたと言うのなら、それはきっと琴音ちゃんと一緒に戦い続けてきた日々があったから。
過去の出来事から諦めた霊能者の道へ唐突に引き戻され、困惑する私と両親に手を差し伸べてくれて、弟子として強くなるための手助けをしてくれた上に、両親の生活に関するフォローもしてくれた瑞樹さんのおかげはもちろん大きく、感謝してもしたりないくらいだけど、私自身が強くなれたとするなら、その一番の切っ掛けは琴音ちゃんとの交流だろうと思う。
時には一緒に瑞樹さんからの指導を受ける事も有ったし、タルタロスでは基本的に式神のアイギスさんを含めた三人での行動で、学校終わりの琴音ちゃんと一緒に遊びに行くことも多かった。
そうした交流の中で、琴音ちゃんが時々魅せる男性的な力強さに、だいぶ改善したとは言え未だ残る男性恐怖症が顔を出して、そんな異性として認識する自分の感覚に戸惑う事も有ったり、かと思えば少女らしい一面に触れて、妹が居ればこんな気持ちになるのだろうかと思う様な出来事も有ったりした。
関係が大きく変化したのは、出会ってから一年以上経った満月の日、影時間にタルタロス内からいつもの様にベルベットルームへ移動しようとして、当時次の階層へ進むための扉を閉ざすギミックに取り込まれた時の事。
当時は目を背け忘れる事で克服したつもりになっていたトラウマ、かつて本家の者達から受けた性的虐待の追体験と、集合的無意識の領域から流れ込む悪意に晒されて、精神が崩壊しそうになった私を身を挺して守ってくれた琴音ちゃん。
精神世界での事だったためどれだけの時間が経っていたのかはわからないけど、最後は瑞樹さんも来てくれた事で目を背けていた事実とも向き合って、琴音ちゃんと紡いだ絆が私の心の形を繋ぎ止め、瑞樹さんが支え示し伝えてくれた私の心が、私を更に一歩踏み出させてくれた大切な思い出。
私にとっての恐怖と絶望であり、ある意味で死を連想させる
そんなペルソナが進化する程の心的変化が起きた後は、日常だと琴音ちゃんと瑞樹さんの二人と恋人の関係になると言う大きな変化が起きたけど、更にその後には瑞樹さんが琴音ちゃんとの子を妊娠して、瑞樹さんが一時的に戦線を離脱すると言う、より大きな変化に直面するはめになった当時の事は、今にしても大変だった記憶が甦る程。
だけど、師匠として先達としてタルタロス攻略の先陣を担ってくれていた瑞樹さん抜きで、琴音ちゃんとアイギスさんとの三人パーティに、時折手伝って貰った聖者ニキさん*6や春香さんの助力も受けて、四苦八苦しながら攻略を進めて行った事は、間違い無く私の糧になってくれている。
だからこそ、私の心に火を灯してくれたのが瑞樹さんなら、刃として鍛え研ぎ澄ませてくれたのは琴音ちゃんとの日々があったからで、私を構成する世界の大部分は二人が締めていた。
そんな私の世界に変化の兆しがあったのは大学を卒業した後、私が琴音ちゃんとの子を、続いて瑞樹さんとの子を妊娠、出産した事。
三人で互いの子を産むと言うのは、色んな意味で昔の私には想像も付かなかった話だけど、子供達と触れ合い育む時間は、私の心に大きな変化をもたらしてくれた。
かつての恩師達に憧れて目指した教師としては、ちょっと変則的だけど蓬莱島の
そうした様々な出来事により心が充足して行ったのだと思い至る一方で、こうしてこれまでの道程を振り返ると、以前から攻略を続けているタルタロスに対する思いもまた、変化している事に気付く。
始まりは助けられた恩返しと、いずれ訪れると告げられた終末と言う死を連想する恐怖に対抗する為。
次ぎに湧き上がった思いは、恋人となった二人と今を歩み、二人が望む未来を切り開く一助となる為。
そして今、胸の内に在るのは、愛する人達とその結晶たる子供達の未来を閉ざそうとする
今【
「ああ……そうですね。私が望むのは愛する人達との幸せな家庭を築く事。……まあ
――ペルソナ 【剛毅 ヘスティア】!
【甲縛式O.S.
その刀身が放つ太陽の如き光だけはそのままに、一閃毎に高まる熱量を余さず炉心にくべて、安易に死へと触れ人類を絶滅させようとする【
思いは定まり振るう刃に乱れ無し、後はただ、【
物理攻撃の全てが物理・火炎・核熱属性貫通と防壁貫通を持った物理・火炎・核熱属性複合攻撃に変わり、攻撃を行う度に火炎・核熱属性の反動ダメージを受ける。
自身が火炎・核熱属性ダメージを受けた時、連動して火炎・核熱属性の威力が20%ずつ加算される。
火炎・核熱属性吸収状態となり、火炎・核熱属性の威力が上昇する度に自身の力・体・速が上昇する。
【甲縛式O.S.